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暴行 The Outrage (1964)

怪奇な事件の裁判を見た牧師が人間不信に陥り真相を知り人間の真実の姿を理解する・・・。
監督マーティン・リット、主演ポール・ニューマンローレンス・ハーベーエドワード・G・ロビンソンクレア・ブルームウィリアム・シャトナー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・リット
製作:A・ロナルド・ルービン
原案
黒澤明
橋本忍
戯曲
マイケル・ケニン
フェイ・ケニン
脚本
マイケル・ケニン
フェイ・ケニン
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
編集:フランク・サンティーロ

音楽:アレックス・ノース

出演
ポール・ニューマン:ホアン・カラスコ
ローレンス・ハーベー:ウェイクフィールド大佐
エドワード・G・ロビンソン:ペテン師
クレア・ブルーム:ニナ・ウェイクフィールド
ウィリアム・シャトナー:牧師
ハワード・ダ・シルバ:探鉱者
アルバート・サルミ:保安官
ポール・フィックス:先住民霊媒師

アメリカ 映画
配給 MGM
1964年製作 97分
公開
北米:1964年10月7日
日本:1964年12月


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ある裁判を見て、人間の愚かさに絶望した牧師(ウィリアム・シャトナー)が、町を出るため駅で汽車を待つ。

その裁判に関わり、殺人事件の死体を発見した探鉱者(ハワード・ダ・シルバ)が、牧師を気遣う。

そこに居合わせたペテン師(エドワード・G・ロビンソン)は、殺人くらいで騒ぐ二人を嘲り笑うが、その内容を聞いてみることにする。
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探鉱者が町外れの森に向かうと、異様な雰囲気を感じ、誰かの遺留品を見つける。

男/ウェイクフィールド大佐(ローレンス・ハーベー)の死体を見つけた探鉱者は町に帰り、それを保安官(アルバート・サルミ)に知らせた。
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牧師は、被害者ウェイクフィールド大佐と妻ニナ(クレア・ブルーム)に道で出くわして挨拶を交わしていた。
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捕まって裁判にかけられた犯人は、メキシコの凶悪犯ホアン・カラスコ(ポール・ニューマン)で、犯罪を犯しては逮捕され、そして脱獄を繰り返していた。
...全てを見る(結末あり)

馬車に乗るウェイクフィールド夫妻を、たまたま見かけたカラスコは、先回りをしてアステカの遺物を売り込み、森に連れて行き、隙を見せたウェイクフィールドを縛り上げる。

それに気づいたニナが、ナイフを持ちカラスコに襲い掛かるが、彼は夫の前でニナを犯してしまう。
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極悪非道のカラスコを知るペテン師は、それでこそカラスコだと高笑いして話の続きを聞く。
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辱めを受けたニナは、せめて夫に名誉の決闘をさせるようカラスコに訴える。

それに応じたカラスコは、ウェイクフィールドの縄を解き、格闘の末、彼を刺し殺したと言うのが彼の証言だった。
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しかし、殺されずに生きていたニナの証言は違っていた。

ニナは、カラスコが二人を置き去りにした後、夫の侮辱の眼差しに耐え切れずに、自らの手で彼を殺したと言うのだ。
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殺されたウェイクフィールドの証言も、先住民の霊媒師(ポール・フィックス)を介して行われる。

カラスコを選び自分を裏切った妻ニナを見て、誇り高きウェイクフィールドは自ら命を絶ったと言う。
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しかし、探鉱者は三人の証言は全て嘘だと叫び始め、事件の目撃者だったことを認めて、その様子を話し始める。

暴行後に一緒に来てくれとすがるカラスコと、決闘をさせようとするニナに、縄を解かれたウェイクフィールドは、男好きの彼女の本性を見抜く。

家柄ばかり気にするウェイクフィールドに、嫌気がさしたニナは噛み付くが、カラスコが中に割って入り、その場を立ち去ろうとする。

ニナは夫を臆病者だと言い、犯され愛してしまったが、見込み違いだったとカラスコにも言い放つ。

腰抜けと小悪党呼ばわりされた二人は、決闘をすることになり、銃撃戦となった彼らは弾が切れて格闘になる。

ナイフを手にしたウェイクフィールドは、石につまづき、自分の胸を突き刺してしまう。
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勇者と淑女、そして悪党の戦いどころか、ケチな連中の他愛ない争いだという真実を知ったペテン師は、それが現実というもので、人の真の姿だと牧師に語る。

その時、駅で捨て子を見つけたペテン師は、添えてあった金をくすねる。

それを非難する探鉱者にペテン師は、自分よりも、子供を作った末に捨てる親の方が酷いと言い切る。

そして、探鉱者の嘘を暴こうとするペテン師は、宝石付のナイフの行方を探鉱者に問い質し、彼がそれを売って、金にしたことを見抜ぬいていたことを告げる。

探鉱者は、7人の子供を養うために仕方なくナイフを売ったことを牧師に告げ、捨て子を引き取る承諾を得る。

汽車が到着し、牧師を呼び寄せるペテン師だったが、人間への信頼を取り戻した牧師は、探鉱者と共に駅を去っていく。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ある裁判を見て、人間の愚かさに絶望した牧師が町を出るために、駅で汽車を待つ。
そこに居合わせた、その裁判に関わり、殺人事件の死体を発見した探鉱者の話を、ペテン師が、殺人くらいで騒ぐ二人を嘲り笑いながら聞いてみることにする。
ウェイクフィールド大佐と妻ニナは、凶悪犯ホアン・カラスコに襲われ、彼女は夫の前で犯される。
辱めを受けたニナは、夫に決闘をさせ、彼はカラスコに刺し殺された・・・、というのがカラスコの証言だった。
しかし、ニナは夫の侮辱の眼差しに耐え切れず彼を殺したと言い、霊媒師は自殺だと、探鉱者は、決闘の末、ウェイクフィールドが誤って自分の胸を刺したと語るのだった・・・。
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映画「羅生門」の舞台である平安時代を、19世紀の西部に置き換えてはいるものの、ストーリーはほぼ忠実に再現されている。

1922年に発表された、芥川龍之介の”藪の中”を原作に”羅生門”(1951)を参考にした、黒澤明の「羅生門」(1950)のリメイクというよりも、マイケル・ケニン/フェイ夫妻の舞台劇の映画化と言った方が正しい。

一つの事件を、食い違ういくつもの証言とその視点から、全く異なる様に描き、観る者を混乱させていくという展開はマーティン・リットのシャープな演出と共になかなか楽しめる。

メキシコ人凶悪犯役という主演のポール・ニューマンの体当たりの演技も新鮮であり、彼の甘いマスクが見れない貴重な作品でもある。

誇り高き紳士が、石につまづき死んでいく愚かさ・・・終盤コミカルな表情を見せるのが印象的なローレンス・ハーベー、酸いも甘いも噛み分けるという雰囲気で、同業の悪党のことは全てお見通しという、正に職人芸の演技を見せるエドワード・G・ロビンソン、舞台のオリジナル・キャストでもある大佐夫人クレア・ブルーム、人間不信に陥る牧師ウィリアム・シャトナー、貧しさ故に欲を出してしまう探鉱者役のハワード・ダ・シルバ、保安官役のアルバート・サルミ、名バイプレイヤーのポール・フィックスが、先住民の霊媒師で登場する。


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