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真珠 The Pearl (1947)

1947年に発表された、ジョン・スタインベックの中編小説”The Pearl”を基に製作された作品。
誰も見たことがない大粒の真珠を手に入れた貧しい漁師と妻の運命を描く、監督、脚本エミリオ・フェルナンデス、主演ペドロ・アルメンダリスマリア・エレナ・マルケス他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:エミリオ・フェルナンデス
製作:オスカル・ダンシヘルス
原作:ジョン・スタインベックThe Pearl
脚本
ジョン・スタインベック
エミリオ・フェルナンデス
ジャック・ワグナー
撮影:ガブリエル・フィゲロア
編集:グロリア・シューマン
音楽:アントニオ・ディアス・コンデ

出演
キノ:ペドロ・アルメンダリス
フアナ:マリア・エレナ・マルケス
ディーラー:フェルナンド・ワグナー
医師:チャールズ・ルーナー
ディーラーに雇われる男:ホアン・ガルシア
ディーラーに雇われる男:ギルベルト・ゴンザレザス
名付親:アルフォンソ・ベドヤ
ディーラー:ラウル・レチュガ
農夫:マックス・ラングラー

メキシコ/アメリカ 映画
配給
RKO Radio Pictures
Películas Mexicanas
1947年製作 85分
公開
メキシコ:1947年9月12日
北米:1948年2月17日
日本:1949年8月9日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
メキシコラパス
貧しい漁師キノ(ペドロ・アルメンダリス)は、妻フアナ(マリア・エレナ・マルケス)と赤ん坊の息子ファニートと暮らしていた。

海が荒れていたために、キノは7日間も漁に出られなかった。

豆しか食べるものがないキノは、明日になれば海に出られて、大量のカキと真珠が採れると言って、フアナを励ますしかなかった。

息子がサソリに刺されてしまい、キノとフアナは医師(チャールズ・ルーナー)の元に向かう。

医師は真珠の魅力にとり憑かれ、それを大切に保管していた。

キノとフアナは、診察してもいらうために、金の代わりにペンダントを渡すものの、医師は彼らを追い払う。

翌日、海が静かになり、キノとフアナは、息子を名付親(アルフォンソ・ベドヤ)の妻に任せて漁に出る。
...全てを見る(結末あり)

沖で海中に潜ったキノはナイフを落としてしまい、それを拾おうとして、ある貝を見つけて、今までに見たこともない大粒の真珠を確認する。

一旦、上げって息をしたキノは再び潜り、その貝を何とか手に入れる。

ボートに上がったキノは、貝の中から大粒の真珠を取り出し、それを手にして喜ぶ。

その後、キノの真珠のことは村中に知れ渡り、医師にもそれが伝わる。

医師の弟である真珠ディーラー(フェルナンド・ワグナー)も、大粒で完璧な真珠の話を聞き、それを手に入れようとする。

キノは英雄扱いされ、村人に真珠を見せて驚かせ、回復した息子にそれを持たせる。

金持ちになれることで、キノとフアナは将来の夢について考える。

村はお祭り騒ぎとなり、キノとフアナの元には物売りが現れる。

そこに、態度を一変させた医師が訪ねて来て、キノの息子を診察しようとする。

キノと話した医師は、息子は治ったが真珠が狙われていると言って、警戒するべきだと忠告する。

医師は自分の真珠をキノに見せて、彼のものも見せてもらい驚き、隠しておくようにと伝える。

ディーラーの指示を受けた2人の男(ホアン・ガルシア/ギルベルト・ゴンザレザス)は、キノに酒を追ませて真珠を奪おうとする。

キノは泥酔するが、男たちは彼が隠したという真珠を見つけることができなかった。

翌朝、目覚めたキノは、心配したフアナが真珠を隠していたことを知る。

キノとフアナは、村人を引き連れてディーラーの元に向かう。

真珠を見せられたディーラーは、安物だと言って買いたたこうとする。

900ペソで買うと言われたキノは、自分たちには大金だと思うものの、その50倍はするはずだとディーラーに伝える。

キノが納得しないために、ディーラーは同業者(ラウル・レチュガ)らを呼んで真珠の価格を査定させる。

ディーラーから1000ペソで買うと言われたキノは、真珠を売ろうとせずに立ち去る。

その後も危険に晒されるキノは、名付親(アルフォンソ・ベドヤ)から、村で暮らすなら真珠を売るべきだと言われ、その忠告に感謝して、明日、結論を出すことにする。

今回のことを呪いだと考えるフアナは、真珠を割って海に捨てることをキノに提案する。

フアナのためなら何でもするつもりだったキノは、真珠は手放さ気はなかった。

キノは、真珠は息子のためになり、そして解放をもたらすものだと言ってフアナを説得する。

兄である医師の元に向かったディーラーは、小さな黒真珠を渡し、それで満足させようとする。

夜中にキノから真珠を奪ったフアナは、海岸に向かいそれを海に投げ込もうとする。

それを制止してフアナを殴り倒したキノは、2人の男に襲われる。

対抗したキノは、ナイフで2人を殺す。

その後キノとフアナは、名付親の指示に従い息子と共に村を去る。

船出しようとしたキノとフアナは波で転覆してしまい、陸に戻り、あてもなく歩き続ける。

犬を連れた医師とディーラーと先住民2人は二手に別れ、キノとフアナを追い沼地に向かう。

ディーラーは、医師と犬を射殺してしまう。

沼地を抜けたキノとフアナは野原を逃げるが、馬に乗ったディーラーと先住民に追われる。

疲労で何度も倒れるフアナは、足手まといになると考え1人で死のうとする。

隠れていたフアナを見つけたキノは、息子と2人で逃げてほしいと言われ、足が血だらけの彼女を励ます。

フアナの足に布を巻いたキノは、彼女に豊かな生活を想像させて歩き始める。

民家に着いたキノとフアナは、農夫(マックス・ラングラー)に水をもらい休息して出発する。

2人を追うディーラーは、農夫を殺して先を急ぐ。

山に着いたキノとフアナは身を潜め、追いついたディーラーたちを確認する。

戦う決意をしたキノは、息子に真珠を握らせてディーラーの元に向かう。

先住民は逃げてしまい、キノは背後からディーラーに迫る。

子供の泣き声がしたため、ディーラーは発砲する。

銃弾を受けたファニートの手から、握っていた真珠が落ちる。

ディーラーに襲いかかったキノは、彼を殺す。

ファニートを山に葬ったキノとフアナは村に戻り、岩棚に向かう。

キノは真珠を海に投げ捨て、フアナと見つめ合い手を握り締める。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
メキシコラパス

貧しい漁師キノは、妻フアナと赤ん坊の息子ファニートと暮らしていた。
ある日キノは、誰も見たことがない大粒の真珠を見つけたことで人生が一変してしまう。
英雄扱いされたキノだったが、真珠を狙うディーラーや、その兄で真珠の魅力にとり憑かれている医師が彼に迫る。
命の危険に晒されたキノは、フアナと息子を連れて村を去るのだが・・・。
__________

ジョン・スタインベックの中編小説”The Pearl”を基に製作された作品。

大粒の真珠を手に入れた貧しい漁師と妻の運命を描くドラマ。

俳優としてハリウッドでも活躍し、監督作品も手掛けていたエミリオ・フェルナンデスが、脚本も兼ねて監督した作品であり、その才能を世界に知らしめたメキシコ映画の秀作。

本作は各方面で絶賛され、特にガブリエル・フィゲロアによる、貧しく弱い立場の主人公たちとは対照的な、ダイナミックでスケール感のある白黒映像は秀逸であり、ゴールデングローブ賞ベネチア国際映画祭では撮影賞を受賞した。

2002年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

その日暮しの貧しい漁師が、一粒の真珠を手に入れたことで人生が一変するが、結局は、それにより最も大切なものを失ってしまうという悲劇を、繊細且つ力強い映像で描くエミリオ・フェルナンデスの演出と脚本が光る作品。

主演の貧しい漁師を好演するペドロ・アルメンダリスは、本作後にジョン・フォードに誘われてハリウッドに進出し、彼の作品「逃亡者」(1947)、「アパッチ砦」(1948)、「三人の名付親」(1948)に出演した。

主人公の妻で真珠の呪いを恐れるマリア・エレナ・マルケス、真珠を狙うディーラーのフェルナンド・ワグナー、その兄で同じく真珠を狙う医師のチャールズ・ルーナー、ディーラーに雇われる男ホアン・ガルシアとギルベルト・ゴンザレザス、主人公の名付親アルフォンソ・ベドヤ、別のディーラー、ラウル・レチュガ、主人公らに水を与える農夫のマックス・ラングラーなどが共演している。


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