財産を増やし家名のために父と叔父に利用されたイングランド国王ヘンリー8世の2番目の王妃アンとメアリー・ブーリン姉妹の運命を描く、監督ジャスティン・チャドウィック、主演ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ他共演による愛憎の歴史ドラマ。 |
・スカーレット・ヨハンソン / Scarlett Johansson / Pinterest
・エディ・レッドメイン / Eddie Redmayne / Pinterest
・ベネディクト・カンバーバッチ / Benedict Cumberbatch 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジャスティン・チャドウィック
製作:アリソン・オーウェン
製作総指揮
スコット・ルーディン
デヴィッド・M・トンプソン
原作:フィリッパ・グレゴリー
脚本:ピーター・モーガン
撮影:キアラン・マクギガン
編集
ポール・ナイト
キャロル・リトルトン
衣装デザイン:サンディ・パウエル
音楽:ポール・カンテロン
出演
アン・ブーリン:ナタリー・ポートマン
メアリー・ブーリン:スカーレット・ヨハンソン
ヘンリー8世:エリック・バナ
ジョージ・ブーリン:ジム・スタージェス
トーマス・ブーリン:マーク・ライランス
エリザベス・ブーリン:クリスティン・スコット・トーマス
ノーフォーク公/トマス・ハワード:デヴィッド・モリッシー
ウィリアム・ケリー:ベネディクト・カンバーバッチ
ヘンリー・パーシー:オリヴァー・コールマン
キャサリン・オブ・アラゴン:アナ・トレント
ウィリアム・スタッフォード:エディ・レッドメイン
ジェーン・パーカー:ジュノー・テンプル
トマス・クロムウェル:イアン・ミッチェル
フランシス・ウェストン:アンドリュー・ガーフィールド
ジェーン・シーモア:コリーヌ・ギャロウェイ
メアリー・タルボット:ティファニー・フレイスバーグ
クランマー大司教:ビル・ウォリス
メアリー1世:コンスタンス・ストライド
エリザベス(幼少期):メイジー・スミス
イギリス/アメリカ 映画
配給
コロンビア・ピクチャーズ
フォーカス・フィーチャーズ
2008年製作 115分
公開
イギリス:2008年3月7日
北米:2008年2月29日
日本:2008年10月25日
製作費 $35,000,000
北米興行収入 $26,814,960
世界 $77,713,870
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
16世紀のイングランド。
わずか4代前は地方農民だったブーリン家は、次々と伯爵家と縁組などをして爵位や領地を増やしていった。
ブーリン家の家長トーマス(マーク・ライランス)は、商人であるケリー家から、長女のアン(ナタリー・ポートマン)を子息のウィリアム(ベネディクト・カンバーバッチ)の花嫁に迎えたいとの話を持ちかけられていた。
活発で知性のあるアンを、商人に嫁がせるのは惜しいと判断したトーマスは、妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)をケリー家に嫁がせることを、妻エリザベス(クリスティン・スコット・トーマス)に告げる。
メアリーの結婚式の日、アンは弟のジョージ(ジム・スタージェス)と花嫁を祝福する。
その頃、国王ヘンリー8世(エリック・バナ)の王妃キャサリン・オブ・アラゴン(アナ・トレント)は、娘メアリー(コンスタンス・ストライド)の弟を死産で亡くしていた。 世継ぎが生まれず落胆するヘンリー8世が、愛人を作ることは確実で、トーマスは、妻エリザベスの弟ノーフォーク公/トマス・ハワード(デヴィッド・モリッシー)に、才覚ある長女アンを、国王の愛人にする考えがあることを話す。 トーマスとノーフォーク公は、富と地位を得るための先手策を率直にアンに語り、彼女を国王ヘンリー8世に接近させようとする。 アンを、家名を高める策略に使う夫トーマスと弟ノーフォーク公の策略に意義を唱えるエリザベスだったが、アンは任務と割り切り、それをメアリーに話して聞かせる。 そして、ブーリン家は国王ヘンリー8世を迎え、アンが国王の接待係をこなす。 その後、狩りに出た国王はアンを追った際、落馬して怪我をしてしまう。 一計を案じるトーマスとノーフォーク公は、アンを国王から遠ざけ、メアリーを国王の介抱に当たらせる。 国王はブーリン家を去るが、彼はメアリーに惹かれてしまい、トーマスとノーフォーク公の計画は変更される。 メアリーを、王妃の侍女にするという国王の命令を受けて、枢密院に招かれた夫ウィリアムと共に、彼女は宮廷に向かうことになる。 失態を演じたアンも一応同行を許されるが、田舎での質素な生活を望んでいたメアリーは困惑する。 メアリーは、それが要請ではなく命令だと、母エリザベスに説得され、国王に気に入られ公爵との結婚も夢ではなかったアンの思惑は打ち砕かれてしまう。 アンは、メアリーが国王に色目を使ったと思い込み、姉妹の間には溝が出来てしまう。 宮廷に到着したメアリーは、王妃キャサリンに謁見し、何の才能も無い彼女が、国王の愛人だということを王妃は察する。 辛い立場の王妃を気を遣う侍女ジェーン・パーカー(ジュノー・テンプル)は、そんなメアリーを慰める。 一方アンは、宮廷内でその社交性を発揮し、伯爵ヘンリー・パーシー(オリヴァー・コールマン)を虜にする。 メアリーは、早速ヘンリー8世に呼ばれ、言われるがままに体を許す。 ノーフォーク公はメアリーを呼び寄せ、国王を満足させるための計画を進めていく。 メアリーの夫ウィリアムは、任務で宮廷を追い払われるが、彼女はそれに逆らえるわけもなく国王に従う。 その頃、アンはヘンリーと極秘結婚するが、彼には許婚がいたため、メアリーは姉の評判が落ちることを心配する。 それを知ったノーフォーク公とトーマスは、二人が、王の許可が要る貴族の結婚の誓いを破ったことを知り激怒する。 肉体的にも結ばれてしまった二人の軽率な行動は、国王とメアリーの関係を壊す可能性もあり、ブーリン家の失脚につながりかねなかった。 そして、ヘンリーは故郷に戻り許婚と結婚するよう命ぜられ、アンはフランスに追放されてしまう。 アンの将来を思って、父と叔父に打ち明けたことだったが、メアリーは姉から恨まれてしまう。 母エリザベスはそれを幸運と考え、男を操る女の術を学ぶようアンに告げて彼女を送り出す。 やがて、メアリーはヘンリー8世の世継ぎを身篭り、国王はその報せを受ける。 そして、思惑通りトーマスは公爵、ジョージは子爵の爵位を授かるが、彼は国王の従兄の娘ジェーン・パーカーとの結婚を、父から強要される。 全てが娘メアリーのためだというトーマスに、妻エリザベスは、国王に捨てられた時のメアリーの身を案ずる。 出産準備に入ったメアリーは周囲から隔離され、国王が彼女を捨てるのが確実にとなり、ノーフォーク公とトーマスは次の手を打とうとする。 二人は、国王にメアリーの存在を意識させ続けるために、アンを呼び寄せて再び国王に近づけようとする。 アンに心を奪われたヘンリー8世は、彼女に宝石を贈るものの、アンはそれを受け取らず国王をじらす。 国王を愛しているメアリーは、彼がアンに心を移したのを知りショックを受ける。 そして、メアリーの出産の日が来てもヘンリー8世はアンに言い寄り、王妃とメアリーを自分の心から除外することを伝え、アンはそれを受け入れる。 メアリーは無事男子を出産するが、国王は彼女を見捨ててしまう。 ノーフォーク公は、自分達の計画が潰されかけたためアンの行動に激怒し、メアリーは、自分がされた仕打ちを必ず国王から受けると姉に警告する。 そんなメアリーに、アンは王妃の座を奪うと言い放ち、彼女を田舎に追いやろうとする。 ヘンリー8世は、アンを我が物にするために王妃キャサリンを追放するが、アンは尚も国王に結婚を迫る。 その頃、以前アンと極秘結婚をしたヘンリー・パーシーが、彼女とのことを妻メアリー・タルボット(ティファニー・フレイスバーグ)から責められて離婚することになり、それが国王に知られてしまう。 ヘンリー8世は、その後、アンや父トーマスとの面会を拒否し、メアリーにだけ会おうとする。 メアリーはアンとのわだかまりを解消するため、彼女が国王の許可なく結婚して結ばれたということを否定する。 アンはメアリーに感謝して、王妃キャサリンの裁判を控え、妹を傍に置いておこうとする。 そして、キャサリンの裁判が始まり、彼女は自分を陥れたアンを罵り法廷に向かう。 キャサリンは、自分に非の無いことを証言するが、アンは離婚をヘンリー8世に迫り、国王にカトリック教会からの離脱を促す。 そして国王はローマと決別し、イングランド国教会の長としてキャサリンと離婚し、アンを王妃に迎える。 ブーリン家に仕えてきたウィリアム・スタッフォード(エディ・レッドメイン)は、娘を利用して苦しめるトーマスらに嫌気がさし、メアリーを誘って宮廷を去ろうとするが、彼女は同意出来るはずがなかった。 1533年9月。 だが、国王は腹心の部下の娘ジェーン・シーモア(コリーヌ・ギャロウェイ)に心を移し始める。 焦ったアンは何とか懐妊するが、ブーリン家の人々は次の出産で、安泰か失脚かの瀬戸際に立たされる。 そして、アンは流産してしまい、国王にそれを隠し、窮地に立たされた彼女は、弟ジョージに子供を作らせようとする。 アンは、国王ヘンリー8世の命令で拘束され、国家反逆近親相姦及び魔女という罪で有罪となり、死刑を言い渡される。 斬首刑となったジョージは助けられなかったが、メアリーは、国王に慈悲を請いアンを救おうとする。 ロンドン塔に幽閉されている姉アンに面会したメアリーは、彼女から、ジョージとは何もなかったことを聞かされ、国王に命は保証されたことを伝える。 しかし、国王は自分に会いに来たメアリーには慈悲を与え、アンは彼女の目の前で処刑される。 そして、メアリーは、アンの娘エリザベスを連れて宮廷を後にする。 トーマス・ブーリンは、不名誉のうちに2年後に死亡し、ノーフォーク公は投獄され、彼の子孫はその後三代にわたり反逆罪で処刑される。 メアリーは、ウィリアム・スタッフォードと結婚して、望み通り田舎で幸せに暮らす。 そして、世継ぎができないというヘンリー8世の不安とは裏腹に、アンの娘エリザベス(メイジー・スミス)は、後に、45年もの間、国を統治することになる。
...全てを見る(結末あり)
アンは女の子(エリザベス)を出産して落胆するが、国王は、まだ王子が望めることを彼女に伝える。
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*(簡略ストー リー)
16世紀イングランド。
トーマス・ブーリンは、商人であるケリー家から、長女のアンを子息のウィリアムの花嫁に迎えたいとの話を持ちかけられていた。
快活なアンを、商人に嫁がせる気になれなかったトーマスは、次女メアリーをケリー家に嫁がせることに決める。
その頃、国王ヘンリー8世は、王妃キャサリン・オブ・アラゴンとの間で世継ぎに恵まれずにいたため、トーマスは、才覚あるアンを国王の愛人にすることを考える。
娘のアンを、家名を高めることに利用しようとするトーマスと実弟ノーフォーク公の考えを批判する妻エリザベスだったが、アンは任務と割り切り国王を迎える。
しかし、国王が落馬するアクシデントが起きて、介抱したメアリーが彼に気に入られてしまう。
そして、トーマスとノーフォーク公の策略は変更されるのだが・・・。
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2001年に発表された、フィリッパ・グレゴリーの同名小説の映画化。
有名なアン・ブーリンよりも、メアリー・ブーリンにスポットを当てた序盤から中盤までの展開が、家長達の策略と共に実に興味深い。
二人は、実際にはどちらが姉で妹かは、現在でも不明だが、本作ではアンが姉として描かれている。
イギリスで、テレビ監督として経歴を積んでいたジャスティン・チャドウィック初の長編映画で、二大若手女優ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソン、力感溢れる国王ヘンリー8世を演ずるエリック・バナら、実力派俳優達の才能を引き出し、見応えある歴史劇に仕上がっている。
「恋におちたシェイクスピア」(1998)と「アビエイター」(2004)でアカデミー賞を受賞したサンディ・パウエルの衣装デザインも素晴らしい。
上層貴族との婚姻を夢見る野心家のアン・ブーリンを演ずるナタリー・ポートマン、方や質素な田舎生活を望むメアリー・ブーリン役のスカーレット・ヨハンソン、共に策略の道具として扱われながらも、厳しい世界を逞しく生き抜く力強い女性を熱演している。
彼女ら、特にアン・ブーリンに翻弄させられるものの、国王としての威厳を崩さないヘンリー8世のエリック・バナ、ブーリン家の長男で悲運な斬首刑となるジョージ・ブーリン役のジム・スタージェス、父トーマスのマーク・ライランス、母エリザベスのクリスティン・スコット・トーマス、ノーフォーク公役のデヴィッド・モリッシー、妻メアリーを愛人として国王に奪われるウィリアム・ケリーのベネディクト・カンバーバッチ、アンと極秘結婚するヘンリー・パーシーのオリヴァー・コールマン、王妃キャサリン・オブ・アラゴンのアナ・トレント、メアリーを思い続け、後に結婚するウィリアム・スタッフォードのエディ・レッドメイン、夫ジョージとアンとの関係を国王を告発するジェーン・パーカーのジュノー・テンプルなどが共演している。