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いそしぎ The Sandpiper (1965)

マーティン・ランソホフの原案を、彼自身の製作、ダルトン・トランボらの脚本により、女流画家と牧師の不倫を描く、監督ヴィンセント・ミネリ、主演エリザベス・テイラーリチャード・バートンエヴァ・マリー・セイント共演の恋愛ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)

エリザベス・テイラー / Elizabeth Taylor / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ヴィンセント・ミネリ

製作:マーティン・ランソホフ
原案:マーティン・ランソホフ
脚本
ダルトン・トランボ

マイケル・ウィルソン
アイリーン・カンプ
ルイス・カンプ
撮影:ミルトン・R・クラスナー
編集:デヴィッド・ブレザートン
音楽:ジョニー・マンデル

出演
ローラ・レイノルズ:エリザベス・テイラー

エドワード・ヒューイット:リチャード・バートン
クレア・ヒューイット:エヴァ・マリー・セイント
ウォード・ヘンドリックス:ロバート・ウェッバー
コズ・エリクソン:チャールズ・ブロンソン
ラリー・ブラント:ジェームズ・エドワーズ
ダニー・レイノルズ:モーガン・メイソン
ウォルター・ロビンソン:トム・ドレイク
トンプソン判事:トリン・サッチャー

アメリカ 映画
配給 MGM

1965年製作 117分
公開
北米:1965年6月3日
日本:1965年8月
製作費 $5,300,000
北米興行収入 $14,000,000


アカデミー賞 ■
第38回アカデミー賞

・受賞
歌曲賞”The Shadow Of Your Smile


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
カリフォルニア州、モントレー郡
海岸の家に住む無名の画家ローラ・レイノルズ(エリザベス・テイラー)は、息子ダニー(モーガン・メイソン)を学校にも通わせなかった。

ダニーは、林の中で小鹿を撃って問題を起こし、ローラと共にトンプソン判事(トリン・サッチャー)に呼び出される。

教師が良くないという理由でダニーを学校にも通わせず、自論をまくし立てるローラに対し、判事は有無を言わせず、彼を、米国聖公会のサンシメオン寄宿学校への入学を命ずる。

仕方なく、学校長のエドワード・ヒューイット牧師(リチャード・バートン)と面会したローラだったが、今後も息子は自分で育てることを告げ、その場から立ち去ってしまう。

その後も、ダニーは警察の世話になるなどトラブルを起こし、ついに強制的に学校に入学することになる。

ダニーの入学の世話をした、エドワードの妻クレア(エヴァ・マリー・セイント)は、彼が”カンタベリー物語”の序章を暗唱したことに驚いてしまう。
...全てを見る(結末あり)

エドワードとクレアは、常識があるにも拘らず、世間に順応しようとしないローラの教育も必要だと判断する。

ローラを訪ねたエドワードは、息子を奪われたとヒステリックになる彼女に、自分達の教育に対する理解を求める。

教師のウォルター・ロビンソン(トム・ドレイク)から、ダニーが屈折した心を持った子供だと知らされたエドワードは、 母親ローラについて調べようとする。

ローラのことを知る理事のウォード・ヘンドリックス(ロバート・ウェッバー)は、内密だということにして、彼女が未婚のまま子供を産んだ過去をエドワードに話す。

再びローラを訪ねたエドワードは、彼女の芸術家仲間コズ・エリクソン(チャールズ・ブロンソン)から不躾な質問をされる。

ローラはコズを半ば追い払い、エドワードに興味を持ち、彼と過ごそうとする。

エドワードがウォードのことを口にすると、ローラは肉体関係があったことを素直に認める。

ウォードはローラのパトロンとなり、美術学校にも通わせてくれたと、彼女は、エドワードが詮索しようとする先手を打って話す。

エドワードは戸惑いながら、ローラの結婚観を知りたいだけだと答える。

ローラは、自分の考えはさて置き、円満なエドワードと妻の話を聞いて納得し、立ち去る彼に、友好の証として握手を求める。

数日後、学校を訪ねてきたローラに、エドワードは、新しい礼拝堂の建設に協力して欲しいことを伝える。

エドワードに心を許し始めたローラだったが、無神論者の彼女は、礼拝堂の建設費を、貧しい者に与えるべきだと意見する。

その後、エドワードの宗教観は崩れ始め、”君が欲しい”と、言ってはいけない言葉をローラに口にしてしまう。

翌日、ローラの元にウォードが現れ、頻繁に会っているらしいエドワードとの仲を勘ぐる。

さらに、離婚したウォードは、今は自由の身だとローラに迫るものの、それを拒絶されてしまう。

礼拝堂建設への寄付金集めは難航し、エドワードはローラが頼みだという理由で彼女の家に向かう。

クラブにいるという、ローラのメモを見たエドワードはその場に向かい、コズらと楽しむ彼女に、ダニーの親権の問題を切り出す。

込み入った話のため、ローラはエドワードとその場を後にして、彼がダニーの後見人になるという、裁判所命令の書類へのサインを求められる。

しかし、それは急ぎではなく、エドワードがローラに会いたいがための口実だった。

そして、二人はお互いを求め、愛し合ってしまう。

しかし、当然ながらエドワードは罪悪感を感じてしまい、学校に戻った彼は、心配していた妻クレアに嘘もついてしまう。

その後、募金集めの出張と偽り、エドワードはローラとの時を過ごしてしまう。

満ち足りた思いに、ローラは夫婦の愛がこのようなものなのかをエドワードに問い、クレアに嫉妬する。

学校に戻ったエドワードは、理事会で礼拝堂建設を中止を表明し、貧しい子供達のための奨学金に当てたいということを述べる。

それに意見したウォードの一言で、クレアはエドワードとローラの関係に気づく。

エドワードはクレアに全てを話すが、彼女は到底それを受け入れられず、取り乱してしまう。

ローラも、エドワードとの関係が、危険な状態にあることを親友ラリー・ブラント(ジェームズ・エドワーズ)に忠告される。

今までにない思いをエドワードに感じるローラは、彼の優しさなどをラリーに話す。

そこにエドワードが現れ、クレアに、自分達のことを話したとローラに伝え、彼女は動揺してしまう。

間に入ったコズと争いになり、彼に殴り倒されたエドワードは、クレアの元に向かい、堕落した自分を唯の募金集めだと卑下する。

落ち着きを取り戻していたクレアは、ローラがエドワードの情熱を取り戻してくれたと、冷静な判断をして彼を励ます。

しかしクレアは、聖職者としての自信をなくしたエドワードを心配しながら、自分とローラ二人を愛しているという彼を理解できない。

絵も売れ始めたローラは、エドワードとのこともあり、引っ越す考えがあることをダニーに伝える。

しかし、ダニーは学校での生活を選び、ローラを礼拝に誘う。

そして、エドワードは校長の職を辞することをミサで述べる。

悲痛な思いでそれを聞いたローラは、その後、エドワードに声をかけられ、独りでメキシコに向けて旅立つことを知らされる。

ローラがこの地に残ることを知ったエドワードは、ダニーの奨学金などの手配はしたことを伝え、多くを語らず彼女と別れる。

クレアにも別れを告げたエドワードは、後任のウォルターに学校を託して旅立つ。

ローラのいる海岸に寄ったエドワードは、ダニーの絵を描く彼女を暫し見つめ、そして、その場を立ち去る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
自分流を通す、世間に順応できない無名の画家ローラ・レイノルズは、息子ダニーを学校にも通わせていなかった。
そんなダニーはトラブルばかり起こし、判事の命令で、強制的に、教会が運営する寄宿学校に入学させられてしまう。
その後、学校長のエドワード・ヒューイット牧師と妻クレアは、ダニーと共にローラの教育も必要だと判断する。
ローラのことを調べ始めたエドワードは、彼女を知る理事のウォードから、未婚の母となった彼女の過去を知らされる。
エドワードはローラに会い、ウォードと関係があったことなどを、率直に話す彼女に関心を持つ。
次第に心を開くローラに対し、彼女の魅力に惹かれてしまうエドワードは、自分の宗教観が崩れていくのに気づくのだが・・・。
__________

自らの世界観を変えようとしない、奔放な考えを持つ女性に接し、堅実に生きてきた牧師の心に変化が現れ、家族を捨ててまで新たな人生を求めて旅立とうとする姿を、怪我をした”いそしぎ”の幼鳥を大空に旅立たせようとするエピソードとダブらせて象徴的に描き、それが原題となっている。

風変わりで、激しい気性の人物として登場する主人公も、牧師との関係で心穏やかになっていく姿・・・。
メリハリが利いた中での、しっとりとした雰囲気が漂うメロドラマとして、ヴィンセント・ミネリの決め細やかな演出が光る。

自由な生活を好む、主人公のイメージに合う海岸のロケーションと、厳格な寄宿学校とそれに関係する堅苦しい人々とのミスマッチも、主人公の個性を際立たせる効果を上げている。

第38回アカデミー賞では、その後スタンダードナンバーとなる主題歌”The Shadow Of Your Smile”が、歌曲賞を受賞した。

本作の撮影に入る、半年前に結婚したばかりのエリザベス・テイラーリチャード・バートン夫妻の、情感溢れる演技は見ものだ。

貫禄のリズに対し、初めて二人が出会う場面、一瞬間を置く仕草と眼差しで、恋の予感を感じさせる、リチャード・バートンの演技も素晴らしい。

辛い立場の学校長の妻を好演するエヴァ・マリー・セイント、かつて主人公と関係を持った学校の理事ロバート・ウェッバー、彼には似つかわしくないような作品にも拘らず、主人公の友人として、同じ自由人の雰囲気を良く出しているチャールズ・ブロンソンジェームズ・エドワーズ、主人行の息子モーガン・メイソン、教師トム・ドレイク、判事トリン・サッチャーなどが共演している。


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