1919年に発表された、雑誌”The All-Story”に連載されたジョンストン・マッカレーの”The Curse of Capistrano”を基に製作された作品。 圧政に苦しむ人々のために戦う男”ゾロ”の活躍を描く、監督フレッド・ニブロ、製作、脚本、主演ダグラス・フェアバンクス、マーゲリット・ドゥ・ラ・モット、ノア・ビアリーSr.、チャールズ・ヒル・メイルズ、ロバート・マッキム他共演のアドベンチャー・ロマンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:フレッド・ニブロ
製作:ダグラス・フェアバンクス
原作:ジョンストン・マッカレー”The Curse of Capistrano”
脚本
ユージン・ミラー
ダグラス・フェアバンクス
撮影:
ウィリアム・C・マクガン
ハリス・ソープ
音楽:モーティマー・ウィルソン
出演
ドン・ディエゴ・ヴェガ/セニョール・ゾロ:ダグラス・フェアバンクス
ロリータ・プリード:マーゲリット・ドゥ・ラ・モット
ペドロ・ゴンザレス軍曹:ノア・ビアリーSr.
ドン・カルロス・プリード:チャールズ・ヒル・メイルズ
カタリナ・プリード:クレア・マクダウェル
フアン・ラモン大尉:ロバート・マッキム
アルヴァラド総督:ジョージ・ペリオラット
フレイ・フェリペ神父:ウォルト・ホイットマン
ドン・アレハンドロ・ヴェガ:シドニー・デ・グレイ
ベルナルド:トート・デュ・クロウ
少年:ノア・ビアリーJr.
労働者:チャールズ・スティーヴンス
少年:ミルトン・バール
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1920年製作 90分
公開
北米:1920年11月27日
日本:1921年11月11日
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀初頭、スペイン領カリフォルニア。
圧政に苦しむ人々の前に、それに立ち向かう覆面の騎士が現れ、民衆のために戦った。
圧政の元凶である総督アルヴァラド(ジョージ・ペリオラット)は、貧民の味方をして反逆者を増やす、”セニョール・ゾロ”と呼ばれる男を捕らえようとする。
一方、人々は、悪い噂もあるものの、黒いマスクで顔を隠すゾロが、自分たちを救ってくれると信じていた。
総督に目をつけられていた農園主ドン・カルロス・プリード(チャールズ・ヒル・メイルズ)は、妻カタリナ(クレア・マクダウェル)と娘のロリータ(マーゲリット・ドゥ・ラ・モット)と共に悩んでいた。
酒場に向かった血の気の多いペドロ・ゴンザレス軍曹(ノア・ビアリーSr.)は、噂のゾロに怯える部下たちに、剣の一突きで倒してみせると言って豪語する。
そこに、最近スペインから戻った名門の御曹司ドン・ディエゴ・ヴェガ(ダグラス・フェアバンクス)が現れる。 人のいい気弱なドン・ディエゴは兵士たちに酒をおごり、ゾロを倒そうとするゴンザレスの話を聞く。 戦いを好まないドン・ディエゴは、ゴンザレスらの健闘を祈りその場を去る。 ゾロを捕えれば10000ペソの賞金が出ることを知ったゴンザレスは、その場にいた先住民を脅し、ゾロの居場所を聞き出そうとする。 そこに黒ずくめのマスクの男(ダグラス・フェアバンクス)が現れ、賞金の張り紙を見て剣でそれを剥がし、”Z”の文字を刻む。 男がゾロだと知ったゴンザレスは、戦いを挑まれて剣を交える。 ゴンザレスらを翻弄したゾロは、気づかれないまま姿を消す。 ゾロに扮していたドン・ディエゴは屋敷に戻り、耳は聞こえるが話しができない使用人のベルナルド(トート・デュ・クロウ)に、圧政は滅びることを伝える。 訪ねて来た父ドン・アレハンドロ(シドニー・デ・グレイ)と話したドン・ディエゴは、身を固めるようにと言われ、プリード家の娘ロリータを妻にすることを勧められる。 気が進まないドン・ディエゴは、既に訪問するという手紙を届けたと言われ、プリード家が総督に財産を没収されたことを知る。 翌日、ドン・ディエゴを歓迎したドン・カルロスは、カタリナとロリータを紹介する。 ドン・ディエゴと二人で話したロリータは、気弱で男らしさを感じないドン・ディエゴに失望する。 早々にその場を去ったドン・ディエゴのことをカタリナから訊かれたロリータは、ろくでなしで酷い男だと言いながら、彼との結婚を拒む。 その後、裏庭で悲しんでいたロリータの前に、ゾロが颯爽と現れる。 それを知ったカタリナは、ゾロを捕らえるため総督に知らせるべきだとドン・カルロスに伝え、彼は砦に使いを向かわせる。 強引なゾロは、ロリータに求愛する。 プリード家の使いからゾロのことを知らされたフアン・ラモン大尉(ロバート・マッキム)は、部下のゴンザレスらを引き連れて屋敷に向かう。 ゾロに心を奪われたロリータは、ラモンらが到着したために怯える。 恐れを知らぬゾロは、その場では騒ぎを起こさず、ロリータに別れを告げて姿を消す。 それを知ったドン・カルロスは、到着したラモンにゾロが逃げたことを伝える。 部下に追跡させたラモンは、ドン・カルロスに屋敷に招かれる。 ロリータに求婚していたラモンは彼女と話し、弱い者の味方であるゾロを擁護する彼女に、悪人だと伝える。 そこにゾロが現れ、ロリータにバラを渡し再び姿を消す。 ラモンは、戻ったゴンザレスらと共にゾロを追跡する。 街道を行く馬車を止めたゴンザレスは、ドン・ディエゴだったためにその場を去る。 プリード一家はドン・ディエゴが留守中の豪邸に向かい、ドン・カルロスはロリータに嫁ぐことを説得する。 屋敷は気に入るものの、ロリータはドン・ディエゴとは結婚する気にはなれなかった。 その後、ドン・カルロスとカタリナは、ラモンに懇願するために砦に向かう。 行き違いでプリード家に向かったラモンは、強引に屋敷に入り、歓迎しないロリータに求婚する。 それを拒んだロリータは、ラモンに迫られるものの拒む。 そこに現れたゾロは、ロリータに対するラモンの態度を非難する。 ラモンと剣を交えたゾロは、彼の首に”Z”の傷をつけて剣を奪い、ロリータに謝罪させる。 ラモンを追い出したゾロは、感謝するロリータにキスされる。 ロリータへの気持ちを伝えたゾロは、その場を去る。 翌朝ロリータは、両親に昨晩のラモンの件を話し、無礼な彼を現れたゾロが懲らしめたことを伝える。 ロリータはゾロの素晴らしさを話し、両親は彼女がゾロに惹かれたと考える。 そこにドン・ディエゴが現れ、ゾロの話をしながらロリータの様子を窺う。 ロリータがラモンに嫌がらせを受けたドン・カルロスから、決着をつけると言われたドン・ディエゴは、揉め事を嫌い戦いを拒む。 砦に行きラモンに苦情を言ってくると伝えたドン・ディエゴだったが、ロリータは情けない彼に呆れてしまう。 部下らと共に南部に到着した総督は、その土地を支配しようとする。 告訴されたフレイ・フェリペ神父(ウォルト・ホイットマン)は有罪を認め、判事により鞭打ちの刑を言い渡される。 神父を慕う人々は同情し、総督への不満は増し、ドン・カルロスは、善良な神父への仕打ちに対しラモンに抗議する。 その件を知ったドン・ディエゴは憤慨し、共に戦う者を集めうようとする。 酒場にいた判事を呼び出したゾロは、彼を捕えて鞭打つ。 その報告を受けた総督は、ゾロを捕えるようラモンらに命ずる。 神父を助けようとしたドン・カルロスの行動が疑わしいと言われた総督は、一家を牢獄に入れるよう指示する。 父から結婚の件について訊かれたドン・ディエゴは、ロリータに断られてしまったと答える。 ゾロを捜す兵士たちが現れ、ドン・アレハンドロは彼らを歓迎して酒を振舞う。 その場を去ったドン・ディエゴは、ゾロに扮して現れ、兵士たちに、圧政に苦しむ人々のために戦うよう訴え、彼らの心を動かす。 捕らえられたドン・カルロスは、カタリナとロリータと共に投獄される。 酒場に向かったベルナルドは、ゾロの仲間となった兵士に伝言を渡す。 それに気づいたラモンはメモを奪い、兵士を集めようとしているゾロの行動を知る。 牢獄に向かったゾロは、プリード一家を救い出す。 それを知ったゴンザレスらは、ゾロを追う。 ゾロの仲間に扮していたラモンは、ロリータを連れ去る。 ゴンザレスらをおびき寄せたゾロは、彼らを翻弄する。 ロリータを連れたラモンに気づいたゾロは、彼に襲い掛かる。 ロリータを助けたゾロは屋敷に彼女を連れて行き、ドン・ディエゴに姿を変えて、追ってきたラモンらの前に現れる。 その後ロリータは見つかってしまい、彼女に対するラモンの態度を非難するドン・ディエゴは、侮辱されたために彼を殴り襲い掛かる。 決闘を挑んだドン・ディエゴはラモンと剣を交え、首の傷のことを話す彼の額に”Z”の文字を刻まれる。 ラモンはドン・ディエゴがゾロであることに気づき、総督、ゴンザレス、ドン・カルロス、カタリナ、ドン・アレハンドロ、そしてロリータは驚く。 ラモンを屈服させたゾロは、総督に剣を向けて、この地から出て行くことを約束させる。 正義は勝ったことを皆に伝え称えられるドン・ディエゴに、ゴンザレスは従うことを伝える。 平和は訪れ、ロリータの元に向かったドン・ディエゴは、彼女との愛を確かめる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
19世紀初頭、スペイン領カリフォルニア。
圧政に苦しむ人々のために立ち上がた男”ゾロ”を、支配者である総督アルヴァラドは捕らえようとする。
スペインから戻った富豪の御曹司ドン・ディエゴは、気弱で戦いを好まないように見せかけていたが、実は彼こそが、人々のために戦うゾロその人であった。
父からプリード家の娘ロリータとの結婚を勧められたドン・ディエゴだったが、気が進まないまま彼女に会う。
人がいいだけで魅力のないドン・ディエゴに失望したロリータだったが、その後に現れた勇ましいゾロに彼女は心を奪われてしまう・・・。
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その後に何度も映画化される”ゾロ”が登場する映画として、本作が最初の作品であるサイレント映画。
1925年には、続編”ドンQ”が公開された。
2015年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
善と悪の戦いは単純明快であり、フレッド・ニブロの軽快な演出は冴え渡り、謎の男”ゾロ”の活躍や秘密をユーモアを交えて描く、痛快大活劇として大いに楽しめる作品。
スタントだけでなく本人も演じる、剣術を含めたダグラス・フェアバンクスのアクションは見事であり、気弱で人がいいだけの富豪の御曹司のシーンもまた魅力的だ。
御曹司の主人公には惹かれず”ゾロ”の彼には心を奪われるヒロインのマーゲリット・ドゥ・ラ・モット、ゾロを追う軍曹を愉快に演ずるノア・ビアリーSr.、総督に財産を奪われるヒロインの父親チャールズ・ヒル・メイルズ、その妻クレア・マクダウェル、総督ジョージ・ペリオラットの部下で、ゾロの恋敵となる大尉ロバート・マッキム、人々に慕われるものの鞭打ちの刑を受ける神父ウォルト・ホイットマン、主人公の父親シドニー・デ・グレイ、主人公の使用人トート・デュ・クロウ、ノア・ビアリーSr.の息子ノア・ビアリーJr.が少年役で、同じく少年のミルトン・バール、労働者のチャールズ・スティーヴンスなどが共演している。