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マッキントッシュの男 The Mackintosh Man (1973)

1971年に発表された、デズモンド・バグリイの小説”The Freedom Trap”の映画化。
政府の大物が絡むスパイ戦に利用される男の行動を描く、監督ジョン・ヒューストン、脚本ウォルター・ヒル、主演ポール・ニューマンドミニク・サンダジェームズ・メイソンハリー・アンドリュースイアン・バネン他共演のサスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:ジョン・ヒューストン
製作:ジョン・フォアマン
原作:デズモンド・バグリイThe Freedom Trap
脚本:ウォルター・ヒル
撮影:オズワルド・モリス
編集:ラッセル・ルロイド
音楽:モーリス・ジャール

出演
ポール・ニューマン:ジョセフ・リアデン
ドミニク・サンダ:スミス夫人
ジェームズ・メイソン:ジョージ・ウィーラー卿
ハリー・アンドリュース:マッキントッシュ
イアン・バネン:ロナルド・スレイド
マイケル・ホーダーン:ブラウン
ナイジェル・パトリック:ソームズ=トラヴェリアン
ピーター・ヴォーン:ブランスキル警部
ジョン・ビンドン:バスター
ローランド・カルヴァー:判事
ジェニー・ラナカー:ガーダ
パーシー・ハーバート:ターフィ
ノエル・パーセル:オドノヴァン
シェーン・ブライアント:コックス
レオ・ゲン:ローリンズ弁護士

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1973年製作 99分
公開
北米:1973年7月25日
日本:1974年2月


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
イギリスロンドン
政府の機密保全政策が国会で承認され、国会議員のジョージ・ウィーラー卿(ジェームズ・メイソン)は、国家から失われている財産を守るべきだと力説する。

トラファルガー広場
プロの強盗ジョセフ・リアデン(ポール・ニューマン)は、”アングロ・スコティッシュ”社を訪ねる。

議会でのウィーラーの演説を聞いて戻ったマッキントッシュ(ハリー・アンドリュース)は、リアデンを歓迎し、秘書スミス夫人(ドミニク・サンダ)にお茶を入れるよう指示する。

スミスもまじえて話をするマッキントッシュは、郵便物を利用した10万ポンドの宝石強奪を計画していることをリアデンに話す。
...全てを見る(結末あり)

部屋を提供され、スミスと共に準備を始めたリアデンは、彼女と関係を持つ。

郵便配達人を襲ったリアデンは、ダイヤの入った小包を奪い、それをスミスに渡して計画を難なく成功させる。

しかしリアデンは、部屋に現れたブランスキル警部(ピーター・ヴォーン)から郵便配達人のことなどを訊かれ、強盗容疑で逮捕される。

インターポールから入手した記録のことなどをリアデンに話すブランスキルは、ダイヤのことを吐かせようとする。

裁判は行われ、逃れようもない証拠や証言により、14万ポンドのダイヤ強奪の罪で、リアデンは禁固20年の刑を判事(ローランド・カルヴァー)から言い渡される。

傍聴席にいたスミスは、判決を聞いて席を立つ。

チェルムズフォード刑務所
受刑者となり空虚な日々を過ごしていたリアデンは、元スパイだったと言うバスター(ジョン・ビンドン)と親しくなる。

ある日、接触してきた囚人のソームズ=トラヴェリアン(ナイジェル・パトリック)から、長期刑の囚人を脱獄させる組織があることを知らされたリアデンは、2万ポンドの謝礼で話に乗る。

トラヴェリアンから自分の銀行口座を訊かれ、数日後に小切手を渡されたリアデンは、前金を払う。

脱獄に条件をつけたトラヴェリアンは、同じ刑務所内にいる、元イギリス諜報部員でKGBの二重スパイだったロナルド・スレイド(イアン・バネン)を同時に脱獄させることを彼に伝える。

そして脱獄の日、囚人達が騒ぎを起こす中、リアデンとスレイドは脱獄し、2人はバイクに乗って逃走してトラックの荷台に乗る。

看護師(ジェニー・ラナカー)から着替えるようにと言われたリアデンとスレイドは、注射を打たれて眠らされてしまう。

意識の戻ったリアデンは、看護師を装っていたガーダから”クルックシャック”という偽名を知らされる。

パスポートと財布も渡されたリアデンは、アメリカの市民権も持つと言われる。

リアデンは、舌がないために口がきけないターフィ(パーシー・ハーバート)が世話をすることを知らされる。

スレイドも目覚め、国家機密を盗んだ彼の脱獄は新聞に大きく取り上げられていた。

組織のリーダー、ブラウン(マイケル・ホーダーン)に呼ばれたリアデンは、脱獄費用の残金を請求される。

一方、議会では、ウィーラーが今回の脱獄事件について、管轄官庁の責任を追求し、刑務所の調査を行うべきだと発言する。

議会に向かいウィーラーと話したマッキントッシュは、今回の事件のことでスレイドについて訊かれ、彼を逃がさないために、脱獄組織を壊滅すべく部下を潜入させていることを伝える。

やがてスレイドは移動させられることになり、疑われたリアデンはブラウンらに拷問される。

その頃、マッキントッシュは、迎えに来たスミスの目の前で車に轢かれ、重傷を負ってしまう。

痛めつけられたリアデンは、隙を見てブラウンらを叩きのめし、その場に火を放ち逃亡する。

治療を受けるマッキントッシュは、生死をさ迷っていた。

自分のいる場所がアイルランドだと知ったリアデンは、バスで町に向かう。

ロンドンに電話を入れるものの、オペレーターから、つながり次第、連絡すると言われたリアデンはパブで待つ。

客のオドノヴァン(ノエル・パーセル)らがブラウンが焼死したことを話す会話を聞いていたリアデンは、電話を受けてスミスと話し、マッキントッシュの事故のことを知る。

スレイドの件を訊かれて知らないと答えたリアデンは、スミスから飛行場に向かうよう指示され、迎えに行くと言われる。

その時、港にはウィーラーが乗ったヨットが到着し、パブにいた男たちは、全員におごると言う彼を歓迎する。

その場にいた男にウィーラーのことを聞いたリアデンは、車を手に入れて飛行場に向かう。

到着したスミスに密告した者のことなどを訊いたリアデンは、疑われたことが不満な彼女から、新しいパスポートを渡される。

スレイドを殺すはずだったがチャンスを逃したと言うリアデンは、いい男だったとスミスに伝える。

現在、昏睡状態のマッキントッシュはある手紙を書いていたのだが、死んだ場合はそれが首相に渡されると話すスミスは、弁護士に預けられているとリアデンに話す。

リアデンは、緊急時なので手紙を受けとるようにとスミスに伝える。

法律で、本人が生前中は開けられないと言われたリアデンは、マッキントッシュを殺すようにと伝えるものの、スミスから、自分の父親だということを知らされる。

リアデンは、マッキントッシュが事故の前にウィーラーと会っていたことを知り、町に戻るもののヨットは出航した後だった。

スミスが情報を入手し、ウィーラーがマルタ島に向かうことを知ったリアデンは、スレイドもその場に行くと考える。

ウィーラーがスパイであることを確信するリアデンは、それを知るマッキントッシュが、自分とスレイドをおとりに使ったという考えをスミスに伝える。

リアデンを尾行する車は彼の運転について行けず、ハンドルを誤り崖から海に転落する。

マルタ島
リアデンと共に現地に到着したスミスは、戦争中、ナチの標的だった両親の話などをする。

ウィーラー主催のパーティーに紛れみ彼のヨットの中を調べたスミスは、その場にスレイドがいることを確認する。

その後、ウィーラーに話しかけられたスミスは、父のことを話して事故後の様態などを訊かれながら、スレイドがいたという合図をリアデンに送る。

警察に向かったリアデンは、脱獄したスレイドが町にいることを伝えてコミッショナーに会おうとする

睡眠薬入りのシャンパンを飲まされたスミスは、ウィーラーと共に奥の部屋に向かう。

コミッショナーに会ったリアデンは、スレイドの件を伝えるものの証拠がいると言われ、彼と共に脱獄したことを伝え、納得させてウィーラーのヨットに向かう。

ウィーラーはコミッショナーを歓迎し、乗員の人数を訊かれて答え、スレイドが乗っているという通報を受けたと言われる。

通報したのが新聞に載っていた宝石泥棒のリアデンだと知ったウィーラーは、彼を船内に呼び、警官に内部を調べさせる。

白を切るウィーラーにスミスのことを尋ねたリアデンは、帰ったと言われる。

その直後にリアデンは海に飛び込み、海面に出てヨットを監視する。

警察は引き揚げ、ウィーラーはボートでその場を去る。

ヨットに戻ったリアデンは、船員のコックス(シェーン・ブライアント)を脅し、ウィーラーが教会に向かったことを知り案内させる。

スミスを人質に取ったウィーラーは、現れたリアデンに、殺してもいい役に立たないコックスを解放するようにと伝える。

コックスを解放したリアデンは、その場にスレイドがいることを確認する。

マッキントッシュの手紙のことをリアデンに尋ねたウィーラーは、それが自分を破滅させる内容であり、弁護士から最終的に首相に渡ることを知る。

ウィーラーからマッキントッシュが死んだことを知らされたリアデンは、彼からスレイドと逃亡するつもりだと言われ、互いに銃を捨てることを提案される。

スミスから、撃つようにと言われたリアデンは、手出しができず、彼女から裏切り者呼ばわりされる。

スレイドとウィーラーは、銃を置いてその場から去ろうとするが、スミスが2人を射殺してしまう。

2人を相撃ちに見せかけたスミスは、彼らを逃がそうとしたリアデンを批判して殺したいと伝える。

銃を捨てたリアデンは、その場から去るスミスを見つめる。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
イギリスロンドン
国会議員のジョージ・ウィーラー卿は、国家から失われている財産を守るべきだと議会で主張する。
強盗のジョセフ・リアデンは、謎の男マッキントッシュが計画した宝石強盗を、彼の秘書スミスと共に成功させる。
しかし、リアデンは逮捕されてしまい、20年の刑で刑務所に送られる。
そんなリアデンにトラヴェリアンという囚人が近づき、2万ポンドの謝礼で脱獄させることで話をつける。
トラヴェリアンは、同じ刑務所内にいる元諜報員でKGBの二重スパイであるスレイドを同時に脱獄させることが条件だとリアデンに伝える。
そして、脱獄に成功したリアデンとスレイドは、組織によりある場所に連れて行かれるのだが・・・。
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監督ジョン・ヒューストン、主演ポール・ニューマンと豪華共演陣が注目された話題作。

純粋なスパイ劇ではあるが、ウォルター・ヒルの脚本はスリルや緊迫感に欠け、前年の「ゲッタウェイ」(1972)に比べると切れもなく、平凡な作品に終わってしまっている。

主演のポール・ニューマンが、諜報活動を行う強盗だという設定の説明が曖昧なため、協力者などの関わり方もイマイチ分かり難い。
珍しいアイルランドの海岸地帯でのカーチェイスで、レーサーでもあるポール・ニューマンの見事なハンドルさばきなどは楽しめる。

中盤で全ての黒幕であったことが分かる国会議員役のジェームズ・メイソンの存在がドラマに重みを加え、ややぎこちない演技ではあるものの、ドミニク・サンダの控えめな美しさも注目したい。

モーリス・ジャールの音楽も印象に残るのだが、不必要なシーンで多用されているのが気になる。

国会議員である要人の陰謀を見抜き、娘(ドミニク・サンダ)と主人公と共に巧みな作戦を実行する謎の男”マッキントッシュ”を演ずるハリー・アンドリュース、元諜報員であるKGBの二重スパイ役のイアン・バネン、脱獄組織のリーダー、マイケル・ホーダーン、脱獄を手助けする謎の囚人で名優のナイジェル・パトリック、主人公を逮捕する警部ピーター・ヴォーン、主人公に判決を下す判事のローランド・カルヴァー、脱獄組織の一員ジェニー・ラナカーパーシー・ハーバート、主人公と親しくなる囚人のジョン・ビンドン、港町の住人ノエル・パーセル、そして弁護士役でレオ・ゲンなどが共演している。

余談だが、ナイジェル・パトリックの若い頃は、ビル・マーレイに似ている。


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