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惨劇の砂漠 The Painted Desert (1931)

仲違いした2人の男を和解させるために彼らに救われた青年が奔走する姿を描く、監督、脚本ハワード・ヒギン、主演ウィリアム・ボイドヘレン・トゥエルヴツリーズウィリアム・ファーナムJ・ファレル・マクドナルドクラーク・ゲーブル他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督
ハワード・ヒギン
トム・バッキンガム(クレジットなし)
製作:E・B・ダール
脚本
ハワード・ヒギン
トム・バッキンガム
撮影:エドワード・スナイダー
編集:クラレンス・コルスター
音楽:フランシス・グロモン

出演
ビル・ホルブルック:ウィリアム・ボイド
メアリー・エレン・キャメロン:ヘレン・トゥエルヴツリーズ
ビル”キャッシュ”ホルブルック:ウィリアム・ファーナム
ジェフ・キャメロン:J・ファレル・マクドナルド
ランス・ブレット:クラーク・ゲーブル
トノパー:チャールズ・セロン
ダイナマイト:ヒュー・アダムス
ボブ・カーソン:ウェイド・ボトラー
カービー:ウィル・ウォーリング
マシューズ判事:エドモンド・ブリース
テックス:ガイ・エドワード・ハーン
デンヴァー:ウィリアム・ルメール
プロヴニー:リチャード・クレイマー
バック:アル・セント・ジョン

アメリカ 映画
配給 RKO
1931年製作 85分/75分(再編集)
公開
北米:1931年1月18日
日本:1931年10月30日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
西部に向かうビル”キャッシュ”ホルブルック(ウィリアム・ファーナム)とジェフ・キャメロン(J・ファレル・マクドナルド)は、放置された幌馬車にいた男の子の赤ん坊を見つける。

子供を見捨てるわけにいかないキャッシュとジェフは、その子のことで言い争いになる。

水場に落ち着き残ると言うジェフに、子供を渡す気がないキャッシュは、その子を抱いて立ち去る。

時は流れ、娘のメアリー・エレン(ヘレン・トゥエルヴツリーズ)と水場で暮らすジェフは、キャッシュの牛が近づくことに気づくが、水を分けるつもりはなかった。

キャッシュも、ジェフに頭を下げる気はなく、水場自体を手に入れようと考えていた。

流れ者のランス・ブレット(クラーク・ゲーブル)が現れ、ジェフは、彼がキャッシュとは関係ない男だと確認して、水を飲むことを許す。

ジェフは、キャッシュとの関係をランスに話す。

キャッシュが水場の件で交渉に来ることをランスの話したジェフは、彼に見張りを頼む。

ジェフは、ランスと共に岩場に向かい様子を見ようとするが、キャッシュの動きがおかしいことに気づく。

牧場に戻ったキャッシュは、ジェフに追い払われたと思い込む。

ところがキャッシュは、成長した息子ビル(ウィリアム・ボイド)に追い払われたことを知り、ジェフとの争いを避けたかったと言う彼の考えを知る。
...全てを見る(結末あり)

タングステン”の含有鉱石を見せたビルは、それを採掘できる場所を知っているとキャッシュに話す。

その土地の所有者はそれを知らないと言うビルは、無一文なので掘り出すことができないとキャッシュに伝える。

財産もある自分ならそれができると言われたキャッシュは、その土地の持ち主がジェフだと知る。

ジェフと仲直りする気がないキャッシュは、ビルと別れる決意をして家から出て行くよう指示する。

ビルは、2人の壁は必ず壊すとキャッシュに伝えて、別れを告げる。

翌日、メアリー・エレンは、訪ねてきたビルに銃を向けて追い払おうとする。

それを制止したジェフはビルの話を聞き、鉱石を見せられ、採掘には水が必要だと知り、銀行で金が借りられるなら協力することを伝える。

ビルがキャッシュと仲違いしたことに気づいたジェフは、自分とキャッシュを仲直りさせようとする考えには納得できず、決着をつけるまでは採掘はしないと伝える。

しかしジェフは、本来なら自分の子だったと言って考えを変え、ビルにすべての権限を渡そうとする。

訪ねて来たトノパー(チャールズ・セロン)と話したメアリー・エレンは、ビルが牛の群れを追い払い、キャッシュと仲違いして家を追い出されたことを知る。

ジェフと友好的な雰囲気で別れたビルは、事情を知り追ってきたメアリー・エレンに謝罪され、親子で大金を手に入れることになると伝える。

ビルから、キャッシュが自分にとっては親切な父親だったという話を聞いたメアリー・エレンは、誤解していたと言いながら、彼と打ち解けて楽しい時間を過ごす。

2人に気づいたランスは、その会話を聞いていた。

その後、ジェフと手を組んだビルは、大規模な採掘作業は始める。

メアリー・エレンに惹かれていたランスは、彼女が学校に通うために出て行くことになり、ビルとの仲も気にして恨みを持つ。

メアリーは町のギルロイ家で下宿することになり、ジェフとビル、そしてランスにも別れを告げて馬車で出発する。

暫くしてメアリー・エレンと御者のボブ・カーソン(ウェイド・ボトラー)らはキャッシュらに出くわし、その後、尾根に現れた何者かが気になる。

その件を報告しに戻ったテックス(ガイ・エドワード・ハーン)は撃たれてしまい、それを知ったビルは、メアリー・エレンは町に着いた頃だということを確認する。

ジェフは、テックスがキャッシュらに会ったことを知り、彼の仕業だと考えて、それをビルに伝える。

キャッシュではないと言うビルは、銀行と取引するために荷物を鉄道に運ぶのが先決だとジェフに伝えて出発する。

町に到着して酒場にいたボブは、ビルの馬車が着いたために喜ぶ。

積荷を降ろすビルは、無事に町に着いたメアリー・エレンを抱きしめる。

マシューズ判事(エドモンド・ブリース)を呼んだビルは、結婚式の準備を頼み、それをジェフに知らせようとする。

キャッシュは、その様子を黙って見つめていた。

その頃ジェフは、倉庫からダイナマイトが盗まれたことを知り、大爆発を起きたためにその場は混乱する。

山は破壊されてしまい、失意のジェフはビジネスを諦めるしかなかった。

式を控えて酒場で皆に祝福されるビルは、現れたキャッシュに声をかける。

そこにジェフの伝言を預かったランスが現れ、鉱山が破壊されたことをビルに伝える。

その件で皆が自分を疑っていると言われたキャッシュは、その動機はあるとランスに伝える。

ビルから、それはあり得ないと言われたキャッシュは嬉しく思い、その場にいた銀行家のカミングスに、自分の預金を整理して息子に譲ることを伝える。

感謝したビルは、採掘の分け前の半分は渡すとキャッシュに伝えて、マシューズ判事と話をする。

ジェフが町に来たことに気づいたキャッシュは、ジェフとは鉱山と池の共同所有者になったことをカミングスに伝え、牛の群れを池に向かわせて水を与えることを考える。

ビルは、土地の所有権に関する証明書を判事に作成してもらい、それをキャッシュに渡すことを頼む。

判事から書類を受け取ったキャッシュは、今夜、牛に池の水を飲ませることを話す。

キャッシュの話を聞いていたランスは、それをジェフに伝える。

ジェフと話したビルは、メアリー・エレンとの結婚のことを伝えるが、キャッシュと組んで自分を騙し、池を手に入れようとしていると言われ、誤解だと伝えるものの信じてもらえない。

ジェフがランスから話を聞いたことを知ったビルは、メアリー・エレンに自分を信じてほしいと伝えて立ち去る。

ボブと話したビルは、ランスが気になることを言っていると知らされ、酒場に向かう。

牧童頭のカービー(ウィル・ウォーリング)に池の水の件を話したキャッシュは、ジェフが拳銃を持って探していることを知り対抗しようとする。

酒場にいたランスを殴り拳銃を奪ったビルは、鉱山の爆破など、すべて自分がやったことを認めさせて、ボブに連行させる。

対峙するジェフとキャッシュに気づいたビルは、発砲した2人のどちらかの弾丸を受けてしまう。

息子を助けたいとジェフに伝えたキャッシュは、彼と手を握り合いビルを抱きかかえる。

メアリー・エレンは、自分を監視していたトノパーを殴り、ビルの元に向かい駆け寄る。

ビルの無事を確認したメアリー・エレンは、結婚式には少し遅れるだけだと言う彼と抱き合う。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
西部に向かおうとしていたキャッシュとジェフは、放置された幌馬車にいた男の子の赤ん坊を助ける。
その子をめぐりジェフと仲違いしたキャッシュは、子供を引き取り彼と別れる。
時は流れ、ビルと名付けられた子供は青年に成長し、彼は、見つけた鉱山の権利を利用して、いがみ合うキャッシュとジェフを仲直りさせようとするのだが・・・。
__________

サイレント時代から活躍していたハワード・ヒギンが、脚本を兼ねて監督した作品。

思わぬことで仲違いしてしまった、2人の男の友情が取り戻せるかが本作のテーマであり、そのきっかけとなった、孤児として育てられた青年が、2人の”父親”の和解のために奔走する姿が描かれた異色の西部劇。

主人公と片方の男の娘との恋、その件に関する嫉妬や恨みが絡む複雑な人間関係や、西部劇の定番である、愉快なキャラクターなども登場する内容は十分に楽しめる。

大規模な鉱山の採掘現場などのスケール感あるシーンや、後に「駅馬車」(1939)で有名になる”モニュメント・バレー”が映し出される映像なども注目だ。

また、端役程度の出演が続いていた、まだ20代のクラーク・ゲーブルが、主人公とヒロインに嫉妬する悪役として重要な役を演じ、印象的に残る演技を見せてくれる。

主演のウィリアム・ボイドは、仲違いをしてしまった2人の”父親”の友情を取り戻そうとする、人望が厚い逞しい青年を熱演している。

主人公と惹かれ合うヘレン・トゥエルヴツリーズ、その父親で、主人公と鉱山の採掘事業を始めるJ・ファレル・マクドナルド、友人だった彼と仲違いしてしまい、主人公を育てた牧場主のウィリアム・ファーナム、飲んだくれの老人チャールズ・セロン、採掘場のダイナマイト技師ヒュー・アダムス、ヒロインを町に連れて行く男ウェイド・ボトラー、キャッシュ(ウィリアム・ファーナム)に雇われる牧童頭ウィル・ウォーリング、判事のエドモンド・ブリース、採掘場の作業員ガイ・エドワード・ハーン、ウィリアム・ルメール、リチャード・クレイマーアル・セント・ジョンなどが共演している。


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