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ウォールフラワー The Perks of Being a Wallflower (2012)

1999年に発表された、スティーブン・チョボスキーの小説”ウォールフラワー”を基に製作された作品。
小説家志望の内気な高校生が上級生の兄妹との出会いによる成長と苦悩を描く、製作ジョン・マルコヴィッチ、製作総指揮、監督、脚本スティーブン・チョボスキー、主演ローガン・ラーマンエマ・ワトソンエズラ・ミラーポール・ラッド他共演の青春ドラマの秀作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(青春)


スタッフ キャスト
監督:スティーブン・チョボスキー

製作
ジョン・マルコヴィッチ
ラッセル・スミス
リアン・ハルフォン
製作総指揮
スティーブン・チョボスキー
ジム・パワーズ
原作:スティーブン・チョボスキーウォールフラワー
脚本:スティーブン・チョボスキー
撮影:アンドリュー・ダン
編集:メアリー・ジョー・マーキー
音楽:マイケル・ブルック

出演
チャーリー・ケルメッキス:ローガン・ラーマン
サム:エマ・ワトソン
パトリック:エズラ・ミラー
メアリー・エリザベス:メイ・ホイットマン
アンダーソン:ポール・ラッド
キャンデス・ケルメッキス:ニーナ・ドブレフ
ブラッド:ジョニー・シモンズ
クレイグ:リース・トンプソン
デレク:ニコラス・ブラウン
アリス:エリン・ウィルヘルミ
ケルメッキス夫人:ケイト・ウォルシュ
ケルメッキス:ディラン・マクダーモット
クリス・ケルメッキス:ゼーン・ホルツ
ヘレン:メラニー・リンスキー
キャラハン:トム・サヴィーニ
バートン医師:ジョーン・キューザック

アメリカ 映画
配給 サミット・エンターテインメント
2012年製作 103分
公開
北米:2012年9月21日
日本:2013年11月22日
製作費 $13,000,000
北米興行収入 $17,742,950
世界 $33,384,130


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
心に傷を負う作家志望のチャーリー・ケルメッキス(ローガン・ラーマン)は、高校入覚を前に不安を隠し切れない。

登校初日、チャーリーは、姉キャンデス(ニーナ・ドブレフ)とボーイフレンドのデレク(ニコラス・ブラウン)らに下級生扱いされ、中学時代の友達にも相手にされない。

兄クリス(ゼーン・ホルツ)が大学に行く前に同じフットボールチームだったブレッド(ジョニー・シモンズ)に、一瞬、期待したチャーリーだったが、それも無駄だった。

そんな中、技術の授業に、上級生のパトリック(エズラ・ミラー)が、教師キャラハン(トム・サヴィーニ)のものまねをして1年生を和ませてくれた。

英語の上級クラスで、教師のアンダーソン(ポール・ラッド)とは打ち解けて話すことができたチャーリーだったが、落ち込んだまま帰宅する。

両親(ディラン・マクダーモット/ケイト・ウォルシュ)とキャンデスとデレクと共に食事をしたチャーリーは、高校初日のことを訊かれ、冴えない返事しかできないものの励まされる。
...全てを見る(結末あり)

その後も友達ができないままでいたチャーリーは、フットボールの試合の際にスタンドで、思い切ってパトリックに声をかける。

気さくなパトリックと話すことができたチャーリーは、現れたサム(エマ・ワトソン)にも挨拶して楽しい時間を過ごす。

試合後、三人はファミレスに向かい、チャーリーは将来のことなどを話す。

仲のいいパトリックとサムが義理の兄妹だと知ったチャーリーは、二人に家まで送ってもらう。

気分よく帰宅したチャーリーだったが、デレクと言い合っていたキャンデスが殴られたため、彼に言い寄ろうとする。

キャンデスに制止されたチャーリーは、その後、二人が仲直りしたことを確認する。

チャーリーは、恋人から暴力を受けていた叔母ヘレン(メラニー・リンスキー)を思い出す。

卒業生歓迎ダンス・パーティーが開かれ、パトリックとサムが激しく踊る姿を壁際で見ていたチャーリーは、二人の仲間に入る。

パトリックとサムからパーティーに誘われたチャーリーは、メアリー・エリザベス(メイ・ホイットマン)とアリス(エリン・ウィルヘルミ)を紹介される。

ブラウニーを勧められたチャーリーは、マリファナ入りとも知らずにそれを食べてしまう。

ハイになったチャーリーを落ち着かせようとしたサムは、彼と話をして友人が自殺したことを知る。

トイレに向かったチャーリーは、パトリックとブラッドがキスするのを目撃してしまう。

見られたことを気にしないパトリックは、チャーリーがハイになっていることに気づき、ブラッドが焦っているため、誰にも言わないことを約束させる。

サムから、チャーリーの友人が自殺したことと友達が誰もいないらしいと聞いたパトリックは、”ウォールフラワー/壁の花”だと言ってチャーリーのために乾杯する。

感激したチャーリーは、自分に気づいてくれた人がいたことを喜ぶ。

パトリックの運転でピックアップトラックで出かけたチャーリーは、トンネルの中で荷台に乗り、音楽(Heroes)を聴きながら風を受けるサムの姿に見とれて”無限”を感じる。

友達ができたことで楽しい日々を過ごせるようになったチャーリーは、アンダーソンとも親交を深め、渡された本の感想を書く。

パトリックやサムらは、映画”ロッキー・ホラー・ショー”を舞台化したショーを劇場で発表して大いに受ける。

あるパーティーで、SAT(大学進学適性試験)の結果がよくないために落ちこむサムをチャーリーは慰める。

希望する”ペンシルベニア州立大学”の合格ラインに程遠いと言うサムを励ますチャーリーは、再試の勉強を手伝うことを伝える。

トンネルの曲(Heroes)が分からなかったと言うチャーリーは、サムのために作ったミュージックテープを渡す。

その後チャーリーは、サムが、ボーイフレンドである大学生のクレイグ(リース・トンプソン)と踊る姿が気になる。

二人や学校でのキャンデスとデレクの仲睦まじい姿を見たチャーリーは、アンダーソンに感想文を渡して次の本を受け取り、なぜ優しい人達は間違った相手とデートをするのかと質問する。

見合った相手と思うからだとアンダーソンに言われたチャーリーは、自分の価値を教えるには、それを試せばいいと助言される。

サムとファミレスで待ち合わせたチャーリーは、彼女を意識しながら勉強を始める。

クリスマスが近づき、サムと秘密のプレゼント交換をするため、父に30ドルほしいと伝えたチャーリーは、楽しむようにと言われて50ドルを受け取る。

学校でチャーリーは、アンダーソンから昔の愛読書を贈られる。

再試で満足できる点が取れたサムは喜び、パトリックらとパーティーを楽しんだチャーリーは、メアリーやアリスらと共にプレゼント交換をする。

チャーリーから”ビートルズ”のシングルレコード”サムシング”を贈られたサムは感激して、彼を呼び寄せる。

パトリックから贈られたスーツを着込んだチャーリーは、サムに誘われて彼女の部屋に向う。

試験に協力してくれたと言うサムからタイプライターをプレゼントされたチャーリーは、彼女に感謝する。

女の子と付き合ったこともキスしたこともないと言うチャーリーは、サムが酷い仕打ちをする大人と付き合っていたことを知る。

それらから解放され大学に行けると言うサムは、自分の叔母ヘレンも男達に酷い目に遭わされていたことを話す。

世界一好きな女性だったと言うチャーリーは、今は二番目だとサムに伝える。

クレイグのことを忘れたいと考えているサムは、初めてのキスは、愛している人とでないといけないと言って、涙しながらチャーリーにキスする。

チャーリーに愛を告げたサムは、同じ気持ちの彼を抱きしめる。

パトリックから、技術の時間に作った木工時計も渡されたチャーリーは、その場を去る。

大学から兄クリスが戻り家族が揃い、チャーリーの誕生日を祝う。

チャーリーは、幼い頃、ヘレンと過ごしたクリスマスのことを思い出す。

実は、その際に起きた事件のトラウマで心に傷をっていたチャーリーは、それをクリスに訊かれて大丈夫だと答える。

ニューイヤーズ・イヴのパーティーでドラッグを試したチャーリーは、ハイになりヘレンのことを考える。

ヘレンは、プレゼントを買いに行くとチャーリーに伝えて出かけ、車に衝突されて事故死したのだった。

翌朝、外で気を失っていたチャーリーは病院に運ばれ、ドラッグの件などを警官や両親に訊かれる。

疲れていたので外に出た際、幻覚を見てしまったと答えるチャーリーは、母に心配されるものの大丈夫だと伝える。

ロッキー・ホラー・ショー”の開演が迫り、クレイグが来られなくなったために、ロッキー役をチャーリーが演ずることになる。

見事に代役をこなしたチャーリーは、メアリーからダンス会に誘われる。

高校のダンス会だったため、クレイグが来ないサムは一人だったが、チャーリーが彼女に話しかける。

ダンス会の後でメアリーの家に誘われたチャーリーは、彼女に迫られるものの、相手がサムであればと想像してしまう。

メアリーは、チャーリーが自分のボーイフレンドになったと思い込むが、そこに両親が帰ってきてしまい彼女は焦る。

付き合う気はないと言えないチャーリーは、メアリーを傷つけたくないために仕方なく仲がいい振りをする。

そんなメアリーはハーバード大学に受かり、チャーリーは言いなり状態だった。

ある夜、ゲームをしていたチャーリーは、この場で一番かわいい子にキスするようにとパトリックに言われる。

チャーリーは迷わずサムにキスしてしまい、気分を害したメアリーは席を外す。

サムにも非難されたチャーリーは、彼女とメアリーには男絡みの過去があるとパトリックから知らされ、暫く距離を置くようにと言われる。

2週間も誰とも会わなくなったチャーリーは、精神的に混乱し始める。

同性愛であることが、ブラッドの父親にバレてしまったことを知ったパトリックは、皆にからかわれる。

ブラッドにまで侮辱されたパトリックは彼を殴ってしまい、二人は喧嘩になる。

パトリックは袋叩きに遭い、サムが止めようとする。

チャーリーはパトリックを助けようとして、無意識のままブラッドらを叩きのめしてしまう。

校長室に寄ばれたブラッドは、お陰で助かったと言ってチャーリーに感謝する。

サムに声をかけられたチャーリーは、自分がしたことを思い出せないと伝え、パトリックを助けたことを彼女から知らされる。

動揺しながら、自分のことが怖くないかとサムに尋ねたチャーリーは、今でも友達であることを彼女に確認して、二人は抱き合う。

メアリーはクレイグの友人と付き合うことになり、チャーリーはようやく彼女から解放される。

事件以来、チャーリーと行動するようになったパトリックは、気を紛らすために興奮する日々が続く。

ペンシルベニア州立大学からの手紙が届いたサムは、合格したことを知り、チャーリーとパトリックと共に喜ぶ。

アリスは希望通りニューヨーク大学の映画学科に、パトリックは音楽を学ぶためシアトルワシントン大学に進学することになる。

学期末を迎えて、ニューヨークに戻る考えのあったアンダーソンにそれを尋ねたチャーリーは、この町が気に入ったと言うアンダーソンから、来期も課題を出すことを提案される。

作家になる素質があるとアンダーソンに言われたチャーリーは喜ぶ。

チャーリーは友達がいない学校を想像しながら、プロムを迎えるパトリックやサムらを見守る。

キャンデスはデレクと別れて女友達と行動するようになり、サムは、クレイグがずっと浮気していたことを知る。

卒業式の日、チャーリーはパトリックらと過ごし、トンネルを通った時に自分の居場所を見つけたことをサムに伝えるために、自分の一部である愛読書を彼女に贈る。

翌日、出発するサムの荷造りを手伝ったチャーリーは、クレイグのことを話す彼女から、なぜ自分や愛する人達は、酷い扱いをする人を選ぶのか自問したと言われる。

見合うと思うからとチャーリーに言われたサムは、なぜ自分を誘わなかったのかを彼に尋ねる。

サムが望んでいなかったからと答えたチャーリーは、自分の望みを訊かれ、幸せを願っていると答える。

人の人生のことばかりを考えているチャーリーの考えが不幸だと言うサムは、憧れの対象ではなく本当の自分を好きになってほしいと伝える。

互いに同じ傷を追っていることと自分の気持ちを伝えたチャーリーは、サムにキスするが、ある思い出が脳裏を過る。

翌日、そのことが頭から離れないまま、旅立つサムとパトリックを見送ったチャーリーは、帰宅後に混乱してしまう。

チャーリーからの電話を受けたキャンデスは、ヘレンを殺したのが自分なのかと訊かれ、叔母が頭の中で何度も死ぬと言われる。

自宅に警察を向かわせたキャンデスは、ヘレンの死を望んでいたと言う混乱するチャーリーを落ち着かせる。

精神科医療施設に入れられたチャーリーは、精神科医バートン(ジョーン・キューザック)の治療を受けることになる。

幻覚が現れると言うチャーリーに、バートンはヘレンの話をさせようとする。

チャーリーがヘレンにされた行為を知った両親は驚き、二人は息子を抱きしめる。

キャンデスとクリスが面会に来てくれたため、チャーリーは楽しい時を過ごす。

退院することになったチャーリーは、バートンから、過去は変えられないが未来は変えられると言われる。

帰宅したチャーリーは、家族との食事後に訪ねて来たパトリックとサムと共に出かける。

ファミレスで大学の話などをサムから聞いたチャーリーは、トンネルの曲だと言うテープを彼女から渡される。

パトリックが運転するピックアップトラックの荷台から美しいサムを見つめるチャーリーは、トンネルを走り抜けながら、悲しみが消えた今、生きていることを実感する。

世界で最も愛する人達とデヴィッド・ボウイの”Heroes”を聴きながら風を受けるチャーリーは、トンネルを出て自分達が無限だと感じる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
心に傷を負う小説家志望の内気な少年チャーリー・ケルメッキスは、高校の初登校の日を迎えて不安を隠せない。
誰にも相手にされず友達もできないチャーリーだったが、風変わりな上級生のパトリックに、思い切って声をかける。
気さくに話してくれたパトリックと義妹のサムと親交を深めたチャーリーは、ようやく楽しい高校生活を過ごせるようになる。
その後、サムを意識し始めたチャーリーは愛情を感じるようになるのだが、ある悲しい思い出が頭から離れなかった・・・。
__________

内気な高校生の単純は成長ドラマではなく、ドラッグや性的虐待の犠牲者となった人々(子供達)の心の傷や社会の歪みなどを描く、ジョン・マルコヴィッチが製作を担当する深いドラマに仕上がっている。

高校生達を主人公にした青春ドラマとしては、近年、最高とも言える評価を受けた作品でもあり、期待の若手スターの繊細な感情表現など、人に訴える演技を引き出した、原作者であり製作総指揮、脚本も兼ねるスティーブン・チョボスキーの演出は絶賛された。

主演のローガン・ラーマンは、心の傷を抱え、不安定でありながらバランスを保つ、綱渡り状態のような日々を送る高校生を見事に演じている。

主人公と親交を深め心の支えにもなる、一時は「ハリー・ポッター」シリーズの”呪縛”を嫌ったと言われたエマ・ワトソンが、本格的な女優活動の第一歩として高く評価された作品でもあり、今後の彼女には大いに期待できる、素晴らしい演技を見せてくれる。

風変わりな上級生を演じるエズラ・ミラーは、本作撮影中もマリファナ所持で逮捕されるほど、私生活での行動も問題視され、それが演技に生かされているいると考えるのは言い過ぎかもしれないが、若さを感じさせない、独得の雰囲気を持つ実力派性格俳優として存在感を見せる。

主人公を強引にボーイフレンドにする上級生メイ・ホイットマン、主人公が慕う英語の教師ポール・ラッド、主人公の姉ニーナ・ドブレフ、そのボーイフレンド、ニコラス・ブラウン、上級生ジョニー・シモンズ、サム(エマ・ワトソン)のボーイフレンド、リース・トンプソン、サムの友人エリン・ウィルヘルミ、主人公の両親ケイト・ウォルシュディラン・マクダーモット、兄ゼーン・ホルツ、叔母メラニー・リンスキー、技術教師のトム・サヴィーニ、精神科医ジョーン・キューザックなどが共演している。


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