サイトアイコン That's Movie Talk!

ラスト・シューティスト The Shootist (1976)

映画界に偉大な功績を残して3年後に生涯を閉じるジョン・ウェインの遺作。
ガンに侵されたガンマンの死を悟った最後の日々とその生き様を描く、製作ディノ・デ・ラウレンティス、監督ドン・シーゲルローレン・バコールジェームズ・スチュアートロン・ハワードリチャード・ブーンシェリー・ノースジョン・キャラダイン他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest
ジェームズ・スチュアート / James Stewart / Pinterest
ローレン・バコール / Lauren Bacall / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ドン・シーゲル

製作
M・J・フランコヴィッチ

ウィリアム・セルフ
ディノ・デ・ラウレンティス
原作:グレンドン・スワザウト”The Shootist”
脚本
マイルズ・フッド・スワザウト

スコット・D・ヘイル
撮影:ブルース・サーティース

編集:ダグラス・スチュワート
美術・装置
ロバート・F・ボイル

アーサー・ジョセフ・パーカー
音楽:エルマー・バーンスタイン

出演
ジョン・ウェイン:ジョン・バーナード”J・B”ブックス
ローレン・バコール:ボンド・ロジャース
ジェームズ・スチュアート:E・W・ホステトラー医師
ロン・ハワード:ギロム・ロジャース
リチャード・ブーン:マイク・スウィーニー
シェリー・ノース:セレプタ
ジョン・キャラダイン:ヒゼキア・ベッカム
ヒュー・オブライエン:ジャック・プルフォード
ハリー・モーガン:ウォルター・J・ティビドー連邦保安官
ビル・マッキニー:ジェイ・コッブ
リック・レンツ:ダン・ドブキン
スキャットマン・クローザース:モーゼズ・ブラウン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1976年製作 94分
公開
北米:1976年8月20日
日本:1979年7月
北米興行収入 $8,091,900


アカデミー賞 ■
第49回アカデミー賞

・ノミネート
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1901年1月22日、ネバダ州、カーソン・シティ
イングランドヴィクトリア女王崩御したことが新聞で報道されたの日、伝説のガンファイター、ジョン・バーナード”J・B”ブックス(ジョン・ウェイン)は、町を訪れ、E・W・ホステトラー医師(ジェームズ・スチュアート)に、腰の痛みについて診察を受ける。

ホステトラーの診察結果は、他の医者の判断と同じく癌だった。

その後、ホステトラーに下宿を紹介されたブックスは、未亡人のボンド・ロジャース(ローレン・バコール)と息子のギロム(ロン・ハワード)に世話になる。

ギロムは、ブックスが町に着いた時に会った際、彼を年寄り扱いしてしまったため、逆に子ども呼ばわりされて気分を害する。

ギロムは、ブックスの馬の世話を頼まれ、厩舎のモーゼズ・ブラウン(スキャットマン・クローザース)から、下宿人の老人が”J・B・ブックス”だと知らされ驚いてしまう。

そしてボンドは、ブックスが30人もの人を殺した男だとギロムから知らされる。

2日目、1月23日
殺人者を下宿させるわけにはいかないボンドは、ブックスを追い出そうとする。
...全てを見る(結末あり)

ボンドは、ウォルター・J・ティビドー連邦保安官(ハリー・モーガン)を呼ぶ。

臆病なティビドーだったが、ブックスの命が短いと聞き安心し、喜んで帰ってしまう。

ギロムは、ブックスが人殺しではあるが者有名人だということで、掌を返したように、彼に対して敬意を払うようになる。

ボンドは頑なに殺人者の滞在を断ろうとするが、ブックスが癌だと知ってそれを許すことにする。

3日目、1月24日
ブックスの噂は瞬く間に町に広がり、新聞記者ダン・ドブキン(リック・レンツ)は、連載記事を書こうと興味本位で近づくが追い返されてしまう。

痛みが増してきたブックスは、ホステトラーからアヘンをもらうのだが、勇気があるなら、痛みに苦しむよりも他の方法を考えるよう提案される。

4日目、1月25日
謝罪してきたボンドを、ブックスは遠乗りに誘い、二人はお互い、久しぶりに癒された気分を味わう。

その帰り道ブックスは、兄を自分に殺されて恨みを持つ男マイク・スウィーニー(リチャード・ブーン)と出くわす。

その夜、ブックスは何者かに襲われ、犯人二人を殺してしまい、それに興奮するギロムは、母ボンドから彼が癌で死ぬことを知らされる。

5日目、1月26日
ブックスは、ギロムが、モーゼズに愛馬”ダラー”を売ろうとしたことを知り、彼にその理由を尋ねる。

ギロムは、ブックスのせいで下宿人は出て行き、部屋は血の海になり、彼が死ぬことで、母親が悲しみ泣いていたことを伝える。

迷惑をかけたことをギロムに謝罪したブックスは、償いのつもりで彼に射撃を教える。

ブックスは、大人に成りきれず、背伸びばかりして生きているギロムに人生を語り、二人は次第に心が通い合うようになる。

その後、ブックスのかつての恋人セレプタ(シェリー・ノース)が訪ねてくる。

セレプタは、ブックスに結婚を迫るが、伝記を出版させるための、金目的だと知った彼は愕然とする。

6日目、1月27日
床屋にいたブックスは、通りがかった葬儀屋ヒゼキア・ベッカム(ジョン・キャラダイン)に墓石を注文する。

そして、ブックスはギロムに、自分の命を狙い名を上げようとする、ギャンブラーのジャック・プルフォード(ヒュー・オブライエン)、牛乳屋で町のトラブルメイカーのジェイ・コッブ(ビル・マッキニー)、そしてスウィーニーの三人に、自分の誕生日の29日の月曜に、酒場で待つよう伝言を頼む。

ギロムは、体の痛みでうずくまるブックスを見て、彼の考えと覚悟を知る。

7日目、1月28日
バスルームで、動けなくなったブックスを気遣ったボンドは、落ち着いた彼から、翌日、何も語らずに送り出して欲しいと言われ、全てを悟りそれを約束する。

スウィーニーら三人に伝言を伝えたギロムは、買い戻してあった馬をブックスから贈られる。

最終日、1月29日
ブックスは、ボンドに今日が誕生日だと伝えて別れを告げ、酒場へと向かう。

ボンドは、約束通り多くを語らずブックスを送り出すが、彼の後姿を見て涙する。

その頃、酒場には、プルフォード、コッブ、スウィーニーが現れる。

やがて、ブックスが姿を現し、上等な酒で祝杯をあげ、発砲してきたコッブを射殺する。

スウィーニーに肩を撃たれたブックスだったが、彼も倒し、銃の名手ブルフォードも一撃で額を貫く。

しかし、ブックスは背後からバーテンに撃たれてしまい、その場に現れたギロムがバーテンを射殺する。

ブックスは、銃を捨てたギロムに頷き、笑顔を見せながら息を引き取る。

現れたホステトラーは、いつまでもブックスの亡骸を見つめ、ギロムは酒場を出て、彼を待ち構えていた母ボンドと共に自宅に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
伝説のガンファイター、ジョン・バーナード”J・B”ブックスは、ホステトラー医師に腰の痛みの診察を受ける。
結果、ブックスは、他の医者と同じ癌を宣告されて、町の下宿屋に滞在することになる。
未亡人のボンドと息子ギロムの世話になることになったブックスだったが、二人は、彼が30人もの人を殺した殺人者だということを知る。
ブックスはボンドに追い出されそうになるが、自分が、余命短い癌患者だと彼女に告げて滞在を許される。
その後、ブックスの噂は瞬く間に広がり、新聞記者や元恋人、彼の命を奪い名を上げようとする者などが現れる。
そんなブックスは、ボンドやギロムと心通わせながらの日々を過ごす。
痛みが激しくなる中、ブックスはホステトラー医師から、痛みに苦しむよりも他の方法を考えるように提案される。
そしてブックスは、最後の日を迎える準備を始めるのだが・・・。
__________

日本では、公開する予定のなかった本作だったが、ジョン・ウェインが亡くなった翌月に急遽公開された。

ダーティーハリー」(1971)などで、トップクラスの監督にもなったドン・シーゲルだが、撮影中にウェインとは意見が合わず対立が絶えなかったらしい。

第49回アカデミー賞では美術賞にノミネートされた。

ウェイン作品を何作も手がけている、音楽の担当はエルマー・バーンスタインであり、その曲は、勇ましくもあり、またもの悲しい。

全体的には、ウェインらしい作品とも言えるが、正直に言えば、往年の彼をよく知るファンとしては、やはり寂しさが先行して積極的に何度も観たくなる作品ではない。

しかし、既に西部劇も廃れてしまったこの時代に最後はそれで締めくくったウェインは立派だ。

この後に体調を崩して、最後にはやせ細ってしまうウェインなのだが、本作では、医師役のジェームズ・スチュアートのセリフではないが、”雄牛のような頑強な体”そのものに見える、逞しいいつものような彼の巨体と勇姿はファンには嬉しい。

実際にはこの時期、ウェインの癌は再発はしていなかったのだが、友情出演とも言える盟友ジェームズ・スチュアートの表情が演技には見えず、真剣に彼の身を案じているように思えてならない。

主人公の、死を覚悟する姿に涙する下宿の主人を演ずるローレン・バコールが、彼を見送り窓越しに見つめる表情は、20年前に、同じく癌で亡くした夫ハンフリー・ボガートを想っているようにも見える。

主人公との親交により成長していく下宿屋の息子ロン・ハワード、死を宣告された元恋人を最後に裏切るシェリー・ノース、強かなな葬儀屋役を演じウェインの盟友でもあるジョン・キャラダイン、主人公の命を狙う銃の名手役のヒュー・オブライエン、お調子者の連邦保安官ハリー・モーガン、兄の仇を討とうとする男役のリチャード・ブーン、酒場で最初に殺されるビル・マッキニー、主人公の馬の世話役スキャットマン・クローザース、新聞記者リック・レンツなどが共演している。


モバイルバージョンを終了