1892年に初演されたピョートル・チャイコフスキーの”くるみ割り人形”と、その原作で1816年発表のE.T.A.ホフマンの”くるみ割り人形とねずみの王様”を基に製作された作品。 ねずみの王に支配されたおもちゃの王国と人形にされた王子を救おうとする少女の活躍を描く、製作、監督、脚本アンドレイ・コンチャロフスキー、出演エル・ファニング、ジョン・タトゥーロ、ネイサン・レイン他によるァンタジー大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アンドレイ・コンチャロフスキー
製作総指揮:モリッツ・ボーマン
製作
アンドレイ・コンチャロフスキー
ポール・ローウィン
原作
ピョートル・チャイコフスキー”くるみ割り人形”
E.T.A.ホフマン”くるみ割り人形とねずみの王様”
脚本
アンドレイ・コンチャロフスキー
クリス・ソリミネ
撮影:マイク・サウソン
編集
マシュー・ベランジャー
アンドリュー・グレン
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ
作詞:ティム・ライス
出演
メアリー:エル・ファニング
アルバート伯父さん:ネイサン・レイン
ねずみの王:ジョン・タトゥーロ
ねずみの女王:フランシス・デ・ラ・トゥーア
マックス:アーロン・マイケル・ドロジン
王子/NC/くるみ割り人形:チャーリー・ロウ
くるみ割り人形(声):シャーリー・ヘンダーソン
スノー・フェアリー/メアリーの母:ユリア・ヴィソトスカヤ
メアリーとマックスの父:リチャード・E・グラント
イギリス/ハンガリー 映画
配給
G2 Pictures(イギリス)
Vertigo Média Kft.(ハンガリー)
2010年製作 108分
公開
イギリス:2012年12月28日
北米:2010年11月24日
日本:未公開
製作費 $90,000,000
北米興行収入 $190,560
世界 $16,178,960
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
クリスマス。
少女メアリー(エル・ファニング)は、両親(リチャード・E・グラント/ユリア・ヴィソトスカヤ)が出掛けるため、伯父アルバート(ネイサン・レイン)を待っていた。
両親が出掛けてしまったために気落ちするメアリーだったが、弟マックス(アーロン・マイケル・ドロジン)と共に、アルバートからのプレゼントのドールハウスが贈られる。
アルバートはその他に、NCと呼ばれる”くるみ割り人形”も渡す。
アルバートと食事をして、楽しい時を過ごしたメアリーとマックスはベッドに入る。
すると、NC(シャーリー・ヘンダーソン/声)がメアリーに話しかけ、人間の子供ほどに大きくなる。 ドールハウスを見に行くと言うNCは、人形は全て生きているとメアリーに伝える。 NCは、ドールハウスの人形達を、メアリーに紹介する。 巨大になったクリスマスツリーに昇るメアリーは、NCが、人形達に殿下と呼ばれるのを不思議に思う。 上部に着いたメアリーは、母親に似たスノー・フェアリー(ユリア・ヴィソトスカヤ)に迎えられる。 妖精達と踊るように促されたメアリーは、ツリーから落下してしまうが、空を飛べることに気づき喜ぶ。 更にメアリーは、NCが、ねずみの女王(フランシス・デ・ラ・トゥーア)に魔法をかけられたことを知らされる。 するとNCは、人間の少年に変わり、スノー・フェアリーは、彼がおもちゃの王国の王子だとメアリーに伝える。 王子は、王国に戻れる可能性が出てきたため希望を抱き、メアリーとツリーの一番上に上がる。 ねずみの王(ジョン・タトゥーロ)に奪われている、黒煙が上がる王国を指さす王子は、王の母親に魔法をかけられて人形になったことをメアリーに話す。 太陽を嫌うねずみの王は、煙工場で子供のおもちゃを燃やし続けているのだった。 王子が生きているという、偵察の者の報告を受けた王は、それを女王に伝える。 女王は動揺する王に対し、さらに効果のある魔法をかけると言って、王子の復活がスノー・フェアリーの仕業だと確信する。 その頃、王子は女王の魔法で人形に戻ってしまい、彼とメアリーはツリーから落下する。 ベッドから落ちて目覚めたメアリーは、戻った両親を無視して居間に向かい、倒れたツリーの中からNCを見つけ出す。 騒ぎに憤慨する父親は、翌朝メアリーから、ねずみが巨大なツリーを攻撃し、空を飛んだという彼女の話を聞き呆れてしまう。 NCを渡すよう言われたメアリーはそれを拒み、自分の話を信じてもらえないことで心を痛める。 アルバートは、メアリーの身に何かあったような気がして家を訪れる。 父親は、アルバートが子供に悪影響を及ぼすと判断し、今後は会わないことと、ドールハウスも持ち帰るよう伝える。 しかしアルバートは、子供心を忘れてしまった父親に、それを思い出させて納得させる。 その夜、マックスも協力することになり対策を考えたNCだったが、家に忍び込んでいたねずみの王に捕えられてしまう。 それに抵抗しようとするメアリーだったが、NCや人形達は王国の煙工場に運ばれ、マックスも王について行ってしまう。 メアリーは、不思議な鏡を通り王国に入り、その場にいたアルバートに、おもちゃの後を追うよう指示されて煙工場に向かう。 拘束を逃れていたNCらは地下道をに潜む。 王は、子供達から強引におもちゃを奪い、マックスを兵士として称えようとする。 しかし、マックスはおもちゃを壊すことを拒み、メアリーの元に帰りたいと言って泣き出す。 それを見ていたメアリーは、処分されるおもちゃに紛れて工場内に侵入する。 ハウスドールの人形達に会えたメアリーは、NCも見つけて救い出す。 意識が戻らないNCは、現れたスノー・フェアリーの力でも生き返らなかったが、メアリーの思いが通じて、王子として息を吹き返す。 労働者達は、王子が生きていたことを知り抵抗を始める。 女王は、愛の力には勝てないと言って、王国から手を引こうとするが、王は王子とメアリーを襲う。 メアリーは王に捕えられ、王子は逃げる彼らを追う。 王は、マックスの力を借りて逃亡しようとする、女王の乗る飛行船にメアリーと共に現れて飛び立つ。 王子は違う建物の屋上から飛行船に飛び移り、王に襲いかかりそれは墜落する。 王と女王はねずみに姿を変えて地下に逃げ、人々は、王国を取り戻したと言って歓喜する。 煙は消えて太陽の日が射し、王子は国民に称えられる。 メアリーは、スノー・フェアリーに、ここが夢の世界だと言われ、王子に別れを告げて家族の元に戻る。 母に起こされ泣きながら目覚めたメアリーは、父にどんな夢を見たのか聞かせてほしいと言われる。 それを聞いて喜んだメアリーは、訪れたアルバートに元に駆け寄る。 アルバートは、その場に連れてきた少年”ニコラス・チャールズ”をメアリーに紹介する。 メアリーは驚き、”NC”と呼んでほしいというニコラスと、楽しい時を過ごす。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
クリスマス。
少女メアリーは、伯父のアルバートからドールハウスと”くるみ割り人形”のNCをプレゼントされる。
その夜、メアリーは話し始めたNCに驚き、巨大なツリーの上で、スノー・フェアリーが彼を少年に変える。
少年はおもちゃの王国の王子で、ねずみの王に支配され、女王の魔法で人形にされていたのだった。
太陽の日を嫌う王は、それを遮るために子供達からおもちゃを奪い煙工場で燃やし、王国は黒煙に包まれていた。
王は王子が生きていることを知り、女王は再び魔法をかけて、彼を人形にしてしまう。
目覚めたメアリーは、父親に自分が見たことを信じてもらえず心を痛める。
その夜メアリーは、弟マックスの協力を得て、NCと共に対策を考える。
しかし、現れたネズミの王はNCを捕え、マックスも連れて王国に向かう。
メアリーは、不思議な鏡を通り王国に向かい、NCとマックスを助けようとするのだが・・・。
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アンドレイ・コンチャロフスキーの監督作品、”くるみ割り人形”のファンタジー映画ということで注目したい作品ではあった。
クリスマスが舞台ということもあり、雰囲気は悪くはないのだが、視覚的に新鮮味もなく盛り上がりにも欠け、姉ダコタを上回るような、表情豊かなエル・ファニングの可愛らしさしか印象に残らないような作品。
批評家からは酷評され、製作会社が潰れてしまうのではないかというほどの、興行的には記録的な大失敗に終わった。
製作費9000万ドルの大作は、北米では拡大公開もされずわずか19万ドルの興行成績しか残せず、全世界でも約1600万ドルに終わった。
ここまで酷い結果になるとは考えていなかっただろう。
子供達に夢を与える内容に、ナチやユダヤ人迫害をイメージさる必要があるのか・・・。
気味の悪いねずみ人間のメイクも、見るに堪えないという感じだ。
上記のように、撮影当時10~11歳のエル・ファニングの好演だけが救いで、気の好い伯父のネイサン・レイン、彼らしいと言えば適役の、ねずみの王ジョン・タトゥーロの怪演はまずまずだ。
ねずみの女王役のフランシス・デ・ラ・トゥーア、主人公の弟アーロン・マイケル・ドロジン、王子のチャーリー・ロウ、その人形の声シャーリー・ヘンダーソン、主人公の母とスノー・フェアリーのユリア・ヴィソトスカヤ、父役のリチャード・E・グラントなどが共演している。