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メリィ・ウィドウ The Merry Widow (1934)

フランツ・レハールのオペレッタ”The Merry Widow”を基に製作された作品。
プレイボーイとして知られる某小国国王直属の警備隊長と国情を左右する大富豪の未亡人との恋を描く、製作アーヴィング・タルバーグ、製作、監督エルンスト・ルビッチ、主演モーリス・シュヴァリエジャネット・マクドナルドエドワード・エヴェレット・ホートンウナ・マーケル他共演のロマンチック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:エルンスト・ルビッチ

製作
アーヴィング・タルバーグ

エルンスト・ルビッチ
原作
ヴィクター・レオン

レオ・ステイン
脚本
アーネスト・ヴァホダ

サムソン・ラファエルソン
撮影:オリヴァー・T・マーシュ
編集:フランセス・マーシュ
美術・装置
セドリック・ギボンズ

フレドリック・ホープ
音楽:フランツ・レハール

出演
ダニロ:モーリス・シュヴァリエ

ソニア/フィフィ:ジャネット・マクドナルド
ポポフ大使:エドワード・エヴェレット・ホートン
ドロレス王妃:ウナ・マーケル
アクメット国王:ジョージ・バービア
マルセル:ミナ・ゴンベル
ヴァレット:ドナルド・ミーク
ミシュカ:スターリング・ホロウェイ

アメリカ 映画
配給 MGM

1934年製作 99分
公開
北米:1934年11月2日
日本:1935年
製作費 $1,605,000
北米興行収入 $861,000
世界 $2,600,000


アカデミー賞 ■
第7回アカデミー賞
・受賞
美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1885年5月14日、ヨーロッパの小国マーショヴィア王国。
プレイボーイで知られる王室警備隊長ダニロ大尉(モーリス・シュヴァリエ)は、富豪である未亡人のマダム・ソニア(ジャネット・マクドナルド)に秘密の手紙を渡す。

”ダニロ伯爵”についてが書かれていたその内容に頭を傾げるソニアは、伯爵のことを褒める目の前の大尉がダニロ本人だと知る。

自分を誘惑する厚かましいダニロに呆れるソニアは、ヴェールを外してほしいと言う彼に、その理由がないと答えてその場を去る。

ソニアを追ったダニロは、ロマンスは終わりで、自分のことは忘れてくれなどと勝手なことを言って立ち去る。

流石に気になったソニアは、塀を乗り越えて去る彼を見つめる。
...全てを見る(結末あり)

ダニロは、脚立を立てて待っていた部下ミシュカ(スターリング・ホロウェイ)に失敗したことを伝える。

愛から遠ざかっていたソニアはダニロが気になり、その思いを歌にする。

その後、ベッドに入ったソニアは、執事にダニロの住所を調べさせようとするが、メイドの全員が彼の所在を知っていたために驚く。

日記帳を開いたソニアは、10か月前に未亡人になってからは何も書かれていないこと確認する。

今日の日付のページを開いたソニアは、ロマンスの始まりについてを書き記す。

しかし、その翌日から再び何も書くことなくなり、数日後にはダニロのことを忘れるように努力する。

マーショヴィアを去りパリに向かう決心をしたソニアは、その準備を始める。

アクメット国王(ジョージ・バービア)は、世界一の大富豪であるソニアがパリに去ってしまったことを問題視し、閣議を招集する。

その意味を理解しないドロレス王妃(ウナ・マーケル)に、国の半分以上を所有しているソニアが、主産業である牧畜の牛も同じ割合で彼女のものだということを説明する。

それでも頭を傾げるドロレスに、国王はパリの大使からの手紙を渡す。

ソニアとの結婚を希望する者が押しかける状況下で、国益を損なう危険性を指摘する大使の手紙を読んでも、ドロレスはその内容を理解できない。

国王は苛立ち、ソニアの税金でこの国の財政が維持できていることをドロレスに伝え、革命が起き王座を奪われると言って納得させる。

危機を回避するために、若くて魅力的な男をパリに派遣しソニアを連れ戻させるのが目的で閣議を開くことをドロレスに伝えた王はその場を去る。

国王が閣議に向かったのを確認してダニロは入れ替わりで部屋に入る。

サーベルを忘れた国王は部屋に戻るが、それが自分の物でなかったため、彼はドロレスの浮気に気づく。

ドロレスのスキャンダルが知られると困る国王は、ダニロを部屋から出す。

君主として失格だと嘆く国王だったが、これは恋ではなく一方的に迫られていたとドロレスに言われる。

ダニロの魅力をドロレスに語らせた国王は、パリに向いポポフ大使(エドワード・エヴェレット・ホートン)と連絡を取るようダニロに命ずる。

パリ
ミシュカと共にホテルに着いたダニロは、陽気に歌いながら”マキシム”に向かうおうとする。

同じホテルにいたソニアはその声に聞き覚えがあり、通りを歩くダニロを見て驚き、行き先が”マキシム”であることを知る。

マキシム”。
知人女性に気づいたダニロは彼女とキスするが、その夫ポポフ大使と揉めてしまう。

険悪なムードで名刺交換した二人は、互いの立場を知り和解する。

今後の計画は極秘で進められ、ソニアのための盛大なパーティーが予定されていることをポポフから知らされたダニロは、彼女の顔をしらないまま、その場での細かい指示を受ける。

店内で女性達に囲まれたダニロは、歌い踊り大いに楽しむ。

その場に現れたソニアは、アメリカ人客のマルセル(ミナ・ゴンベル)に声をかけられる。

マルセルに気づいたダニロは、ソニアが気に入る。

ダニロを知らない振りをしてフィフィと名乗ったソニアは、他の女性が群がる彼に興味を示さない。

自分を気に入った様子のダニロを一応、席に誘ったソニアは、他の男性に色目を使う。

苛立つダニロはプライベート・ルームを用意するが、ソニアがその気にならないため、彼女の靴を持って席を立ってしまう。

仕方なくそれを追ったソニアは、ダニロに迫られるもののそれを拒み、ナポレオンの絵を見て彼の話をし始める。

憤慨したダニロは部屋を出て、マルセルにそのことを伝える。

ダニロのご機嫌を窺ったソニアは、部屋に戻った彼と音楽に合わせて踊りそして歌う。

ソニアはダニロを受け入れて愛を語り合うが、翌日も現れて付きまとったらどうするかを尋ねる。

明確に答えないダニロにとって、やはり自分が多くの女性の中の一人でしかないと考えたソニアは、マルセルらを呼び寄せてその場を去る。

ホテルに向かうソニアは、ダニロに別れを告げる。

マーショヴィア王国大使館主催舞踏会。
ダニロの姿が見えないために焦るポポフは、彼が昨夜から戻っていないことをミシュカから知らされる。

至急ダニロを捜すようポポフに命じられたミシュカはマキシムに向い、マルセルらに協力してもらい、酔い潰れていた彼に制服を着せる。

酔いが醒めないダニロは極秘計画を口にしてしまい、軍法会議の恐れがあることをミシュカが伝えても気にしない。

大使館に着いたダニロは、ポポフにコーヒーを飲まされてしらふに戻る。

未亡人を口説くことを拒むダニロは、他の女性を愛していることを伝える。

国王の命令だと言われたダニロは、気が進まないまま未亡人に会うことになる。

そこに現れたソニアは、その場にダニロがいたために驚き、ダニロは未亡人がフィフィだったために呆然とする。

ポポフにソニアを紹介されたダニロは、昨日、フィフィという女性に恋したことを彼女に伝える。

ダニロのせいでフィフィが自殺したと言うソニアの話を聞いたポポフは驚き、二人が出て行った後で国王に電報を打つ。

ソニアがダニロを殺人で訴えようとしているようなのだが、暗号を使っているため理解できないという内容に加え、二人はうまくいっていることも付け加える。

ダニロに口説かれたソニアは、財産目当てではあるが男性には不自由していないと言って彼を牽制する。

別れようとした二人だったが、何も語らないまま惹かれ合い踊り始める。

その後の経過を国王に報告しようとしていたポポフは、電報を受け取る。

国王からの暗号文の内容は、最低の外交官だという言葉から始まっていた。

ダニロが”マキシム”で女達に極秘の計画を話してしまったため、報道される翌日にソニアがその件を知った場合は、全てが水の泡になるということだった。

今夜中にダニロとソニアを結婚させるようにという命令を受けたポポフは焦る。

夢心地のダニロとソニアは、愛を確かめ合っていた。

ポポフは出席者にソニアとダニロの婚約を発表してしまい、ダニロとソニアもそれを知る。

自分達の関係を他人が知っていることに疑問を抱くソニアにこの場にいてほしいと伝えたダニロは、ポポフに呼ばれる。

ダニロはポポフを批判するが、国家秘密を”マキシム”で口にしてしまった責任を問われる。

今回の件がソニアに知られれば結婚は取り止めになり、彼女がマーショヴィアの財産を引き上げた場合、全てが終りだと言われたダニロは困惑する。

結婚するよう迫り興奮するポポフを黙らせたダニロは、ソニアの元に向い全てを話そうとする。

それを制止したソニアが、ポポフとの話を聞いていたことを知ったダニロは、その場を去ろうとする彼女に愛していることを伝える。

その愛の意味を理解していると言うソニアは、何か話し合うことがあるかをダニロに問う。

これ以上、嘘はつきたくないダニロは何もないと正直に答え、涙するソニアの前から立ち去る。

ダニロは出席者に祝福されるものの、ソニアがこの結婚を望んでいないことを伝える。

これ以上、迷惑がかからないように話をしてきたことをソニアに伝えたダニロは、”フィフィ”に対しては愛していると言って、自分の気持ちを語る。

どうすることもできないソニアは涙しながらその場を去り、ダニロは国王の命令により逮捕される。

招待客の男性達の元に戻ったソニアは、全てを忘れてダンスを楽しもうとする。

帰国したダニロは、裁判にかけられることになる。

国王は破滅を覚悟し、ドロレスは亡命しかないと言って彼を励ます。

ダニロの裁判は始り、証人として呼ばれたポポフは憔悴しきった状態で車椅子に乗せられて出廷する。

国家反逆罪で起訴されているダニロは、その場にソニアが現れたために驚く。

裁判長に証言の許可を得たソニアは、ダニロが無実であると語る。

嘘をつき女性を弄んだダニロは、忠実に命令に従っただけだとソニアは証言する。

反論する許可を得たダニロはソニアに近づき、キスしたことを含めて、全てが嘘だったと思うのかを彼女に問う。

キスは最大の嘘だと答えるソニアの気持ちを知ったダニロは、自分が有罪であることを認める。

思いやりや分別を失っていた自分は罰せられるのが当然だと語るダニロは、無数の女性を相手に楽しむような男は、一人の女性と人生を共にすることは許されてはならないと言い切り、彼は傍聴席の男達からの拍手を受ける。

亡命の準備をしていた国王は、ソニアがダニロに会いに行ったことを知り牢獄に向かう。

ダニロから嫌みを言われたソニアはその場を去ろうとするが、二人を閉じ込めたポポフに国王は勲章を授ける。

自分達のためにシャンパンが用意されたことに驚くダニロとソニアは、国王の陰謀に気づく。

愛を確かめた二人は、国王をからかおうとする。

シャンパンの栓が開く音がしたことで国王とポポフは安心して、楽団が呼ばれる。

無数の女性を相手に楽しんだ男は、一人の女性と共に・・・と言いかけたソニアに、結婚するべきだとダニロは伝える。

ダニロとソニアには結婚指輪が用意され、小窓から顔を出した神父から、それを受けるかと聞かれた二人は、もちろんだと答えてキスをして抱き合う


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1885年、ヨーロッパの小国マーショヴィア王国。
プレイボーイで知られる王室警備隊長ダニロ大尉は、同国の半分以上を所有する大富豪で未亡人のマダム・ソニアに言い寄るが、ヴェールで顔を隠す彼女に追い払われてしまう。
とは言え、愛から遠ざかっていたソニアは、ダニロが気になる存在となる。
しかし、その後の進展が期待できないソニアは、パリに向かうことを決意する。
アクメット国王はそれを問題視し、ソニアが祖国を捨てた場合は国家の危機と考え、ダニロを派遣して対処させようとする。
国王命令でパリに到着したダニロは、ポポフ大使の指示を受けて、ソニアの顔をしらぬまま口説く計画を進めるのだが・・・。
__________

アーヴィング・タルバーグエルンスト・ルビッチが組んだ、ミュージカル・タッチで進行するMGMらしい楽しい作品。

主人公が、大富豪の未亡人を追い祖国に連れ戻す国王命令を受けるまでの話や展開の面白さにまず注目したい。
アーネスト・ヴァホダサムソン・ラファエルソンの脚本を生かした軽快なエルンスト・ルビッチの演出は絶妙で素晴らしいの一言だ。

抱腹絶倒の場面もあるコメディなのだが、王室や上流階級を舞台にしているため全体的には気品漂う内容であり、優雅なダンスシーンやモーリス・シュヴァリエジャネット・マクドナルドの歌唱力なども存分に楽しめる作品に仕上がっている。

流石MGMと思わせる、スケール感のある豪華なセットなども見もので、第7回アカデミー賞では美術賞を受賞した。

当時としては破格の製作費約160万ドル、北米興行収入は約8600万ドル、全世界では約2億6000万ドルの大ヒットとなった。

プレイボーイではあるが、軍人らしさも感じさせる姿勢が良く体の線が美しい、独得の歌声などで画面を支配する雰囲気のあるモーリス・シュヴァリエ、そしてヒロイン役のジャネット・マクドナルドは、その美貌と圧倒的な歌唱力で華やかな女性を見事に演じている。

マーショヴィア王国大使を愉快に演ずるエドワード・エヴェレット・ホートン、キュートな雰囲気で王妃を演ずるウナ・マーケル、国王のジョージ・バービア、主人公の知人女性ミナ・ゴンベル、国王の侍従ドナルド・ミーク、主人公の部下スターリング・ホロウェイなどが共演している。


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