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ピアノ・レッスン The Piano (1993)

言葉を話せない女性と2人の男との三角関係を描く、製作、監督、脚本ジェーン・カンピオン、主演ホリー・ハンターハーヴェイ・カイテルサム・ニールアンナ・パキン他共演による官能のラブ・ロマンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:ジェーン・カンピオン

製作:ジェーン・チャップマン
脚本:ジェーン・カンピオン
撮影:スチュアート・ドライバーグ
編集:ヴェロニカ・ジネット
衣装デザイン:ジャネット・パターソン
音楽:マイケル・ナイマン

出演
エイダ・マクグラス:ホリー・ハンター

ジョージ・ベインズ:ハーヴェイ・カイテル
アリスディア・スチュワート:サム・ニール
フローラ・マクグラス:アンナ・パキン
モラグ:ケリー・ウォーカー
ヒラ:タンジア・ベイカー
船員:ピーター・デネット
ホーン:ピート・スミス

マナ:クリフ・カーティス

ニュージーランド/オーストラリア/フランス 映画
配給 ミラマックス

1993年製作 120分
公開
オーストラリア:1993年8月5日
フランス:1993年5月19日
北米:1993年11月12日
日本:1994年2月12日
製作費 $7,000,000
北米興行収入 $40,158,000


アカデミー賞 ■
第66回アカデミー賞

・受賞
主演女優(ホリー・ハンター
助演女優(アンナ・パキン
脚本賞
・ノミネート
作品・監督・撮影・編集・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1852年、スコットランド
言葉を話せない未亡人エイダ・マクグラス(ホリー・ハンター)は、父親の決めた縁談でニュージーランドに嫁ぐことになる。

ニュージーランド
エイダと娘のフローラ(アンナ・パキン)は、夫となる入植者のアリスディア・スチュワート(サム・ニール)の元に向かう。

上陸した浜辺には、多くの荷物と共にエイダの体の一部のような存在のピアノも運ばれる。

翌朝、浜辺で一夜を過ごしたエイダとフローラの元に、先民”マオリ”達と、彼らに同化したジョージ・ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)を従えたスチュワートが現れる。

スチュワートは、険しい道には重過ぎるピアノを置いて行くしかないことを、通訳代わりのフローラからエイダに伝えて納得させる。
...全てを見る(結末あり)

仕方なくそれを受け入れたエイダは、浜辺に置き去りにされたピアノをいつまでも見つめる。

入植地に到着したエイダは、スチュワートとの結婚の記念写真を撮る。

フローラはその土地の女性モラグ(ケリー・ウォーカー)らに、父親はドイツの作曲家で、母エイダはオペラ歌手だったことと、父は落雷で死亡し、そのショックでエイダが言葉を失ったことを話して聞かせる。

スチュワートは、マオリの土地が安く買えるという情報を得て留守にすることになり、エイダとフローラはベインズに浜辺への案内を頼む。

ベインズはそれを断るが、帰ろうとしない二人の熱意に負けて浜辺に向かう。

ピアノに触れたエイダは生き返ったような笑顔を見せ、傍らでフローラも戯れる。

エイダの元に戻ったスチュワートは、彼女がテーブルに鍵盤を刻み込んでいるのを知り、言葉だけでなく頭の障害もあるのではないかと思う。

浜辺でピアノを弾くエイダに魅了されていたベインズは、エイダのレッスンを条件に、彼女のピアノと自分の所有地を交換することをスチュワートに提案する。

それを聞いたエイダは憤慨するが、スチュワートは、ベインズにピアノを教えるよう彼女に強要する。

ブロードウッド”社製のピアノを家に運んだベインズは、それを調律してエイダとフローラを迎える。

その後、ベインズはエイダの体を求め始め、レッスンごとに、鍵盤の一部を彼女に返すという条件で合意する。

エイダに対する、ベインズの要求はエスカレートしていき、ピアノがほとんど上達しないという彼に、スチュワートは疑問を抱き始める。

レッスンに付き添っているフローラは、毎回家の外で待たされていたのだが、ピアノを弾く音が聞こえなくなったのが気になり部屋を覗く。

そしてフローラは、エイダとベインズが全裸で抱き合っているのを目撃してしまい、それが何を意味しているかわからないまま、スチュワートにレッスンが進んでいないことを話してしまう。

エイダが、自分を愛せないことを悟ったベインズは、彼女にピアノを返そうとする。

それを知ったスチュワートは、ベインズに土地を返せと言われるのではないかと心配するが、彼は何も要求しなかった。

スチュワートとの結婚生活に喜びを見出せないエイダは、自分がベインズに惹かれていることに気づき、返品されたピアノを弾こうとしない。

そしてエイダは、体が求めるがままにベインズの元に向かい、彼に抱かれてしまう。

ベインズの家に行く途中、エイダに追い払われたフローラが、母親を罵っているのにスチュワートが気づく。

スチュワートはベインズの家に向かい、二人が愛し合っているのを目撃してしまう。

その後スチュワートは、不器用な方法でエイダをを愛そうとするが、それが彼女に受け入れられない。

エイダは家に監禁状態になるが、夜中にピアノを弾き始めて、スチュワートに愛情を示そうとする。

スチュワートはエイダを信用して留守にするが、彼女は鍵盤にベインズへの気持ちを綴り、それをフローラに渡して彼の元に届けさせる。

フローラは、それをスチュワートに渡し、逆上した彼は自分を愛せないというエイダの、右手の人差し指を斧で切り落としてしまう。

スチュワートは、フローラにその指をベインズの元に届けさせる。

エイダを介抱したスチュワートは、ここを立ち去り、ベインズの愛を受けたいという彼女の心の声を聞いてしまう。

それをベインズに伝えたスチュワートは、エイダとフローラを彼の元に向かわせて島を去るよう伝える。

3人はマオリ達の船で旅立つが、エイダはピアノを海に捨てようとする。

ベインズはそれを止めようとするが、彼女の意志は固くその指示に従う。

エイダは、ピアノのロープを足に絡め海中に落ちて死を選ぶが、自分の意思でロープをはずし海面に浮上する。

北の町に住まいを構えたエイダは、ベインズの作ってくれた義指をはめてピアノの教師を始める。

発声練習も始めたエイダは、ベインズの愛に包まれた時間を過ごす。

エイダは夜になると、音が存在しない沈黙の中で、海底の墓場に沈んだピアノの上を漂う自分の夢を見る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
夫の死のショックで、言葉を失ったエイダ・マクグラスは、一人娘のフローラを連れて、ニュージーランドの入植者スチュワートの元に嫁ぐ。
エイダは、言葉の代わりにピアノを奏でて、フローラ以外には心を閉ざしていた。
スチュワートの指示で、エイダは、土地と交換したピアノのレッスンを、先住民に同化した男ベインズに始める。
エイダを、愛欲の対称にしか思っていなかったベインズは、彼女の立場を考えて身を引こうとする。
しかし、既にエイダは、ベインズの愛の虜sとなっていた・・・。
____________

”沈黙”する女性と、周囲の関係を結びつける”音”を発するピアノを、生き物のように象徴的に描写するジェーン・カンピオンの、悲哀に満ちた、簡素で美しい表現力の素晴らしさを堪能できる作品。

第66回アカデミー賞では作品賞以下8部門にノミネートされ、ドラマの中で親子を演じた、ホリー・ハンターが主演女優賞、アンナ・パキンが助演女優賞を、そして、ジェーン・カンピオン自身による脚本賞も受賞した。
・ノミネート
作品、監督、撮影、編集
衣装デザイン賞
アンナ・パキンは「ペーパー・ムーン」(1973)のテイタム・オニールに次ぐ、史上2番目の若さ(11歳)での受賞。

1980年代後半からその実力を認められ、この年のアカデミー賞では「ザ・ファーム」(1993)の助演賞とでダブル・ノミネートとなったホリー・ハンターは、見事なピアノの腕前と手話を使いこなし、また体当たりの演技が、小柄で華奢な雰囲気がありながら、パワフルな演技を見せた「ブロードキャスト・ニュース」(1987)のなどとは違った力強さを感じさせてくれる。

主人公の、閉ざされた心の扉をこじ開けるがごとく、女性を愛欲の虜にするハーヴェイ・カイテルの重厚な演技も光る。

女性に、愛を捧げる気にさせることの出来ない、不器用な男を演ずるサム・ニール、母の通訳としては頼り甲斐があり、無邪気さが実に可愛らしいアンナ・パキン先住民マオリ”の青年役でクリフ・カーティスが端役で出演している。


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