1939年のフィリップ・バリーによるブロードウェイ・同名舞台劇の映画化で、オリジナルキャストのキャサリン・ヘプバーンが本作でも同じ役を演じている。 製作ジョセフ・L・マンキウィッツ、監督ジョージ・キューカー、主演ケイリー・グラント、キャサリン・ヘプバーン、ジェームズ・スチュワートによるコメディ・ドラマの秀作。 |
・ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest
・ジェームズ・スチュアート / James Stewart / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・キューカー
製作:ジョセフ・L・マンキウィッツ
原作:フィリップ・バリー
脚本:ドナルド・オグデン・スチュワート
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
編集:フランク・サリヴァン
音楽:フランツ・ワックスマン
出演
ケイリー・グラント:C・K・デクスター・ヘイブン
キャサリン・ヘプバーン:トレイシー・ロード
ジェームズ・スチュワート:マコーレー・コナー
ジョン・ハワード:ジョージ・キットリッジ
ルース・ハッセイ:エリザベス”リズ”インブリー
ジョン・ホリデー:セス・ロード
マリー・ナッシュ:マーガレット・ロード
ヴァージニア・ウィードラー:ダイナ・ロード
ローランド・ヤング:ウィリアム・Q・トレーシー
ヘンリー・ダニエル:シドニー・キッド
アメリカ 映画
配給 MGM
1940年製作 112分
公開
北米:1940年12月1日
日本:1948年2月24日
制作費 $3,000,000
■ アカデミー賞 ■
第13回アカデミー賞
・受賞
主演男優(ジェームズ・スチュワート)
脚本賞
・ノミネート
作品・監督
主演女優(キャサリン・ヘプバーン)
助演女優賞(ルース・ハッセイ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
フィラデルフィア。
大富豪令嬢トレイシー・ロード(キャサリン・ ヘプバーン)は、思いやりがなくわがままで、付き合う相手に完璧な人格を求めていた。
そのため、結婚したC・K・デクスター・ヘイヴン(ケイリー・グラント)が、自棄酒を飲み過ぎたりするのが気に入らず、たちまち離婚してしまう。
2年後。
トレーシーは、貧困から身を起こしたジョージ・キットリッジ(ジョン・ハワード)と結婚することとなる。
”スパイ”紙のシドニー・キッド社長(ヘンリー・ダニエル)は、小説家のマコーレー・コナー(ジェームズ・スチュワート)と写真記者のエリザベス”リズ”インブリー(ルース・ハッセイ)に、トレーシーの結婚式の取材を依頼する。 名家の結婚式などに興味のないコナーは、キッドに、南米にいるトレーシーの兄の知人デクスターを紹介され、稼ぐことが先決だと言うリズに誘われるまま、仕方なく取材に向かう。 トレーシーの元夫デクスターは、コナーをトレーシーの兄の友人だと偽り、ロード家に乗り込む。 デクスターを未だに許せないトレイシーは、彼のことを迷惑に思うが、母親のマーガレット(マリー・ナッシュ)と妹の デクスターに、父親セス(ジョン・ホリデー)とダンサーのことをすっぱぬくと言われ、トレーシーは、表面上仕方なく彼らを客として迎える。 トレーシーとダイナは、コナーとリズの前で上辺をつくろいながら、皮肉を込めて会話を弾ませる。 別居している父ということになってしまった伯父ウィリアム(ローランド・ヤング)とローズ家の面々、婚約者キットリッジ、コナーとリズ、そしてデクスターは、ギクシャクしながらも昼食をとろうとする。 しかし、そこに父セスが現れ、トレーシーはすかさず彼に歩み寄り、”伯父”ということにしてしまう。 その後、図書館で郷土の記録を調べようとしたコナーは、そこで自分の著書を読むトレーシーに出くわす。 トレーシーは、横柄な態度のコナーが、美しい詩を書くことに驚いてしまう。 歩いて屋敷に帰った二人はプールに向かうが、そこにデクスターが現れる。 デクスターは、夫を自分の籠に閉じ込めようとした元妻トレーシーのせいで、酒に溺れたことを語り始める。 二人の激しい会話のやり取りに、居た堪れなくなったコナーは席を外してしまう。 デクスターは、トレーシー自身を嫌っているのではなく、彼女の弱さへの偏見と寛容さの欠落を指摘する。 そしてデクスターは、トレーシーとハネムーンを過ごした、ヨット”トゥルー・ラブ”の模型をプレゼントして立ち去る。 父セスが別居しているのも、トレイシーの思いやりのない性格が理由で、彼女が無理矢理、母マーガレットに追い出させたのだった。 結婚式前夜のパーティーに向かおうとするウィリアムは、美しいリズに言い寄る。 そして、セスは自分が花嫁の父だということをコナーとリズに告白する。 その頃、突然現れたデクスターとコナーの奔放な性格に、トレイシーの心中は徐々に変化していく。 リズを残しパーティーを切り上げたコナーは、シャンペンを持参してバクスターの家に向かう。 トレーシーの父のスキャンダルを握っていた、キッドに利用されたことを知ったコナーは、デクスターと共に、キッドを逆に陥れようとしする。 そこに、コナーを捜しに来たリズが現れ、トレーシーも車で眠っていた。 デクスターに言い寄られて目覚めたトレーシーは、キッドの暴露記事のタイプを、リズに任せたコナーと共に屋敷に戻る。 トレイシーとコナーは、飲みながら恋を語り親密になる。 リズを屋敷に送り届けたデクスターは、コナーに修行を積ませるために、彼女が結婚に踏み切らないことを聞かされる。 リズは部屋に戻り、デクスターは現れたキットリッジと話し始めるが、トレーシーとコナーが一緒だということに気づく。 そこにプールで泳ぎ、酔い潰れたトレイシーを抱きかかえたコナーも現れる。 デクスターはこの状況を理解したものの、キットリッジは憤慨する。 トレーシーを寝かしつけたコナーを、キットリッジより先に殴り倒したデクスターは、彼を介抱する。 翌朝、昨夜の様子を見ていたダイナは、ウィリアム伯父に、トレーシーはコナーと結婚すべきだと告げる。 それを聞いたデクスターは、ダイナが見たものは夢だと言い、現れたトレーシーは何も覚えていなかった。 ダイナに”夢”の内容を聞いたトレーシーは、父セスに今までの態度を謝罪し、彼もそれを受け入れて娘に優しく声をかける。 トレーシーは、結婚前夜にコナーと関係を持ってしまったものと思い込み、彼に余所余所しく接する。 キットリッジから、昨夜のことを聞かれたトレーシーは、居合わせたコナーから、キスと水泳しかなかったことを知らされる。 式が迫り、全てを水に流そうとしたキットリッジだったが、トレーシーは、彼を不幸にするだけの結婚を諦める。 キットリッジは、デクスターの画策だと言いながら、その場を去ってしまう。 式は始ってしまい、責任を感じたコナーがトレーシーにプロポーズするが、彼女はリズを気遣いそれを断る。 両親は結婚解消を知り、父セスが出席者に事情を説明しようとする。 トレーシーは自ら事情を説明し始め、3年前も駆け落ちしたことを出席者に謝罪して、その時の式を挙げることを伝える。 そして、愛に満ち溢れたトレーシーは、デクスターと結婚式を挙げ、現れたキッドがスクープ写真を撮る。
...全てを見る(結末あり)
ダイナ(ヴァージニア・ウィードラー)は、彼を歓迎する。
*(簡略ストー リー)
フィラデルフィア。
大富豪の令嬢トレイシー・ロードは、思いやりがなくわがままで、完璧な人格を求めていたため、結婚したC・K・デクスター・ヘイヴンの素行が気に食わず、たちまち離婚してしまう。
2年後、トレーシーは、苦労の末に成功した青年キットリッジと結婚することとなり、”スパイ”紙は、小説家のコナーと写真記者のリズに、ロード家の結婚式の取材を依頼する。
名家の結婚式などに興味のないコナーだったが、トレーシーの兄の知人であるデクスターを紹介される。
デクスターは、コナーをトレーシーの兄の友人だと偽り、ロード家に乗り込む。
デクスターを許せないトレイシーは、彼らを迷惑に思うが、母マーガレットと妹のダイナは彼を歓迎する。
トレーシーは、父セスとダンサーのことをすっぱぬくとデクスターに言われ、表面上仕方なく彼らを客として迎えるのだが・・・。
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ジョージ・キューカーの演出は、フランク・キャプラ作品などとは一線を画す、洗練されたユーモアが感じられる。
1995年にアメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第13回アカデミー賞では、主演男優賞(ジェームズ・スチュワート)と脚本賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演女優(キャサリン・ヘプバーン)
助演女優賞(ルース・ハッセイ)
ケイリー・グラントとジェームズ・スチュワートを相手に、二人を圧倒するキャサリン・ヘプバーンの熱演は既に貫禄十分だ。
ケイリー・グラントは、クレジットでトップではあるが、彼女の勢いに押されて、やや地味に見えるほどだ。
本作でアカデミー主演賞を受賞したジェームズ・スチュワートは、前年の「スミス都へ行く」(1939)とは違う雰囲気の役柄を演じ、こちらも若くして芸の幅が広いところを見せてくれる。
ジェームズ・スチュワートが、キャサリン・ヘプバーンを抱きながら、ケイリー・グラントらの前に登場するシーンで、前年の同じMGMの大ヒット作「オズの魔法使」(1939)の主題歌”虹の彼方へ”を口ずさむシーンも興味深い。
ヒロインの婚約者ジョン・ハワード、落ち着いた雰囲気が印象的な写真記者ルース・ハッセイ、花嫁の父ジョン・ホリデー、母マリー・ナッシュ、妹ヴァージニア・ウィードラー、伯父ローランド・ヤング、そして父のスキャンダルを利用して取材を強行させる編集者ヘンリー・ダニエルらが共演している。
本作は1956年に、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、グレイス・ケリー主演により「上流社会」としてミュージカル化された。