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ラリー・フリント The People vs. Larry Flynt (1996)

男性誌”ハスラー”を創刊したラリー・フリントの波乱の半生を赤裸々に描く、製作オリヴァー・ストーン、監督ミロス・フォアマンウディ・ハレルソンコートニー・ラヴエドワード・ノートン他共演による異色のヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:ミロス・フォアマン

製作
オリヴァー・ストーン

マイケル・ハウスマン
ジャネット・ヤン
脚本
スコット・アレクサンダー

ラリー・カラゼウスキー
撮影:フィリップ・ルースロ
編集:クリストファー・テレフセン
音楽:トーマス・ニューマン

出演
ウディ・ハレルソンラリー・フリント

コートニー・ラヴアルシア・リージャー
エドワード・ノートンアラン・アイザックマン
ブレット・ハレルソン:ジミー・フリント
ドナ・ハノーヴァールース・カーター・ステイプルトン

ジェームズ・クロムウェルチャールズ・キーティング
リチャード・ポールジェリー・フォルウェル
クリスピン・グローヴァー:アーロ
ヴィンセント・スキャヴェリ:チェスター
マイルズ・チャピン:マイルズ

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1996年製作 129分
公開
北米:1996年12月25日
日本:1997年8月2日
製作費 $36,000,000
北米興行収入 $20,191,310


アカデミー賞 ■
第69回アカデミー賞

・ノミネート
監督
主演男優賞(ウディ・ハレルソン


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1952年、ケンタッキー
10歳のラリー・フリントは弟ジミーと2人で、密造酒を売りさばいていた。

1972年、シンシナティ
ゴーゴー・クラグ”ハスラー・クラブ”を経営するラリー・フリント(ウディ・ハレルソン)と弟ジミー(ブレット・ハレルソン)は、不況のため順調だった商売が行き詰まり、客寄せのための会報”ハスラー”を印刷して客に配り始める。

クラブにダンサーとして入ったアルシア・リージャー(コートニー・ラヴ)が気に入り同居を始めたフリントは、非売品だった会報が評判なったのをきっかけに出版社を設立、1974年7月に、男性誌”ハスラー”を創刊する。

過激な内容の創刊号は、販売店などが敬遠してほとんど売れ残ってしまったが、故ケネディ元大統領夫人ジャクリーン・K・オナシスの全裸写真を入手し、それを掲載する。
...全てを見る(結末あり)

その結果、1975年8月号の”ハスラー”は、わずか数日で100万部を売り上げ、大金を手に入れたフリントは、豪邸を購入する。

そして、アメリカ建国200年記念の日、フリントアルシアと結婚することを決める。

雑誌の過激な内容に、地元の実業家チャールズ・キーティング(ジェームズ・クロムウェル)らの反感を買い、フリントは猥褻及び組織犯罪容疑で逮捕されてしまう。

1977年。
弁護士のアラン・アイザックマン(エドワード・ノートン)は必死に弁護するものの、フリントは懲役25年の刑を言い渡されてしまう。

5ヶ月後、上訴審で勝訴して釈放されたフリントは、”自由な出版を守る会”で演説して、戦争の方がヌード写真より罪深いことを強調する。

自分の理解者で、敬虔なキリスト教徒であるカーター大統領の妹ルース・カーター・ステイプルトン(ドナ・ハノーヴァー)と面会したフリントは、キリスト教信者になる。

そして”ハスラー”は、内容がもポルノと宗教が絡み合う雑誌へと変貌していく。

1978年、ジョージア州、グウィネット郡裁判所。
フリントは、アイザックマンと共に狙撃され、治療の甲斐なく下半身不随になってしまう。

この事件をきっかけに、フリントは信仰を捨てアルシアとの生活を選んでビバリーヒルズに移り住み、2人はドラッグに溺れる。

1983年。
手術を受け、銃撃の後遺症からくる体の痛みから解放されたフリントは、ドラッグを止め仕事に復帰する。

デロリアン・モーター・カンパニーの社長ジョン・デロリアンFBIとの、コカイン取り引きの囮捜査のビデオを手に入れたフリントは、CBSにそれを売り込む。

ビデオの出所を問われたフリントは、それを拒否して召喚され、裁判所で暴言を吐く。

フリントの暴挙は続き、弁護士アイザックマンの手に負えず、彼は辞職しようとする。

裁判所の命令を無視し続けて暴言を続けるフリントは、それを制止しようとするアイザックマンをクビにし、裁判長を侮辱したため、精神療養刑務所に入れられてしまう。

フリントに面会に行ったアルシアは、自分がエイズのために周囲の者がそれを恐れ、握手もしないことを彼に伝える。

それを聞いたフリントは、弟ジミーを含めた役員を全員クビにしてしまう。

同じ頃、著名な牧師ジェリー・フォルウェル(リチャード・ポール)が、母親と近親相姦だったという、”ハスラー”の”カンパリ”のパロディ広告内の記事に激怒して訴訟を起こす。

アルシアの頼みで、フリントに解雇されていたアイザックマンが弁護をすることになる。

フリントは、記事を許可なくコピーして多数の後援者に配ったフォルウェルを、著作権侵害で逆に訴えてしまう。

1984年、ヴァージニア州、地方裁判所。
訴訟合戦となるが、フリントは法廷で意味不明の暴言を繰り返し、結局、有罪判決を受けてしまう。

会社に戻ったフリントは、辞めていなかったジミー達の歓迎を受けて彼らを許す。

平穏な生活に戻ったかに見えたフリントだったが、エイズが進行していたアルシアが、バスタブで溺死してしまう。

失意のフリントは、フォルウェルの件で、最高裁に表現の自由を勝ち取るべく上告しようとする。

アイザックマンはその協力を断るが、フリントは友人として彼を説得し、2人は戦いに挑む。

1987年、ワシントンD.C.連邦裁判所
ニューヨーク・タイムズ”などがフリントへの指示を表明する中、アイザックマンは法廷で、自分達のレベルでの表現の自由を訴える。

そして、フリントアルシアのビデオを見ている際、勝訴の報せがアイザックマンから入る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
クラブ経営者ラリー・フリントは、店の会報を発行したのをきっかけに、男性誌”ハスラー”を創刊する。
過激な内容の創刊号は、販売を敬遠されて売れ残ってしまうが、故ケネディ元大統領夫人ジャクリーン・K・オナシスの全裸写真を入手したフリントは、それを掲載し、”ハスラー”は爆発的な販売を記録する。
巨万の富を得たフリントは、豪邸を手に入れダンサーのアルシア・リージャーと結婚する。
しかし、その内容に反感を持つ実業家キーティングらが、フリントを猥褻及び組織犯罪容疑で訴え彼は逮捕されてしまう。
フリントは、若い弁護士アイザックマンの努力の甲斐もなく、25年の刑を受けてしまう。
5ヶ月後に釈放されたフリントは、カーター大統領の妹で、敬虔なクリスチャンステイプルトンに支持され、”ハスラー”はポルノと宗教が絡み合う雑誌へと変貌していく。
そんな時、フリントは狙撃され下半身が麻痺してしまい、アルシアと共にドラッグに溺れてゆく。
そしてフリントは、自分が何かを成し遂げたことを証明し、表現の自由を勝ち取るため、社会に対して戦いを挑むことになる・・・。
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カッコーの巣の上で」(1975)と「アマデウス」(1984)で2度アカデミー監督賞を受賞し、本作でも同監督賞にノミネートされたミロス・フォアマンの野心作。

確かな演技力の出演者を巧みに操るミロス・フォアマンの演出は、スピーディー且つ切れもあり、 最後まで全く飽きずに見られる。

第69回アカデミー賞では、監督、主演男優賞(ウディ・ハレルソン)にノミネートされた。

商業的には成功した作品とは言えず、北米興行収入は約2000万ドルに留まった。

破天荒なラリー・フリントの特異な人物像を見事に表現し、ベスト・パフォーマンスと言えるウディ・ハレルソンは、アカデミー主演賞候補になった。

私生活で度々トラブルを引き起こしている彼が、なんとなく主人公とダブルところも興味深い。

ダンサーから、主人公ラリー・フリントの妻になり、薬物依存症とエイズでわずか22歳の若さで亡くなるアルシア・リージャーを演じたコートニー・ラヴの好演も光る。

同年の「真実の行方」(1996)で、いきなりアカデミー助演賞候補になったエドワード・ノートンの熱演も注目で、演技派としてのデビューを華々しく飾る年となった。

主人公を攻撃し続けるものの、その後スキャンダルにまみれてしまう実業家のチャールズ・キーティング役のジェームズ・クロムウェルウディ・ハレルソンの実弟で、弟役ブレット・ハレルソンカーター大統領の妹ルース・カーター・ステイプルトン女史を演じたドナ・ハノーヴァー、著名な伝道師ジェリー・フォルウェルリチャード・ポールフリントの部下のクリスピン・グローヴァー、そしてミロス・フォアマン作品の常連ヴィンセント・スキャヴェリ等が共演している。


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