1977年に発表された、スティーヴン・キングの小説”シャイニング”を基に製作された作品。 冬の閉鎖期間にホテルの管理人を頼まれた作家が、かつて起きた家族惨殺事件が尾を引く現場で体験する恐怖を描く、製作、監督、脚本スタンリー・キューブリック、主演ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル他共演のホラー。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:スタンリー・キューブリック
製作総指揮:ヤン・ハーラン
製作:スタンリー・キューブリック
原作:スティーヴン・キング”シャイニング”
脚本
スタンリー・キューブリック
ダイアン・ジョンソン
撮影:ジョン・オルコット
編集:レイ・ラヴジョイ
音楽
バルトーク・ベーラ
クシシュトフ・ペンデレツキ
ジェルジ・リゲティ
ウェンディ・カーロス
レイチェル・エルキンド
出演
ジャック・トランス:ジャック・ニコルソン
ウェンディ・トランス:シェリー・デュヴァル
ダニー・トランス:ダニー・ロイド
ディック・ハロラン:スキャットマン・クローザース
スチュアート・アルマン:バリー・ネルソン
デルバート・グレイディ:フィリップ・ストーン
ロイド:ジョー・ターケル
医師:アン・ジャクソン
ラリー・ダーキン:トニー・バートン
イギリス/アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1980年製作 143分/北米(世界/119分、オリジナル/146分)
公開
北米:1980年5月23日
日本:1980年12月13日
製作費 $19,000,000
北米興行収入 $44,017,370
インタビュー
コロラド。
作家のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は、山岳地帯の展望ホテルを訪ね、支配人のスチュアート・アルマン(バリー・ネルソン)に面会する。
ジャックは、冬の間に閉鎖される、ホテルの管理人の仕事をアルマンに依頼されて、孤独との闘いなど、その内容を説明される。
新作の執筆には好都合だと言うジャックに、アルマンは、かつて起きた管理人”デルバート・グレイディ”の、家族惨殺事件を知らせる。
アルマンは、長い間ある場所に閉じ込められたために、精神異常を来たしたグレイディの犯行をジャックに正直に伝え、彼がそれを気にしていないことを確認する。 ジャックから採用の連絡を受けた妻ウェンディ(シェリー・デュヴァル)は喜ぶが、ESP(超感覚的知覚)能力がある息子のダニー(ダニー・ロイド)は、いつも話をしている空想の親友”トニー”が、父の受ける仕事を歓迎していないことを知り気を失ってしまう。 ウェンディに呼ばれた医師(アン・ジャクソン)は、ダニーから”トニー”の話などを聞くが、心配要らないであろうと判断する。 閉鎖の日 その頃、娯楽室にいたダニーは、トニーと話していた時に見た、幻覚に出てきた双子の少女を目撃する。 ジャックとウェンディは、滞在する予定の部屋と、名物の迷路、広大で豪華なパーティー会場ゴールド・ルームなどを見て回る。 ウェンディは、紹介された料理長ディック・ハロラン(スキャットマン・クローザース)とキッチンに向かい、冷凍庫や貯蔵庫の豊富な食品を見せられる。 ハロランが、自分達夫婦だけが知っているはずのダニーの呼び方を知っていることにウェンディは疑問を抱く。 そしてダニーは、彼と心の中で会話が出来ることに気づく。 その後、アイスクリームをあげるということでダニーと話をしたハロランは、自分と同じ能力”シャイニング”が、いつから身についたかなどを彼に尋ねる。 ダニーから、トニーのことなどを知らされたハロランは、237号室を気にする彼に、そこには何もなく、近づくなと警告する。 1ヵ月後 火曜日 ウェンディが、様子を見に来る度に仕事が中断されるジャックは苛立ち、彼女をその場から追い払う。 木曜日 土曜日 ダニーは、双子が惨殺された幻覚を見て怯え、トニーに本物ではないと言われ励まされる。 月曜日 水曜日 それを気遣ったウェンディは、現われたダニーの首に傷があることに気づく。 ウェンディは、うつろな眼差しで自分達を見つめるジャックがしたことだと決めつけ、彼を罵ってその場から離れる。 自分を抑えられなくなったジャックは、ゴールド・ルームのバーに向かい、断っていた酒を探す。 閉鎖中には、酒を片付けてしまうのだが規則だったのだが、カウンターのジャックの前には、並んだボトルと共に、バーテンダーのロイド(ジョー・ターケル)が現われる。 ジャックは、ダニーを傷つけていないことをロイドに語り始め、一度だけ、彼が原稿を撒き散らしたために、腕を強く引き肩を脱臼させたことなどを話す。 そこに、興奮したウェンディが現われ、ダニーが女に首を絞められたことをジャックに告げる。 その頃、マイアミのハロラン、そしてダニーは、恐ろしい事が起きる予感を感じる。 女がいたという237号室に向かったジャックは、全裸の美しい女性が老婆に変わる幻覚を見る。 部屋に戻ったジャックは、動揺するウェンディに、何も見なかったことを伝える。 ダニーが自分で首を絞めたと、ジャックは意味不明なこと語り、ウェンディは、早くホテルから離れることを提案するが、彼は憤慨して部屋を出る。 ハロランは、ホテルに電話をかけるがつながらず、森林警備隊に連絡を入れ、管理人一家の安否を確認したいことを伝える。 パーティーで賑わうゴールド・ルームに向かったジャックは、バーのロイドと再会する。 給仕(フィリップ・ストーン)とぶつかり、カクテルをかけられたジャックは、彼に、トイレでそれを拭き落としてもらう。 彼の名前が”デルバート・グレイディ”だと知ったジャックは、家族を惨殺した管理人かを確認する。 グレイディはそれを否定し、ジャックこそが昔からいる管理人だと伝える。 さらにグレイディは、ダニーが、黒人の調理人(ハロラン)を、外部から自分達の世界に引き入れようとしていることを知らせる。 超能力を持つダニーが、その男(ハロラン)を使い、ジャックの邪魔をしようとしていると語るグレイディは、自分が娘達や妻にしたように、厳しく接するべきだと彼に伝える。 脱出方法を考えていたウェンディは、ダニーにトニーが乗り移ってしまったことに気づく。 森林警備隊からの無線連絡を聞いたジャックは、機材の部品を外してしまう。 ハロランは、ホテルと連絡が取れないことを知る。 午前8時 ジャックと話し合おうとしたウェンディは、”仕事ばかりして遊ばない、ジャックはおかしくなる”という言葉しか書かれていない、彼の原稿を見つける。 そこにジャックが現われ、動揺するウェンディに正気を失った彼は迫る。 食料保管庫にジャックを閉じ込めたウェンディだったが、無線や雪上車に細工したと言われた彼女は、それを確認して絶望する。 午後4時 その頃、吹雪の中、ハロランは雪上車でホテルに向かっていた。 ダニーは”REDRUM”とつぶやきながら、ウェンディが眠る傍らに置いてあったナイフを手に取り、口紅でドアに文字を書く。 目覚めたウェンディは、鏡に映った文字が”MURDER”だと気づき、ダニーからナイフを取り上げて抱き寄せるが、ジャックがオノでドアを壊そうとする。 ウェンディは浴室の窓からダニーを逃がすが、体がつかえて彼女は外に出られない。 ジャックはドアを壊し、叫ぶウェンディは、彼の手をナイフで傷つける。 その時、ハロランの雪上車がホテルに到着する。 ジャックは、ホールに現われたハロランをオノで殺害し、それを察したダニーの叫び声を聞き、隠れていた彼を追う。 ダニーはホテルの外に出て迷路に逃げ込み、部屋を出たウェンディも、ホテル内に人がいる幻覚を見てしまい、ハロランの死体を確認する。 その後もウェンディは恐ろしい体験をして、ついにはダニーと同じ幻覚を見てしまう。 ダニーは、雪の上の足跡を消してジャックを混乱させて出口に向かい、現われたウェンディに抱き寄せられる。 ウェンディは、ダニーを雪上車に乗せてその場から走り去り、寒さで発狂寸前のジャックは、出口を見つけられずに凍死する。 ホテルのゴールド・ルーム入り口の壁には、パーティーで飲み騒ぐ人々の中に、笑顔のジャック・トランスがいた。 写真の日付けは1921年7月4日だった。
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ホテルに着いたジャックらは、閉鎖準備の進む内部を案内される。
3人は、ホテル内での生活にも慣れるが、ジャックは、なかなか新作を書き上げることが出来ず、ウェンディとダニーは広大な敷地での毎日を楽しむ。
三輪車で廊下を走っていたダニーは、237号室を見つけてドアを開けようとするが、それが開かないことを知った彼は、双子の少女を感じながら、その場を去る。
雪が積もり、ウェンディとダニーは外ではしゃぎ回るが、ジャックの目つきが変わってくる。
大雪のために電話が不通になり、ウェンディは、森林警備隊と無線連絡をして気を紛らす。
ダニーは、父ジャックの様子がおかしいことに気づく。
ジャックは仕事中に、ウェンディとダニーを殺した夢を見てうなされる。
その後も連絡のとれないハロランは、ホテルに行くためにデンバーに向かい、知人のラリー・ダーキン(トニー・バートン)に連絡を入れ、雪上車の手配を頼む。
ウェンディは持っていたバットでジャックを殴ってしまい、彼は階段から転げ落ちる。
保管庫のジャックは、ドアの向こう側ら話しかけてきたグレイディに、”例”のことについてを問われ、実行することを誓い、外に出される。
*(簡略ストー リー)
作家のジャック・トランスは、冬の間に閉鎖されるホテルの管理人をすることになる。
ジャックは、かつて、閉ざされたホテルの管理で正気を失った男が、一家を惨殺事件があったことを支配人から知らされる。
それを気にすることもなく、妻ウェンディとESP(超感覚的知覚)能力のある息子ダニーと共に、ジャックは閉鎖準備の進むホテルに到着する。
広大な建物と敷地を見て回った一家だったが、ダニーは、惨殺された双子の少女を目撃して、料理長のハロランが、自分と同じ能力の持ち主だということを知る。
やがてホテルは閉鎖され、一ヶ月が過ぎた頃、ダニーは、気になった237号室の前で双子の気配を感じる。
そして、吹雪となり、閉ざされたホテルの中で、新作の執筆もはかどらない、ジャックの目つきが変わっていく・・・。
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鬼才スタンリー・キューブリック監督、演技派ジャック・ニコルソン、そして、モダン・ホラー小説作家として脚光を浴び、処女作「キャリー」(1976)が映画化され注目されていた、スティーヴン・キングの原作ということで、公開当時には大変な話題になった作品。
ロケ地となったオレゴンの”Timberline Lodge”を建物施設を生かし、戦慄のホラー・ムービーでありながら、スタンリー・キューブリックらしい優美な雰囲気も漂う演出、ジョン・オルコットによる透明感のある映像なども注目である。
ブレのない移動式撮影方法、ステディカムを初めて多用した作品として余りにも有名だ。
当然とも言えるが、原作とは別物のように製作されたことでスティーヴン・キングは、本作が気に入るはずもなく酷評したのだが、30歳前半の彼が、大監督スタンリー・キューブリックに対して意見し、臆することなく発言する作家としての姿勢は、その後の彼の活躍を見れば納得できるところだ。
20年前に若きキューブリックが、「スパルタカス」(1960)の製作をめぐって、大スターのカーク・ダグラスを向こうに回し批判したことを思い出す。
実力派スターとして確固たる地位を築きつつあったジャック・ニコルソンは、さざ波のような前半から、一気に大波のように押し寄せる、狂乱のクライマックスまで、思うがままの怪演を見せてくれるのだが、完ぺき主義者のキューブリックのテイクの多さに、かなり梃子摺ったようだ。
キューブリックと共にラジー賞にノミネートされたのは少し気の毒なシェリー・デュヴァル、超能力少年を好演するダニー・ロイド、同じ能力を持つ料理長で、インパクトのある演技を見せるスキャットマン・クローザース、ホテル支配人役のバリー・ネルソン、惨殺犯としてではなく、幻覚で給仕として登場するフィリップ・ストーン、バーテンダーのジョー・ターケル、イーライ・ウォラック夫人、医師役のアン・ジャクソン、ハロラン(S・クローザース)に雪上車を用意する男性で「ロッキー」シリーズで知られるトニー・バートンなどが共演している。