2002年に発表された、マイケル・パンクの小説”The Revenant: A Novel of Revenge”を基に製作された作品。 狩猟チームのガイド中にクマに襲われ重傷を負った罠猟師ヒュー・グラスが自分を置き去りにしたハンターを追い続ける姿を描く、製作、監督、脚本アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、主演レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター他共演のアドベンチャー・ドラマ。 |
・ドラマ
・レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCaprio 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
製作
アーノン・ミルチャン
スティーヴ・ゴリン
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
メアリー・ペアレント
デイヴィッド・カンター
ジェームズ・W・スコッチドーポル
キース・レドモン
製作総指揮
ブレット・ラトナー
ジェニファー・デヴィソン・キローラン
マーカス・バーメットラー
フィリップ・リー
ジェイク・マイヤーズ
ジェームズ・パッカー
原作:マイケル・パンク”The Revenant: A Novel of Revenge”
脚本
マーク・L・スミス
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
撮影:エマニュエル・ルベツキ
編集:スティーヴン・ミリオン
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
美術・装置
ジャック・フィスク
ヘイミッシュ・パーディー
音楽
坂本龍一
アルヴァ・ノト
出演
ヒュー・グラス:レオナルド・ディカプリオ
ジョン・フィッツジェラルド:トム・ハーディ
アンドリュー・ヘンリー:ドーナル・グリーソン
ジム・ブリッジャー:ウィル・ポールター
ホーク:フォレスト・グッドラック
アンダーソン:ポール・アンダーソン
マーフィー:クリストッフェル・ヨーネル
スタビー・ビル:ジョシュア・バーグ
エルク・ドッグ:ドウェイン・ハワード
ポワカ:メラウ・ナケコ
トゥーサン:ファブリス・アッデ
ヒクク:アーサー・レッドクラウド
ブーン:クリストファー・ロザモンド
デイヴ・ストマック・ウーンド:ロバート・モロニー
ジョーンズ:ルーカス・ハース
フライマン:ブレンダン・フレッチャー
ウェストン:タイソン・ウッド
ベケット:マッカレブ・バーネット
ヒュー・グラスの妻:グレイス・ドーヴ
ジョニー:ブラッド・カーター
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
2015年製作 156分
公開
北米:2015年12月25日
日本:2016年4月22日
製作費 $135,000,000
北米興行収入 $183,635,920
世界 $532,925,990
■ アカデミー賞 ■
第88回アカデミー賞
・受賞
監督
主演男優(レオナルド・ディカプリオ)
撮影賞
・ノミネート
作品
助演男優(トム・ハーディ)
編集・衣装デザイン・メイクアップ&ヘアスタイリング・美術・録音・音響編集・視覚効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1823年、冬、アメリカ中西部。
罠猟師のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、ポウニー族の妻(グレイス・ドーヴ)との息子ホーク(フォレスト・グッドラック)と共に、アンドリュー・ヘンリー(ドーナル・グリーソン)率いる狩猟チームにガイドとして加わっていた。
離れて狩りをしていたグラスは、先住民アリカラ族の襲撃に気づき仲間達の元に戻る。
多数の犠牲者を出しながら船に逃げ込んだグラスらは、アリカラの土地であるミズーリ川を下るのはまずいことをヘンリーに伝え、船を下りることを提案する。
それに意見するジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)だったが、山沿いのルートでカイオワ砦に向かうとグラスから言われる。
遠回りになるのでこのまま船で行くべきだと言うフィッツジェラルドだったが、ヘンリーは土地に詳しいグラスに従うことにする。
グラスに従っていても30人以上の犠牲者を出したと言うフィッツジェラルドだったが、ヘンリーの考えは変わらなかった。 船を下りたグラスは、おとりのために流すようにとヘンリーに指示し、毛皮を隠した一行は砦に向かおうとする。 毛皮が奪われてしまうと言うフィッツジェラルドは不満を訴え、全てをグラスのせいにする。 原住民と暮らしていた際に兵士に襲われ少尉を殺したと言われ、ホークと二人だけ生き残った理由をグラスに訊いたフィッツジェラルドは、ポウニーとの混血である息子を侮辱する。 憤慨するホークを制したグラスは、怒りを抑える。 ヘンリーから言動を非難されたフィッツジェラルドは、仕方なく指示に従う。 侮辱され納得できないホークだったが、先住民に対する白人の考えを父グラスから教えられて傷つく。 その後、ハンターの二人が船と共に姿を消したことが分かる。 野営をして、夜明けに出発した一行だったが、グラスがグリズリーに襲われてしまう。 重傷を負いながらグリズリーを銃撃し、ナイフで抵抗したグラスは、土手を転げ落ちて意識を失う。 フィッツジェラルドは安楽死させるべきだと考え、ヘンリーは野営の準備をする。 アリカラの酋長エルク・ドッグ(ドウェイン・ハワード)は、フランス人ハンターのリーダー、トゥーサン(ファブリス・アッデ)に奪った毛皮を渡し、代わりに馬と銃を要求し、連れ去られた娘ポワカ(メラウ・ナケコ)を捜そうとする。 グラスを慕う若者ジム・ブリッジャー(ウィル・ポールター)は、一命を取り留めたグラスを気遣う。 翌日、険しい山道になり、グラスを運ぶことは不可能であり、殺すしかないと判断したヘンリーだったが、ホークがそれを制止する。 ヘンリーは、70ドルの報酬を約束して2人を残し、グラスの最期を見届けて埋葬させようとする。 ブリッジャーも残る考えを伝え、3人では敵と戦えないと意見するフィッツジェラルドが、300ドルなら自分も残ると言って志願する。 それを認めたヘンリーは、最期まで面倒を見て必ず埋葬することをフィッツジェラルドに約束させる。 喉を傷つけられたために話せないグラスは、ホークに言葉をかけられながら、兵士に襲われて妻が殺された時のことを思い出す。 翌日、墓穴を掘ったフィッツジェラルドは、テキサスに向い報酬で土地を買う考えと、アリカラに頭の皮を剥がされた時のことをブリッジャーに話す。 ヘンリーらと離れる一方だと言って、足手まといだとグラスに話したフィッツジェラルドは、息子を助けるためにも死を選ぶようにと伝える。 グラスがそれに同意したため、窒息死させようとしたフィッツジェラルドだったが、ホークに制止される。 川で水筒に水を入れていたブリッジャーはそれに気づかず、フィッツジェラルドは、騒ぎ出したホークを刺殺する。 それを見ていた、声が出せないグラスはもがくものの、縛られていたために身動きができない。 ビーバーを捕まえて戻ったブリッジャーは、ホークがいないことに気づき、グラスが何か言っても、その意味が分からない。 その後、眠っていたブリッジャーは、アリカラが襲ってくるとフィッツジェラルドから言われたため、その場を離れることになる。 グラスを置いていくと言われたブリッジャーは、ヘンリーとの約束を守ろうとする。 フィッツジェラルドは、グラスを墓穴に運び土をかけ、放置して去ってしまう。 グラスに謝罪したブリッジャーも、仕方なく水筒を置いてその場を去る。 その後、穴から這い出したグラスは、ホークの死体まで這って行き寄り添う。 アリカラが追ってくることが嘘だったと気づいたブリッジャーは、フィッツジェラルドに銃を向けて非難する。 しかし、銃を奪われて脅されたブリッジャーは、生きるためにしたことだとフィッツジェラルドから言われ、納得させられる。 ホークを残し、水筒と毛皮だけを手にしたグラスはその場を離れる。 フィッツジェラルドらが野営していた場所を調べたエルク・ドッグらは、ホークの死体を確認する。 這って川にたどり着き水を飲んだグラスは、火を起こして、傷つけらいた喉を火薬で焼く。 木の枝を杖にして歩けるようになったグラスは、草などを食べて飢えをしのぐ。 アリカラに気づいたグラスは、川に入り身を潜めるが、気づかれて攻撃を受けたために流されてしまう。 襲われた先住民の村落に着いたフィッツジェラルドは警戒し、ブリッジャーは、生き残っていた女に食べ物を置いてその場を去る。 魚を捕らえ生のままで食べたグラスは、バッファローの群れを目撃する。 夜になり、狼に襲われたバッファローを食べるポウニーのヒクク(アーサー・レッドクラウド)に近づいたグラスは、肉を分けてもらう。 翌朝、体の傷を調べるヒククから何があったのかと訊かれたグラスは、グリズリーに襲われたことを伝え、息子を殺した仲間が自分を見捨てたと話す。 自分も家族をスー族に殺されたと言うヒククだったが、”復讐は創造主の手に委ねる”とグラスに伝えて、彼を連れて移動する。 その頃、フィッツジェラルドとブリッジャーは、カイオワ砦に着く。 絞首刑になる恐れがあるため、余計な話や態度は見せるなと、フィッツジェラルドはブリッジャーに伝える。 ヘンリーに会ったフィッツジェラルドは、グラスを約束通りに埋葬したことを報告し、報酬の300ドルを受け取る。 ブリッジャーもヘンリーから現金を渡されるが、それを受け取らずに席を立つ。 ヒククと心触れ合う仲になったグラスだったが、馬から落ちて意識を失う。 火を起こしテントを作ったヒククは、グラスの傷の手当てをする。 夢の中でホークに会えたグラスは目覚め、姿が見えないヒククを捜す。 吊るされていたヒククを見つけたグラスは、近くにいるフランス人ハンターらの仕業だと考える。 捕えていたポワカを犯しているハンターのトゥーサンに背後から近づいたグラスは襲い掛かり、ナイフを手にした彼女に後を任せる。 馬を奪ったグラスは、他のハンターに気づかれながらもその場から逃走する。 隠してある毛皮のことを気にするフィッツジェラルドは、その仕事の報酬や、ヘンリーが金庫の現金を保管していることを気にする。 ヘンリーは、金庫の現金に300ドルの不足があり、フィッツジェラルドが、”必要物資”を300ドル多く買ったと伝える。 眠っていたグラスはアリカラに襲われ、馬に乗り逃げるものの崖から転落してしまう。 大木の枝に落下したために助かったグラスは、死んだ馬の内臓を取り出して体内に入り、吹雪と寒さを凌ぐ。 フランス人ハンターの生き残りが砦にたどり着き、話を聞いているヘンリーの側にいたブリッジャーは、男が持っていた自分の水筒に気づく。 襲ってきた者が落していったと言われたブリッジャーは、ホークかもしれないと考え、場所を確認したヘンリーは出発する。 その後、ホークを捜すヘンリーらは、生きていたグラスと出くわし、ブリッジャーは拘束される。 砦に戻ったヘンリーは、フィッツジェラルドがテキサスに向かい、金庫の金も奪われていることに気づく。 ヘンリーは、戻ったブリッジャーに銃を向けて痛めつけ、死ぬと思ったと言い訳をするが、嘘をついたことを痛烈に非難する。 手当てを受けるグラスから、ブリッジャーの話は正しいと言われたヘンリーは、フィッツジェラルドに騙され命令に従っただけだと知らされる。 フィッツジェラルドがホークを刺し殺すのもブリッジャーは見ていないと言うグラスは、追跡することをヘンリーに伝える。 ヘンリーから休むようにと言われたグラスだったが、自分の総てだった息子を奪ったフィッツジェラルドを追う決心を曲げない。 野営をしたグラスは、少尉を殺した話が真実かをヘンリーに問われ、息子を傷つけた男を殺しただけだと答える。 翌日、グラスと別れて捜索を続けたヘンリーは、現れたフィッツジェラルドに、砦に戻り裁くと伝えるものの相撃ちになる。 銃声を聴いたグラスはその場に向い、ヘンリーの死体を確認する。 その後、グラスを狙い撃ちしたフィッツジェラルドは彼に近づき、それがヘンリーの死体だと気づく。 別の馬で死体を装っていたグラスは、フィッツジェラルドを銃撃して、逃げた彼を追う。 フィッツジェラルドを川に追い詰めたグラスは、息子を侮辱されたために襲い掛かる。 二人は格闘になり互いに傷つき、グラスは、息子は生き返らないとフィッツジェラルドから言われる。 アリカラが現れたことに気づいたグラスは、ヒククが言った”復讐は創造主の手に委ねる”という言葉を思い出し、フィッツジェラルドを川に入れる。 エルク・ドッグは、流れて来たフィッツジェラルドを殺し川を渡る。 グラスに近づくエルク・ドッグは手出しすることはなく、助けられたポワカは、グラスを見つめながらその場を去る。 傷つ気ながら山に戻ったグラスは、目の前に現れた妻を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
(その際、グラスはブリッジャーの水筒を落す。)
*(簡略ストー リー)
1823年、冬、アメリカ中西部。
罠猟師のヒュー・グラスは、ヘンリーの狩猟チームのガイドをしていたが、グリズリーに襲われて重傷を負う。
瀕死のグラスが移動することが困難だと判断したヘンリーは、グラスの息子ホークと若いブリッジャーに、最期まで面倒を見て埋葬をすることを任せる。
グラスと意見の合わないフィッツジェラルドも、報酬目当てで残ることになる。
その後フィッツジェラルドは、グラスを殺して引き揚げようとするが、制止しようとしたホークを殺害する。
狩りから戻ったブリッジャーに、ホークは姿を消しグラスは死ぬと伝えたフィッツジェラルドは、彼を説得して、グラスを置き去りにしてその場を去る。
何んとか動くことができたグラスは這って移動し、息子の復讐を果たすためにフィッツジェラルドを追う・・・。
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ハイイログマ/グリズリーに襲われて重傷を負い、仲間に見捨てられながらも生還した罠猟師ヒュー・グラスの体験を基に製作された作品。
事実を基にした物語ではあるが、登場人物を含めてかなり脚色されている。
とは言え、その過酷で壮絶なサバイバルを生々しく描く、限界を超える人間の生命力を映し出す映像で迫る、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの繊細かつ力強い演出は秀逸だ。
自然光にこだわった芸術的な映像、極寒の地で演ずる俳優達の凄まじいばかりの役者魂など、観る者に訴える深いドラマに仕上がっている。
大自然の中で生きる男であるためか、瀕死の重傷を負い冬の寒さの中(実際は夏だったらしい)、食料もなく這って移動をした距離が320キロという、ヒュー・グラスの驚異的な体力と精神力は、人間を超越した存在として伝説となっている。
そのサバイバルの様子が荒唐無稽という意見もあるが、ラストに象徴されるように、幻想的なシーンや復讐を神格的に描いたことなどを考えると、リアリズムを追及しているだけでない作品ということで納得できる。
第88回アカデミー賞では、レオナルド・ディカプリオが念願の主演男優賞を受賞し、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは、前年に続く監督賞授賞の快挙を成し遂げた。
他、撮影賞も受賞し、作品、助演男優(トム・ハーディ)、編集、衣装デザイン、メイクアップ&ヘアスタイリング、美術、録音、音響編集、視覚効果賞にノミネートされた。
派手な演出はないが、主人公がグリズリーに襲われるシーンの映像の迫力や生々しさなどは見事であり、製作費に1億3500万ドルかけた本作は、北米興行収入は約1億8400万ドル、全世界では約5億3300万ドルの大ヒットとなった。
主演のレオナルド・ディカプリオは、過酷な撮影に耐えながら、主人公のヒュー・グラスを迫真の演技で演じ、5度目のノミネートにして遂にオスカーを手にした。
対立する主人公を置き去りにするハンターを好演するトム・ハーディ、狩猟部隊の指揮官アンドリュー・ヘンリーのドーナル・グリーソン、主人公を慕うものの、置き去りにしてしまう若いハンタージム・ブリッジャーのウィル・ポールター、主人公の息子フォレスト・グッドラック、先住民アリカラ族の酋長ドウェイン・ハワード、浚われたその娘メラウ・ナケコ、彼女を浚ったフランス人ハンターのリーダー、ファブリス・アッデ、主人公と出会い親交を深めるポウニー族のアーサー・レッドクラウド、主人公の妻グレイス・ドーヴ、ハンターのポール・アンダーソン、クリストッフェル・ヨーネル、ジョシュア・バーグ、クリストファー・ロザモンド、ロバート・モロニー、ルーカス・ハース、ブレンダン・フレッチャー、タイソン・ウッド、マッカレブ・バーネット、ブラッド・カーターなどが共演している。