6人を王妃にしたイングランド国王ヘンリー8世の私生活を描く、製作、監督アレクサンダー・コルダ、主演チャールズ・ロートン、ロバート・ドーナット、エルザ・ランチェスター、ビニー・バーンズ、マール・オベロン他共演の歴史劇。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アレクサンダー・コルダ
製作
アレクサンダー・コルダ
ルドヴィコ・トープリツ
脚本
ラホス・ビロ
アーサー・ウィンペリス
撮影:ジョルジュ・ペリナール
編集:スティーブン・ハリソン
音楽:クルト・シュレーダー
出演
ヘンリー8世:チャールズ・ロートン
トマス・カルペパー:ロバート・ドーナット
トマス・クロムウェル:フランクリン・ダイオール
アン・オブ・クレーヴズ:エルザ・ランチェスター
アン・ブーリン:マール・オベロン
キャサリン・ハワード:ビニー・バーンズ
ライアススリー:マイルズ・マンダー
ジェーン・シーモア:ウェンディ・バリー
トマス・ペイネル:ジョン・ローダー
トマス・クランマー大司教:ローレンス・ハンレイ
キャサリン・パー:エヴァーレイ・グレッグ
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1933年製作 97分
公開
イギリス:1933年8月17日
北米:1933年9月21日
日本:未公開
製作費 £65,000
■ アカデミー賞 ■
第6回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(チャールズ・ロートン)
・ノミネート
作品賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イングランド国王ヘンリー8世は、6人の妻を娶った。
最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンは、ごく普通の女性であったため離婚したのだが、2番目の妻アン・ブーリンは、その理由が一度目とは違っていた。
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1536年5月19日。
ヘンリー8世(チャールズ・ロートン)は、2番目の妻アン・ブーリン(マール・オベロン)を国王暗殺の容疑及び不義密通の罪で反逆罪に問い、幽閉中のロンドン塔で斬首刑にされるのを待っていた。
侍女キャサリン・ハワード(ビニー・バーンズ)が自分の噂をしていることに気づいたヘンリーは、その内容を聞き彼女が気に入る。 廷臣トマス・カルペパー(ロバート・ドーナット)から処刑の準備が整ったことを知らされたヘンリーは、直後に婚約の公表を予定しているジェーン・シーモア(ウェンディ・バリー)の様子を見てくるよう彼に命ずる。 政局の話をしていたヘンリーは、現れたジェーンを追い払おうとするものの彼女を許し、結婚をするなら頭の弱い彼女のような女に限るとトマスに語る。 時間となり、覚悟を決めたアンは処刑台に向い、いい日よりだと言い残して処刑される。 翌年。 ところが、難産であったジェーンの体力は回復せず、彼女は出産の4日後に亡くなる。 それを知ったヘンリーは、ジェーンの死を哀しみ神に祈りを捧げる。 王子に会ったヘンリーは、何も分からない息子に王位についてを語る。 関係を持つトマスと将来を語るキャサリンは、自分が王妃になっているかもしれないと伝える。 愛もないのに結ばれるのかを問うトマスは、それが全てではないと言うジェーンに対し、愛が全てだと語る。 その後、自分の再婚が噂になっていることを知ったヘンリーは苛立つ。 食事の際、不機嫌なヘンリーは、再婚に関しての皮肉を言い、周囲は黙ってしまう。 歌を要求するヘンリーに対して名乗り出たキャサリンは、見事な歌声を披露し国王を満足させる。 トマスからキャサリンの名前を聞いたヘンリーは、彼女を憶えていることを伝える。 4度目の結婚を口にしたヘンリーは高笑いをして、その場の者達を喜ばせる。 側近トマス・クロムウェル(フランクリン・ダイオール)に子女が増えることが望ましいと助言されたヘンリーは、トマス・ペイネル(ジョン・ローダー)をユーリヒ=クレーフェ=ベルク連合公国のアン・オブ・クレーヴズ(エルザ・ランチェスター)の元に向かわせる。 アンの気持ちを聞いたペイネルだったが、彼女と親密になる。 ハンス・ホルバインの描いたアンの肖像画が届き、ヘンリーはそれを確認して満足する。 しかし、ヘンリーはキャサリンに接近し始め、彼女は嫉妬するトマスを迷惑に思い始める。 見張りの目を気にしながら、夜中にキャサリンの部屋に向かったヘンリーは、王冠を置き男として来たことを彼女に伝える。 単なる男に興味のないと言うキャサリンはヘンリーを追い払おうとするが、国王としての命令なら従うと伝える。 キャサリンは、肖像画しか届いていないものの王妃となるアンの存在を気にする。 アンが海峡を越えたという連絡を受けたクロムウェルは、ヘンリーの居場所をトマスに尋ねるが、キャサリンとの密会を知らされる。 トマスがキャサリンの部屋に向い、アンの到着が近いことを知らされたヘンリーは、仕方なくその場を離れる。 愛するペイネルがいながら王妃にならねばならないアンは、これが知られたら死罪になると言う彼の、それでもかまわないという気持ちと同じだった。 アンとペイネルは、難局を乗り越える方法を考える。 そして、アンと対面したヘンリーは、肖像画とは全く違う彼女を気に入るはずもなく、クロムウェルに言い寄り激怒する。 仕方なくアンを王妃に迎えたヘンリーは、本意でなかったために耐えきれない思いだった。 一方アンは、ペイネルとの愛のため、ヘンリーに嫌われようとする。 祖国のために仕方なく寝室に向かったヘンリーは、アンとカードを始めて賭けをして負けてしまい苛立つ。 早くも離婚話になったヘンリーは、領地と年金、そしてペイネルを執事にすることをアンから要求され、それを承諾する。 その後、国民が国王の再婚を望んでいると聞いたヘンリーは、キャサリンを王妃にする。 ヘンリーはキャサリンとの生活を楽しんでいたが、持病が再発して体調を崩す。 トマスとの愛を優先するべきだったと考えるキャサリンは、手遅れだと彼に言われて悲しむ。 その生活に耐えられなくなったトマスは、キャサリンに別れを告げて国を去ることも考える。 その頃、国王の側近はライアススリー(マイルズ・マンダー)は、キャサリンとトマスの関係に気づく。 それをカンタベリー大司教、トマス・クランマー(ローレンス・ハンレイ)とライアススリーから知らされたヘンリーは激怒し、その後ショックで泣き崩れる。 1543年。 1546年。
...全てを見る(結末あり)
ジェーンは待望の男子エドワードを出産し、それがヘンリーに知らされる。
50歳を過ぎていたヘンリーは、訪ねて来たアンからキャサリン・パー(エヴァーレイ・グレッグ)を紹介され、王妃に迎える。
ヘンリーは、6人の王妃の中で一番良かったのは悪妻だと考える。
*(簡略ストー リー)
1536年。
イングランド国王ヘンリー8世は、普通の女性キャサリン・オブ・アラゴンと離婚までして王妃に迎えたアン・ブーリンを、国王暗殺の容疑及び不義密通の罪で反逆罪に問い処刑する。
直後にジェーン・シーモアを王妃にしたヘンリーは、翌年、待望の王子が生まれたため喜ぶ。
しかし、ジェーンは難産のため数日後に亡くなり、ヘンリーは周囲の再婚の期待に苛立つ。
侍女のキャサリン・ハワードに接近したヘンリーだったが、側近のクロムウェルに勧められ、アン・オブ・クレーヴズを仕方なく王妃に迎える。
本意でない結婚はたちまち解消され、再び再婚を期待する周囲の声を都合よく聞き入れ、ヘンリーはキャサリンと結婚するのだが・・・。
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6人の妻を娶ったイングランド国王ヘンリー8世が、2番目の妻アン・ブーリンを処刑し、6番目の妻キャサリン・パーと晩年を過ごすまでを描く作品。
ヘンリー8世の女性遍歴を描くドラマは、周囲にいる臣下などが彼女らと関係を持ってしまい、それをうまく切り受ける者と容赦なく処刑される者の運命なども描かれ、大筋で歴史的背景に基づ居ている。
自身の威厳を示すため、その印象を強調しようとしたと言われるヘンリー8世の言動は愉快に描かれ、強さを誇示するために格闘家と戦うシーンなどは興味深い。
愛嬌ある表情や人間味も窺える主人公を演ずるチャールズ・ロートンの個性を生かす、アレクサンダー・コルダの職人芸的な演出は見ものだ。
第6回アカデミー賞では、主人公のヘンリー8世を見事に演じたチャールズ・ロートンが、主演男優賞した。
・ノミネート
作品賞
肖像画などによると、その雰囲気がヘンリー8世によく似ているチャールズ・ロートンが、国王の4番目の王妃アン・オブ・クレーヴズ演ずるエルザ・ランチェスターと、実生活では夫婦でありながら、互いを拒み合う姿が実に面白い。
国王の廷臣であるトマス・カルペパーのロバート・ドーナット、同じく側近トマス・クロムウェルのフランクリン・ダイオール、国王の2番目の王妃アン・ブーリンのマール・オベロン、5番目の王妃で、トマス・カルペパーとの関係で処刑されるキャサリン・ハワードのビニー・バーンズ、3番目の王妃ジェーン・シーモアのウェンディ・バリー、6番目のキャサリン・パーのエヴァーレイ・グレッグ、4番目の王妃アン・オブ・クレーヴズと関係する国王の臣下ジョン・ローダー、国王の側近ライアススリーのマイルズ・マンダー、トマス・クランマー大司教のローレンス・ハンレイなどが共演している。