2002年に発表された、スー・モンク・キッドの小説”The Secret Life of Bees”を基に製作された作品。 母親に見捨てられたと思い込む少女の真実追求の旅とひと夏の体験を描く、製作ウィル・スミス、ジェイダ・ピンケット=スミス、出演ダコタ・ファニング、クィーン・ラティファ、ジェニファー・ハドソン、ポール・ベタニー他、監督ジーナ・プリンス=バイスウッドによる感動のヒューマン・ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジーナ・プリンス=バイスウッド
製作総指揮:ジェイダ・ピンケット=スミス
製作
ローレン・シュラー・ドナー
ジェームズ・ラシター
ウィル・スミス
ジョー・ピキラーロ
原作:スー・モンク・キッド
脚本:ジーナ・プリンス=バイスウッド
撮影:ロジェ・ストファーズ
編集:テリリン・A・シュロプシャー
音楽:マーク・アイシャム
出演
リリィ・オーウェンズ:ダコタ・ファニング
オーガスト・ボートライト:クィーン・ラティファ
ロザリン・ダイス:ジェニファー・ハドソン
ジューン・ボートライト:アリシア・キーズ
メイ・ボートライト:ソフィー・オコネドー
T・レイ・オーウェンズ:ポール・ベタニー
デボラ・オーウェンズ:ヒラリー・バートン
ザック・テイラー:トリスタン・ワイルズ
ニール:ネイト・パーカー
グレタ:ションドレラ・エイヴリー
アメリカ 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
2008年製作 110分
公開
北米:2008年10月17日
日本:2009年3月20日
製作費 $11,000,000
北米興行収入 $37,766,350
世界 $38,105,400
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1964年、夏、サウスキャロライナ州。
14歳の少女リリィ・オーウェンズ(ダコタ・ファニング)は、4歳の時に母親デボラ(ヒラリー・バートン)を死なせてしまい、心に傷を負っていた。
ある夜、リリィは部屋にミツバチが飛んでいると言って、父T・レイ(ポール・ベタニー)を起こしてしまう。
桃園を営むT・レイはリリィに厳しく、何かあるごとに体罰を加えていた。
リリィの誕生日、彼女を気遣う使用人のロザリン・ダイス(ジェニファー・ハドソン)は、彼女のためにケーキを焼いてあげる。
ジョンソン大統領が、公民権法案に署名したとはいえ、アフリカ系の人々への差別がなくならないこの地で、反抗的なロザリンは、白人に暴力をふるわれてしまう。 その場にいたリリィは父T・レイに連れ戻されるが、彼女は父を卑怯者呼ばわりする。 激怒したT・レイは、リリィに母デボラが彼女を捨てたと告げ、父を見限ったリリィは家出を決意する。 その後、拘束されているロザリンを連れ町を出たリリィは、母デボラが滞在していたことのある、ティブロンに向かおうとする。 テョブロンに着いたリリィは、アフリカ系の養蜂家オーガスト・ボートライト(クィーン・ラティファ)が製造する”黒い聖母”というハチミツを見つけ、彼女の家を訪ねる。 オーガストの妹ジューン(アリシア・キーズ)とメイ(ソフィー・オコネドー)、そしてオーガストに迎えられたリリィは、おばの家に向かう途中で所持金もないことを告げる。 そして、リリィとロザリンは、オーガストの善意でハチミツ小屋に住み込みで働くことになる。 やがてリリィは、オーガストに養蜂の仕事を教わり、落ち着いた物腰の思慮深い彼女から、妹メイが双子の妹の死によって心に傷を負っている話などを聞かされる。 オーガストは、メイを病院に入れるべきだという、周囲の言葉に対し、”嘆きの壁”をヒントに裏庭に壁を作った。 そこに、祈りの言葉を書いてはさむことを、オーガストはメイにさせていた。 リリィは、ハチミツを町に運ぶザック・テイラー(トリスタン・ワイルズ)とも知り合いになり、ロザリンはメイと親交を深める。 おばの家に向かう途中と言いながら、滞在を続けるリリィとロザリンに、ジューンは冷たく接する。 そんなある日、”黒い聖母”の集会で、ハチミツの語源になった、オーガストの木彫りの聖母像についての力強い話にリリィは聞き入る。 そして、リリィは、母デボラのことを想いながら、像に触れようとした寸前に、彼女は気を失ってしまう。 音楽教師のジューンは、同じ教師の恋人のニール(ネイト・パーカー)が結婚を迫ったため口論となり、二人は仲違いしてしまう。 苛立つジューンだったが、愛を欲しているリリィは、彼女と心触れ合うことも出来る。 ゴキブリを誘い出そうとしているメイを見たリリィは、それが母デボラもしていたことだと気づき、彼女に母を知っているかを尋ねる。 メイは、デボラを知っていることをリリィに告げ、彼女は母も小屋にいたことを知り、それをザックに話す。 法律家になることを夢見るザックは、リリィの良き相談相手となり、二人は惹かれ合うようにもなる。 ある日、町に配達に行った二人は映画館に行き、ザックは白人の少女を誘惑したとして連れ去られてしまう。 それを知ったメイは動揺し、独り川に向かい入水自殺してしまう。 悲しみの中、ザックも無事に保護され、オーガストは壁でメイの遺したメモを見つける。 家に不幸をもたらしたと感じたリリィは、旅立つ決心をして、オーガストに母デボラの写真を見せる。 オーガストは、デボラの子守をしていたことと、リリィが彼女の娘だったことを知っていたことを告げる。 リリィは、両親が争っていた時に銃をデボラが落とし、それを自分が渡そうとした時に、暴発してしまい母が亡くなったことをオーガストに話し泣き崩れる。 オーガストは、リリィの両親が愛し合って結婚したものの、デボラの妊娠で夫への熱が冷め、子供に愛情を注ぐようになったことを話して聞かせる。 その後、リリィを家に残し衰弱したデボラが訪ねてきたのだが、彼女は娘を迎えに行ったこともオーガストは伝える。 しかし、リリィは、やはり母デボラが自分を見捨てて出て行ったことを知りショックを受ける。 その頃、T・レイは、リリィがティブロンにいるだろうということに気づく。 翌日、オーガストはリリィにデボラの形見を見せ、最後に幼いリリィを抱くデボラの写真を渡す。 母デボラの愛を知ったリリィは、弁護士になることを誓うザックとの思い出を胸にしまい、新たな生活を始める。 やがて、ジューンの元に現れたニールは、再び彼女に求婚し受け入れられる。 数日後、T・レイがリリィの元に現れ、彼女を連れ戻そうとするが、彼は、冷静に振舞う娘の胸元のブローチに気づく。 それを形見としてオーガストが持っていたことで、T・レイはデボラが浮気していたのではなく、この家に滞在していたことを知る。 T・レイは動揺しリリィを連れ帰ろうとするが、オーガスト、ロザリン、そしてジューンが現れる。 オーガストは、リリィの世話をすることをT・レイに告げ、彼はその場を立ち去る。 リリィはT・レイを追い、あの日、母デボラが戻ったのは、娘を迎えに来たのだということを知らされる。 T・レイは、デボラが自分を見捨てたため、リリィに嘘をついていたことを告げ去って行く。 その後リリィは、自分には3人の母親がいると思うようになり、自分を許し聖母を信じる生活を続ける。 作家志望のリリィは、そのことをザックから贈られた手帳に書き綴り、メイの壁に置く。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
幼い時に、自分の過ちで母親を死なせてしまった少女リリィ・オーウェンズは、不仲の父T・レイから、母親に見捨てられたと聞かされ家出してしまう。
使用人のロザリンと、かつて母が滞在していた町に向かったリリィは、誘われるように養蜂家オーガストの家に向かい、暫く滞在することになる。
その後リリィは、オーガストの家族などと親交を深める。
そして、家族の愛を知らないリリィは、そこで、母親の隠された秘密を知ることになる・・・。
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ウィル・スミスの妻ジェイダ・ピンケット=スミスが、夫と共に製作に参加した意欲作。
公民権法案が成立したものの、社会問題として、それを排除することができないアメリカ南部が舞台となっている。
アフリカ系一家の世話になりながら、初めて家族愛を知り大人へと成長していく少女の姿を描いたストーリーは、幼い子供を中心に描きながらも、人間の逞しさや力強さを感じさせてくれる。
物事を、きれいごととしてだけ描写しない、アメリカ人の正義感や勇気も伝わる力作となっている。
注目は、天才子役から若手俳優として実力を発揮するダコタ・ファニングで、母の死のトラウマを背負いながら、父から体罰も受ける、家族愛を知らない少女を見事に演じている。
不幸な人生を歩む少女が、幼い身で自ら道を切り開こうとする姿が実に健気で、共演者を圧倒する存在感を示している。
クィーン・ラティファ演ずる、冷静で思慮深い養蜂業一家の家長役も、包容力のある彼女らしさを生かした、素晴らしい役柄だ。
ドラマの重要人物として、もう少しストーリーに絡むのかと思ったのだが、脇役に徹しているのがやや残念な、主人公の家の使用人ジェニファー・ハドソン、養蜂業一家の妹アリシア・キーズ、婚約者ネイト・パーカー、同じく妹ソフィー・オコネドー、アクの強さが適役で、憎まれ役ながら好演する主人公の父親ポール・ベタニー、妻ヒラリー・バートン、主人公と惹かれ合う少年トリスタン・ワイルズ、その母ションドレラ・エイヴリーなどが共演している。