CIAの教官に新人採用でスカウトされた青年の厳しい訓練と内部で起きるスパイ戦を描く、監督ロジャー・ドナルドソン、主演アル・パチーノ、コリン・ファレル、ブリジット・モイナハン、ガブリエル・マクト他共演のサスペンス。 |
・アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロジャー・ドナルドソン
製作総指揮:ジョナサン・グリックマン
製作
ロジャー・バーンバウム
ゲーリー・バーバー
脚本
ロジャー・タウン
カート・ウィマー
ミッチ・グレイザー
撮影:スチュアート・ドライバーグ
編集:デイヴィッド・ローゼンブルーム
音楽:クラウス・バデルト
出演
ウォルター・バーク:アル・パチーノ
ジェームズ・ダグラス・クレイトン:コリン・ファレル
レイラ・ムーア:ブリジット・モイナハン
ザック:ガブリエル・マクト
ハスキー・マン:ユージン・リピンスキ
アラン:ケネス・ミッチェル
ロニー・ギブソン:マイク・リアルバ
ビル・ラドルフ/デル・レップ:ロン・レア
デニス・スレイン:カール・プルーナー
アート・ウォリス:クリス・オーウェンズ
アメリカ 映画
配給
タッチストーン・ピクチャーズ
スパイグラス・エンターテインメント
2003年製作 114分
公開
北米:2003年1月31日
日本:2004年1月17日
北米興行収入 $52,784,700
世界 $101,191,880
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
MIT(マサチューセッツ工科大学)のエリート学生ジェイーズ・クレイトン(コリン・ファレル)は、就職説明会に遅れるものの、DELLコンピューターの担当者が舌を巻くプログラミングを披露する。
ある日、バーでアルバイトをしていたクレイトンの前に、CIAのスカウトで教官のウォルター・バーク(アル・パチーノ)が現れる。
クレイトンのことを全て調べ上げていたバークは、連絡先だけを彼に教えて立ち去る。
バークは、ペルーで墜落死した父親の死を、クレイトンが不審に思い続けていることも承知だった。
それがCIAと関わりがあるのではとも考えながら、クレイトンは採用試験を受ける。
試験会場で見かけた、レイラ・ムーア(ブリジット・モイナハン)を気にしながら、筆記から面接までを受けたクレイトンらは、特別訓練施設”ファーム”に移動する。 その後、クレイトンはバークに父親のことを尋ねようとして、彼をバーに誘う。 しかし、スカウトとして親しげに接しただけだと、バークはそれを断る。 そして、主席教官バークの元で、クレイトンらはスパイになるために厳しい基礎訓練を受ける。 バークは、講義の中で訓練生に、一般的な諜報員とは違う、実質的なスパイ活動を行う”NOC”を目指すよう激励する。 ある日バークは、クレイトンやザック(ガブリエル・マクト)、ロニー・ギブソン(マイク・リアルバ)らを実地訓練だと言ってバーに連れて行く。 店内で女性を誘うという指示を受けたクレイトンは、酔ったムーアを見つけてタクシーで帰らせようとする。 しかし、それはバークが命じた妨害工作で、クレイトンはそれに気づかなかった。 翌日、クレイトンは昨夜のことで、嘘発見器でムーアに恥をかかせ彼女の怒りを買う。 クレイトンの心の迷いを察したバークは、彼を食事に誘い、父親のことで質問を受ける。 しかしバークは、クレイトンの父親が石油関連会社以外の仕事をしていたことを認めるものの、多くは語らなかった。 その後、クレイトンとムーアは、バーのことがきっかけとなりお互いを理解し意識し合うようになる。 そして、監視テストの最中に、ムーアと組んだクレイトンは、”ファーム”について探る一団に捕らえられ、監禁され拷問を受ける。 捕らえられたムーアの身を案じたクレイトンは、バークの名前を吐いてしまうのだが、結局はそれもテストだった。 訓練生全員にその様子を見せていたバークは、”決して敵に捕まるな”という言葉を教訓として伝える。 その後、クレイトンは不適正とみなされ”ファーム”を追放されてしまうが、そこにバークが現れる。 バークは、拷問テストの最長記録を作ったクレイトンを”NOC”として採用することと、落第が偽装だったことを伝える。 そしてバークは、ムーアが潜入スパイだということをクレイトンに知らせ、彼女をわざとファームに入れ、情報を手に入れようとする黒幕を暴こうとしていたことを話す。 その後バークは、クレイトンをCIA本部のあるラングレーに向かわせ、ムーアを監視させる。 ”ファーム”を落第したことで、情報管理センターに配属されたクレイトンは、科学技術部に配属されたムーアと再会する。 ムーアのコートに盗聴器を仕掛け、科学技術部のパスを入手したクレイトンは、彼女のデスクのコンピューター内を調べ、内部システムの”アイス9”へのアクセスを確認する。 ムーアの気を引き、彼女のアパートで愛し合ったクレイトンは、その場のコンピューターも調べる。 眠っていたムーアはそれに気づき、クレイトンが出て行った後、コンピューターのアクセス履歴を調べるが、それは彼の父親についての情報だった。 その朝、ムーアが”アイス9”にアクセスし、少しずつ情報を引き出していることをバークに知らせたクレイトンは、彼から拳銃を渡される。 ムーアのアパートに戻ったクレイトンは、彼女が自分の上着に盗聴器を仕掛けたのに気づく。 アパートを出たクレイトンは盗聴器を外し、タクシーで出かけたムーアを追う。 駅でムーアが男に何かを渡したのを確認したクレイトンは、その男を追い彼を射殺する。 男は”ファーム”の同僚ザックで、クレイトンが探っているため引渡しを急ぐというムーアからのメモを持っていた。 それをバークに知らせたクレイトンは、ムーアが盗み出そうとする情報を奪うことを伝える。 ムーアのアパートに侵入し、パソコンを盗んだクレイトンだったが、その頃、彼女は、デスクのコンピューターで”アイス9”にアクセスし、USBフラッシュ・メモリに情報をコピーしコーヒーのカップに隠し持ち出す。 ムーアの車を待ち伏せ、それを追ったクレイトンは、彼女を追い詰めてメモリを奪う。 しかし、ムーアは偽物の”アイス9”を持ち出せるかをテストする、安全管理システム上の任務を受けていたと言い張る。 さらに、ザックも同じ任務を受けていた”NOC”だと知らされたクレイトンは、彼女から、訓練で教わった脈と瞳孔を見て、それが嘘かを判断するよう言われる。 ムーアを生かし、その場を去ったクレイトンは、彼女が持ち出した”アイス9”が本物だと確認する。 それをムーアに知らせたクレイトンは、彼女を信じることを伝え、バークとの待ち合わせ場所の海軍施設跡地に向かう。 クレイトンはバークに銃を突きつけるが、彼は全てがテストで、渡した銃も空砲だったことを伝える。 しかし、それが実弾だと知ったクレイトンは、施設の建物に逃げ込む。 クレイトンを追い詰めたバークは、CIAを信じる振りをするのに疲れ、裏切ったことを彼に伝える。 コンピューターを奪おうとするバークだったが、クレイトンがCIA本部に、会話を音声送信していたことに気づく。 既に建物はCIAによって包囲されるが、バークはクレイトンを捕まえに来たとは知らずに、裏切った理由を叫びながら暴露してしまう。 音声送信が嘘だと気づいたバークは、拳銃を振りかざそうとしたため射殺される。 現場にいたムーアと抱き合ったクレイトンは、上司から、次回は彼女と組まされることを伝えられ、父親と同じ天職だと言われる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
MITのエリート学生であるジェームズ・ダグラス・クレイトンは、CIAスカウト兼教官ウォルター・バークの目に留まり、採用試験をパスして訓練施設”ファーム”に送られる。
同僚のムーアを意識し、お互いに惹かれ合いながら、クレイトンは厳しい訓練を受けるが、拷問テストで不適正とみなされファームを追放される。
その後、その落第は嘘で、スパイだったムーアを監視する命令をクレイトンはバークから受ける。
そして、現場から外されたクレイトンは、CIA本部事務職に就きムーアの監視を始めるのだが・・・。
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敵対する側との戦いを描くスパイ映画は数あるが、CIAの内幕と本質を描いているため、何を信じていいのか分からなくなる、一般市民には理解できない世界の出来事に驚き、スパイ養成訓練やテストなどもリアルに描かれ興味深い。
それが、作りものではなく、現実にも起きていることを感じさせる雰囲気で展開する、ロジャー・ドナルドソンの演出や描写はなかなか楽しめる。
”CIAを信じる振りをすることが疲れた”と言う主人公の言葉ではないが、国家に忠誠を誓い、薄給で働きながら精神的に徐々に追い詰められていく姿が痛々しい。
北米興行収入は約5300万ドル、全世界では1億ドルを超す、まずまずのヒットとなった。
その主人公を演ずるアル・パチーノは、いつもながらの重厚な演技で、真の主人公と言えるコリン・ファレルの熱演をサポートして、終盤では彼らしい迫力で、存在感を見せ付けている。
養成訓練生の同僚である、スパイと疑われるブリジット・モイナハン、同じく同僚ガブリエル・マクト、マイク・リアルバなどが共演している。