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七年目の浮気 The Seven Year Itch (1955)

避暑地に家族を送り出したサラリーマンが階上の美女に魅了されながら巻き起こす騒動を描く、製作、監督、脚本ビリー・ワイルダー、主演マリリン・モンロートム・イーウェル共演による爆笑、傑作コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ

マリリン・モンロー / Marilyn Monro / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ビリー・ワイルダー

製作
ビリー・ワイルダー
チャールズ・K・フェルドマン
原案:ジョージ・アクセルロッド
脚本
ビリー・ワイルダー
ジョージ・アクセルロッド
撮影:ミルトン・クラスナー
編集:ヒュー・F・ファウラー
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
マリリン・モンロー:美女
トム・イーウェル:リチャード・シャーマン
イヴリン・キース:ヘレン・シャーマン
ロバート・ストラウス:クルフリック(管理人)
オスカー・ホモルカ:ブルベーカー医師
ソニー・タフツ:トム・マッケンジー
ドナルド・マクブライド:ブレイディ
ブッチ・バーナード:リッキー・シャーマン
ドラ・メランド:ウェイトレス
マルガリート・チャップマン:モリス(秘書)
キャロリン・ジョーンズ:フレンチ(看護師)
ロクサーヌ:エレイン

アメリカ映画
配給 20世紀FOX
1955年製作 104分
公開
北米:1955年6月3日
日本:1955年11月8日
製作費 $3,200,000
北米興行収入 $12,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
出版社”ブレイディ”に勤めるリチャード・シャーマン(トム・イーウェル)は、妻のヘレン(イヴリン・キース)と息子のリッキー(ブッチ・バーナード)を、避暑に送り出すため駅に向かい、雑踏の中で別れを惜しむ。

禁酒、禁煙、腹八分を誓わされたリチャードは、妻子を送り出した途端に、他の女性に色目を使う男達とは違うというところを、見せ付けようとする。

リチャードは仕事に精を出し、ベジタリアン・レストランで夕食を取り帰宅する。

暫くすると、上の階の家主の避暑中に、部屋を借りている美女(マリリン・モンロー)が帰ってくる。

その悩ましさに、思わず彼女を誘うことを考えてしまったリチャードだったが、正気に戻り、翌日の仕事の準備を始める。
...全てを見る(結末あり)

その後リチャードは、妻ヘレンが10時に電話してくる予定だったために、それが自分を信用していないからだと疑う。

自分が魅力的な男だと思い込むリチャードは、妄想の中でへレンに笑われたので、考えがエスカレートしてしまう。

会社の秘書モリス(マルガリート・チャップマン)、盲腸で入院した時の看護師フレンチ(キャロリン・ジョーンズ)、ヘレンの友人エレイン(ロクサーヌ)、彼女らが、自分に夢中だとリチャードは空想する。

そんな時、ヘレンから電話がかかり、リチャードは現実に戻る。

しかし、へレンが列車で友人トム・マッケンジー(ソニー・タフツ)に会ったのを知り、それを警戒する。

そして、仕事に戻ろうとしたリチャードだったが、ベランダのカウチに、2階からトマトの鉢が落ちてくる。

リチャードは2階に向かって怒鳴るのだが、犯人が美女だと分かり、彼は態度を急変させる。

思わず彼女を誘ってしまったリチャードは、禁煙、禁酒の誓いを、今晩だけだと理由をつけて破ってしまう。

一瞬リチャードは我に返り、ヘレンを裏切ろうとする自分を戒めるが、即、都合よく考えて、美女を迎える準備を始めてしまう。

ラフマニノフ”の”ピアノ協奏曲第2番”で、ムードを高めたリチャードの空想は頂点に達する。

それを、管理人クルフリック(ロバート・ストラウス)に邪魔されたリチャードは、彼を追い出して彼女を招き入れる。

美女はリチャードにマティーニを注文し、部屋にエアコンがあることに感激する。

彼女がタバコを欲しがったため、リチャードの頭から、”誓い”は消え去ってしまう。

リチャードは、CM女優であり、往年のフランスの大女優”サラ・ベルナール”よりも有名だと言う、彼女の魅力に参ってしまう。

美女がシャンパンを取りに行った間に、再びヘレンからの連絡を受けたリチャードは、リッキーが忘れていった、カヌーのパドルを送ることを約束して慌しく電話を切る。

彼女がシャンパンを持参して戻り、リチャードはそれを開けるものの、指が瓶にはまってしまい、その際、結婚指輪を見られてしまう。

リチャードは咄嗟に、妻とは別居中で、子供はいるが小さ過ぎて数に入らないと弁明し、美女は、妻帯者なら求婚されずにすむと安心する。

そしてリチャードは、ムード作りに予定通り”ラフマニノフ”の”ピアノ協奏曲第2番”を流すが、彼女は興味を示さず、リチャードだけが燃え上がってしまう。

レコードを止め、二人はピアノで”チョップスティック”を弾き、彼女は”ラフマニノフ”より燃え上がると言って喜ぶ。

そして、欲望が抑えきれないリチャードは、彼女に抱きついてしまう。

倒れたショックで正気に戻ったリチャードは、罪の意識から彼女を部屋に帰してしまう。

美女が帰った後、リチャードは、自分を責めて恐ろしい幻覚を見てベッドに倒れこむ。

翌朝、出社したリチャードは、秘書モリスに余所余所しく接し、社長ブレイディ(ドナルド・マクブライド)に、休暇を取り妻子の元に向かいたいことを伝える。

しかしブレイディは、自分が妻子のいない夏をどれだけ楽しんでいるかを語り、リチャードの考えが、ばかげていると笑い飛ばす。

精神科医ブルベイカー(オスカー・ホモルカ)の、出版予定の原稿には、結婚7年目に”ムズムズ”するような浮気心が男には起きるとあり、リチャードは興味を持つ。

リチャードは、ブルベイカー医師を呼んで出版の打ち合わせを始めるが、指の痙攣が美女に迫ったことが原因だと気づき、その場で医師の診察を受けることになる。

リチャードは、結婚して7年ということもあり、正に”ムズムズ”が起きていることをブルベイカー医師に告白する。

雑誌に載った美女の悩ましい写真を、リチャードは医師に見せるが、趣味がいいとか二度と襲うななどと言われただけで、何の解決策にもならない。

リチャードは、昨夜の自分を責め、美女が誰かに話し、それが、ニューヨーク中に知れ渡っているだろうと考えてしまう。

さらに、美女が全国ネットのCMでもそれを暴露し、全てが妻へレンにバレてしまうという被害妄想で、リチャードは頭が混乱する。

思い切ってヘレンに電話をかけたリチャードは、パドルを送ってくれとの彼女の伝言で、何も知られていないことが分かり安心して帰宅する。

リチャードは、アパートの入り口で、窓辺で髪の毛を乾かす美女に声をかけられるが、今晩は彼女を無視しようと、素っ気無く軽い挨拶で済ませる。

しかしリチャードは、今度は、ヘレンがマッケンジーと浮気しているのではと疑い始め、美女を連れて出かける決心をする。

映画「大アマゾンの半漁人」を観て楽しんだ二人は、その後帰宅し、リチャードは、何とか美女を自分の部屋に誘おうとする。

エアコンが効いているということを口実に、彼女を部屋に誘い入れたリチャードは、部屋が暑くて眠れないという彼女に、泊めてくれと頼まれる。

しかし、管理人クルフリックに邪魔され、彼女がいることを知られて疑ったため、リチャードは、美女を部屋に帰す。

現実に戻り、リッキーのパドルを送る方法を考えていたリチャードだったが、美女は、かつて続き部屋だった階段から、彼の部屋にもぐりこみ、ベッドで寝てしまう。

ソファーで夜を明かしたリチャードは、朝食の準備をしていたが、今度は、美女がクルフリックとグルで、自分をカモにしようとしているのではと考える。

その誤解はすぐに解けるが、リチャードは、ヘレンが早朝列車で戻ってくるのではないかと心配し始める。

ヘレンは”私立探偵”クルフリックを雇い、リチャードを監視して証拠を掴み、拳銃を構えて彼を追求して銃殺する・・・。

そんな妄想で取り乱すリチャードを、美女が落ち着かせるのだが、正気に戻った彼は、妻へレンが、魅力の無い自分に嫉妬はしないと語る。

しかし、美女はリチャードには魅力があると、彼を励ましキスをして、朝食を作り始める。

そこに、家族の件で用があるというトム・マッケンジーが現れる。

それが、ヘレンとの離婚話だと勘違いしたリチャードは、リッキーのパドルを取りに来ただけだというマッケンジーを信じることが出来ず、彼を殴り倒してしまう。

朝食を準備した美女に、リチャードは、リッキーのパドルを自分で届けると言って、現れたクルフリックに気絶したマッケンジーを連れ出してもらう。

美女は、リチャードにキスをして、ヘレンに嫉妬させるよう、口紅は拭わせず彼を旅立たせる。

靴も履かずに飛び出したリチャードに、美女は窓からそれを放り投げて渡して彼を見送る。

そしてリチャードは、パドルを持って妻子の元に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
出版社に勤めるリチャード・シャーマンは、妻のヘレンと息子リッキーを避暑に送り出す。同じような立場で、途端に他の女性に色目を使う男達とは違うというところを、リチャードは見せ付けようとする。
帰宅したリチャードは、上の階の家主の避暑中に、部屋を借りている美女に出くわす。
その悩ましさに、思わず彼女を誘おうとしてしまったリチャードだったが、それを思い止まる。
その後リチャードは、妻ヘレンが電話してくることが、自分を信用していないからだと疑う。
妄想でへレンに侮辱されたリチャードは、世の女性が自分に夢中だと空想し始める。
しかし、ヘレンからの電話でリチャードは現実に戻り、今度は彼女の浮気を疑ったりもする。
そんな時、ベランダのカウチに、2階からトマトの鉢が落ち、リチャードは憤慨するものの、犯人が美女だと分かり、態度を急変させてしまう。
そして、思わず美女を誘ってしまったリチャードは、禁煙、禁酒の誓いを破り、エスカレートしていく彼女への思いが抑えきれなくなり・・・。
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1952年11月20日に初演された、ジョージ・アクセルロッドによるブロードウェイの同名舞台劇の映画化。

1955年夏の公開作品の中では、最高の興行成績となる1200万ドルを記録した大ヒット作品でもある。

ビリー・ワイルダーは全盛期を迎え、その演出と脚本は、各シーンやセリフも、抜群のユーモアのセンスが遺憾なく発揮され冴え渡っている。

アルフレッド・ニューマンの軽快な音楽も、印象に残る楽しい曲に仕上がっている。

マリリン・モンローが、地下鉄の通気口の上に立ち、スカートが浮き上がるシーンは余りにも有名で、映画史上に残る場面となった。
実際は足元が見えるだけで、よく知られる、彼女の全体を写すショットはない。

また、このシーンの撮影を見ていた、当時の夫ジョー・ ディマジオが激怒し、離婚のきっかけになったことも有名な話だ。

モンローは、当時、既に精神的に不安定状態であり、撮影時にかなりスタッフを困らせたようだが、作品中では、それはあまり感じられない。

輝くばかりの美しさと魅力は、ロバート・ストラウスのセリフでないが、正に”お人形さん”のようだ。

舞台のオリジナルキャストのトム・イーウェルも、見事なはまり役で熱演し、ゴールデングローブ賞の主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞している。

B・ワイルダーの「第十七捕虜収容所」(1953)でも大いに笑わせてくれた、ロバート・ストラウスの芸達者ぶりも実に楽しい。

風と共に去りぬ」(1939)や「ジョルスン物語」(1946)では、お姫様のような美しさだったイヴリン・キースの”普通”の主婦役もなかなか興味深い。

”7年目のムズムズ”(原題)の提唱者で、精神科医のオスカー・ホモルカ、友人だが、妻の浮気相手と主人公に勘違いされるソニー・タフツ、出版社社長ドナルド・マクブライド、息子役ブッチ・バーナード、ウェイトレスのドラ・メランド、秘書マルガリート・チャップマン、まともに顔も映らない程度の端役で登場する看護師キャロリン・ジョーンズ、妻の友人役ロクサーヌなどが共演している。


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