1965年に発表されたアダム・ホールの小説”The Berlin Memorandum”を、ノーベル賞受賞作家でもあるハロルド・ピンターが脚色した作品。 ベルリンでのネオナチの台頭を懸念したイギリス諜報部SISの活動を描く、監督マイケル・アンダーソン、主演ジョージ・シーガル、アレック・ギネス、センタ・バーガー、マックス・フォン・シドー、ジョージ・サンダース他共演のスパイ・サスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・アンダーソン
製作:アイヴァン・フォックスウェル
原作:アダム・ホール
脚本:ハロルド・ピンター
撮影:アーウィン・ヒリアー
編集:フレデリック・ウィルソン
音楽:ジョン・バリー
出演
ジョージ・シーガル:クィラー
アレック・ギネス:ポル
センタ・バーガー:インゲ・リント
マックス・フォン・シドー:オクトーバー
ジョージ・サンダース:ギブス
ギュンター・メイスナー:ハスラー
エディス・シュナイダー:校長
ピーター・カーステン:ヘンゲル
イギリス 映画
配給 20世紀FOX
1966年製作 105分
公開
イギリス:1967年1月13日
北米::1966年12月15日
日本:1967年2月
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ベルリン。
イギリスの諜報員が何者かに殺され、中東担当のクィラー(ジョージ・シーガル)が、SISイギリス情報局秘密情報部)ベルリン支部長ポル(アレック・ギネス)に呼び出される。
オリンピック・スタジアムでクィラーを待っていたポルは、ネオナチが”平凡な市民”を装い台頭し始め、担当諜報員が2日前に殺されたことを伝える。
ネオナチ組織中枢への潜入をポルに指示されたクィラーは、護衛役のヘンゲル(ピーター・カーステン)に接触する。
殺された諜報員のことを調べ始めたクィラーは、創刊間近の雑誌記者に扮し、戦争犯罪人として逮捕され、自殺した教師の学校を訪れる。
クィラーは、女性教師インゲ・リント(センタ・バーガー)から情報を得ると共に、彼女に心惹かれてしまう。
尾行の気配を感じていたクィラーは、ヘンゲルの監視の目を逃れた直後、何者かに拉致されてしまう。
ネオナチの地下組織リーダー、オクトーバー(マックス・フォン・シドー)の、自白剤を使った尋問を受けたクィラーは、インゲの名前を口にして解放される。 オクトーバーはクィラーを尾行させるが、彼は敵をまいて逃走し安宿に身を潜める。 翌日、ポルの元に案内されたクィラーは、彼から任務の重要さを再認識させられる。 インゲに会ったクィラーは、彼女との愛を確かめ合い、かつてネオナチの一味だった者を知る、インゲの協力を借りようとする。 殺された諜報員の動向を調査中に会ったハスラー(ギュンター・メイスナー)をインゲに紹介されたクィラーは、彼女の学校の校長(エディス・シュナイダー)も仲間だと知らされ、ネオナチのアジトを教えられる。 インゲを残し組織アジトの屋敷に侵入したクィラーだったが、捕らえられオクトーバーに拷問を受けた部屋に連れて行かれる。 オクトーバーは、捕らえていたインゲの元にクィラーを案内する。 しかし、クィラーはインゲのことを知らないと白を切る。 クィラーは情報部の場所を言えば、インゲを連れ帰っていいという条件を、オクトーバーに突きつけられる。 考える時間を与えられたクィラーは、オクトーバーの手下に監視されながら、屋敷を出て街をさ迷いホテルに帰る。 荒らされた部屋に気づいたクィラーは、裏口から抜け出して車で逃走しようとする。 車に仕掛けられていた爆弾を発見したクィラーは、それを爆破して自分が死んだと見せかけ、支部に戻り組織アジトの住所をポルに知らせる。 オクトーバーらが捕らえられたとの報告を受けたポルは上機嫌だったが、クィラーはその中に女がいなかったと知り学校に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ベルリン。
ネオナチの台頭を懸念するイギリス諜報部のSIS支部長ポルは、中東担当の諜報員クィラーを呼び寄せる。
クィラーは、ポルから状況説明を受け、殺された前任者について調べ始める。
その後、クィラーは記者に扮して、戦争犯罪人として逮捕され、自殺した教師の学校を訪れる。
クィラーはそこで、教師インゲから情報を得ると共に、美しい彼女に惹かれてしまう。
しかし、クィラーは何者かに拉致されてしまい、ネオナチの地下組織リーダーのオクトーバーの尋問を受けてしまう・・・。
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拳銃も所持せず派手な行動もしない、地道な潜伏活動を続ける諜報員の姿を、巧みな脚本を生かし、戦慄のスパイ劇に仕上げた、マイケル・アンダーソンの演出が冴える。
そんな中、主人公らのちょっとした表情などにユーモアをまじえ、ナチスのプロパガンダの象徴物オリンピック・スタジアムのロケなども効果的に使われ、冷戦下のベルリンの雰囲気が、平穏な風景を映し出しながらも、緊迫感ある映像として見事捉えられている。
時に007シリーズの音楽を思い起こさせる、ジョン・バリーの楽曲も印象に残る。
生粋のアメリカ人ながら、若手売出し中のスターということもあり、イギリス諜報員を演ずるジョージ・シーガルは、彼らしいウィットに富んだキャラクターも生かし、過酷な任務を遂行していくタフな役柄を好演している。
一つのことに執着しない、スパイの資質が窺える、ラストで見せる表情も実にいい。
諜報員らしくない、人を食ったようなSIS支部長アレック・ギネスの、優雅で隙のない演技と、実はまだ30歳半ば過ぎのマックス・フォン・シドーらの貫禄の名演が、ドラマを引き締める。
クライマックスでネオナチだとわかる、そのギャップが驚きの美しいセンタ・バーガー、出番が少ないのが残念なロンドンで計画を指揮する、SIS高官のジョージ・サンダース、インゲ(S・バーガー)の協力者ギュンター・メイスナーなどが共演している。