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ポセイドン・アドベンチャー The Poseidon Adventure (1972)

1969年に発表された、ポール・ギャリコ同名小説を基に製作された作品。
津波で転覆した豪華客船生存者の脱出劇を描く、製作アーウィン・アレン、監督ロナルド・ニーム、主演ジーン・ハックマンアーネスト・ボーグナインレッド・バトンズロディ・マクドウォールステラ・スティーヴンスシェリー・ウィンタースレスリー・ニールセン他共演による、1970年代に流行したパニック映画の代表的な作品で、ハリウッド映画の底力を全世界に証明した大作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


アクション/アドベンチャー


スタッフ キャスト ■
監督:ロナルド・ニーム

製作:アーウィン・アレン
原作:ポール・ギャリコThe Poseidon Adventure
脚本
スターリング・シリファント
ウェンデル・メイズ
編集:ハロルド・F・クレス
撮影:ハロルド・E・スタイン
美術・装置
ウィリアム・J・クレバー
ラファエル・ブレトン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
主題歌:”The Morning After
歌:モーリン・マクガバン

出演
フランク・スコット牧師:ジーン・ハックマン
マイク・ロゴ刑事:アーネスト・ボーグナイン
ジェームズ・マーティン:レッド・バトンズ
ノニー・パリー:キャロル・リンレイ
リンダ・ロゴ:ステラ・スティーヴンス
ベル・ローゼン:シェリー・ウィンタース
エイカーズ:ロディ・マクドウォール
マニー・ローゼン:ジャック・アルバートソン
スーザン・シェルビー:パメラ・スー・マーティン
ロビン・シェルビー:エリック・シーア
ハリソン船長:レスリー・ニールセン
ジョン牧師:アーサー・オコンネル

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1972年製作 117分
公開
北米:1972年12月12日
日本:1973年3月
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $84,563,120


アカデミー賞 ■
第45回アカデミー賞

・受賞
歌曲”The Morning After
視覚効果賞(特別賞)
・ノミネート
助演女優(シェリー・ウィンタース
編集・撮影・美術・作曲
録音・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
大晦日を迎え、豪華客船ポセイドンが、ニューヨークからギリシャアテネに向かって船旅を続けていた。

ハリソン船長(レスリー・ニールセン)は、折からの高波に細心の注意を払いながら航行していたが、船の重心が高いことを心配していた。

乗客で、ニューヨーク市警の刑事マイク・ロゴ(アーネスト・ボーグナイン)は、妻リンダ(ステラ・スティーヴンス)の具合の悪さを診察に来た医師に、船酔いだと言われ癇癪を起こす。

嵐も止み、フランク・スコット牧師(ジーン・ハックマン)は、自ら考える自由な信仰についてをジョン牧師(アーサー・オコンネル)に熱く語るのだが、彼はそれを受け入れられない。

天候回復の連絡を受け、船主の代理人は予定の遅れを取り戻すため、船のスピードを上げるようハリソン船長に指示する。
...全てを見る(結末あり)

船長は、船の不安定さを指摘して警告するが、全速前進を命ぜられ、仕方なくそれに従う。

両親の元に向おうとしていたスーザン・シェルビー(パメラ・スー・マーティン)は、船の構造などに興味を持つ弟ロビン(エリック・シーア)を連れ、スコット牧師の礼拝に向う。

そしてスコット牧師は、努力をして戦う者が神の導きを得られるという説教をする。

パーティーで船長と同席できることになったロゴは、自分が6回も逮捕した元娼婦リンダが、船員の中に、客だった男がいると言って人前に出るのを拒んだため困惑する。

その後、船内では、ニューイヤーズ・イヴのパーティーが開かれ、孫に会いに行く夫妻のマニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)とベル(シェリー・ウィンタース)が健康管理に異常なほど気を使う、雑貨商のジェームズ・マーティン(レッド・バトンズ)を相手に、楽しい時を過ごしていた。

その頃、地中海航行中のポセイドンに、ギリシャクレタ島沖で地震が発生し、大津波が接近する可能性が出てきた。

ロゴのためにパーティーに出席したリンダに、ハリソン船長は、船名の海洋を司る神”ポセイドン”が、天災や地震をもたらすことなどを説明していた。

そこに、ブリッジから船長に緊急連絡が入り、彼は津波が接近しつつあるということを知らされる。

パーティー会場ではカウントダウンが始まり、そして新年を迎え、盛り上がりは最高潮に達する。

しかし、巨大な水の壁が迫り船は傾き始め、そして津波が直撃した船は転覆してしまう。

天井と床が逆さまになった船内は大混乱となり、その時点で、多数の死者を出す大惨事となる。

スーザンが頭上のテーブルに取り残され、スコットは生存者達で布を張り、落下した彼女を受け止めて助ける。

客室乗務員エイカーズ(ロディ・マクドウォール)も、上部に取り残されていたため、スコットらは彼を助けようとする。

しかしマーティンは、船が転覆している現状では上部、つまり船底に向かうべきだと提案する。

ロゴはそれを安易な考えだと言うが、船に詳しいロビンが、プロペラ・シャフト室の鉄板が、2.5センチしかないことを指摘する。

スコットはそれを信じ、倒れているクリスマス・ツリーを立て、エイカーズのいる場所に向おうとする。

それを命令されたロゴはスコットに反発するが、リンダに、行動するようにと言われ仕方なく作業を手伝う。

先頭を切ったロビンは、簡単にツリーを登りエイカーズの元にたどり着きスーザンも続く。

マーティンは他の乗客を説得するが、パーサーは、動かない方が助かる可能性があると言い張る。

肥満体のベルは夫マニーに別れを告げるが、スコットに促されてツリーを登り始める。

マーティンは、兄を亡くしたバンド歌手ノニー・パリー(キャロル・リンレイ)を慰めて彼女を同行させる。

ロゴとリンダも続き、スコットはジョン牧師を説得するが、彼は生存者と残ることを告げる。

他の生存者はパーサーの指示に従い、その場を動かない方が得策だと判断し、留まることを決める。

仕方なくスコットはツリーを上り、乗客らに最後の説得をするが、船内で爆発が起き浸水が始まる。

残った乗客らはパニックとなり、一斉にツリーに群がったためにそれが倒れ、残された者の悲痛な叫び声を聞きながら、スコット達は船底を目指して前進を始める。

一行はエイカーズの指示に従い調理場に向かい、スコットがそこを通れることを確認するが、浸水も進行する。

その後一行は、換気塔を通り従業員通路”ブロードウェイ”に向おうとする。

しかし、足を負傷していたエイカーズが爆発の揺れで落下し、ロゴが水中に飛び込むが、彼を助けることは出来なかった。

”ブロードウェイ”にたどり着いたスコットは、船首に向おうとする生存者を見つけて引きとめようとするが、彼らは機関室が爆発したと言って聞く耳を持たない。

スコットは、エイカーズが死んだことでロゴを責め、彼はそれに反論し、船首に向うことが正しいかもしれないと主張する。

しかし、スコットが単独で船尾を確認し、向えることが確認できれば、行動を共にすることでロゴは納得する。

ロゴは15分待つことをスコットに告げ、その間、一行は必要なものを調達することにする。

スコットに心惹かれていたスーザンは、彼の後を追って行動を共にする。

あるハッチからスコットはエンジンルームに向かい、戻らなければロゴに従えと言われたスーザンは、泣きながら一行の元に戻る。

ロゴは船首に向おうとしするが、そこにスコットが戻り、一行はエンジンルームに向う。

しかし、ロビンの姿が見えなくなり、スコットはハッチの場所を知るスーザンに案内を任せてロビンを捜す。

ロビンを見つけたスコットは、溢れる水に溺れそうになりながらハッチにたどり着く。

エンジンルームに向かうため、浸水した水中を約10m通らねばならず、かつて潜水大会で優勝したことがあるベルが、その先導を志願する。

スコットはそれを制止して水に飛び込むが、途中、鉄板の下敷きになってしまう。

異変に気づいたベルは、スコットの元に向かい彼を救い出すが、彼女は心臓発作を起こして息を引き取る。

二人からの合図がないため、様子を見に行ったロゴは、ベルが亡くなったことを知り、彼女の勇気を称えながら一行の元に戻る。

妻ベルに何かがあったことを察したローゼンは、咄嗟に水に飛び込む。

一行はロープを伝い、水中を通り抜けることに成功する。

ベルの死を知ったローゼンは泣き崩れ、彼女の死は、一行に悲しみとショックを与える。

絶望したローゼンはベルと共に残ることをスコットに伝えるものの、彼は、孫に渡してほしいとベルから預けられたペンダントを渡し、ローゼンを勇気付ける。

船底の鉄板が一番薄い、プロペラ・シャフト室の手前まで到着した一行は最後の難関に挑み、スコットに励まされたローゼンも後に続く。

しかし、突然起きた爆発で船体が傾き、その影響でロゴの妻リンダが落下死してしまう。

ロゴはスコットを責め、わめき散らしながら泣き崩れてしまう。

更に、プロペラ・シャフト室に通ずる扉前のスチーム・パイプが破裂し、蒸気が噴き出し始める。

それを見たスコットは、神の仕打ちに対して怒りを露にし、スチームバルブにしがみつき蒸気を止めようとする。

蒸気を止めたスコットはロゴに後を託し、力尽きて落下し水中に消えていく。

スーザンは、スコットの死を見て絶叫して取り乱してしまうが、マーティンが彼女をなだめる。

さらにマーティンは、リンダの死でうなだれるロゴに、先導して責任を果たすよう行動を促す。

冷静さを取り戻したロゴは、一行を率いてプロペラ・シャフト室にたどり着く。

一行は物音がするのに気づき、ロゴとマーティンがパイプで船底を何度も叩くと、外から反応があり、ロゴはスコットが正しかったことを認める。

鉄板はガスバーナーで焼き切られ、その火を見ながら、ロゴはリンダのことを想う。

そして、生き残った6人は、転覆したポセイドンの船底に這い上がり、ヘリコプターで救助される。


解説 評価 感想 ■

参考:
・「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)
・「ポセイドン・アドベンチャー2」(1979)
・「ポセイドン」(2006)

*(簡略ストー リー)
ニューヨークからギリシャに向っていた豪華客船ポセイドンだったが、地中海で起きた地震による津波が、不安定な船体を直撃し、船は転覆してしまう。
努力して戦う者が神に導かれると信ずる生存者のスコット牧師は、乗客マーティンと、船に詳しい少年ロビンが、船底に向うべきだと意見したためそれを支持しする。
それに同調した者達を引き連れたスコットは、刑事ロゴらの協力を得ながら、鉄板が一番薄い船底のプロペラ・シャフト室に向おうとする。
しかし、スコット達の行く先には、幾度もの危険が待ち構え、何人もの犠牲者を出してしまう・・・。
__________

本作の大ヒットにより、続編「ポセイドン・アドベンチャー2」(1979)が公開され、2006年にも「ポセイドン」リメイクされるが、残念ながら両作共に本作の足元にも及ばない作品に終わってしまった。

第45回アカデミー賞では、歌曲、視覚効果賞(特別賞)を受賞した。
・ノミネート
助演女優(シェリー・ウィンタース
編集・撮影・美術・作曲
録音・衣装デザイン賞

大掛かりなセットの割には製作費は500万ドルに抑えられ、それに対し北米興行収入は約8500万ドルという大ヒットとなった。

船が転覆するということ自体にはそれほどの驚きはないが、実際に上下が逆さまの状態を映像で見ると、その異常さがよく伝わり、発想の着眼点の素晴しさと、現実的に見せたその描写は見事だ。

本作は、単なるパニック映画ではなく、確たるテーマがある。

留まるか前進するか、迷った時は前進し、行動するか否かの時には行動することを信念とする、主人公スコット牧師に導かれる者だけが、結局は救われることになるという、即行動し信念を貫くことが尊いというテーマが、力強いこの物語を支えている。
もちろんそれに伴う犠牲もあり、乗り越えられた者が救われるという、人間の運命や、潜在的に持つ勇気や逞しさを発揮できる可能性も、きっちりと描かれている。

当時、パニック映画も多く手がけtれいたジョン・ウィリアムズの音楽うあ、大ヒットした主題曲”TheMorning After”(アカデミー歌曲賞受賞:モーリン・マクガバン)も忘れ難い名曲だ。
*劇中で主題曲はキャロル・リンレイが歌うが吹き替え。

フレンチ・コネクション」(1971)でアカデミー主演賞を受賞したジーン・ハックマンの”進歩的型破り”な意志の強い牧師役は、やや強引にも思えるが、危機に立ち向かおうとする強さの象徴的人物として、それを熱演し、その統率、実行力に、見ている者も励まされる。

共演陣では、粗暴だが人間味があり憎めない刑事アーネスト・ボーグナインの圧倒的迫力、いつものユーモラスな演技に加え、優しさをにじませるレッド・バトンズ、また、アカデミー助演賞にノミネートされ、水中シーンも見事にこなしたシェリー・ウィンタースらが特に印象に残る。

彼らを含め、出演者達の体を張った演技、役者魂には頭が下がる思いだ。

兄を亡くしたショックから、足手まといになりながらも生き残る歌手役のキャロル・リンレイ、ロゴ(A・ボーグナイン)の妻で夫を叱咤しながら行動して、あと一歩で命を落としてしまうステラ・スティーヴンス、同じく犠牲になる客室乗務員のロディ・マクドウォール、妻(S・ウィンタース)を励ましながらも彼女を失い、結局は生き残る努力をするジャック・アルバートソン、スコット牧師(G・ハックマン)に心を寄せるパメラ・スー・マーティン、その弟で船に詳しい彼の知識が生存への道を切り開くエリック・シーア、船主側と対立する船長レスリー・ニールセン、スコット牧師の信仰に対する考えに賛同できない牧師アーサー・オコンネルなどが共演している。


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