西部開拓時代のガンマン、ワイルド・ビル・ヒコックとカラミティ・ジェーンの関係、銃の密売人の追跡、先住民との戦いを描く、製作、監督セシル・B・デミル、主演ゲイリー・クーパー、ジーン・アーサー、ジェームズ・エリソン、チャールズ・ビックフォード他共演の西部劇。 |
・西部劇
・アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:セシル・B・デミル
製作:セシル・B・デミル
原作:フランク・J・ウィルスタック”Wild Bill Hickok, the Prince of Pistoleers”
原案:コートニー・ライリー・クーパー
脚本
ウォルデマー・ヤング
ハロルド・ラム
リン・リッグス
撮影:ヴィクター・ミルナー
編集:アン・ボーチェンズ
音楽:ジョージ・アンタイル
出演
ワイルド・ビル・ヒコック:ゲイリー・クーパー
カラミティ・ジェーン:ジーン・アーサー
ウィリアム”バッファロー・ビル”コーディ:ジェームズ・エリソン
ジョン・ラティマー:チャールズ・ビックフォード
ルイーザ・コーディ:ヘレン・バージェス
ジャック・マッコール:ポーター・ホール
ペインテッド・ホース:ヴィクター・ヴァルコニ
イエロー・ハンド:ポール・ハーヴェイ
ジョージ・アームストロング・カスター:ジョン・ミルジャン
エイブラハム・リンカーン:フランク・マクグリンSr.
インディアン:アンソニー・クイン
ウッド大尉:パーネル・プラット
メリット将軍:ジョージ・マケーリー
少年:ジョージ・アーネスト
ブリージー:ジョージ”ギャビー”ヘイズ
アンダーソン:フランシス・フォード
住人:ハンク・ウォーデン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1936年製作 113分
公開
北米:1936年11月16日
日本:1937年3月
製作費 $1,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1865年4月15日、ワシントンD.C.。
南北戦争は終わり、大統領のエイブラハム・リンカーン(フランク・マクグリンSr.)は、退役する兵士たちのために西部の地で仕事を与えることを考え、その安全を確保しようとする。
妻メアリーと共に”フォード劇場”に向かうリンカーンは、この件は明日、改めて話し合うことを側近たちに伝えてその場を去る。
武器製造会社は供給先を失い、新たなマーケットを探すことを考え、先住民に武器を売ることを考える。
白人を襲うかもしれないために安全面の問題はあるが、その価値はあると考え、売人のジョン・ラティマー(チャールズ・ビックフォード)を西部に派遣することにする。
大統領に知られた場合のことをが話し合われるが、リンカーンがフォード劇場で撃たれたという報せが入る。
セントルイスに向かう指示を受けたラティマーは、農具販売業者を装い荷物を運ぶことになる。 北軍退役軍人のワイルド・ビル・ヒコック(ゲイリー・クーパー)は、その場にいた少年(ジョージ・アーネスト)に、友人であるウィリアム”バッファロー・ビル”コーディ(ジェームズ・エリソン)の武勇伝を語る。 オルゴール付きの懐中時計を少年に見せたヒコックは、スカウト時代の写真に一緒に写る恋人カラミティ・ジェーン(ジーン・アーサー)のことを話す。 その場に現れたコーディに気づいたヒコックは再会を喜び、少年に話していた本人を紹介する。 コーディと妻ルイーザ(ヘレン・バージェス)と共に蒸気船に乗り込んだヒコックは、投げたナイフを少年に譲る。 乗客のジャック・マッコール(ポーター・ホール)に話しかけられたヒコックは、初めて見る、彼が吸っている紙巻きたばこのことが気になる。 その夜、ヒコックと話したルイーザは、自分が夫の力になれると思うかを尋ね、優秀なスカウトであるコーディは、平凡な男のままではいられないと正直に答える。 ルイーザから、二人で小さな宿を始めるつもりだと言われたヒコックは驚き、ポーカーで困っている様子のコーディのテーブルに向かう。 妻が待っているとコーディに伝えて席を代わったヒコックは、負け続けてしまい、チップがなくたったために時計を賭ける。 相手の男のイカサマを見抜いたヒコックは銃を向けて、帽子に隠してあったカードを確認しながら名を名乗る。 名前を聞いて驚く男のチップを巻き上げたヒコックは、彼を脅す。 周囲の男たちが話す、ヒコックのガンマンとしての腕を知ったルイーザは、それをコーディに確認する。 カンザス州、レブンワース。 コーディが荷物を取りに行っている間にルイーザと船を降りたヒコックは、農地などない場所に農具を運ぶラティマーを不審に思う。 カラミティに歓迎されたヒコックだったが、ルイーザを恋人だと思われ、彼女を相手にする気にならない。 駅馬車の御者をするカラミティは、自分に気づいたコーディから声をかけられ、妻のルイーザを紹介される。 ヒコックも乗せたカラミティは、ヘイズ・シティに向かい出発する。 途中、先住民に襲われた友人でスカウトのブリージー(ジョージ”ギャビー”ヘイズ)を救ったヒコックは、第7騎兵隊の連隊長ジョージ・アームストロング・カスター(ジョン・ミルジャン)の元に向かう。 ブリージーを助けたことや先住民の動向をカスターと話したヒコックは、シャイアンの酋長イエロー・ハンド(ポール・ハーヴェイ)の居場所を考える。 パイニー砦が襲われたという報告を受けたカスターは、銃弾1万発を届ける準備をさせる。 スカウトにはコーディが適任だと考えたカスターは、彼を呼ぶことをヒコックに指示する。 イエロー・ハンドを追う命令を受けたヒコックは、コーディの家に向かう。 食料を持ってきてくれたカラミティと話していたコーディは、現れたヒコックから、パイニー砦に銃弾を運ぶ任務が待っていると言われる。 シャイアン1000人に騎兵隊48人で対抗すると言われたコーディは、弾薬を運ぶルートの案内に自分が必要だというカスターの考えを知る。 夫は軍を離れたと言ってヒコックに意見するルイーザだったが、コーディは任務に就くつもりだった。 一人でイエロー・ハンドを追うつもりのヒコックを見送るしかなかったカラミティは、役目を果たせるのは自分しかいないと言って出発したコーディの無事をルイーザと共に祈る。 悲しむルイーザが妊娠していることを知ったカラミティは、彼女を抱きしめる。 その夜、ルイーザからドレスをもらったカラミティは、先住民が外にいることに気づく。 それをルイーザに知らせたカラミティは、彼女を町に向かわせようとして、出陣の化粧をした先住民のことを知らせるよう指示する。 シャイアンのペインテッド・ホース(ヴィクター・ヴァルコニ)らが現れ、彼らの相手をするカラミティだったが、ルイーザが馬で走り去ったことを知られてしまう。 兵士のことを訊かれるものの何も話さなかったカラミティは、ペインテッド・ホースらに連れ去られる。 カラミティがシャイアンに捕らえられていることを知ったヒコックは、その場に向かいペインテッド・ホースと話し、時計と銃を渡して彼女と交換する。 イエロー・ハンドの元に連れて行かれることになったヒコックは、思い通りになったとカラミティに伝える。 コーディに子供が生まれることをカラミティから知らされたヒコックは、時計と銃を渡したのは自分のためかと訊かれ、イエロー・ハンドに会うためだと答える。 ラティマーの銃を受け取ったイエロー・ハンドは、連れて来られたヒコックと話し、白人は約束を守らなかったと言われる。 その場にあったラティマーの荷物が銃であることに気づきながら、ヒコックは、部隊が弾薬を運んでいることを知るイエロー・ハンドから、その場所を訊かれる。 ペインテッド・ホースは、時計の写真がヒコックとカラミティだと気づきイエロー・ハンドに見せる。 それを知ったカラミティは、ヒコックが自分を想ってくれていたことを知り喜ぶ。 騎兵隊の通過地点を話すよう二人を脅したイエロー・ハンドとペインテッド・ホースは、その場を去る。 ラティマーの銃のことをカラミティに話したヒコックは、7連発の最新型であるために軍の銃よりも性能がいいと伝える。 二人が犠牲になれば大勢の人々が助かると言うヒコックだったが、死にたくないカラミティは彼に愛を伝える。 現れたイエロー・ハンドから時間切れだと言われたヒコックは、カラミティに愛を告げて連れて行かれる。 ヒコックは火あぶりにされそうになり、カラミティを脅すイエロー・ハンドは、武器が運ばれる場所を訊く。 何も話すなと言いながら火あぶりになるヒコックを見捨てられないカラミティは、部隊がディープバレーを通ることをイエロー・ハンドに教えてしまう。 ディープバレー。 カラミティを許す気になれないヒコックは、何も知らないコーディに、危険を知らせようとして叫び声をあげる。 何かを感じたコーディは警戒するが、シャイアンの攻撃を受ける。 シャイアンの戦士を倒し馬を奪ったヒコックは、自分が話したことにするようにと言って、カラミティをカスターの元に向かわせる。 劣勢のコーディは、敵が新型の連発銃を使っていると考え、逃げてくるヒコックを助けるために援護する。 ヒコックは陣地にたどり着き、イエロー・ハンドが自分たちのことを知っていたことを、コーディは不思議に思う。 ヒコックから父親になることを知らされたコーディは驚き、ルイーザから聞いたカラミティが話していたと言われる。 カラミティとヒコックがどこで話をしたのか疑問に思うコーディは敵に額を撃たれてしまう。 ヒコックからかすり傷だと言われたコーディは、手当てをしてもらう。 カスターに伝令を送ろうとした指揮官のウッド大尉(パーネル・プラット)は、既にカラミティを送ったことをヒコックから知らされる。 カスターの元に向かいすべてを話したカラミティは、裏切り行為を責められるものの反論できなかった。 孤立しながら数日間持ち堪えた部隊は、シャイアンの総攻撃を受ける。 ペインテッド・ホースを倒したヒコックは、時計を取り戻す。 多くの死者を出すものの、ヒコックらは援軍が近づいたことに気づき、カスターの部隊に襲われたシャイアンは撤退する。 カラミティがカスターに報告したおかげだとコーディ伝えたヒコックは、時計のオルゴールを聴きながら彼女を想う。 シャイアンに情報を流したことで人々から責められるカラミティだったが、一人で男たちに対抗する。 そこにヒコックが現れ、銃を売った者を探すべきだと皆に伝えてその場を鎮める。 銃の件に気づいているヒコックに、命を狙われていることをマッコールから知らされたラティマーは警戒し、その場にいた協力者の兵士三人を奥の部屋に隠す。 現れたヒコックから、イエロー・ハンドが”農具”を使っていたと言われたラティマーは、決着をつけるために外で待つと言われる。 兵士たちに1000ドル払うと伝えたラティマーは、ヒコックを殺すための手助けさせようとする。 危険を察知しカラミティを追い払ったヒコックは、現れた三人の兵士を倒す。 腕を撃たれたヒコックは、駆け付けたコーディに介抱され、彼の家に向かう。 傷の手当てをするコーディは、ルイーザから人殺しを連れたきたと言われ、気を遣ったヒコックは去ろうとする。 コーディは、兵士三人を殺したことで追われる立場となるヒコックのことを心配する。 自分は殺し屋ではないとルイーザに伝えたヒコックは、理由なく銃を手にすることはないと話す。 銃を捨てるようにと言われたヒコックは、ラティマーを見つけるまでは無理だとルイーザに伝える。 その頃、銃を馬車に積んだラティマーは、町を出ようとする。 現れたカラミティからお尋ね者になったと言われたヒコックは、カスターの指示で捜索隊が向かっていることを知らされる。 ラティマーは馬車で逃げたと言われたヒコックは、今は捜索隊から逃げるべきだとカラミティに説得されるものの、銃をさばく前に見つけなけらばならないと伝える。 そこに現れた兵士から、カスターへの協力を求められたコーディは、スー族を追う命令を受けたと言われて同行しようとする。 身を隠していたヒコックは、コーディとルイーザに感謝してその場を去り、カラミティに別れを告げる。 その後、森の中でヒコックと出くわしたコーディは、捕らえに来たと言いながら、出産のために里帰りしたルイーザの話などをする。 そこに、痛んだ第7騎兵隊旗を持った先住民(アンソニー・クイン)が現れ、彼を捕らえたヒコックとコーディは、カスターの部隊が全滅したことを知る。 シャイアンがスー族の”シッティング・ブル”と合流し、ラティマーが銃を運んでいることを知ったヒコックは、メリット将軍(ジョージ・マケーリー)にこの件を知らせるようにとコーディに伝えてデッドウッドに向かう。 サウスダコタ州、デッドウッド。 床屋で風呂に入ったヒコックは、農具を積んだ荷馬車を見なかったか店主に尋ねる。 この町では誰も畑を耕さないと言われたヒコックは、酒場に向かいカラミティと再会する。 コーディに会い、ここで会う約束をしたとカラミティに話したヒコックは、この町が最後の地になるような気がすると伝える。 ガンマンの時代は終わると言っていたコーディは正しいと話すヒコックは、そこに現れたマッコールがラティマーに密告したことをカラミティから知らされる。 焦るマッコールは店を出て、ラティマーにヒコックが酒場にいることを知らせる。 仲間を呼べと言われたマッコールはラティマーの名前を叫んでしまい、それを聴いたヒコックは、窓から外を見て彼を確認する。 嫌な予感がすると言うカラミティに時計を預けたヒコックは、通りに出て、ラティマーに話しかけて馬車の荷物を確かめようとする。 銃を抜いたラティマーを射殺したヒコックは、仲間の男たちとマッコールを酒場に連れて行く。 コーディと騎兵隊の到着を待つとカラミティに伝えたヒコックは、その間、男たちとカードをしようとする。 カードを用意したマッコールは、引き出しの中に銃があることを確認する。 町の人々は酒場の中を気にするが、外を見張っていたカラミティは、カードを始めたヒコックが心配になり店に入る。 デッドウッドに向かうコーディは、銃の密売の件をヒコックが解決したら、政府が寛大な処置をすると思うかメリット将軍に尋ねる。 メリットは、情状酌量の余地があれば考慮するだろうと答える。 現れたスカウトのチャーリーからナイフを奪ったヒコックは、一度、殺されかけたと男たちに話す。 ヒコックを殺せば名が挙がるという男の話を聞いたマッコールは、チャンスを窺う。 騎兵隊のラッパが聴こえ、焦る男たちに銃を向けて座らせたヒコックは、メリットとコーディを連れてくるようにとカラミティに指示する。 銃を手にしたマッコールは背後からヒコックを銃撃し、男達と共に逃げる。 到着した騎兵隊に包囲されたマッコールらは捕らえられる。 コーディは、息を引き取ったヒコックを抱きながら泣き崩れるカラミティに寄り添う。
...全てを見る(結末あり)
ラティマーは、到着した船に積まれている”農具”(銃)を運ぶ。
騎兵隊を確認したイエロー・ハンドは、約束を通りヒコックとカラミティを解放し、戦いに備える。
酒場でバーテンダーをしていたカラミティは、現れたマッコールと話し、ラティマーにヒコックのことを密告した件を追及する。
*(簡略ストー リー)
1865年。
南北戦争は終わり、供給先を失った武器商人は先住民に銃を売ることを考え、代理人としてラティマーを西部に派遣する。
北軍の退役軍人ワイルド・ビル・ヒコックは、西部に向かう途中で、ラティマーが運ぶ”農具”を見て不審に思う。
友人のウィリアム”バッファロー・ビル”コーディと妻ルイーザと共に蒸気船で西に向かったヒコックは、カンザス州、レブンワースで恋人のカラミティ・ジェーンと再会する。
7騎兵隊の連隊長カスターに会ったヒコックは、シャイアンに襲われ孤立した砦に弾薬を運ぶ任務をコーディに伝え、酋長のイエロー・ハンドを捜す命令を受けるのだが・・・。
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1934年に発表された、フランク・J・ウィルスタックの物語”Wild Bill Hickok, the Prince of Pistoleers”を基に製作された作品。
セシル・B・デミルが製作を兼ねた監督作品であり、ゲイリー・クーパーとジーン・アーサーが、西部開拓時代のガンマン、ワイルド・ビル・ヒコックとカラミティ・ジェーンを演じたことで大いに話題になった作品。
ゲイリー・クーパーとジーン・アーサーは、7か月前に公開された「オペラハット」(1936)でも共演している。
西部開拓史上に残る伝説のガンマン、ワイルド・ビル・ヒコックとカラミティ・ジェーン、二人と関係するウィリアム”バッファロー・ビル”コーディ、7騎兵隊の連隊長のジョージ・アームストロング・カスターや大統領エイブラハム・リンカーンなども登場する西部劇の大作としてまずまず楽しめる作品。
しかし、見栄えのする役者に支えられているだけという内容で、セシル・B・デミルの演出は大味であり、見せ場はあるものの、ワイルド・ビル・ヒコックの暗殺が描かれるクライマックスもそれほど盛り上がらずに終わってしまう。
主演のゲイリー・クーパーは、人間味を感じさせるワイルド・ビル・ヒコックの晩年を好演し、カラミティ・ジェーン役のジーン・アーサーは、彼を上回る印象的な役柄を熱演している。
主人公の友人であるウィリアム”バッファロー・ビル”コーディのジェームズ・エリソン、その妻ルイーザのヘレン・バージェス、武器商人の依頼で先住民に銃を売るチャールズ・ビックフォード、ワイルド・ビル・ヒコックを暗殺するジャック・マッコールのポーター・ホール、シャイアンの戦士ヴィクター・ヴァルコニ、酋長のポール・ハーヴェイ、7騎兵隊の連隊長ジョージ・アームストロング・カスターのジョン・ミルジャン、エイブラハム・リンカーン役者として知られるフランク・マクグリンSr.、翌年、セシル・B・デミルの娘キャサリンと結婚する先住民役のアンソニー・クイン、騎兵隊大尉のパーネル・プラット、将軍のジョージ・マケーリー、主人公と知り合う少年のジョージ・アーネスト、主人公に助けられる友人のスカウト、ジョージ”ギャビー”ヘイズ、騎兵隊兵士のフランシス・フォード、デッドウッドの住人ハンク・ウォーデンなどが共演している。