推理作家エドガー・アラン・ポーが小説に似た猟奇殺人事件捜査に協力して謎のまま死亡するまでの数日間を描く、監督ジェームズ・マクティーグ、主演ジョン・キューザック、ルーク・エヴァンズ、アリス・イヴ、ブレンダン・グリーソン他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・マクティーグ
製作総指揮
グレン・バスナー
ヘスス・マルティネス・アセンシオ
ジェームズ・D・スターン
製作
アーロン・ライダー
マーク・D・エヴァンズ
トレヴァー・メイシー
脚本
ハンナ・シェイクスピア
ベン・リヴィングストン
撮影:ダニー・ルールマン
編集:ニーヴン・ハウィー
音楽:ルーカス・ビダル
出演
エドガー・アラン・ポー:ジョン・キューザック
エメット・フィールズ警視:ルーク・エヴァンズ
エミリー・ハミルトン:アリス・イヴ
チャールズ・ハミルトン大佐:ブレンダン・グリーソン
ヘンリー・マダックス:ケヴィン・マクナリー
ジョン・カントレル巡査:オリヴァー・ジャクソン=コーエン
エルダリッジ警部:ジミー・ユール
アイヴァン・レイノルズ:サム・ヘイゼルダイン
ブラッドリー夫人:パム・フェリス
レーガン:ブレンダン・コイル
アメリカ 映画
配給 レラティビティ・メディア
2012年製作 111分
公開
北米:2012年4月12日
日本:2012年10月27日
製作費 $26,000,000
北米興行収入 $16,008,270
世界 $29,657,750
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1849年10月7日、メリーランド州、ボルチモア。
エドガー・アラン・ポーは、公園で瀕死の状態で発見されるが、それまでの数日間は謎だった。
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ある日、闇夜の中の悲鳴と共に、母娘惨殺事件が起きる。
その頃、小説家で詩人でもあるエドガー・アラン・ポー(ジョン・キューザック)は街に戻り、酒場で揉め事を起こす。
事件現場に駆け付けたエメット・フィールズ警視(ルーク・エヴァンズ)は、被害者を確認して建物に出入りした者に聞き込みするよう部下に指示する。
フィールズは、今回の状況に覚えがあることに気づく。
翌日、チャールズ・ハミルトン大佐(ブレンダン・グリーソン)の馬車に乗り込んだエドガーは、彼の娘エミリー(アリス・イヴ)との交際の許しを得ようとする。 エミリーはそれを拒み、ハミルトンは、エドガーに銃を向けて追い払う。 その頃、ある男が拘束されて拷問を受ける。 新聞社に向かったエドガーは、自分の評論が削除されたことを知り、編集長のヘンリー・マダックス(ケヴィン・マクナリー)を非難する。 エドガーは金が必要なことをマダックスに伝えるが、新作を書くように助言される。 拷問を受けていた男は、胴体を真っ二つに切断される。 新作の案を考えていたエドガーは、現れた、実は愛し合っていたエミリーから、父ハミルトンが自分達のことを疑い始めていると言われる。 エドガーはエミリーに結婚を申し込み、彼女は、自分の誕生日の舞踏会で、父に許しを請うという提案をする。 フィールズは、エドガーの小説”モルグ街の殺人”や”グロテスクとアラベスクの物語”などの内容が、事件に似ていることを突き止める。 その後、フィールズの元に連れて行かれたエドガーは、世間を騒がしている猟奇殺人事件が、自分の小説の内容と同じだということを知らされる。 フィールズは、エドガーに探りを入れるが、そこに殺人事件の知らせが入る。 拷問されて殺された男は、マダックスが契約しているフリーランスの記者で、エドガーと反りが合わなかったとフィールズに話す。 マダックスは、エドガーにはこんな殺人は出来ないことをフィールズに伝える。 フィールズは、エドガーに”落とし穴と振り子”を参考に殺されたと思われる被害者の死体を見せて、事件解決への協力を要請する。 犯人が、もう一度事件を起こす予告を残している証拠を見せるフィールズに、エドガーは、翌日のハミルトン主催の仮面舞踏会で、それが起きる可能性を指摘する。 ハミルトンに会ったフィールズは、舞踏会が犯人を捕らえるチャンスだと伝える。 ”赤死病の仮面”の内容をハミルトンに伝えたフィールズは、歓迎されないエドガーが、事件解決には必要だと言って彼を説得する。 警察への協力は承諾したハミルトンだったが、エドガーには、舞踏会に顔を出した場合は撃ち殺すと警告する。 エドガーは、舞踏会でのプロポーズを諦めようとするが、エミリーは気にせずに期待する。 舞踏会の日。 エドガーは仮面をつけてエミリーと踊るが、ハミルトンが近づく。 そこに馬に乗った男が押し入り、フィールズに撃たれながら、ある男から預かった伝言を渡す。 エミリーが浚われ、時計の針は12時を差し会場は騒然となる。 犯人の伝言は、エドガーに対する挑戦状でもあり、彼はエミリーを殺してしまったと考えて動揺する。 エドガーは、警戒していたフィールズら警察を責め、現れたハミルトンも怒りを露わにする。 その場にいたエドガーを殴り倒したハミルトは、彼の責任を追求する。 しかしフィールズは、犯人との唯一の接点がエドガーであることをハミルトンに伝える。 その頃エミリーは、箱の中に閉じ込められ怯えていた。 その後、大学の医学部の解剖の授業で、カラスに食い尽くされた娼婦と思われる死体が見つかる。 それを調べたフィールズは、今回も”マリー・ロジェの謎”を参考にしていることをエドガーに確認する。 フィールズに頼まれ執筆を始めたエドガーは、エミリーを必ず救い出すと言って彼女が生存していることをと考えようとする。 マダックスもその作品は気に入り、早速、新聞に掲載する。 その後フィールズは、被害者が娼婦ではなく女優であり、血が小道具だったことをエドガーに知らせる。 エドガーと共に劇場に向かったフィールズは、上演中の劇を中断させて、裏方などを調べる。 フィールズな”モーリス”という男の姿が見えないことを知り彼を追うものの、見つけたのは少年だった。 エドガーはモーリスらしき男を目撃するが、銃を落として暴発させてしまい劇場内は混乱する。 フィールズに、犯人を見たとことを知らせたエドガーは、彼と共に消えた男を捜し、切り落とされた人間の舌を見つける。 エドガーは、状況が”ヴァルデマール氏の病症の真相”の内容に似ていることをフィールズに話すのだが、舌を切断する話ではなかった。 自宅が火事という連絡を受けたエドガーは、放火の可能性があることを知らされる。 箱の中のエミリーは、犯人と言葉を交わすものの出してもらえるはずもなく、精神的に限界に達する。 寝る場所がなくなったエドガーはフィールズの家に向かい、モーリスが水夫で”ロビショー”という姓だと知らされる。 エドガーは、細部まで調べ上げて捜査を進めるというフィールズに、エミリーを助けるため、即行動に移せと声を荒げる。 やれることをするしかないと答えるフィールズは、とにかく水夫の線で捜査を進めることをエドガーに伝え、それに関連する小説を書いたかエドガーに尋ねる。 それを否定するエドガーは、モーリスが働き者で人当たりが好い、フランスに家族もいる男だと言われる。 モーリスが乗る船の名前を聞いたエドガーは、自分の小説の”アモンティリャードの酒樽”と関係していることを伝え、宿敵が、生きたまま地下墓地の壁に埋め込まれる物語だとフィールズに知らせる。 この街に地下墓地はなかったが、エドガーは水路があることに気づく。 水路に向かったエドガーとフィールズ、そして彼の部下らは、手分けをしてエミリーを捜す。 ある場所で男を目撃したフィールズは、それを追うが取り逃がす。 そしてエドガーは、エミリーに扮したモーリスの死体を見つける。 エドガーとフィールズは死体の背中の入れ墨を確認して、舌を抜かれたモーリスの口から懐中時計を取り出す。 それらを参考にした二人は、位置を示していることに気づき、ハミルトンの元に向かい、情況を説明して海図を調べる。 エドガーは、それが海図で見る遠方ではなく、教会であると考えてその場に向かう。 ジョン・カントレル巡査(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)が何者かに首を切られ、フィールズも撃たれる。 エドガーは男を追い、森の中でエミリーの空の墓を見つける。 ハミルトンは全て自分のせいであることを認めてエドガーに謝罪する。 エミリーがまだ生きていることを確信するハミルトンは、エドガーに後を任せる。 胸に弾丸を受けたフィールズは治療を受ける。 エドガーは、最後の力を振り絞り箱から脱出したエミリーの命を結局は救えず、自分が犠牲になる物語を書く。 それを見たマダックスの部下アイヴァン・レイノルズ(サム・ヘイゼルダイン)は、その内容に驚く。 もう一度エミリーの墓に向かい戻ったエドガーは、新聞より先に届いた、記事の内容を知る者のメモを受取る。 新聞が刷られる前に、犯人が記事を読んでいることにエドガーは気づく。 同じ頃フィールズは、犯人が印刷現場と関係していることを知る。 マダックスが犯人であることを確信したエドガーは新聞社に向かうが、彼は殺されていた。 ”答えは近くにある”というメモを見たエドガーは、犯人がアイヴァンであることに気づく。 エドガーは、アイヴァンに銃を発砲して脅し、エミリーの居場所を聞き出そうとする。 自分を殺せばエミリーも死ぬと伝えたアイヴァンは、エドガーに銃を渡すよう求める。 エドガーは仕方なく銃を渡し、アイヴァンに毒を飲むよう指示される。 その頃フィールズは、ハミルトンに連絡を入れて新聞社に向かわせようとする。 エドガーは毒を飲み干し、エミリーの居場所を聞き出せないまま、アイヴァンはその場を去る。 部屋の中にエミリーがいると考えたエドガーは、床板を剥がしてその下に向かう。 自分が書いたものと同じ空間に驚くエドガーは、意識が朦朧となる中、箱を見つけてエミリーを救い出す。 到着したハミルトンはエミリーを救急車に運び、駆けつけたフィールズに、エドガーは無事だと伝える。 公園のベンチに座っていたエドガーは、通りがかった老紳士に話しかけられる。 エドガーは、フィールズに姓は”レイノルズ”だと知らせてくれと紳士に告げる。 紳士はそれを理解できずに立ち去り、エドガーは神に祈りながら天を見つめる。 エドガーは病院に運ばれて死亡が確認され、フィールズは医師から、死因は不明だと言われる。 ”フィールズがレイノルズ”だと、エドガーが口にしたことなどを医師から聞いたフィールズは立ち去る。 その後、エドガーの葬儀が執り行われる。 パリ。
...全てを見る(結末あり)
フィールズは部下達に警戒するよう伝え、ハミルトンはエドガーが現れるかを監視する。
アイヴァンはその場に到着するのだが、待ち構えていたフィールズは、彼を銃撃する。
*(簡略ストー リー)
1849年、メリーランド州、ボルチモア。
謎の猟奇殺人事件が発生し、捜査を担当する警視フィールズは、その状況が推理作家で詩人でもあるエドガー・アラン・ポーの小説内容に似ていることに気づく。
フィールズはエドガーに協力を要請するのだが、再び事件は起きる。
またしても、エドガーの小説を参考にしている事件は、次の犯行も予告される。
エドガーと愛し合うエミリーは、自分の誕生日を祝う仮面舞踏会で、自分達の交際に反対する父ハミルトンに、結婚の許しを請うようにとエドガーに提案する。
舞踏会が次の犯行現場だと知ったエドガーとフィールズは警戒する。
しかし、舞踏会当日、厳重な監視下でエミリーが犯人に連れ去られてしまう・・・。
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40歳の若さで亡くなった小説家エドガー・アラン・ポーの謎の死までの数日間と、同時に起きる猟奇殺人解決までを描くミステリアスな内容は、推理小説ファンには興味深い内容となっている。
エドガー・アラン・ポーの作品を模倣する事件を追う、作者自身の頭脳戦が見所。
しかし、酒やアヘンチンキに溺れる自堕落気味の主人公や刑事との協力関係など、大ヒット作「シャーロック・ホームズ」(2009)を意識しているのかな・・・というような仕上がりが気になる。
凄惨な事件内容を映し出す映像、陰鬱な雰囲気の描写にそれほど新鮮味がなく、それらを反映してか、上映館は一月で大幅に縮小され、興行収入も北米で約1600万ドル、全世界でも3000万ドルで、製作費2600万ドルをようやく回収できる程度に終わってしまった。
主演のジョン・キューザックは、エドガー・アラン・ポーの最後を無難に演じ、彼と共に捜査を進める刑事ルーク・エヴァンズの、舞台の実力者らしい熱演が光る。
囚われの身となる主人公の恋人アリス・イヴ、その父親ブレンダン・グリーソン、新聞社編集長ケヴィン・マクナリー、その部下のサム・ヘイゼルダイン、巡査役のオリヴァー・ジャクソン=コーエン、警部のジミー・ユールなどが共演している。