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大脱獄 There Was a Crooked Man… (1970)

服役中の悪党が奪った大金を手に入れるために企む脱獄計画を描く、製作、監督ジョセフ・L・マンキウィッツ、主演カーク・ダグラスヘンリー・フォンダヒューム・クローニンウォーレン・オーツバージェス・メレディスジョン・ランドルフリー・グラントアーサー・オコンネル他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ

製作:ジョセフ・L・マンキウィッツ
製作総指揮:C・O・エリクソン
脚本
デヴィッド・ニューマン
ロバート・ベントン
撮影:ハリー・ストラドリングJr.
編集:ジーン・ミルフォード
音楽:チャールズ・ストラウス

出演
パリス・ピットマンjr.:カーク・ダグラス
ウッドワード・ロープマン:ヘンリー・フォンダ
ダドリー・ウィナー:ヒューム・クローニン
フロイド・ムーン:ウォーレン・オーツ
ミズーリ・キッド:バージェス・メレディス
サイラス・マックナット:ジョン・ランドルフ
バラード夫人:リー・グラント
ロマックス:アーサー・オコンネル
コイ・キャベンディッシュ:マイケル・ブロジェット
フランシス・E・レゴフ:マーティン・ガベル
マダム:クラウディア・マクニール
アーピン:楊伝広
ウルフ大佐:ジーン・エヴァンス
タバッキー:アラン・ヘイルJr.
ウィスキー:ヴィクター・フレンチ
スキナー:バート・フリード
ロマックス夫人:アン・ドーラン
ジェシー・ブランデッジ:バーバラ・ローデス
州知事:J・エドワード・マッキンリー
エドウィナ:パメラ・ヘンズリー
娼婦:ジーン・クーパー

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1970年製作 126分
公開
北米:1970年12月25日
日本:1971年1月23日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1883年、アリゾナ準州
悪党のパリス・ピットマンjr.(カーク・ダグラス)一味は、資産家のロマックス(アーサー・オコンネル)の家に押し入る。

食事をしようとしていた家族に銃を向けたピットマンは、金庫を開けるようロマックスに指示する。

それを拒むロマックスだったが、妻(アン・ドーラン)から開けるようにと言われる。

大金を確認したピットマンは、バッグに入りきらないために夫人の下着に札束を入れる。
...全てを見る(結末あり)

その場から逃げようとしたピットマンらは、ロマックスらと銃撃戦になる。

何人か倒したロマックスだったが、銃弾を受けて倒れる。

ロマックスの娘を撃とうとした仲間を射殺したピットマンは、現金を持って逃げる。

山に向かったピットマンは、毒ヘビの穴に現金を隠す。

腕を負傷するものの無事だったロマックスは、馴染みの娼館に向かい、マダム(クラウディア・マクニール)に、全財産を失ったことを話して嘆く。

マダムに励まされたロマックスは、サービスで客の覗き見を許される。

客室を覗いたロマックスは、強盗のピットマンに気づき騒ぎ始める。

慌てたピットマンはその場から逃げるものの、逮捕されて裁判にかけられ、10年の刑を言い渡される。

ガールフレンドのエドウィナ(パメラ・ヘンズリー)と楽しもうとしていたコイ・キャベンディッシュ(マイケル・ブロジェット)は、彼女の父親に見つかってしまう。

銃を向けられたコイは、投げたビリヤードのボールが父親の頭に直撃し死亡してしまい、逮捕され死刑を宣告される。

伝道師を装うサイラス・マックナット(ジョン・ランドルフ)は、ダドリー・ウィナー(ヒューム・クローニン)と共に詐欺を繰り返していたものの、それがバレて逮捕される。

保安官のウッドワード・ロープマン(ヘンリー・フォンダ)は、強盗が酒場にいることを知らされる。

酔ったフロイド・ムーン(ウォーレン・オーツ)に銃を向けたロープマンは、銃弾を受けながらもバーテンダーの協力で彼を捕らえる。

ピットマン、ダドリー、サイラス、フロイド、コイ、中国人のアーピン(楊伝広)ら犯罪人は刑務所に護送され、所長のフランシス・E・レゴフ(マーティン・ガベル)から所内の規則を知らされる。

刑が執行されるためにレゴフは処刑台に向かい、ピットマンらも外に出される。

絞首刑は執行され、ピットマンら6人は同じ監房に入れられる。

その場に老囚人のミズーリ・キッド(バージェス・メレディス)がいることを知らされたピットマンは、彼は伝説の列車強盗だと皆に伝える。

6人を歓迎したキッドは、ピットマンから刑務所のことを訊かれ、ただでは教えられないと言って看守のタバッキー(アラン・ヘイルJr.)を呼ぶ。

タバッキーに金を払いタバコを受け取ったピットマンは、それをキッドに渡して脱獄者について尋ねる。

成功した者がいないことを知らされたピットマンは、看守や見張りのことを訊くが、キッドから、いずれ諦めるだろうと言われる。

25年ほど前に脱獄は無理だと悟ったと言うキッドは、気を紛らわすために農園を作ることを考えるようにしたとピットマンに話す。

キッドから、楽しいことを空想して満足するようにと言われたピットマンだったが、その気にはなれなかった。

その後、石切り場の重労働と粗末な食事に耐えられなくなったサイラスは、ダドリーに不満を訴える。

ピットマンは、三人の男に因縁をつけられ痛めつけられる。

フロイドに脚を撃たれ杖を突く生活をするロープマンは、町民が自分を辞めさせようとしていることを知る。

同性愛者の看守スキナー(バート・フリード)は、コイに目をつけて誘うものの、侮辱される。

囚人に痛めつけられる理由が分からないピットマンは、保安官を相手にしたフロイドをおだてて、仲間にしようとする。

フロイドと打ち解けたピットマンは、男達に挑発されて立ち向かい、三人を叩きのめす。

レゴフに呼ばれたピットマンは、50万ドルを隠していることを追及されて男達が襲う理由を悟り、25万ドル渡せばここから出すと言われる。

それを断るピットマンは、レゴフから、このまま痛めつけられることをよく考え検討するようにと言われる。

ピットマンが独房に入れられたため、キッドらは心配する。

翌日、コイがスキナーに鞭打ちされ、それを制止しようとしたフロイドらは暴れ始め暴動が起きる。

それを鎮めようとしたレゴフは、怪力のアーピンに絞め殺される。

保安官を辞職して刑務所の新所長に就任するロープマンは、暴動を鎮圧した軍のウルフ大佐(ジーン・エヴァンス)に迎えられる。

整列した囚人の中にフロイドがいることを確認したロープマンは、新所長としての挨拶をする。

看守のウィスキー(ヴィクター・フレンチ)に独房を見せるよう指示したロープマンは、その場で優雅に暮らすピットマンに驚く。

50万ドルを秘密の場所に隠してあることをロープマンに知らせたピットマンは、前所長のレゴフの企んでいたことを話す。

話を信じないロープマンは、何も語らずにその場を去る。

監房に戻ったピットマンは、50万ドルのために必ず脱獄すると皆に伝えて、その方法を考える。

翌日、石切り場の仕事は今後は懲罰にすると囚人に伝えたロープマンは、ピットマンだけその場に残す。

分け前が欲しいために、皆が自分の脱獄に期待していると言うピットマンに、ロープマンは、刑務所の周辺を考えれば脱獄しても無駄だと伝える。

フロイドを呼んだロープマンは、ピットマンの情報を得ようとして牽制するが、彼がピットマンを信頼していることを知る。

その後、アーピンが怠けていることで看守が発砲し、様子を見に行ったロープマンは、彼に話しかける。

石を持ち上げたアーピンは、ロープマンめがけて投げようとするが、ピットマンがそれを制止する。

アーピンを落ち着かせたピットマンは、食後に所長室に来るようにとロープマンに指示される。

ロープマンから、囚人達が自分に敬意を払う理由を訊かれたピットマンは、直ぐに脱獄する自信を見せただけでその場を去る。

不潔な囚人の体を洗わせるようロープマンから指示されたピットマンは、それに従う。

体を洗うことを拒むキッドは抵抗するものの、35年間着ているという下着のまま、水の入った樽に放り込まれる。

看守達も風呂に入ったことを知ったロープマンは、一人だけ体を洗っていないピットマンにも、体を洗うよう指示する。

ピットマンからにおうと言われたロープマンは、仕方なく自分も風呂に入る。

ロープマンの拳銃に手をかけるピットマンだったが、銃弾は抜かれていることには気づいていた。

刑務所の改革を進めようとするロープマンは、倉庫の看板を描く絵が得意なダドリーに関心し、新設する食堂のための天使の絵を描かせようとする。

ダドリーに女の裸体を描かせて、サイラスに小銭稼ぎをさせようとしたピットマンだったが、それをロープマンに禁止される。

天使の絵を描くことを指示されたダドリーは、ダイナマイトなど危険物が保管されている倉庫への出入りが許される。

脱獄のためにダドリーの手を借りたいピットマンは、サイラスを丸め込む。

刑務所の改革を進めるロープマンは、新任の医師ルーミスをピットマンに紹介する。

看守室の掃除をするキッドに、銃が何丁あるか尋ねたピットマンは、1万5000ドルで彼を脱獄計画に誘う。

それで農園が作れると言われたキッドは、ピットマンの話に乗る。

女の絵の件で罰を受けたサイラスは採石作業をさせられ、疲労困憊で監房に戻る。

仮病のようだとダドリーに馬鹿にされたサイラスは憤慨し、ベルトで首を吊って死のうとする。

サイラスが本当に首を吊ったために驚いたダドリーは助けを求め、ピットマンがベルトを外す。

刑務所の生活はこれ以上嫌だと言うサイラスに、ダドリーは自分も脱獄することを伝える。

ダドリーは仲間に加わり、サイラスはピットマンにウインクする。

ピットマンは、ダイナマイトが12本いることをダドリーに伝える。

各人に役割を与えたピットマンは、焦らずに時を待つことを皆に伝える。

翌日、倉庫に向かったダドリーは、ペンキを取りに行くふりをしてダイナマイトなどを持ち出し、それをピットマンに知らせる。

その夜、ロープマンに呼ばれたピットマンは、完成した食堂に向かい、明日のオープンに州知事などを招待したことを知らされる。

ロープマンから、囚人を代表してスピーチを頼まれたピットマンは、それを断り、改革の手柄のために自分を利用するなと伝える。

ダドリーが描いた絵を確認したピットマンは、ロープマンから、内容的に問題があり飾ることはできないと言われる。

コイの処刑が来週に決まったことを知ったピットマンは、食堂開きが大事なだけだと言ってロープマンを非難する。

そこにダドリーがタバッキーに連れて来られ、ロープマンは、絵の直しを頼んだか訊かれる。

後にするようにと二人に伝えたロープマンは、コイの叙情酌量を求めてきたとピットマンに伝える。

まだ17歳の子供であるコイを救うべきだと伝えたピットマンは、ロープマンから、自分は法に従うことを誓った身だと言われる。

自分は卑劣な男だと言われたピットマンはそれを認め、あなたも同じであり、スピーチは自分でしろと伝えてその場を去る。

翌日、ロープマンは州知事(J・エドワード・マッキンリー)らを迎える。

作業中に腹痛を訴えたフロイドは、ルーミスの指示で医務室に運ばれる。

その後、囚人達は食堂に集合し、州知事らを伴いその場に現れたロープマンはスピーチする。

州知事のスピーチも始まり、キッドはルーミスに食事を運ぶ。

ルーミスを殺したフロイドは、白衣を着て医務室を出る。

看守を殺して鍵を奪ったフロイドは、それをキッドに渡してダイナマイトの導火線に点火する。

トランペット演奏の余興が終わり、ズボンが裂けたタバッキーは、着替えに行くことをウィスキーに伝える。

食堂には食事が運び込まれるるものの、教師のジェシー・ブランデッジ(バーバラ・ローデス)による詩の暗唱が始まる。

ピットマンは、タバッキーがいないことに気づく。

食事の前に祈りを捧げたロープマンは、ピットマンから、皆を代表して発言したいと言われる。

ロープマンはそれを許可するが、食事を前にした囚人達は不満だった。

スピーチをしたピットマンは、食事を壁の絵に投げつけて、騒ぎ始めた囚人達もそれに続き、その場は混乱する。

ズボンを履き替えたタバッキーは、銃がなくなっていることに気づき、その場にいたキッドに射殺される。

ダイナマイトが爆発して壁に穴が開き、ロープマンはそれを塞ぐよう指示するものの、騒ぎを鎮めることができない。

混乱の隙を見て食堂から脱出したピットマンは、キッドが現れないためにアーピンと共に銃を取りに行く。

動揺するキッドはその場から動くことができず、ピットマンは仲間達の元に向かう。

ダドリーとサイラスを馬車に向かわせたピットマンは、コイに拳銃を渡して門を開けるよう指示する。

フロイドは、いずれ絞首刑のコイと、老い先短いダドリーとサイラスをピットマンが見捨てるつもりだということを知る。

門を開けたコイは、看守に射殺される。

フロイドとアーピンと共に石切り場に向かったピットマンは、銃撃してくるロープマンに反撃する。

アーピンに襲われたロープマンは、彼を射殺するものの負傷する。

フロイドは自由の身になったと言って叫び、ピットマンは、ロープマンが抵抗できないことを確認する。

仲間を平気で売るフロイドを信用できないピットマンは、いつか自分も裏切られると言って彼を射殺する。

ラバを奪ったピットマンは、その場から逃れる。

ピットマンに騙されたことに気づいたダドリーは、逃げようとするサイラスに、直ぐに捕まると言って諦めさせる。

刑期は17か月だと言うダドリーは、出所して地道に暮らすことを伝えてサイラスを説得する。

納得できないサイラスだったが、監房に戻ったダドリーの考えは変わらなかった。

逃亡した囚人は次々と捕らえられ、ピットマンだけが逃亡していることをウルフ大佐から知らされたロープマンは、自分が捕まえて殺すと伝える。

ロープマンは、ピットマンが金を取りに行くはずだと考える。

ある家に着いたピットマンは、バラード夫人(リー・グラント)に銃を向けられる。

町に戻ったロープマンは、保安官事務所に向かう。

ピットマンは、未亡人のバラード夫人と愛し合う。

娼館に向かいマダムと話したロープマンは、ピットマンの情報を得られなかった。

バラード夫人から夫の服を譲ってもらったピットマンは、彼女に感謝してその場を去る。

翌日、バラード夫人の家で刑務所のラバを見つけたロープマンは夫人と話し、最近、男を見ていないと言う彼女に、ラバのことを伝えてピットマンを追う。

山に向かい現金の隠し場所に着いたピットマンは、ヘビを撃ち殺す。

用心のため、手袋をして腕に上着を巻いたピットマンは、バッグを取り出して中身を確認する。

下着の中を覗いたピットマンは、飛び出したヘビに首を噛まれてしまう。

毒が回ったピットマンは、息絶える。

その場に現れたロープマンは、ピットマンの死体を見つけて、ヘビに噛まれた傷を確認する。

現金とピットマンの死体を運んだロープマンは、刑務所に到着する。

入り口でピットマンが乗った馬を所内に向かわせたロープマンは、現金を持ってその場を去りメキシコに向かう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1883年、アリゾナ準州
悪党のパリス・ピットマンjr.は、資産家のロマックスから大金を奪い山に隠す。
その後、娼館で捕らえられたピットマンは、詐欺師のダドリーとサイラス、フロイドら5人と共に刑務所の同じ監房に入れられる。
監房にいた刑務所生活35年のミズーリ・キッドとも親しくなったピットマンは、脱獄しようとする。
暴動が起きた際に所長が殺され、元保安官のロープマンが新任所長となる。
刑務所の改革を考えるロープマンに協力するように見せかけたピットマンは、仲間達と共に脱獄計画を進めるのだが・・・。
__________

数々の名画を残したジョセフ・L・マンキウィッツが製作を兼ねて監督した作品であり、2大スターのカーク・ダグラスヘンリー・フォンダの共演も話題となった。

ジョセフ・L・マンキウィッツにしては珍しい純粋なコメディであり、大金を隠しながら刑務所に入れられた悪党の脱獄計画を、ユーモアを交えてシニカルに描く快作に仕上がっている。

その統率力で人望がある主人公が、仲間達のために脱獄計画を進めるものの、すべてが現金を手に入れるための企みだったと分かる終盤、そして、それが叶わず皮肉な結果に終わるラストに向かいドラマは大いに盛り上がる。

主人公の二人を含めて、個性豊かな囚人達の持ち味を生かしたジョセフ・L・マンキウィッツの演出は冴える。

チャールズ・ストラウスの、時に拍子抜けした軽快な音楽も印象的だ。

主演のカーク・ダグラスは、悪党ではあるものの憎めない役柄を好演し、やや弱々しく感じる元保安官で刑務所所長を演ずるヘンリー・フォンダは、現金を手に入れるラストを締めくくり存在感を示す。

主人公の脱獄計画に加わる絵が得意な詐欺師ヒューム・クローニン、その相棒のジョン・ランドルフ、保安官(ヘンリー・フォンダ)を撃って投獄されるウォーレン・オーツ、刑務所の主である老囚人バージェス・メレディス、若い囚人のマイケル・ブロジェット、同じく囚人で怪力の中国人で、十種競技のオリンピック・メダリストである”東洋の鉄人”楊伝広、主人公と愛し合う未亡人のリー・グラント、主人公に大金を奪われる資産家アーサー・オコンネル、その妻アン・ドーラン、殺される刑務所所長マーティン・ガベル、娼館の女主人クラウディア・マクニール、刑務所を守る大佐ジーン・エヴァンス、看守のアラン・ヘイルJr.ヴィクター・フレンチバート・フリード、食堂開きに招待される教師のバーバラ・ローデス、州知事のJ・エドワード・マッキンリー、コイ(マイケル・ブロジェット)のガールフレンド、パメラ・ヘンズリー、娼婦のジーン・クーパーなどが共演している。


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