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パラダイン夫人の恋 The Paradine Case (1947)

1933年に発表された、ロバート・S・ヒチェンスの小説”The Paradine Case”を基に製作された作品。
夫殺害容疑で裁かれる夫人に魅了されてしまう敏腕弁護士の苦悩を描く、製作デヴィッド・O・セルズニック、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演グレゴリー・ペックアン・トッドアリダ・ヴァリルイ・ジュールダンチャールズ・ロートンエセル・バリモアチャールズ・コバーン他共演のフィルム・ノワール

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
グレゴリー・ペック / Gregory Peck / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作:デヴィッド・O・セルズニック
原作:ロバート・S・ヒチェンス”The Paradine Case”
脚本
デヴィッド・O・セルズニック

ジェームズ・ブライディー
撮影:リー・ガームス
音楽:フランツ・ワックスマン

出演
アンソニー・キーン:グレゴリー・ペック

ゲイ・キーン:アン・トッド
マッダレーナ・アン・パラダイン夫人:アリダ・ヴァリ
アンドレ・ラトゥール:ルイ・ジュールダン
トーマス・ホーフィールド判事:チャールズ・ロートン
ソフィー・ホーフィールド:エセル・バリモア
サイモン・フラクアー卿:チャールズ・コバーン
ジュディ・フラクアー:ジョアン・テッツェル
ジョセフ検事:レオ・G・キャロル
コリンズ:ジョン・ウィリアムズ

アメリカ 映画
配給 Vanguard Films

1947年製作 114分
公開
北米:1947年12月29日
日本:1953年2月19日
製作費 $4,258,000


アカデミー賞 ■
第20回アカデミー賞
・ノミネート
助演女優賞(エセル・バリモア


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1946年、ロンドン
若くて美しいイタリア人女性マッダレーナ・アンナ・パラダイン夫人(アリダ・ヴァリ)は、警部の訪問を受け。

夫人は、目が不自由だった夫の毒殺に関与した疑いで逮捕される。

警察署に現れたパラダイン夫人の顧問弁護士サイモン・フラクアー卿(チャールズ・コバーン)は、尋問を前にして、それに対する心構えを彼女に語る。

尋問でサイモン卿の指示通り何も言うことはないと答えた夫人は、裁判で弁護を担当するのが有能なアンソニー・キーン(グレゴリー・ペック)であることを知らされる。

その後、身体検査を受けた夫人は監房に向かう。

帰宅したキーンは、妻ゲイ(アン・トッド)に迎えられ、パラダインの事件を担当することになったことを伝える。

翌日、サイモン卿と共に刑務所を訪れたキーンは、パラダイン夫人に面会する。
...全てを見る(結末あり)

キーンは何も心配することはないと言って夫人を安心させると共に、彼女に魅了される。

今回の法廷で裁判長を務めるトーマス・ホーフィールド判事(チャールズ・ロートン)の屋敷に、娘のジュディ(ジョアン・テッツェル)と共に招待されたサイモン卿は、判事夫人ソフィー(エセル・バリモア)とキーン夫妻も同席する食事を済ませ、男性だけで話を始める。

ホーフィールドは、優秀であることは認めるが法廷で度々、感情的になるキーンの態度が気になることを率直に語る。

話を終えたホーフィールドはゲイに寄り添い、夫は様々な未亡人などに会うのが仕事で、忙しくて相手をしてくれないのではないかと言って好意を示すものの、彼女はそれを嫌い席を外す。

自宅に戻ったキーンは、ゲイにパラダイン夫人のことを聞かれ、それを気にする彼女が何を言いたいのか理解できない。

スイス旅行をイタリアに変更すると言い出したキーンは、自分が他の女性に心を寄せていると考えるゲイに気づく。

冗談としか思わないキーンは、自分に好意を寄せるホーフィールドのような男性もいるとゲイに言われ、二人はそれを笑い話考えながら寝室に向かう。

翌日、パラダイン夫人に面会をしたキーンは、過去を含めて全てを自分に話してほしいことを伝える。

辛い経験をしてきたと語りながら、努力をしてみると夫人は答える。

少女の頃に男性と逃亡して彼を利用した過去など、夫人は洗いざらい話すことを伝えるが、パラダイン家の名を汚すことを気にする。

キーンは、無罪を勝ち取ることを約束し、信頼してほしいと伝えて面会を終わる。

深夜までサイモン卿と話し合うキーンは、パラダインが自殺したという考えを示し、彼の世話をしていたアンドレ・ラトゥール(ルイ・ジュールダン)が、その手助けをしたと確信していた。

サイモン卿はそれを否定し、夫人による殺人であると指摘する。

検察側がそう思い込んでいる限り、その対応を考えるべきだと語るサイモン卿に、夫人が高潔な人物であるとキーンは言い張る。

その態度を見たゲイは、夫が夫人に心を奪われていると感じる。

ゲイに気づいたキーンは表情を変え、二人は気まずい雰囲気になり、サイモン卿はその様子を観察する。

パラダイン夫人に会ったキーンは、ラトゥールが主人の自殺を助けたのではないかと問う。

しかし、夫人がラトゥールをファーストネームで呼び擁護したため、キーンは二人の関係を疑い嫉妬してしまう。

サイモン卿は、キーンの夫人に対する熱の入れようを気にしていた。

キーンがパラダインの屋敷を訪ねて、ラトゥールに会おうとしていることを知ったジュディはその話に興味を持ち、夫人とラトゥールの関係を疑う。

ジュディは、キーンがラトゥールに嫉妬したと考える。

夫人がどんな人物かをジュディに聞かれたサイモン卿は、自分でさえも心を揺さぶられる、驚くほど魅力的な女性だと答える。

それを聞いたジュディは、ゲイを気の毒に思う。

帰宅したキーンは、気分転換のための小旅行をゲイに提案される。

キーンは、それよりもしなければならないことがあると言って、調査のためパラダイン家の屋敷を訪ねる予定を伝える。

同行すると言うゲイに一人で行くことを伝えたキーンは、彼女の様子がおかしいことに気づく。

ゲイを気遣い、裁判を降りて翌日スイスに旅立つと言い出すキーンだったが、ゲイは、信じていることを伝えて調査に向かわせようとする。

スコットランドグラスゴー、”カンバーランド駅”。
目的地に着いたキーンは宿で部屋をとり、翌日、パラダインの屋敷に向かう。

宿の女主人や馬車で案内してくれた男性からラトゥールやパラダイン夫人のことを聞いたキーンは、屋敷の入り口に現れたラトゥールに迎えられる。

使用人に屋敷内を案内されたキーンは、寝室のベッドに飾られたパラダイン夫人の肖像画を見て彼女を想う。

キーンは、庭を見せるようにラトゥールに声をかけたものの、彼の姿が見えなくなったために宿に戻る。

その夜、宿の裏口からラトゥールが現れ、キーンは彼と話をする。

ラトゥールが会いに来たこととキーンが屋敷に現れた理由、二人はそれを探り合う。

パラダイン夫人ではなく主人に仕えていたと言うラトゥールは、彼女の指示で来たはずだとキーンに問う。

それを否定するキーンに対し、ラトゥールは、夫人の本性を知らないと言って彼女が悪魔のような女だと言い切る。

キーンはラトゥールを非難して追い払追うとするが、哀れな男と言われる。

ロンドンに戻ったキーンはパラダイン夫人に会い、屋敷に行きラトゥールに会ったことを伝える。

ラトゥールになぜ憎まれるのかを問うキーンは答えない彼女に、二人が関係を持っているからだと伝える。

気分を害した夫人は、弁護を降りるようキーンに指示して立ち去ろうとする。

キーンは謝罪し、夫人は彼の手をとりその場を去る。

ジュディに会ったゲイは、キーンのことで悩んでいることを伝え、夫の苦しむ姿を見たくないと言いつつ彼への愛を語る。

自宅に戻ったキーンは、ゲイがパラダイン夫人のことを気にしていることを察し、そのことについて彼女に尋ねる。

穏やかに話し始めたゲイだったが、夫人を憎みキーンの彼女に接する態度を批判し始める。

馬鹿げた話だと言って考え込むキーンが、良き夫だということを認めたゲイは、夫人が自由の身になれば公平な立場で戦いができると伝える。

夫人が死ねばキーンは彼女を永遠に愛し、自分は夫を失うと付け加えるゲイは、弁護士として最善を尽くし裁判に勝つよう彼を励ます。

言いたいことを口にしたゲイは満足して部屋を出るが、キーンは悩む。

裁判は始まり、パラダイン夫人は法廷に姿を現し無罪を主張する。

ゲイは気が進まなかったものの、ジュディに誘われて法廷に向かう。

ジョセフ検事(レオ・G・キャロル)の冒頭陳述の後、キーンがパラダイン家の執事を証人として呼んで質問し、主人の自殺を証明しようとする。

キーンの質問は、裁判長ホーフィールドの執事に対する意見で否定されてしまい、ジョセフ卿はラトゥールを証人として呼ぶ。

ジョセフ卿は、ラトゥールの経歴や主人との関係についてを質問してその日は終わる。

翌日、再び証言台に立ったラトゥールは、パラダイン夫人が自分と主人の間を裂こうとしたという意味の話をする。

その様子を観察するジュディは、ラトゥールが何かを隠していると考える。

キーンは、ラトゥールの婚約者が別の男と逃げた話を始めて、彼が女性を異常に憎むと言う見解を示す。

しかし、ホーフィールド判事はその話が理解できず、ラトゥールは極めてまともであり、被告が異常に思えると言い切りその場の笑いを誘う。

キーンは、証人のパラダイン夫人への憎しみを証明したかっただけだと語り、主人が遺産を遺したことをラトゥールに問う。

ラトゥールはそれを否定するものの、キーンに追及されて知っていたと認める。

キーンは、主人が死にたいという言葉を口にしていたという事実をラトゥールに確認する。

何かを隠していると声を荒げるキーンは、事件当日、夫人が嘘をつき口論となるが、主人が夫人の言葉を信じ、信頼するラトゥールの言葉は信じなかったという矛盾をつく。

言葉を返せないラトゥールを嘘つきだと言い放つキーンは、夫人を批判する彼にその理由を述べるよう求める。

ラトゥールは何もないと答え、キーンは事件当日のことに話を戻して質問する。

事件の夜、ラトゥールが、夫人が主人の部屋に向かうことに気づかないはずがないことや、彼が飼い犬を安楽死させるため毒殺したことがあることを確認する。

ラトゥールは、自分を犯人にしようとしていると言って苛立ち、彼を落ち着かせたホーフィールドは休廷する。

パラダイン夫人の元に向かったキーンは、ラトゥールが自殺の手助けをしたように思わせることには反対したはずだと言われて批判される。

謝罪したキーンは、恋をしたために何としても助けたかったと夫人に伝える。

ラトゥールを犯人にすることは許さないと言う夫人に、彼を愛しているのかと問うキーンだったが、弁護士には無関係な話だと言われる。

このまま弁護を続けるキーンの考えを確認した夫人は、信頼はしていると伝え、ラトゥールを犠牲にしないことを約束させる。

それが夫人を救う唯一の方法だと答えるキーンは、それに納得しない彼女に、証言台で言いたいことを語ればいいと伝えて立ち去る。

法廷は再開され、キーンは事件の日のことをラトゥールに確認し、部屋を掃除するよう命ぜられたことや、主人が飲んだワイン・グラスの矛盾点を問う。

キーンは、夫人を不審に思った時期をラトゥールに聞き、彼女が夫に解雇を求めたことが殺害を考えた理由だと語る。

主人は夫人に言われてラトゥールに嫌気が差したと言うキーンは、ラトゥールに答えを求める。

ラトゥールはそれを拒むが、夫人が嘘をついていると語る。

主人がそれに気づいたと答えたラトゥールは、夫人が自分を責めたことも主人は知っていたと伝える。

ラトゥールは主人の名を汚したくなかったと語り、キーンと夫人がその名を汚したと付け加え真実を話し始める。

全て夫人が悪いのであり彼女を憎むと言うラトゥールは、その場で神に祈りを捧げる。

既に質問を終えているキーンは異議を申し立て、ラトゥールを退廷させるようホーフィールドに求める。

ホーフィールドは、感情的になり過ぎると言ってキーンの言葉を遮る。

ジョセフ卿は、夫人との関係をラトゥールに問い、彼はそれを認める。

ラトゥールは、夫人の正体を暴露したくなかったと言って、自分でもよく理解できないと語り、動揺しながら退廷する。

複雑な思いのキーンの表情をゲイは気にする。

キーンは夫人を証人として指名し、彼女は真実を述べることを誓う。

夫人の結婚前やその後の夫との生活を聞き始めたキーンは、ラトゥールが傍にいてほしくなかったことを彼女から聞き出す。

肉体関係を迫ったラトゥールのことを主人にも話したと言う夫人は、その件でラトゥールを責める主人の様子を語る。

ラトゥールが主人に許しを請う姿を見たと言う夫人の言葉で、キーンは、ラトゥールが嘘の証言をしたと指摘する。

ジョセフ卿の誘導尋問だと言う言葉を受けて、ホーフィールドはキーンに注意をする。

キーンは、夫の死後ラトゥールにその場の掃除を指示したことを夫人に確認する。

医師の証言でワイン・グラスはきれいに洗われていたのだが、それを洗うのが可能なのはラトゥールだけだった。

誰が洗ったのかを問われた夫人は、ラトゥールを犯人と思わせたいと言ってキーンの狙いに不快感を示し、自分が洗ったと告白する。

ホーフィールドは、夫人の証言を重要事項と判断して詳細な説明を求める。

動揺するキーンは、時間をかけて対処したいことをホーフィールドに伝えて休廷となる。

自宅に戻ったキーンは、その場にいたジュディから、なぜあそこまでラトゥールを追求し犯人にしたかったのかを聞かれる。

戸惑うキーンに、それがなぜか自分もゲイも分かっていると伝えたジュディは、パラダイン夫人への質問も彼女を擁護していたように見えたと付け加える。

ゲイのために夫人を救ってほしいと伝えるジュディは、それができないのであれば負けた方がよいと言い残して立ち去る。

翌日、法廷は再開しキーンは何も質問しない。

ラトゥールに対しての特別な感情をジョセフ卿に問われたパラダイン夫人は、夫と彼を切り離すのが目的ではなかったかとも言われ、いずれも否定する。

そこに、ラトゥールが自殺したという報告が入ったため、夫人は彼の名前を呼び動揺する。

キーンは、ラトゥールが自殺した理由を語ろうとするが、ジョセフ卿は、彼が主人を裏切り生きてはいけないと証言したからだと割って入る。

ホーフィールド判事は、この件を無視するよう陪審員に伝え、キーンは休廷せずに最終弁論に入ろうとする。

ジョセフ卿もそのまま質問を続け、夫人になぜグラスを洗ったのかを問う。

夫人はどうでもいいことだと言って質問を無視し、愛するラトゥールが死んだ事実だけを問題にする。

夫を殺せば二人が幸せになると考えた夫人だったが、ラトゥールは主人への忠誠心からそれを拒否し、彼は自分が夫を殺したことを知っていたと語る。

キーンは愕然として席に着き、ジョセフ卿はこれ以上質問がないことをホーフィールドに伝える。

立ち上がったキーンは夫人に質問を始めるが、彼女は自分の愛する人を殺し人生は終わったと言ってそれを拒否する。

一生憎み続けると夫人に言われたキーンは、ラトゥールを追い込んだのは自分であり欠点にも気づいたが、それは本件とは無関係であることを裁判長と陪審に語り、コリンズ弁護士(ジョン・ウィリアムズ)に後を任せて退廷する。

その夜、妻ソフィーと食事をしたホーフィールドは、内緒で裁判を傍聴していたと言う彼女がその場にいたことに気づいていたことを伝える。

ソフィーは、パラダイン夫人の無罪を祈っていることを伝えるが、結局は、夫人が絞首刑になるとホーフィールドに言われ、恐ろしさの余り席を立つ。

次の裁判ではしくじらないことをサイモン卿に伝えたキーンは、ゲイに電話をするべきだと言われる。

ゲイが辛いだけだろうと言ってその気になれないキーンは、今後の身の振り方などを考えるべきだともサイモン卿に助言される。

そこにジュディが現れ、サイモン卿は、ゲイが訪ねてきたことを知るり席を外す。

部屋に入ってきたゲイに声をかけられ彼女に気づき驚いたキーンは、自分を誇りに思うと言われて戸惑う。

酷いことをしてしまったと謝罪するキーンに対し、人生にとって最も大切なのは今だとゲイは語る。

夫は世界一素敵な人であり、法廷で闘い勝ち続ける姿がよく似合うとゲイに言われたキーンは、自分を贔屓目に見過ぎると意見しながら、微笑んで彼女の手を握る。


解説 評価 感想 ■

★ヒッチコック登場場面
上映から約37分、スコットランドグラスゴーの”カンバーランド駅”に到着した主人公グレゴリー・ペックの後に現れる、タバコを吸いながらチェロ・ケースを持つ男性がアルフレッド・ヒッチコック
彼にしては珍しくややオーバーアクションなの比較的に分かり易い。

*(簡略ストー リー)
1946年、ロンドン
若くて美しいイタリア人女性パラダイン夫人は、目が不自由であった夫の毒殺容疑で逮捕される。
夫人の顧問弁護士サイモン卿は、有能なアンソニー・キーンに弁護を担当させる。
パラダイン夫人に面会したキーンは、その美しさに魅了されてしまう。
夫人の夫が自殺したと考えるキーンは、被害者の世話をしていたラトゥールがその手助けをしたと確信する。
しかし、夫人はそれを好意的に捉えず、キーンは、彼女を救う手段だと言って考えを変えない。
その後、キーンのパラダイン夫人に対する態度を、彼の妻ゲイだけでなく周囲も気にし始める。
それを察したキーンは、夫人への想いと周囲の考えの狭間で苦悩する・・・。
__________

アルフレッド・ヒッチコックによる心理サスペンス的な内容ではあるが、大筋では法廷劇に徹した、彼にしては異色作と言ってよい作品。

主人公や周囲の者達の考えに一貫性がなく頭をかしげてしまう場面があるが、これが、混乱を誘うヒッチコックの”罠”であったのかと考えると興味津々と言ったところだろうか。

法廷シーンのやり取りを見ていると少々、疲れてしまい、裁かれる者の明かす真実なども想像がついてしまい、ヒッチコックにしては評価も低い作品。
また、彼の”仕掛け”があるとしても、それが理解できない苛立ちも感じてしまう。

他のヒッチコック作品を意識し過ぎているからとも言えるので、豪華キャストなどを単純に楽しむことをお勧めします。

第20回アカデミー賞では、短い出演ながらエセル・バリモアが助演女優賞にノミネートされた。

主演のグレゴリー・ペックは「白い恐怖」(1945)に続くヒッチコック作品で、撮影当時30歳になったばかりであり、貫録を出すために白髪交じりのメイクで敏腕弁護士を熱演している。

主人公の妻を好演する、実際にはグレゴリー・ペックよりも7歳も年上のアン・トッド、美しさだけでなく、その表情だけの演技が非常に印象的な殺人の容疑者アリダ・ヴァリ、彼女との関係や被害者である主人への忠誠心のため苦悩するルイ・ジュールダン、曲者的な役柄で存在感を発揮する判事チャールズ・ロートン、その妻役であり、実は彼より20歳も年上のエセル・バリモア、主人公を見守る弁護士チャールズ・コバーン、その娘ジョアン・テッツェルヒッチコック作品の常連、検事役のレオ・G・キャロル、同じく弁護士役のジョン・ウィリアムズなどが共演している。


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