ローレンス・オリヴィエと妻ヴィヴィアン・リー主演で1953年ロンドンのウエスト・エンドで、その後ブロードウェイでも上演されたテレンス・ラティガンの舞台劇の映画化。 製作、監督、主演ローレンス・オリヴィエ、マリリン・モンロー共演によるロマンチック・コメディ。 |
・マリリン・モンロー / Marilyn Monro / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ローレンス・オリヴィエ
製作:ローレンス・オリヴィエ
原作:テレンス・ラティガン
脚本:テレンス・ラティガン
撮影:ジャック・カーディフ
編集:ジャック・ハリス
音楽:リチャード・アディンセル
出演
摂政チャールズ大公:ローレンス・オリヴィエ
エルシー・マリーナ/エルザ・ストルゼンバーグ:マリリン・モンロー
ニコラス:ジェレミー・スペンサー
皇太后:シビル・ソーンダイク
ノースブルック:リチャード・ワッティス
ホフマン:エスモンド・ナイト
サニングデール夫人:マクシーヌ・オードリー
コールボーイ:ハロルド・グッドウィン
メイシー・スプリングフィールド:ジーン・ケント
ファニー:ダフニー・アンダーソン
支配人:チャールズ・ヴィクター
外交官:デヴィッド・ホーン
イギリス 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1957年製作 116分
公開
北米:1957年6月13日
日本:1957年10月
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1911年6月21日、ロンドン。
イギリス国王ジョージ5世の戴冠式に出席する予定である、カルパチア王国ニコラス8世国王(ジェレミー・スペンサー)、皇太后(シビル・ソーンダイク)、そして、国王の父親である摂政チャールズ大公(ローレンス・オリヴィエ)一行が到着する。
大公の侍従役ノースブルック(リチャード・ワッティス)は、全く知識のなかったカルパチアや、気難しい大公についてを知らされ、イギリス外務省から派遣されて接待を始める。
その夜、ミュージカル”ココナッツ・ガール”を観劇した大公は、出演者のエルシー・マリーナ(マリリン・モンロー)に目を留め、夜の夕食会に招待する。
ノースブルックがエルシーを迎えに行くのだが、大公についての説明が、彼女には全く理解できない。
カルパチア大使館を訪れたエルシーは、大公と二人きりの食事だと知り、その場を去ろうとする。 ノースブルックが、何んとかエルシーを引き止めようとしている時に大公が現れ、彼女は、言われるがまま彼の部屋に招かれる。 ところが、エルシーにウォッカとシャンパンを振舞った大公は、その後、食事もせずに雑務を始めてしまう。 一人で食事をしていたエルシーは、ニコラス国王や皇太后と軽い挨拶を交わした後、再び大公と二人になる。 酔いの回ったエルシーは大公を侮辱してしまい、憤慨した彼は、エルシーを追い払おうとする。 冷静になった大公は、恋に飢える胸の内をエルシーに語り彼女に迫る。 召使いにバイオリンまで弾かせてムードを出していた大公だったが、そこにノースブルックが現れる。 ノースブルックは、エルシーとの約束通りに、伯母が入院したという嘘をつき、彼女が帰れるように仕組む。 しかし、酔ったエルシーは、そんな約束も忘れてしまい、大公がノースブルックを追い払う。 大公と恋に落ちるとまで言い始めたエルシーだったが、酔いつぶれてしまい、大公は再び不機嫌になる。 翌朝、戴冠式が迫る中、大公は、エルシーが大使館内に宿泊したのを知り驚き、スキャンダルを恐れる。 そんなことはお構いなく、陽気に振舞うエルシーは大公に愛を語る。 焦った大公は、何んとかエルシーを追い払おうとする。 その後、国王ニコラスがエルシーの元に現れ、彼女は、国王に頼まれて、ドイツ大使館への電話をかける。 ドイツ語で話すニコラスの会話を聞いたエルシーは、それを理解できたことを彼に伝える。 ニコラスは、摂政である父の大公から実権を奪い取る計画を立てていたのだが、それを知ったエルシーに、危険が迫ると警告する。 それを全く気にしないエルシーは、ダンサー仲間メイシー・スプリングフィールド(ジーン・ケント)らに気づき、バルコニーから声をかける。 自分のことをとやかく言われえた大公は憤慨するが、別れの挨拶の代わりとして、エルシーにブローチを贈り、苛立ちながら戴冠式に向かう。 大使館を去ろうとしたエルシーだったが、皇太后に呼び止められる。 皇太后は、エルシーを侍女長として戴冠式に連れて行くと言い出す。 それを知った大公は、エルシーにカルパチア王国の堅忍勲章を授けるよう皇太后に命ぜられる。 エルシーは、別れの時でなくなったこと大公に伝えてブローチを彼に返す。 そしてパレードは始まり、劇場の前を通ったエルシーは、自分に気づいたメイシー達に手を振り、はしゃいでしまう。 そんな奔放なエルシーを見て、厳格な大公も思わず微笑み彼女もそれに応える。 ウェストミンスター寺院。 大使館に戻り、ニコラスがドイツ大使館に電話したことを知った大公は、その夜に開かれる、舞踏会への彼の出席を禁ずる。 エルシーが、ドイツ語を理解することを知った大公だったが、彼女は、ニコラスとの約束で、その内容を話さなかった。 仕方なく大公は、その場を去ると言うエルシーのドレスに、別れの言葉を語りながらブローチをつけてキスする。 ニコラスの舞踏会出席を許可した大公は、彼に相手を探すよう命ずる。 気の進まないニコラスは、エルシーをパートナーに選んでしまい、それを受けた彼女は、大公にブローチを返して、その場を去る。 夜の舞踏会に出席した大公は、エルシーとニコラスを捜すようノースブルックに命ずる。 大公は、二人を見つけてエルシーと踊った後、彼女とニコライを大使館に帰す。 大使館に戻った大公は、エルシーになかなか別れを告げられずにいたが、彼女がニコラスのメモを持参する。 それは、一部の反乱分子の意見は聞かず、父チャールズ大公の下、国民が団結することを願う文書だった。 大公は、政敵を一旦逮捕して解放し、それを全世界に公表することで、支持を得る方法を思いつき、機嫌良くエルシーとの時間を過ごそうとする。 愛情や政治について、率直に意見を述べるエルシーを、大公は愛しく思うようになる。 翌朝、自分に愛情を示す父を不審に思うニコラスは戸惑い、現れたノースブルックにそれを伝える。 大公は、エルシーを密かにカルパチアに招くことを決意し、ノースブルックに、その用意をするよう指示する。 18ヵ月後にニコラスに政権に譲ることを、大公はエルシーに伝え、彼女を呼び寄せることは話さずに、ドレスに別れのブローチをつける。 現れた皇太后は、エルシーに感謝して勲章を授け、その場を去る。 そして、大公ら一行はカルパチアに向かい、エルシーは劇場に戻る。
...全てを見る(結末あり)
戴冠式が始まり、エルシーは、荘厳なその雰囲気に圧倒されて感激の涙を流す。
*(簡略ストー リー)
ヨーロッパの小国カルパチア国王ニコラス一行が、イギリス国王ジョージ5世の戴冠式出席のためロンドンを訪れる。
ニコラス国王の父で摂政のチャールズ大公は、気難しい性格でありながら、寂しさを紛らすために、舞台女優のエルシー・マリーナを大使館に招く。
ほんの遊びのつもりの大公は、用の済んだエルシーを返そうとするが、上品さのかけらもない彼女は、意外にも国王や皇太后に気に入られてしまう。
何とかエルシーに別れを告げようとする大公だったが、彼の愛情や、公務に対する考えに率直に意見する彼女に、大公は次第に心を奪われていく。
そして、立場上スキャンダルを避けようとする大公は、エルシーとの愛を手に入れる秘策を考える・・・。
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ローレンス・オリヴィエ自身のための舞台劇だけに、製作、監督、主演を兼ねた彼の意欲作で、ロンドンという土地柄に全くそぐわない雰囲気ではあるが、とてつもないインパクトのあるヒロイン、マリリン・モンローを起用した異色のロマンチック・コメディ。
本作製作の舞台裏を描いた「マリリン 7日間の恋」(2011)を参考にすると一層興味深く観れる。
重厚さの中からユーモアを醸し出す絶妙な演技を見せるローレンス・オリヴィエは圧巻で、厳格さと気品漂う、彼の物腰やセリフ回しは、見事としか言いようがない。
本作で癇癪を起こす場面が多々あるオリヴィエだが、「マリリン7日間の恋」でも描かれているように、トラブル続きのマリリン・モンローに対して怒りをぶつけているようにも見える・・・。
場所がロンドンに変わっても、ほとんどいつもの彼女そのもののイメージで登場するところがポイントであるマリリン・モンローの、愛らしい笑顔は輝いている。
前年の「バス停留所」(1956)で演技派としての評価を得て挑んだ、彼女の魅力を堪能できる。
少年国王のジェレミー・スペンサー、皇太后を貫禄で演ずる大ベテランのシビル・ソーンダイク、イギリス外務省から派遣される大公の接待役であるリチャード・ワッティス、侍従役のエスモンド・ナイト、大公と親しい婦人マクシーヌ・オードリー、ヒロインのダンサー仲間ジーン・ケント、ダフニー・アンダーソン、劇場支配人役のチャールズ・ヴィクター、外交官デヴィッド・ホーンなどが共演している。