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コロラド The Man from Colorado (1948)

戦争後遺症を抱えながら判事となり職務を果たそうとする元軍指揮官に翻弄される人々を描く、監督ヘンリー・レヴィン、主演グレン・フォードウィリアム・ホールデンエレン・ドリュー他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト ■
監督:ヘンリー・レヴィン

製作:ジュールス・シャーマー
原作:ボーデン・チェイス

脚本
ロバート・H・アンドリュース

ベン・マドウ
撮影:ウィリアム・スナイダー
編集:チャールズ・ネルソン
音楽:ジョージ・ダニング

出演
オーウェン・デヴェロー:グレン・フォード

デル・スチュアート:ウィリアム・ホールデン
キャロライン・エメット:エレン・ドリュー
”ビッグ・エド”カーター:レイ・コリンズ
ドク・メリアム:エドガー・ブキャナン
ジョニー・ハワード:ジェローム・コートランド
ジェリコ・ハワード:ジェームズ・ミリカン
ネイゲル:ジム・バノン

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1948年製作 100分
公開
北米:1949年1月20日
日本:1951年10月19日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1865年、コロラド準州
南北戦争も終りに近づき、追い詰められた南軍部隊の指揮官は白旗を掲げる。

北軍部隊の指揮官オーウェン・デヴェロー大佐(グレン・フォード)は、敵の白旗を確認したにも拘らず砲撃を命ずる。

全滅した敵陣を確認したデヴェローの部下デル・スチュアート(ウィリアム・ホールデン)は、白旗を見つけるもののそれを土に埋めてしまう。

唯一人生き残っていた南軍指揮官は身を潜め、その様子を見ていた。

駐屯地に戻ったデヴェローの部隊は、北軍の勝利で戦争が終わったことを知る。

軍曹のジェリコ・ハワード(ジェームズ・ミリカン)は、弟ジョニー(ジェローム・コートランド)を迎えて無事を喜ぶ。

その夜デヴェローは、殺す必要のなかった敵兵100人を殺してしまったこと、自分が制御できず恐ろしささえ感じると日記に書くが、戦争であるためだと考えるしかなかった。

現れたスチュアートに、その苦しい胸の内を伝えたデヴェローは、”敵は白旗を掲げてはいなかった・・・”と言われて気持ちが楽になる。
...全てを見る(結末あり)

軍服を脱ぐまでは職務を果たすと言うデヴェローは、スチュアートと共に見回りに行き、戦争が終わったと言って見張りを怠り酒を飲むジェリコを逮捕させる。

正当な行為とは言え明らかに疲れているデヴェローを気遣い、スチュアートは眠るよう助言する。

帰郷したデヴェローとスチュアートの部隊は、町の人々に歓迎される。

実業家で鉱山会社を経営する”ビッグ・エド”カーター(レイ・コリンズ)は、部隊を率いたデヴェローが適任者だと言って、彼を連邦判事に推薦しようとする。

戦勝祝賀パーティーが開かれ、結婚相手と決めていたキャロライン・エメット(エレン・ドリュー)にその件を話そうとしたスチュアートは、もう少し時間が欲しいと言われる。

その頃、駐屯地では、拘束されていたジェリコが銃と馬を奪い逃亡する。

会場で連邦判事に推薦されたデヴェローは、多くの人々に指示されてそれを引き受ける決心をする。

そこにジェリコが逃亡したと言う報告が入り、デヴェローとスチュアートは駐屯地に戻ろうとする。

戻ると言ったデヴェローだったが、ジェリコの処分は軍に任せればいいと考え、スチュアートを連邦保安官に任命しようとする。

スチュアートは答えを保留するが、デヴェローは彼の働きに期待する。

その時、部下を殺された南軍指揮官が現れ、デヴェローに銃を向けて白旗を見せる。

銃を奪ったデヴェローは相手を射殺してしまい、スチュアートは、デヴェローがあの攻撃前に白旗を確認していたことを知る。

スチュアートは、その場にいたデヴェローの叔父である医師ドク・メリアム(エドガー・ブキャナン)に、戦争が人を変えてしまうものかと問い、影響を及ぼすのは確かだと言われる。

帰還兵には時間と周囲の人々の優しさや信頼が必要だとも語るミリアムだったが、スチュアートはデヴェローは異常だと言い切る。

そう思うのであれば、デヴェローを見捨てずに支え見守るために保安官を受けるべきだと、ミリアムはスチュアートに助言する。

デヴェローが銃を捨てて職務を務めるのであれば協力したいとスチュアートは答える。

その後、判事となったデヴェローから連邦保安官に任命されたスチュアートは、彼の銃を預かる。

鉱山をめぐりジェリコの弟ジョニーらとカーターの鉱山会社の揉め事があり、スチュアートは、それを鎮圧するために銃を所持することを禁ずる。

争いは法廷に持ち込まれ、デヴェローは会社側の契約に正当性があると判断する。

戦前に兄弟で金脈を発見したと主張するジョニーだったが、カーターは法には違反していないと反論する。

その場にいたスチュアートは発言を許可され、鉱山の発見者は戦争に行っている間にそれを奪われてしまい、彼らは今後どうやって暮らせばいいのかを問う。

帰還兵は喜んで雇用するというカーターを相手にしない鉱山発見者達は彼をからかう。

個人的にはスチュアートの意見に賛成するデヴェローは、所有者が3年不在の場合は権利を失うという法律に基づき、所有権は会社側にあると判断して判決を下す。

今後、無断で鉱山に入った者は処罰の対象になるとデヴェローは付け加えて閉廷する。

その後、キャロラインと結婚することをデヴェローから知らされたスチュアートは、それを認めない。

心を病んでいると指摘するスチュアートは、暫く町を離れて静養するようデヴェローに勧める。

それでも結婚を考えるのなら付添人も務めると言うスチュアートは、なぜ100人も殺し指揮官まで射殺したのかをデヴェローに問う。

答えられないのは心が病んでいるからであり、結婚は無理だとスチュアートは言い切る。

それを聞き入れようとしないデヴェローに対し、不幸になるキャロラインが気の毒だとスチュアートは伝える。

考えを変えないデヴェローを狂人呼ばわりしたスチュアートは殴られる。

そこにキャロラインが現れ、スチュアートは彼女に話しかけられるものの無言で立ち去る。

結婚式は行われ、それに欠席したスチュアートは、これがいい結果を生むことも考えるとメリアムに言われ、それを望むと答える。

式は終わりその様子を見ていたスチュアートは、暴走して現れた駅馬車に気づく。

砂金を運んでいた駅馬車は、軍服を着ていた二人組に襲われたということだった。

捜索隊を編成したスチュアートは、犯人を追うため出発しようとする。

それに加わるデヴェローが銃を所持していたためスチュアートはそのことを気にするが、そのまま捜索隊は町をでる。

犯人を見つけ、その一人ジェリコを捕えたデヴェローは相手の銃を奪う。

隙を見て銃を奪い返したジェリコは、デヴェローを置き去りにして逃亡する。

現れたスチュアートらに馬が暴れて逃げたと伝えたデヴェローは、捕えられたもう一人の犯人をその場で裁き縛り首にする。

町に戻ったスチュアートに牽制されたジョニーは、兄ジェリコが来ていることを仲間から知らされる。

ジェリコは鉱山を奪い返すことをジョニーに伝え、町に残るよう指示して仲間達と共に出発する。

カーターにジェリコの仲間達と判断された者達は解雇され、それを不当と考えてジョニーらはデヴェローの元に向う。

雇い主が責められる話ではないと言うデヴェローに対し、些細なことで逮捕したことがきっかけとなり、兄ジェリコが犯罪まで犯したとジョニーは彼を責める。

ジョニーらを追い出したデヴェローの態度を、キャロラインとメリアムは気にする。

書斎に閉じ篭ったデヴェローの様子を見に行ったキャロラインは、動揺しながら一人にしてくれという彼に驚き部屋を出る。

鉱山会社の事務所に押入った覆面をしたジェリコらは、金庫から砂金を奪い逃走しようとする。

反撃に遭い手を撃たれたジェリコは、拳銃を落してその場から逃げ去る。

9万ドルを奪われたカーターは、帰還兵を正当に扱わなかったせいだとスチュアートに言われる。

納得いかないカーターに責任を追及されたデヴェローは、48時間以内に犯人を逮捕して処刑することを約束して、スチュアートと共に捜査を始める。

酒場に現れたジョニーらは、砂金で酒代を払ったためバーテンダーに疑われる。

ジェリコを捜していたジョニーらは、数日の行動と所持していた砂金についてを現れたスチュアートに聞かれる。

9万ドルの強盗事件で人が死んだことも知らされたジョニーは、現場で犯人が落とした拳銃も見せられるが犯行を否認する。

連行されたジョニーは、状況証拠で絞首刑が確実となり、死ぬには若過ぎると言ってスチュアートは彼を哀れむ。

ジョニーがジェリコを庇っていることをデヴェローに伝えたスチュアートは、裁判を数日延期するよう要求し、その間にジェリコを捜そうとする。

それを聞き入れようとしないデヴェローに、ジョニーは殺すなと伝えたスチュアートはジェリコの捜索に向かう。

ジェリコを見つけたスチュアートは、ジョニーが身代りになり殺されそうだということを伝える。

ジョニーは無関係だと伝えたジェリコだったが、当人が兄を庇い犯行を否認しないことが問題だとスチュアートに言われる。

事実だけを知らせ、後は自分次第だとジェリコに伝えたスチュアートは、町に戻るのかを彼に尋ねる。

話を聞き入れたジェリコはスチュアートと共に町に向かうが、途中、吊るされているジョニーを確認する。

憤慨したジェリコは仲間達の元に向かい、スチュアートは彼を見逃してしまう。

町に戻ったスチュアートは、ジョニーを吊るしたことでデヴェローを痛烈に非難する。

デヴェローの判事としての職務を、命を懸けても奪うしかないとまでスチュアートは言い切る。

キャロラインは渡さないと的外れなことを口にするデヴェローを、スチュアートは殴り倒してバッジを捨てる。

ジョニーばかりか仲間の5人も絞首刑にすることを決めたデヴェローは殺人犯呼ばわりされる。

家の入口に嫌がらせの張り紙までされたキャロラインは心を痛める。

一緒にいたというだけで、ジョニーと共に仲間達も処刑しようとすることをキャロラインに追及されたデヴェローは、彼らは有罪だと言い張る。

自分を理解できず愛もなくなったとキャロラインに言われたデヴェローだったが、予定通り5人を処刑しようとする。

そこにスチュアートとジェリコらが幌馬車で現れ、5人を救い逃走する。

その後カーターは、今回の件で世の中が混乱すると言ってデヴェローを責める。

スチュアートを含めた他の者達も絞首刑にすると言うデヴェローは、判事を辞めさせる考えのカーターに、その権限がないことを伝える。

デヴェローに呼ばれた男から、監禁に近い状態のキャロラインが自分に会いたいと言っていることを知らされたスチュアートは、罠だと考えるジェリコの意見の効かずにデヴェローの家に向かう。

待ち伏せされたスチュアートは、デヴェローらに捕えられる。

その様子を見ていたキャロラインは、デヴェローの日記帳を見つけてメリアムの元に向かう。

スチュアートが逮捕されたことをメリアムに伝えたキャロラインは、日記帳も渡す。

帰宅したデヴェローは、キャロラインが家を出て日記帳がなくなっていることに気づく。

保安官事務所に向かったメリアムは、死刑執行前のスチュアートには健康診断を受ける義務があることを新任の保安官ネイゲル(ジム・バノン)に伝え面会を求める。

メリアムは牢屋に通され、診察バッグの中の拳銃に気づいたスチュアートは、それを手にしてネイゲルを殴り倒す。

事務所に居た者達の銃を奪い閉じ込めたスチュアートとメリアムは、外で待っていたキャロラインの元に向かう。

スチュアートは、メリアムが知事に会いデヴェローが正常ではないことを伝えることをキャロラインから知らされる。

三人の様子を見ていたデヴェローは、スチュアートを銃撃する。

キャロラインとメリアムは、スチュアートを馬車に乗せてその場から逃れる。

保安官事務所の者達を解放したデヴェローは三人を追う。

三人は鉱山町にいるジェリコの元に向い、スチュアートはメリアムの治療を受ける。

町に着いたデヴェローは、スチュアートらがいるはずだと言って、時間を決めて引き渡すよう住民に警告する。

約束の時間が近づき、デヴェローは町に火を放つ。

カーターは、妻を取り戻したいだけであり狂気の沙汰だと言ってデヴェローを批判する。

単独で町に向かったデヴェローは、逃げようとするスチュアートらに銃を向ける。

止めようとしたジェリコは、撃たれながらもデヴェローに襲いかかり、二人は倒壊する建物の下敷きになる。

その後、保安官に復帰したスチュアートは、鉱山を没収された鉱夫達の権利を政府に理解してもらうために、ワシントンD.C.に向かおうとする。

キャロラインに直ぐに戻ると伝えたスチュワーデスは、駅馬車に乗り旅立つ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1865年、コロラド準州
南北戦争も終りに近づき、北軍部隊の指揮官オーウェン・デヴェロー大佐は、降伏しようとする南軍部隊の白旗を無視して攻撃を加える。
北軍の勝利で終戦を迎えたデヴェローは、戦争による心の傷を感じながら、旧友である部下のスチュアート大尉らと共に帰郷する。
人々に歓迎されたデヴェローは、鉱山会社の経営者カーターから、連邦判事に推薦されてそれを引き受けスチュアートを連邦保安官に指名する。
そんな時デヴェローは、全滅したはずの南軍部隊の生存者である指揮官に攻撃時の白旗を見せられるものの、相手を射殺してしまう。
その後、鉱山の所有権に関して金脈の発見者とカーターが揉め事を起こし、デヴェローが鉱山会社側の正当性を認めてしまう。
更にデヴェローは、スチュアートと惹かれ合っていたキャロラインとの結婚を決めてしまう。
その頃、軍の上官だったデヴェローに職務怠慢を問われて逮捕されていたジェリコは逃亡し、弟ジョニーの仲間と共に鉱山事務所を襲う事件が起きる。
デヴェローは犯人を捕え処刑することを約束し、スチュアートらと共に捜索隊を編成してジェリコを追うのだが・・・。
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南北戦争直後を舞台にした西部劇なのだが、現代の作品では珍しくない戦争後遺症を題材にした内容は、当時としては斬新だったと言える。

当然、善と悪の単純な戦いを描く内容でもなく、鉱山発見者の権利を追及する権力との戦い、上記のように戦争が与える人間への心理的な影響なども描く、社会性のあるドラマに仕上がっている。

主人公が、戦前のような人々に信頼される人物には戻れないまま終わる内容は痛々しさも感じるのだが、その親友が鉱山夫の権利を取り戻す交渉のために旅立つラストは爽やかだ。

非常に好感度の高い役者グレン・フォードだが、本作では終始、悲壮感が漂う、悩める男と言うよりも異常者とも思える主人公を熱演する。

主人公の友人であり、軍隊での部下、そして友に協力する立場から敵役のようになる、連邦保安官を演ずる撮影当時まだ20代のウィリアム・ホールデンの好演が光る。

主人公と結婚するものの苦しむことになるエレン・ドリュー、鉱山会社を経営する実業家レイ・コリンズ、思慮深い主人公の叔父である医師エドガー・ブキャナン、事件のきっかけを作る兄弟ジェローム・コートランドジェームズ・ミリカン、後任の保安官ジム・バノンなどが共演している。


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