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喜望峰の風に乗せて The Mercy (2017)

単独無寄港世界一周レース”ゴールデン・グローブ・レース”に挑戦したドナルド・クローハーストの苦難を描く、監督ジェームズ・マーシュ、主演コリン・ファースレイチェル・ワイズデヴィッド・シューリス他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ジェームズ・マーシュ
製作
グレアム・ブロードベント
ピーター・チャーニン
スコット・Z・バーンズ
ニコラ・モヴェルネ
ジャック・ペラン
製作総指揮
オリヴィエ・クールソン
ロン・ハルパーン
ジェニー・ボーガーズ
ダン・マクレイ
クリスティーン・ランガン
ダーモット・マキヨン
ジョニー・パーシー
脚本:スコット・Z・バーンズ
撮影:エリック・ゴーティエ
編集
ジンクス・ゴッドフリー
ジョーン・ソーベル
音楽:ヨハン・ヨハンソン

出演
ドナルド・クローハーストコリン・ファース
クレア・クローハースト:レイチェル・ワイズ
ロドニー・ホールワースデヴィッド・シューリス
スタンリー・ベスト:ケン・ストット
イアン・ウィーラー:ジョナサン・ベイリー
エリオット:エイドリアン・シラー
デニス・ハーブシュタイン:オリヴァー・モルトマン
ロナルド・ホール:マーク・ゲイティス
フランシス・チチェスターサイモン・マクバーニー
ジェームズ・クローハースト:フィン・エリオット
サイモン・クローハースト:キット・コナー
レイチェル・クローハースト:エレノア・スタッグ
イアン・ミルバーン:アンドリュー・バカン
アーサー・ブレイドン市長:ジェフ・ブレイドン

イギリス 映画
配給 スタジオカナル
2017年製作 101分
公開
イギリス:2018年2月9日
北米:2017年11月28日
日本:2019年1月11日
製作費 $18,000,000
北米興行収入 $29,540
世界 $4,536,350


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ロンドン、アールズ・コート・ボート・ショー。
世界初の単独世界一周航行に成功したフランシス・チチェスターサイモン・マクバーニー)が紹介され、航海計器メーカー”エレクトロン”の経営者ドナルド・クローハーストコリン・ファース)は、興味深くスピーチを聞く。

チチェスターは、”サンデー・タイムズ”が単独無寄港世界一周レースを開催すると発表したことを話す。

クローハーストは、長男のジェームズ(フィン・エリオット)と次男サイモン(キット・コナー)と共に、自社が発明した機器”ナヴィゲーター”の説明をするものの、売り込みに苦労する。

1968年3月、イングランドテインマス
クローハーストは、妻クレア(レイチェル・ワイズ)と二人の息子、娘レイチェル(エレノア・スタッグ)と共にヨットで楽しい時間を過ごす。
...全てを見る(結末あり)

レースに出場すると言うクローハーストが、楽観的であるだけかと思ったクレアは、会社の経営が苦しい彼が賞金と会社の宣伝になることを当てにしているのを知る。

クレアは、レースが近づけば夫の気が変わると信じていた。

知人であるキャンピングカーなどを販売するスタンリー・ベスト(ケン・ストット)に相談したクローハーストは、トリマラン型の三胴船の建造について話す。

自社の危機や、転覆を防止するガスを利用した装置もマストに搭載する船の説明をするクローハーストは、優勝できる自信をベストに語る。

クローハースト自身が出場することを知ったベストは、アマチュア・セーラーである彼の経験不足を指摘する。

だからこそビジネスになると言うクローハーストは、ベストを説得して出資してもらえることになる。

ジャーナリストのロドニー・ホールワースデヴィッド・シューリス)にも自分の考えを話したクローハーストは、果敢なチャレンジ精神を気に入ってもらう。

スポンサーが付き物資も提供されたクローハーストは、ドキュメントを作る予定の”BBC”からもカメラや録音機を提供してもらえることになる。

1968年6月14日。
船を建造うるエリオット(エイドリアン・シラー)は、完成が大幅に遅れているため、10月1日の出発を目指すようクローハーストを説得する。

船の性能で航行スピードは上げられるが、出発は遅れると言われたベストだったが出資を続ける。

その条件としてベストは、エレクトロンの資産と権利に加えて、レースで脱落した際には自宅を没収する契約をクローハーストと結ぶ。

船を造るだけでなく、クローハーストが本気でレースに出場すことを決めたのを知ったクレアは、必ず戻ると言う彼に約束してもらう。

1968年10月29日 出発2日前。
エリオットから更に遅れることを知らされたクローハーストは、レースを諦めるようにと言われて迷う。

その件をパブでベストに話したクローハーストは、ホールワースから、悩みは陸に置いて海で夢を実現させるよう励まされる。

1968年10月31日。
出発を決意したクローハーストは、クレアと子供たちと共に港に向かう。

ホールワースとベスト、町の人々や記者たちに見送られたクローハーストは、家族と共に沖に浮かぶ”テインマス・エレクトロン”に向かい、それに乗り込み出発する。

不安を抱えたまま旅立ったために気分が乗らないクローハーストは、エリオットが指摘していたハッチのパッキンの問題により浸水していることに気づく。

何もかも思うようにいかないクローハーストは、家族と電話をして話すのが唯一の楽しみだった。

13日目 大西洋 マディラ諸島の北
海の生活にも慣れ、BBCのための録音などをしたクローハーストは、貿易風を受けて順調に南に進む。

その後、クローハーストから、エンジンルームが浸水してオーバーホールするしかないという電報を受けたホールワースは、ようやくマディラ諸島だと知り先が思いやられる。

その頃、北に向かってしまったクローハーストは、方向を変える。

クローハーストと話したベストは、弱音を吐く彼に棄権する可能性を確認するものの、このまま続けると言われて電話を切る。

その後、何とか嵐に耐えたクローハーストは、マストの復元装置のエアバッグをが壊れていることに気づき、ガスのホースを接続しようとする。

それが無理だと分かったクローハーストは、転覆したら終わりだと考え不安が募る。

このまま航行しても生存確率が50%だと考えたクローハーストは、家族からトースターを贈られた時のことを思いだす。

家族に電話しても留守だったために気が滅入るクローハーストは、進むことも戻ることもできないために苦悩し、精神的に追い込まれる。

航行を捏造することを決めたクローハーストは、記録的な速さで南下していると報告し、家族やホールワースを驚かせる。

サンデー・タイムズの記者デニス・ハーブシュタイン(オリヴァー・モルトマン)も、チチェスターよりも早いレースの最終出場者クローハーストに注目し、上司ロナルド・ホール(マーク・ゲイティス)の指示で記事にする。

54日目 1968年 クリスマス・イヴ。
家族に電話をしたクローハーストはクレアと話し、船の進行の速さに子供たちが驚いていると言われ、喜望峰に近いか訊かれる。

期待が高まっている様子を知ったクローハーストは不安になり、通信状況が悪くなったことを装う。

84日 ブラジルの北370キロ。
既にオーストラリアに向かっていると思われているクローハーストは、暫く連絡を絶つことにする。

クローハーストの動向を知ることができないホールワースは、スポンサーを喜ばせる記事が書けない。

同じ思いのハーブシュタインは、クレアに取材する。

同席したホールワースは、取材の内容が不満なクレアに、クローハーストと連絡が取れない以上、他の方法でメディアにサービスしなければならないと伝える。

フロートの穴に気づいたクローハーストは、修理のために陸地を目指す。

125日目 アルゼンチン沖。
陸に近づいて錨を下ろし、ボートで岸に向かい上陸したクローハーストは、沿岸警備隊の下士官フランチェシの質問を受ける。

レースの出場者であることを説明するクローハーストは、撮影したフィルムを現像すれば納得するとフランチェシに伝える。

密輸をしていないことが確認されたクローハーストは、船の修理をして出発する。

最後にゴールした者は航海日誌を見せる義務がないため、クローハーストは、ベルナルド・モイテシエも脱落した現状を考え、自分と共に残っているナイジェル・テトリーが先にゴールすることを願う。

最下位になれば家族の元に帰れると考えるクローハーストには、残された道はそれしかなかった。

ロビン・ノックス=ジョンストンが312日かけて無寄港航行に成功し、チチェスターの記録には及ばなかったものの、無寄港の世界一周では最初の達成者となった。

家計が苦しくなったクレアは役所に向かい、失業手当の受給と給食費免除を求める。

ディエゴ・ラミレス諸島に向かうクローハーストは、ブエノスアイレスの基地局に連絡し、ホーン岬を回り北上していることを伝える。

助手のイアン・ウィーラー(ジョナサン・ベイリー)からそれを知らされたホールワースは、クレアに話して安心させる。

順調にいけば6月末には父が戻ることを知った子供たちは、クレアと共に喜ぶ。

サンデー・タイムズのホールは、アマチュア・セイラーの偉業の可能性に賭けて記事を大きくする。

214日目 ”馬の緯度”(サルガッソ海) バミューダ南東593キロ。
テトリーに追いついてしまうことを恐れたクローハーストは、帆を下ろして進行を止める。

その後、無理をしたテトリーの船が沈没して脱落し、残るはクローハースト一人となったことをクレアとベストに話したホールワースは、祝杯を挙げる。

テトリーのことを知り焦るクローハーストは、”魔の海”と呼ばれた場所で正気を失いかけ、馬の幻覚を見る。

その頃テインマスでは、クローハーストサンデー・タイムズのフロントページを飾ったことで祝賀会が催され、ホールワースがその記事を読み大いに盛り上がる。

何者かの声が聞こえたクローハーストの精神状態は、限界に近づく。

クローハーストからの連絡はないものの、ホールワースとイアンは彼の寄港に備え準備を進める。

同じ頃クローハーストは、海中に垂らした救助用のロープを切ってしまう。

毎日、子供たちを連れて港に向かったクレアは、クローハーストが帰港するのを待つ。

クローハーストは、すべてを諦めて罪を犯したことを、現れたクレアの幻覚に話し、最後の航海日誌を書き、彼女に謝罪する。

クレアは姿を消し、これで終わりだとつぶやいたクローハーストは、航路の地図と航海日誌をテーブルに広げる。

クローハーストが手にしていた時計は海に沈む。

訪ねて来たベストの表情で、クレアは訃報だと察する。

1969年7月 ドミニカ共和国
発見された”テインマス・エレクトロン”の内部を調べたホールワースは、海に捨てることができたはずの航海日誌を確認する。

クローハースト喜望峰日付変更線も越えず、すべてを捏造し、テトリーが脱落した後で航行を止めたことを知ったホールワースは、勝つ気がなかった彼が追及を逃れようとしたと考える。

最下位は調べられないのが理由だと言うホールワースは、その日誌に書かれた”すべて終わりだ”の後の”救いだ(Mercy)”という最後の言葉が気になる。

帰国して日誌をベストに見せたホールワースは、クレアに見せたか尋ねる彼に、有名になりたかったクローハーストの夢がかなうと伝える。

詰めかけた記者の前に姿を現したクレアは、夫を追い込んだマスコミやスポンサー、そして新聞の読者を痛烈に非難し、子供たちは今後も父親を恋しがる、自分も同じ思いだと伝える。

子供たちを連れて桟橋に向かったクレアは、夫が帰ることを願い海を見つめる。
__________

ドナルド・クローハーストの遺体は発見さず、彼は、8か月と2日、単独で2万4000キロ航行した。

ロビン・ノックス=ジョンストンだけが単独無寄港に成功し、レースの賞金をクローハーストの遺族に寄付した。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1968年、イングランドテインマス
サンデー・タイムズが単独無寄港世界一周レース”ゴールデン・グローブ・レース”を開催することを発表し、航行機器メーカーを経営するドナルド・クローハーストは、それに出場しようとする。
出資者のベストやジャーナリストのホールワースの協力を得たクローハーストは、アマチュア・セーラーとしてのハンデを乗り越え、大幅に予定が遅れながら、妻クレアや三人の子供たちに見守られて何とか出発することができる。
ところが、旅立ったクローハーストに待ち構えていたのは、過酷な航行と孤独、そして不安だけだった・・・。
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ドキュメンタリー映画作家として世界的な名声を得て、「博士と彼女のセオリー」(2014)なども監督したジェームズ・マーシュの作品。

単独無寄港世界一周レース”ゴールデン・グローブ・レース”に挑戦した、アマチュア・セーラーであるドナルド・クローハーストの苦難を描くドラマ。

夢を追うアマチュア・セーラーが、世界的な偉業に挑戦するものの、その過酷な体験によって精神的に追い込まれていく姿が切実に描かれている。

船の建造が大幅に遅れた末の不安を抱えた出発から、到底、長旅に耐えられそうもない主人公の繊細な心理状態を含め、深みにかける脚本を補うコリン・ファースの見事な演技が見どころの作品。

子供たちと共に愛する夫の帰りを待ち続ける妻を好演するレイチェル・ワイズ、主人公をサポートするジャーナリスト、ロドニー・ホールワースデヴィッド・シューリス、その助手ジョナサン・ベイリー、主人公の出資者であるケン・ストット、船の建造者エイドリアン・シラーサンデー・タイムズの記者オリヴァー・モルトマン、その上司マーク・ゲイティス、世界初の単独世界一周航行に成功したフランシス・チチェスターサイモン・マクバーニー、主人公の息子フィン・エリオットキット・コナー、娘エレノア・スタッグ他、アンドリュー・バカンなどが共演している。


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