ジャンヌ・ダルク The Messenger: The Story of Joan of Arc (1999)

姉を目の前で殺されたジャンヌは葬儀を済ませ、父（ブルース・バイロン）から親戚に預けると言われる。

伯母（バーバラ・エルボーン）夫婦と暮らすようになったジャンヌは、神に会いたいと言ってイングランド人を憎み、目の前で殺された姉の身代わりになればよかったと神父に話す。

神には考えがあるはずだと言う神父は、必要とされて選ばれたとジャンヌに伝える。

いつか必ず声をかけられると言われたジャンヌは、それに応える時、姉の死は無駄ではなくなると神父に説得される。

家に戻ろうとしたジャンヌは、伯母夫婦に気づかれないよう馬車から飛びをり、教会に戻り神と一体になろうとする。

約10年後、シノン。
シャルルに書簡が届けられ、神のお告げを聞いた”ロレーヌの乙女”が明日、到着するという内容を、臣下のラ・トレモワイユ（クリスチャン・エリクソン）とルニョー（デヴィッド・ベグ）は警戒する。

会ってみたいと言うシャルルに尚も警告するラ・トレモワイユらだったが、国王の義母ヨランド・ダラゴン（フェイ・ダナウェイ）が、求める答えを神に伝える使者であり、会うべきだと助言する。

民の声を聞くようにと言って、既に国中が彼女の噂であることを伝えたヨランドは、ラ・トレモワイユの言葉を遮る。

翌日、”ロレーヌの乙女”は到着し、側近のジャン・ドーロン（デズモンド・ハリントン）から身代わりをたてることを提案されたシャルルは、神の使者なら嘘に気づき、刺客なら迷わず殺すはずだと考える。

余興だと言って、貴族であり軍人のジル・ド・レ（ヴァンサン・カッセル）らを王太子にしようとしたシャルルは、ドーロンを選び玉座に座らせる。

”ロレーヌの乙女”ジャンヌ・ダルク（ミラ・ジョヴォヴィッチ）は姿を現し、怯えている少女の姿を見たその場の者達は驚く。

ドーロンを見て一目で王太子ではないことに気づいたジャンヌは、捜すようにと言われる。

シャルルが王太子だと確信したジャンヌは近づこうとするが、ジルらが剣を抜きそれを阻止する。

解放されたジャンヌはシャルルに抱きつき、二人だけで話したいと伝える。

二人だけで部屋に入ったシャルルは、神が現れ自分を選び、祖国を敵から救い、王太子をフランス国王として戴冠させるというお告げを聞いたことをジャンヌから知らされる。

部屋から出たシャルルは、オルレアンに向かおうとするジャンヌに今は休むようにと指示して、ドーロンに彼女の護衛を任せる。

ジャンヌに無礼を謝罪したドーロンは、神父に会いたいと彼女から言われ、戦闘用の馬、そして剣と甲冑の用意を頼まれる。

ジャンヌは、平和的撤退を促すためにイングランド国王に手紙を書きたいこともドーロンに伝え、彼が代筆することになる。

尚もジャンヌを疑うラ・トレモワイユとルニョーは、処女だと言われている彼女は調べることができるとシャルルに伝える。

シャルルはそれを許可し、ジャンヌはヨランドらの前で体を調べられ、純潔であることが確かめられる。

教会の質問も受けたジャンヌは、使者である証を神から授けられたはずだと言われ、戦地で自分をこの場に導いて下さったことが証だと答える。

ジャンヌは、軍を任せてくれればオルレアンに向い、そこで”徴”を見せると伝える。

オルレアン攻略の総司令官ジャン・ド・デュノワ伯（チェッキー・カリョ）は、”ロレーヌの乙女”が兵を従えて到着することを知らされる。

ジルやドーロン、ラ・イル（リチャード・ライディングス）らと共にデュノワに迎えられたジャンヌは、川を渡り敵の指揮官ジョン・タルボット（アンドリュー・バーキン）に勧告状を渡しに行こうとする。

しかし、今は民のために食料を運ぶのが先決だとデュノワに言われたジャンヌはそれに従う。

町に着いたデュノワは作戦会議を開き、苛立つジャンヌの考えを聞き、神の意志に従うと言う彼女は、敵が平和的に撤退する機会を与えよと指示されたと伝える。

拒まれたらロワール川を渡りトゥーレル要塞を攻撃すると言うジャンヌは、難攻不落のその場所を責める間、誰が町を守るのかとデュノワから訊かれる。

神だと答えるジャンヌの言葉を嘲り笑う指揮官達だったが、彼女は神の命令に従うだけでいいと言って興奮する。

小娘の指示には従えないとデュノワから言われたジャンヌは、思い通りにならないためにその場を去ろうとしてラ・イルに侮辱される。

ジャンヌがラ・イルを殴る姿を見たジルは、彼女の逞しさが気に入る。

そこに、アランソン公（パスカル・グレゴリー）が現れる。

剣で髪の毛を切り男のようになると言う、苛立つだけのジャンヌを落ち着かせたドーロンは、ハサミを用意させる。

怒っているのは神だと言うジャンヌは、イングランド側に渡す勧告状をドーロンに作成させる。

デュノワと指揮官らは勧告状を確認し、弓兵でもあるドーロンが、それを敵陣に射る。

イングランド軍はそれを無視し、3通の勧告状を出したジャンヌは、いよいよ攻め入る決意を決める。

翌朝、デュノワらは、ジャンヌが寝ている間に敵陣を攻撃する。

それに気づいたジャンヌは戦場に向い、劣勢で退却してきたデュノワを責めながら突撃する。

勝利を収めたデュノワは、ジャンヌの手柄だと言って、敵の司令官タルボットの幕営地まで兵を率いるべきではないかと問う。

最強の軍でオルレアンを解放すると言うジャンヌは、落した橋は再建される可能性を伝え、神の指示に従う考えを変えない。

トゥーレル要塞に着いたジャンヌは、敵の指揮官に降伏するよう伝え、自陣に戻り兵を従えて突撃する。

塀をよじ登ろうとしたジャンヌは、弓矢を受けて意識を失う。

指揮官達に見守られながら目覚めたジャンヌは、矢を抜かねば死んでしまうとドーロンに言われ、自分でそれを抜き戦おうとする。

興奮するジャンヌは、休むべきだとドーロンから言われ、指示に従うが戦ってほしいと指揮官達に伝える。

ジャンヌは意識を失うが、到着した医師は眠っているだけだと指揮官達に知らせる。

デュノワの元に向かったドーロンは、日が暮れるので退却すると言われ、戦うとジャンヌに約束したことを伝える。

それを聞こうとしないデュノワは、ジャンヌの身勝手な行動で戦況が悪化したと言って兵を撤退させる。

その夜、指揮官達は、ジャンヌの存在について語り合う。

悪夢に苦しみながら一夜を明かしたジャンヌは回復して起き上がり、敵兵に侮辱されて言い返すが、ドーロンから休むようにと言われる。

それを無視するジャンヌは兵士を起こし、塔を立てさせて敵陣に攻め入る。

戦う気がなければ寝ているようにとジャンヌ言われたデュノワは戸惑う。

ジャンヌは、弓兵を集めて門を焼き払うようアランソンに指示し、矢を放たれるものの、ジルが身を挺して彼女を守る。

デュノワが門を破り、神が苦しむ姿を見てしまったジャンヌだったが、ドーロンから勝利したことを知らされる。

砦から脱出したイングランド兵のバック（ヴィンセント・リーガン）は、タルボットの元に向かう。

ラ・イルと共に喜ぶジャンヌだったが、自軍のおびただしい数の犠牲者を目の前にして動揺する。

ジルから望んでいた光景のはずだと言われたジャンヌは、大義のための戦いではあったが、あまりの惨さに許しを求めるため告解しようとする。

指揮官達も共に告解するようにと言われるが、敵が集結していることをデュノワから知らされたジルらは、戦いの準備を始める。

単独で敵陣に近づいたジャンヌは、国王ヘンリーに対して国に帰るよう伝え、平和的撤退を促す。

従わなければ討ち破ると言うジャンヌは、十分に血は見たが望むなら受けて立ち、流されるのは我々の血ではないと伝える。

イングランド軍を率いるタルボットは撤退し、ジャンヌがたった一人で敵陣に向い、オルレアンを解放したことがシャルルに伝わる。

イングランド。
オルレアンを失ったことを知らされたタルボットは、ジャンヌを捕らえ火刑にすることを命ずる。

1429年7月29日、ランス。
戴冠式を迎えたシャルルは、ヨランドやジャンヌらに見守られながらフランス国王シャルル7世となる。

パリ城壁。
戦場に戻ったジャンヌは、強引な戦いを続けたために兵は疲弊し、その行動をジルに非難される。

援軍など来ないことをジルから知らされたジャンヌは、王位を手にしたシャルルに戦う気はないと言われる。

未だにお告げを信じるジャンヌに、こんな戦いは無意味だと言うジルとラ・イルは、神ではなく国王の意思で全てが動いていることを伝える。

ジルから国に帰るようにと言われたジャンヌは、シャルルの元に向い抗議するものの、今後はイングランドと交渉に入ることを知らされる。

飢えに苦しみ救援を求める町がある現状を伝えたジャンヌは、祖国はあなたのものではなく、神のものだとシャルルに言い放ちその場を去る。

ジャンヌを助けようとするドーロンは、軍を渡すよう国王を説得してほしいと言われる。

シャルルは、ジャンヌが国に尽くしたことを評価するものの、ヨランドや臣下から正しい考えではないと言われ、ブルゴーニュ派に彼女を捕らえさせることを提案される。

それでは裏切りになると考えるシャルルだったが、神ががついている彼女は救われるとヨランドから言われる。

ジャンヌは捕らえられ、自分の”良心”（ダスティン・ホフマン）にも見放されそうになりながら、国王が救ってくれることを願う。

武将やオルレアンの市民が提供した金をシャルルに差し出したドーロンは、それを身代金に使ってほしいと伝える。

1万フランあるというその金を受け取ったシャルルは、ルニョーに交渉を任せる。

ボーヴェの司教ピエール・コーション（ティモシー・ウェスト）が現れ、異端の罪で裁くことをジャンヌに伝える。

シャルルではなくイングランド側が身代金を払ったと言われたジャンヌは、明日ルーアンに移送されることを知らされる。

ルーアン。
コーションに裁かれるジャンヌは、答えられること以外のお告げに関しては、国王シャルルにしか話さないと伝える。

教会は悔い改める者は拒まないと伝えるコーションは、告解しかしないと言うジャンヌから侮辱されて閉廷する。

協議したコーションは、イングランド側のバックに実権を握られてしまう。

現れた”良心”に神のことを話したジャンヌは、全てを否定されて、自分が見たかったことを見ただけだと言われる。

痛めつけられながら尋問を受けたジャンヌは罪を認めず、全権を任されているバックは苛立ちコーションを責める。

早く解決するよう迫るバックだったが、コーションは審問判事の中に、ジャンヌが神の使者だと信じ、彼女が正しいと考える者がいることを知らされる。

誰も殺さなかったと答えたジャンヌは、どこに神がいたのかと”良心”に問われ、自分に正直になるようにと言われる。

人を傷つけたことも楽しんだこともないと話すジャンヌは、自由の身にしてほしいと言って”良心”にすがる。

直にそうなると言われ処刑場に連れて行かれ罪状を読み上げられたジャンヌは、見捨てないでほしいと神に願う。

神を冒涜する異端者とみなされたジャンヌは、改悛の契約書に署名を求められるものの、お告げを悪魔の言葉と言うなら教会を信じないと伝える。

タルボットは刑の執行を命ずるが、コーションは、救いたいと言って今一度ジャンヌに署名を求める。

告解を求めたジャンヌは、署名すれば聞くとコーションから言われ、それに従う。

現れた”良心”は、行なった行為の意味をジャンヌに問い、神を否定したと伝える。

字は読めないと言って契約書をコーションから奪おうとしたジャンヌは、牢に連れて行かれる。

タルボットに契約書を渡したコーションは、教会は悔い改める者は許すと言って、これでジャンヌはイングランドによるの殉教者となると伝える。

バックから無理矢理男の服を着せられたジャンヌは，異端の再発であるとみなされる。

それを知らされたコーションは、服が運ばれたことを疑問に思うが、悪魔の仕業だとタルボットから言われる。

タルボットは、翌日の火あぶりの刑を命ずる。

服を着た理由を問われたジャンヌは、告解の約束を破ったコーションを責める。

唯一の救う道だったと答えるコーションは、自分の魂を救うべきだとジャンヌから言われる。

唯一つの願い、告解を聞いてほしいとコーションに伝えたジャンヌは、それを拒まれる。

現れた”良心”から告解をしたいのなら聞くと言われたジャンヌは、罪を犯したことを伝え、見たいと考えた多くの徴を見たと話す。

大義のために戦うため傲慢で頑固だったと語るジャンヌは、利己的で無慈悲でもあったと”良心”から付け加えられ、彼女はそれを認める。

心の準備はできたかと訊かれたジャンヌは、できたことを伝え、”良心”は彼女の罪を許す。

そしてジャンヌは、火刑に処せられる。
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ジャンヌ・ダルクは、1431年5月30日に19歳で火刑に処せられた。

500年後にヴァチカンは、ジャンヌ・ダルクを聖人に加えた。