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王になろうとした男 The Man Who Would Be King (1975)

1888年に発表された、ラドヤード・キプリングの短編”王になろうとした男”を基に製作された作品。
秘境の地で王になろうとした風変わりな二人のイギリス人の冒険を描く、監督、脚本ジョン・ヒューストン、主演ショーン・コネリーマイケル・ケインクリストファー・プラマー他共演のアドベンチャー・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


アクション/アドベンチャー

ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:ジョン・ヒューストン

製作:ジョン・フォアマン
原作:ラドヤード・キプリング王になろうとした男
脚本
ジョン・ヒューストン
グラディス・ヒル
撮影:オズワルド・モリス
編集:ラッセル・ロイド
美術・装置
アレクサンドル・トローネル
トニー・イングリス
ピーター・ジェームズ
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:モーリス・ジャール

出演
ダニエル・ドラヴォット:ショーン・コネリー
ピーチー・タリフェロ・カーネハン:マイケル・ケイン
ラドヤード・キプリングクリストファー・プラマー
グルン/ビリー・フィッシュ:サイード・ジャフリー
弁務官:ジャック・メイ
カフー・セリム:カーローム・ベン・ボーイ
ウータ/首長:ドグミ・ラルビ
ロクサネ:シャキーラ・ケイン

アメリカ/イギリス 映画
配給
コロンビア・ピクチャーズ(世界)
アライド・アーティスツ・ピクチャーズ・コーポレーション(北米)
1975年製作 129分
公開
イギリス:1975年12月18日
北米:1975年12月17日
日本:1976年6月12日
製作費 $8,000,000
北米興行収入 $13,200,000


アカデミー賞
第48回アカデミー賞

・ノミネート
脚色・編集・美術・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1885年、インド
オフィスで原稿を書いていた”ノーザン・スター”紙の特派員ラドヤード・キプリングクリストファー・プラマー)は、背後から忍び寄る薄汚い男に気づく。

覚えていないかと言われたキプリングは、何も思い出せない。

飲物が欲しいと言う男(マイケル・ケイン)はグラスの酒を受取り、この場所で”ダニー”と共に契約を交わしたと話し、キプリングは、男がピーチー・タリフェロ・カーネハンだと気づく。

カーネハンは、わずか3年前のことだとは思えないと言って、その時のことを話し始める。
__________
...全てを見る(結末あり)

駅でキプリングの懐中時計を盗んだカーネハンは、それに”フリーメイソン”のシンボルマークがあったために焦る。

キプリングを捜したカーネハンは、彼が乗車した車両に乗る。

暫くして眠ったキプリングに時計を返そうとしたカーネハンは、それに失敗して、乗車してきた男を迷惑に思う。

男を車両から突き落としたカーネハンは、驚くキプリングに、時計を盗んだことを正直に話す。

時計を返してキプリングに挨拶したカーネハンは、イギリス陸軍の砲兵軍曹だったことを伝える。

カーネハンに酒を勧めて話しを聞いたキプリングは、風変わりな彼に興味を持つ。

マールワールの駅で、ある男に”自分は行かれない”と伝えてほしいとカーネハンから頼まれキプリングは、その相手の名は”ダニエル・ドラヴォット”だと言われる。

”ピーチーは南へ”と言ってくれれば分かるとキプリングに伝えたカーネハンは、車両から降りる。

マールワール・ジャンクション。
列車に乗っていたダニエル・ドラヴォット(ショーン・コネリー)に声をかけたキプリングは、”ピーチーは南へ行った”と伝える。

それを理解したドラヴォットは、仲間だから教えると言って、カーネハンは、義母を殺した”ラージャ”を脅しに行く気だと話す。

ラージャに殺されると警告したキプリングは、気にする様子もないドラヴォットから、カーネハンは、ノーザン・スターの特派員だと言って脅すと言われる。

キプリングは、自分がその特派員だと伝えるものの、出発したドラヴォットには聞こえない。

数日後、弁務官(ジャック・メイ)の元に向かったキプリングは、拘留されたドラヴォットとカーネハンの話をして、その場に呼ばれた二人は釈放される。

密輸、詐欺、故買、脅迫などの犯罪歴を確認した弁務官は、政治的危険人物としてカルカッタに報告することを二人に伝える。

自分達の考えを主張してその場を去った二人を見て、キプリングは、風変わりな彼らに益々、興味を持つ。

オフィスで仕事をしていたキプリングは、現れたドラヴォトとカーネハンから、”カフィリスタン”(現アフガニスタン)の王になる計画があると言われる。

カイバル峠”は越えられないため馬鹿げた話だと言うキプリングは、アレキサンダー大王以来、白人が足を踏み入れていない土地だと二人に伝える。

行けると言い張るドラヴォットとカーネハンは、カフィリスタン王になる他、諸々を記入した契約書をキプリングに見せてサインする。

それにサインをしたキプリングは、二人を残してその場を去る。

資料を見たカーネハンは、カフィリスタンのことについて調べ、それをドラヴォットに伝える。

数日後、気が狂った行者と弟子に扮したドラヴォットとカーネハンは、それをキプリングに知らせる。

武器や弾薬も用意したことをキプリングに伝えた二人は、危険だと言われるものの旅立つ。

ドラヴォットを呼び止めたキプリングは、時計からフリーメイソンのシンボルマークを外して渡す。

その後、ドラヴォットとカーネハンは、最初の難関であるカイバル峠を隊商と共に越える。

隊商と別れてカフィリスタンへと向かったドラヴォットとカーネハンは、不毛地帯に入り、人影もなくなり村を避けて夜間に移動した。

ラクダを捨てて、浮袋を使い川を下り渡った二人は、服を乾かしている最中に、ラバに乗った男達に気づく。

近付いてきた男達を油断させて襲い掛かった二人は、ラバを奪って先を急ぎ、厳寒の山に向かう。

険しい道は続きラバは力尽き、ひたすら歩いたドラヴォットとカーネハンは、二人の巨人に出くわす。

銃撃したカーネハンは、それが二体の巨象だと気づき、カフィリスタンの入り口であることをドラヴォットと共に確信する。

カーネハンは、雪目で目が見えないドラヴォットに、渡って来た雪の橋が崩れたため戻れないことを伝える。

その後、クレバスで行く手を阻まれた二人は、その場で待機するしかなかったが、燃やすものがなくなりそうになる。

それが燃え尽きたら死ぬことも覚悟した二人は、目的地を前にして残念に思いながら、昔話などをして盛り上がる。

二人が大声で笑ったために雪崩が起き、その結果クレバスが埋まり先に進めるようになる。

前進した二人は雪山を超えて、遂にカフィリスタンに到着する。

人々に襲い掛かる男達を銃で倒したドラヴォットとカーネハンは、生きていた一人を捕えて村落に向かう。

矢を放たれたドラヴォットとカーネハンは身を潜め、英語が話せる者から話しかけられ、イギリス人かと訊かれたため、そうだと答える。

グルカ族の兵士グルン、別名ビリー・フィッシュ(サイード・ジャフリー)から敬礼されたドラヴォットとカーネハンは、悪魔だと思ったために襲ったと言われる。

ウータ/首長(ドグミ・ラルビ)の元に案内されたドラヴォットとカーネハンは、歓迎される。

ライフルの使い方を教えてほしいとウータから言われたドラヴォットは、カーネハンに鳥を撃ち落とすよう指示する。

敵から身を守る方法を教えるとウータに伝えたカーネハンは、報酬は栄誉だけでいいと言って、全ての敵を倒して全土を制圧する考えを話す。

ウータがその王となると伝えたドラヴォットとカーネハンは、捕えた敵を渡す。

村人達からも歓迎を受けたドラヴォットとカーネハンは、目的を達するまでは酒も女も断つという契約を思い出し、振る舞おうとしたウータにそれを断る。

その後、渡した敵の頭部を切断して袋に詰め、それを使ったポロのような競技が始まる。

ドラヴォットとカーネハンは、村人達に軍隊と兵士としての基礎、そして戦い方を教え始め、決して”持て成し”の誘惑には負けなかった。

最初の戦いで敵に相対するものの、僧侶が歩く姿に双方は身を伏せてしまう。

僧侶が通り過ぎて戦いが始まり、ドラヴォットは突撃する。

矢を受けながら血も流さず勇敢に戦うドラヴォットに恐れをなした敵は、降伏してしまう。

捕虜の首を刎ねようとするウータを制止したドラヴォットとカーネハンは、彼から剣を奪い処刑を止めさせる。

捕虜を解放し、村を焼き払うことも虐殺もしないと言うドラヴォットとカーネハンは、財産の半分は戦利品としてもらうが、今日から両部族は兄弟であり、同盟を結ぶことを提案する。

ドラヴォットは”シカンダー/神”と呼ばれて称えられ、それがアレキサンダー大王のことを指すことを知る。

矢が刺さっても出血もしなかったドラヴォットは、アレキサンダー大王の息子だと思われたが、矢は弾帯に刺さっただけだったことをビリーに話す。

正直にそれを人々に話すようビリーに指示したドラヴォットだったが、神になれば、当初の目的の制服への道が早まるとカーネハンから言われる。

気乗りしないドラヴォットだったが、黙っていればバレないと言うカーネハンに説得され、その気になる。

”ポロ”が始まり、ドラヴォットとカーネハンは、袋に詰められた頭がウータだと知らされる。

その後、ドラヴォットとカーネハンは、戦いを続けて各地の村を制圧し、兵も増えて軍紀も守られた。

勝利を重ねるうちに、戦わずに”シカンダー”に従う人々は、貢物を献上する。

そんな時ドラヴォットは、美しい娘ロクサネ(シャキーラ・ケイン)に惹かれてしまう。

アレキサンダー大王の后”ロクサネ”と同じ名前だったため、ドラヴォットは運命を感じる。

カフィリスタンの最高僧カフー・セリム(カーローム・ベン・ボーイ)の使者が現れ、ドラヴォットとカーネハンは寺院に向かう。

山頂の寺院”シカンダグル”に着いたドラヴォットとカーネハンは、カフー・セリムに迎えられる。

寺院に案内されるドラヴォットは殺されそうになるが、彼に剣を向けたカフー・セリムは、胸に光るフリーメイソンのシンボルマークに気づく。

ドラヴォットがシカンダーであることが分かったカフー・セリムと僧侶達は、その場で平伏す。

カフー・セリムから、その場にもあったシカンダーが刻んだというフリーメイソンのシンボルマークを見せられたドラヴォットとカーネハンは驚く。

ドラヴォットは神の子と崇められ、シカンダー/アレキサンダー大王の財宝の保管庫に案内される。

持ち帰えれば世界一の金持ちになると考えたドラヴォットとカーネハンは、カフー・セリムから、神の子の物なので好きなようにしていいと言われる。

その後、ドラヴォットは次々と法を作り国を統治し、カーネハンは将軍となるが戦いはなく、峡谷に吊り橋を架けた。

やがて雪解けが近づき、旅立つことを考えるカーネハンだったが、ドラヴォットはこの地に残ると言い出す。

時計を盗んだ時から運命は決まり、ここに来ることは偶然ではなかったと語るドラヴォットは、ロクサネとの出会いも同じだとカーネハンに話す。

ロクサネを妻にすることが最後に残された運命だと話すドラヴォットは、女に手を出すのは契約に違反するとカーネハンから言われる。

それは王になるまでの契約であり既に効力がないと伝えたドラヴォットは、完璧な統治をしてロクサネを后として迎えることをカーネハンに話す。

それに反論するカーネハンは、自分を下臣扱いするドラヴォットを見限る。

后を迎えることをカフー・セリムら僧侶に話したドラヴォットだったが、神が人間の妻を迎えるのは適切ではないと言われる。

最高位の神”インブラ”に決めさせると言われたドラヴォットは納得せず、ロクサネを連れて来るよう命ずる。

いやな予感がするとカーネハンに伝えたビリーは、問題は、人間が神を語っていることだと話す。

ロクサネを迎えたドラヴォットは、旅立つ準備ができたカーネハンから、一緒に帰ろうと言われる。

それを断ったドラヴォットは、別れを告げて去ろうとするカーネハンに、出発は婚礼の後にするよう伝えて承諾ししてもらう。

翌日、式は始り、ドラヴォットは、ロクサネを后にすることを宣言するが、彼女に頬を噛まれてしまう。

それを見たカフー・セリムは、ドラヴォットが血を流す人間で神でないと叫ぶ。

僧侶や人々は騒ぎ始め、ドラヴォットとカーネハンはビリーと共にその場から逃げる。

追って来た人々を銃撃するドラヴォットとカーネハンは、財宝を積んだラバに乗って逃げようとする。

自分は歩兵だと言って突撃したビリーは殺され、ドラヴォットとカーネハンは弾が切れる。

ドラヴォットはカーネハンに謝罪し、捕えられた二人は橋に連れて行かれる。

王冠を被り吊り橋を渡ったドラヴォットは、落されることを知り覚悟を決める。

ドラヴォットは谷底に落下し、カーネハンは友の死を見届ける。
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その様子を話したカーネハンは、自分は磔にされたことをキプリングに伝える。

奇跡的に死ななかったために解放され、ドラヴォットに導かれたと言うカーネハンは、1年かけて戻ったのだった。

ドラヴォットは決して自分を見捨てず、そして彼の頭を捨てなかったと言うカーネハンは、袋を出す。

王冠を被ったカフィリスタン王ドラヴォットの頭が入った袋をその場に置いたカーネハンは、人に会う約束があると言ってその場を去る。

袋を開けたキプリングは、王冠を被り白骨化したドラヴォットの頭部を見つめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1885年、インド
オフィスで原稿を書いていた”ノーザン・スター”紙の特派員ラドヤード・キプリングは、現れた薄汚い男から、かつてこの場で契約を交わしたカーネハンだと言われて話しを聞く。
3年前、”フリーメイソン”の懐中時計をカーネハンに盗まれたことで彼と知り合ったキプリングは、兵士だったカーネハンと友人のダニエル・ドラヴォットから、秘境の地”カフィリスタン”に向かい王になる計画があると言われる。
風変わりな二人に興味を持ったキプリングは、王になることを誓う彼らと共に契約書にサインする。
気が狂った行者と弟子に扮したドラヴォットとカーネハンは、キプリングに見送られながら、”アレキサンダー大王”が征服して以来、白人が足を踏み入れたことがないカフィリスタンに向かうために旅立つのだが・・・。
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原作者ラドヤード・キプリングが、インドでの体験記を基にした短編”王になろうとした男”の映画化作品。

元軍人である奇抜な発想を持つ風変わりな冒険家二人の奇妙な旅と、彼らに興味を持つ特派員キプリングがいかにして関わったかが描かれている、冒険映画ファンにはたまらない内容となっている。

奇想天外なストーリーに加え、主人公二人の特異なキャラクターを生かした、ジョン・ヒューストンのダイナミックな脚本と演出が見所の作品。

美術やイデス・ヘッドの衣装、モーリス・ジャールの音楽なども注目で、主にモロッコで行われたロケもスケール感がある。

キプリングもメンバーであった”フリーメイソン”や、”アレキサンダー大王”の伝説的物語が重要なポイントとして描かれているのも興味深い。

第48回アカデミー賞では、脚色、編集、美術、衣装デザイン賞にノミネートされた。

冒険映画に相応しい、豪放磊落で勇敢、ロマンチストでもある愛すべきキャラクターを演じた、ショーン・コネリーマイケル・ケインの熱演は光る。

風変わりな主人公の二人に興味を持つラドヤード・キプリング役のクリストファー・プラマー、主人公を補助するグルカ族の兵士サイード・ジャフリー、現地弁務官のジャック・メイ、最高位の僧侶カーローム・ベン・ボーイ、部族の首長ドグミ・ラルビ、そして、マイケル・ケイン夫人でもある、ドラヴォット(ショーン・コネリー)が后にしようとする女性シャキーラ・ケインなどが共演している。


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