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奇蹟がくれた数式 The Man Who Knew Infinity (2015)

インドの天才数学者であるシュリニヴァーサ・ラマヌジャンと彼の研究を支えた師である数学者ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディの友情を描く、主演デーヴ・パテールジェレミー・アイアンズトビー・ジョーンズジェレミー・ノーサムケヴィン・マクナリーデヴィカ・バイス他共演、監督、脚本マシュー・ブラウンによる伝記ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:マシュー・ブラウン
製作
エドワード・R・プレスマン
ジョー・トマス
ジム・ヤング
原作:ロバート・カニーゲルThe Man Who Knew Infinity
脚本:マシュー・ブラウン
撮影:ラリー・スミス
編集:JCボンド
音楽:コビー・ブラウン

出演
シュリニヴァーサ・ラマヌジャンデーヴ・パテール
ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディジェレミー・アイアンズ
ジョン・エデンサー・リトルウッドトビー・ジョーンズ
ジャーナキ・ラマヌジャン:デヴィカ・バイス
フランシス・スプリング卿:スティーヴン・フライ
バートランド・ラッセルジェレミー・ノーサム
パーシー・アレキサンダー・マクマーンケヴィン・マクナリー
ベグラン:ポードリック・ディレーニー
医師:エンゾ・シレンティ
ラマヌジャンの母親:アランダシ・ナグ
ナーラヤーナ・アイヤー:ドリティマン・チャタジー
プラサンタ・チャンドラ・マハラノビスシャザド・ラティフ

イギリス 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ(イギリス)
IFC Films(北米)
2012年製作 108分
公開
イギリス:2016年4月8日
北米:2016年4月29日
日本:2016年10月22日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $3,866,790
世界 $12,252,680


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1920年、イングランドケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ
数学者のゴッドフレイ・ハロルド・ハーディジェレミー・アイアンズ)は、共に研究し友でもあった、若くして世を去った天才数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンのことを考える。
__________

1914年、インドマドラス(現チェンナイ)。
貧しく学位もなく閃きだけで数式を解くシュリニヴァーサ・ラマヌジャンデーヴ・パテール)は、妻ジャーナキ(デヴィカ・バイス)と母(アランダシ・ナグ)を養うために職を探す。

独学で数学を学んだラマヌジャンだったが、学位がないために雇ってもらえなかった。

ラマヌジャンのノートをチェックした港湾局のナーラヤーナ・アイヤー(ドリティマン・チャタジー)は、学位はないと言う彼の言葉が信じられず、毎晩それを自分に解説することを条件に事務員として彼を雇うことにする。
...全てを見る(結末あり)

ナーラヤーナからラマヌジャンを紹介されたインド鉄道の敷設で功績を残したフランシス・スプリング卿(スティーヴン・フライ)は、浮浪者のような若者を追い払おうとする。

何としても仕事が欲しいラマヌジャンは、数学に強い自分を売り込む。

ついに仕事を得たラマヌジャンは、妻ジャーナキと母を呼び寄せる。

約束通り仕事の後で数式の解説をするラマヌジャンの数学の能力を認めたナーラヤーナは、それを理解してくれる人物に会うべきだと考える。

家に戻らないラマヌジャンを迎えに来たジャーナキに気を遣ったナーラヤーナは、今夜は終わりにすることを伝える。

ジャーナキに謝罪したラマヌジャンは、最初からやり直そうと言って、改めて互いに自己紹介する。

自分には数式がすべてだと言いながらジャーナキにノートを見せたラマヌジャンは、どこかにきっと理解してくれる人がいると伝える。

まだ誰もいないと言うラマヌジャンに、自分も理解したいと伝えたジャーナキは、すべてのものにはパターンがあり、数字におけるパターンは信じ難い美しさだと目を輝かせる彼の話を聞く。

インド以外で数式を理解する人を見つけるつもりのラマヌジャンだったが、それを知った母は反対する。

ナーラヤーナから、この研究は非常に重要であり、インド人が支配者のイギリス人の上に立てるチャンスだと言われたラマヌジャンは、当初はその気はなかったが、手紙を出してみることにする。

ラマヌジャンは、トライポス/数学優等試験のシステムを変えたイギリス人の数学者ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディに手紙を出すことをフランシス卿から勧められる。

トリニティ・カレッジ
助手のベグラン(ポードリック・ディレーニー)からインドからの手紙を受け取ったハーディは、”ガンマ関数の負値を意味づけることに成功した”という内容だったために、共同研究者である数学者ジョン・エデンサー・リトルウッドトビー・ジョーンズ)のいたずらだと思う。

手紙がリトルウッドのいたずらでないことを知ったハーディは、改めてその内容をチェックして驚く。

それをリトルウッドにも見せたハーディは、手紙を送ってきたマドラスの港湾局の事務員ラマヌジャンを、イングランドに呼び寄せることにする。

ハーディから返事が来たことをフランシス卿から知らされたラマヌジャンは驚き、ジャーナキに海を渡ることを伝える。

自分を呼び寄せることを約束させたジャーナキは、ラマヌジャンが旅立つことを許す。

髪を切ったはラマヌジャンは、イングランドに行くことを母に伝える。

母は、ジャーナキに言いくるめられたと考えて彼女のせいにして悲しむ。

母に別れを告げて、ジャーナキから忘れないでほしいと言われたラマヌジャンは、忘れるはずがないと伝えて旅立つ。

トリニティ・カレッジ
オーストリア皇太子夫妻が暗殺され、ハーディは戦争が始まる可能性を考える。

到着したラマヌジャンに挨拶したリトルウッドは、構内のリンゴの木を指差し、そこでニュートンが”重力”を発見したことを伝える。

ハーディに会うこと楽しみにしていたラマヌジャンだったが、共に研究ができることを楽しみにしていると言う彼は、まともに目も合わせず多くを語らずにその場を去る。

無礼があったのかと思い心配するラマヌジャンに、自分がいれば大丈夫だと伝えたリトルウッドは、数学者のバートランド・ラッセルジェレミー・ノーサム)を紹介する。

部屋を与えられたラマヌジャンは、新生活を始める準備をする。

翌日、慌ててハーディの元に向かおうとしたラマヌジャンは芝生を通り抜けようとして、フェローしか踏んではいけないと注意される。

ハーディのオフィスでリトルウッドと共に話したラマヌジャンは、いくつか講義を受けることを提案され、研究の発表はその時が来たらだと言われる。

まずは研究の証明が必要だと言われたラマヌジャンは、ハーディに不満を訴えながら、他の研究の資料を見せる。

驚異的だと言うハーディからそれを見せられたリトルウッドは、分析に一生かかると伝える。

ラマヌジャンは、”一生X2”だと言って別の資料があることを二人に知らせる。

食堂に向かったラマヌジャンは、カルカッタ(現カルコタ)出身の留学生プラサンタ・チャンドラ・マハラノビスシャザド・ラティフ)に声をかけられるものの、菜食主義者の彼は食べられるものがなく部屋に戻ろうとする。

ハーディに呼び止められたラマヌジャンは、食事や部屋に満足しているか訊かれ、問題ないことを伝える。

翌日、講義を受けるラマヌジャンが、発想で定理の証明をしたために恥をかかされたハワード教授は、よそ者に目立つマネは許さないと伝えて彼を追い出す。

その件をハーディと話したラマヌジャンは、定理の証明は閃いたと言って、証明に時間を費やすのは無駄だと伝える。

物事を焦るラマヌジャンに、”直感”では不十分で証明の義務があると伝えたハーディは、レオンハルト・オイラーカール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビに匹敵する才能の持ち主である彼に、この研究をする理由を問う。

”見える”と答えたラマヌジャンは、ハーディから、数字と無限に踊るのは分かるが、自分達をマジシャンだと思う者達には通用しないと言われる。

研究しつくされた分野に挑むなら間違いは許されないことだと言うハーディは、講義には出るべきであり、教授達の機嫌を損ねないようにして証明を続けなければ、自分達の試みは失敗するとラマヌジャンに伝える。

ラマヌジャンを”レン図書館”に連れて行ったハーディは、保管されているニュートンの著書”自然哲学の数学的諸原理”の前で、自分達にも証明する義務があり、それを成し遂げれば君のノートもここに並ぶと伝えて証明の重要性を説く。

ジャーナキからの手紙も届き、同封されていた彼女のリボンに励まされたラマヌジャンは研究に没頭し、分割数の公式を見つけてハーディに知らせる。

証明をすることで納得したはずだと言うハーディが興味を示さないために、ラマヌジャンはその場を去る。

内容をチェックし解決不能だと考えるハーディだったが、ベグランから、それは今までの話ではないかと言われる。

苛立ちながら研究を続けるラマヌジャンは、ハワードの講義を受けるだけで余計な発言はしなかった。

クラブにいたハーディは、現れたラマヌジャンが新しい証明を持参したのだと思い、ラッセルから、馬のように自由に走らせるべきだ言われる。

翌日、その証明の間違いをハーディに訂正されたラマヌジャンは、発表させたいから厳しくしていると言われたため、それならば素数定理を発表してほしいと伝える。

実は発表していたハーディは、その論文”高度合成数”をラマヌジャンに渡して感謝される。

その報せを受けた母は皆に自慢するものの、ラマヌジャンからの連絡もなく自分を呼び寄せてもくれないジャーナキは不満に思う。

イギリス第一次大戦に参戦することになり、弾道学で陸軍省からの協力要請を受けたことをリトルウッドハーディに伝える。

ラマヌジャンの研究の一部に懸念を感じるリトルウッドは、彼が過ちを犯すと考える。

構内で国王を迎えたラマヌジャンは、戦争のせいでジャーナキを呼び寄せられないと考えるが、友人からはクリスマスまでには終戦すると言われる。

読み書きができないジャーナキは、ラマヌジャンへの手紙を代筆してもらい、信仰心の厚かった彼の心はいつも寺院にあることを知り、その場に向かい祈りを捧げる。

ジャーナキからラマヌジャンへの手紙を出すことを頼まれた母だったが、それをしまい込んでしまう。

構内は臨時の医療施設となり、ジャーナキからの手紙は届かず気落ちするラマヌジャンは、戦地にも行かず贅沢をするインド人だと侮辱する兵士から暴行を受けてしまう。

食糧不足で食べ物もなくなったラマヌジャンは、ジャーナキと過ごすことを夢見るしかなかった。

民主管理連合/UDCの活動を禁止されたハーディは学長に抗議するが、ラマヌジャンが配布したチラシのせいでラッセルが講師の資格を剥奪されたことを知る。

ハーディは、戦地のリトルウッドからの手紙を受け取る。

ラマヌジャン素数に関する研究の間違いを指摘しつつも、彼の存在を奇蹟と認め、ニュートンに匹敵する彼の面倒をみて、研究成果を出す手助けをするようにという内容だった。

更に手紙には、ハワードらに勝利するために、ラマヌジャンとは戦うなと付け加えられていた。

リトルウッドからの手紙を見せて、素数の定理は間違っていることをラマヌジャンに伝えたハーディは、直感では発表できないと言って説得しようとする。

声を荒げて話をやめさせたラマヌジャンは、自分には直感しかないとハーディに伝える。

自分を見もせず知ろうともしないハーディを批判するラマヌジャンは、信仰もなく家族の写真もない彼に何者なのかを問う。

反論するハーディに、顔の傷に気づいているか尋ねたラマヌジャンは、自分には妻がいると伝えてその場を去る。

苦しみながら定理を証明させたラマヌジャンは、それをハーディに渡す。

素晴らしい証明だとラマヌジャンに伝えたハーディは、再び一緒に研究することで意見が一致する。

ラマヌジャンの体調不良の件をラッセルに伝えたハーディは、彼を自由には走らせるべきだと再び助言され、競走馬でもあるまいしと反論するものの、ラマヌジャンを人間として扱わなかったはずだと言われて言葉を失う。

数学者のパーシー・アレキサンダー・マクマーンケヴィン・マクナリー)と話したハーディは、ラマヌジャン分割数の研究をさせることを伝えるものの、何もできるはずがないと言われてその場は引き下がる。

ラマヌジャンを連れてマクマーンの元に向かったハーディは、分割数で二人を勝負させようと考える。

マクマーンの挑戦を受けたラマヌジャンは彼を納得させ、ハーディは、改めてマクマーンラマヌジャンを紹介する。

容態が悪化したラマヌジャンは耐えきれなくなり病院に向かい、医師(エンゾ・シレンティ)の診察を受けて結核の初期症状と診断されるものの、付き添ってくれたマハラノビスに、ハーディには言わないでほしいと伝える。

ラマヌジャンからの手紙が来ないことで苦しむジャーナキは、寺院で泣き崩れる。

研究を進めるハーディは、フェローに推薦しておいたことをラマヌジャンに伝えて感謝される。

着想を得る方法をラマヌジャンに尋ねたハーディは、分からないと言われる。

フェローになることを否決されたとハーディから知らされたラマヌジャンは残念に思う。

吐血してしまい、眠りながら苦しむラマヌジャンは、構内の医療施設に向かい意識を失う。

翌日、現れないラマヌジャンを心配したハーディは、彼を捜して医療施設に向かうものの姿はなかった。

ロンドンの病院で診察を受けたラマヌジャンは、余命短いことを知らされ、地下鉄のホームで自殺しようとする。

報せを受けたハーディロンドンに向かい、助かったラマヌジャン結核であることを知り、医師からは祈って奇蹟を信じるしかないと言われる。

翌朝、意識が戻ったラマヌジャンから、妻に忘れられた自分は孤独だと言われたハーディは、その件と病気のことを話してくれたら力になれたと伝える。

その後ハーディは、トリニティ・カレッジを去るラッセルを見送る。

ハーディの協力によりマクマーンを納得させたラマヌジャンが、分割数で結果を出すことを知ったハワードは、それが信じられない。

静養するラマヌジャンに、自分には数学しかなくて人付き合いが得意でなかったことを謝罪したハーディは、彼から、着想は女神から得ると言われる。

ナマギーリが教えてくれると言うラマヌジャンは、眠る時や祈る際に舌の上に数字を置いていくとハーディに伝える。

本当の友ならそれが理解できるはずだとハーディに伝えたラマヌジャンは、証明できないので神は信じないと言われる。

それならば自分も信じられないはずだと言うラマヌジャンは、神の御心でなければ方程式など何の意味もないので、今までの関係でいいと伝える。

学生の時に、牧師から”神は存在する、凧と同じ”と言われたため、無風なら凧は飛ばないと答えたとラマヌジャンに伝えたハーディは、神を信じられない理由を彼に話す。

古代の東洋の神秘は信じないが、君のことは信じると伝えたハーディは、ラマヌジャンから感謝されて、研究を必ず終わらされと言われる。

体調がよければ、その後に帰国すると言うラマヌジャンは、死んだ場合は亡骸を帰してほしいとハーディに伝える。

死にはしないと伝えたハーディは、ラマヌジャンに手紙を渡してその場を去る。

それは、何通手紙を出しても返事が来ないため、見捨てられたと考えて兄の家族の元に向かい戻らないという、ジャーナキからの別れの手紙だった。

悲しむラマヌジャンは、ジャーナキに会うために研究を終わらせようとする。

薬も食べ物も拒み祈るだけのラマヌジャンは、証明したことをハーディに伝える。

それを確認したマクマーンは驚き、ハーディから、ラマヌジャンをフェローに推薦する協力を求められる。

または”王立協会”の会員にすることが、ラマヌジャンにとっては重要なことだとマクマーンに伝えたハーディは彼を説得する。

二人は教授陣に働きかけ、ハーディは帰国したリトルウッドの協力を得てラマヌジャンの証明を発表し、彼の偉業を称える。

王立協会”の会員になったことをハーディからの電報で知ったラマヌジャンは驚き、ジャーナキに手紙を書く。

初めて届いた手紙に驚くジャーナキは、義母が手紙を隠していたことを知り、彼女から、自分がイングランドに向かえば息子は二度と戻らないと思ったと言われる。

戦争も終わり、帰国することを決意したラマヌジャンは、ハーディと共にトリニティ・カレッジに戻りフェローとして認めらる。

帰国するラマヌジャンを見送るハーディは、タクシーのナンバーが悪かったので遅れたと伝える。

番号が”1729”だと知ったラマヌジャンは、立法数の和で2通りに表せる最小の数であり、面白いナンバーだとハーディに伝える。

愛情には詳しくないが、それを決定づける証明も法則もないと伝えたハーディは、ラマヌジャンから、再会した時は”愛情の問題”を話すことを提案される。

”友”と呼ばれたハーディラマヌジャンを抱きしめ、1年後に戻ってくるようにと伝えて彼を見送る。

船旅を終えたラマヌジャンは、無事にマドラスに戻る。

1年後。
インドからの手紙を受け取ったハーディは、ラマヌジャンの死を知りショックを受ける。

それを王立協会員に伝えたハーディは、リトルウッドラマヌジャンと対等の立場で研究ができたことを誇りに思うことを伝える。

余生をジャーナキと過ごし息を引き取ったラマヌジャンは、悲しむ彼女と家族の前で火葬される。

その後、リトルウッドとタクシーに乗ろうとしたハーディは、”1729”のナンバーの車を選ぶ。

その理由が分からないと言うリトルウッドに、ハーディは、自分も最初は分からなかったと伝える。
__________

1976年、ラマヌジャンの最期の研究ノートが見つかり、それは、ベートーヴェンの”交響曲第10番”の発見と同じ重要性を持つ。

1世紀後、ラマヌジャンの公式はブラックホールの研究に役立っている。

ラマヌジャンインドに帰る途中で病気が再発し、妻ジャーナキと1年暮らした後に32歳で亡くなった。

ジャーナキは、風習に従い再婚しなかった。

ハーディリトルウッドは、生涯にわたり共同研究を続けた。

ラマヌジャンの5年間の画期的な成果は、今後も数学者達に影響を与え続ける。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
1914年、インドマドラス(現チェンナイ)。
貧しく学位もなく閃きだけで数式を解くシュリニヴァーサ・ラマヌジャンは、妻ジャーナキと母を養うために職を探し、港湾局の事務員として雇われる。
才能を評価されたラマヌジャンは、それを理解してくれる人物を探そうとして、上司のフランシス卿から、イギリスの数学者ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディに手紙を書くことを勧められる。
手紙を受け取ったハーディは驚き、ラマヌジャンケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに呼び寄せて、共同研究者のリトルウッドと共に彼を歓迎する。
人付き合いが苦手なハーディや様々な風習に戸惑いながらも、その才能を評価されて研究を続けるラマヌジャンは、定理の発表を焦る。
しかし、ラマヌジャンの定理の間違いも指摘するハーディは、誰もが認める証明を重視しする。
ジャーナキとの連絡も取れない孤独なラマヌジャンは、病魔とも闘いながら、彼女を呼び寄せる日を夢見て研究を続けるのだが・・・。
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1991年に発表された、数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンの伝記であるロバート・カニーゲルの”The Man Who Knew Infinity”を基に製作された作品。

インドの天才数学者シュリニヴァーサ・ラマヌジャンが、その才能を知ったケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの数学者ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディに招かれ、人類史上に残る功績を残しながら、32歳の若さで世を去るまでを描く伝記ドラマ。

主人公のラマヌジャンが、学歴はあるが学位がないことで、イギリスが支配するインド社会で苦しみながら生きる序盤から、その才能を評価されてイングランドに渡るまでは希望と夢の物語なのだが、その後の5年間は、孤独や差別、そして病魔との闘いが描かれる、重苦しい展開で進行する内容となっている。

誰もが知る人類史上に名を残す偉人の物語であるために、その感動のストーリーなどを期待する。
しかし、ラマヌジャンの研究成果ばかりを描くことなく、彼を呼び寄せた師となるハーディが、学者としては優秀だが人間関係を良好に保つことを苦手とする性格を映し出す様子などに重点が置かれ、無理に盛り上げようとしない地味な仕上がりになっている。

歴史あるトリニティ・カレッジの全面協力によるロケは、作品に品格と重厚感を与え、名優や実力派の若手の演技もそれを支える。

歴史に名を残す偉業を成し遂げながらも、終始苦闘する姿が痛々しいシュリニヴァーサ・ラマヌジャンを熱演するデーヴ・パテール、彼の死である数学者ゴッドフレイ・ハロルド・ハーディ深く演ずるジェレミー・アイアンズ、彼と共に生涯を研究に捧げる数学者ジョン・エデンサー・リトルウッドを印象深く演ずるトビー・ジョーンズ、主人公と会えずに辛い思いをする妻のジャーナキのデヴィカ・バイスマドラスの港湾局で主人公の上司として尽力するフランシス・スプリング卿のスティーヴン・フライ、主人公を影ながら見守りハーディに助言する数学者バートランド・ラッセルジェレミー・ノーサム、当初は認めない主人公の才能に驚き協力者となる数学者パーシー・アレキサンダー・マクマーンケヴィン・マクナリーハーディの助手ポードリック・ディレーニー、医師のエンゾ・シレンティラマヌジャンの母親アランダシ・ナグ、港湾局時代の主人公の上司ドリティマン・チャタジー、主人公の友人である学生で数理統計学者となるプラサンタ・チャンドラ・マハラノビスシャザド・ラティフなどが共演している。


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