1年もの間、眠ることができない機械工が体験する不可解な出来事と運命を描く、監督ブラッド・アンダーソン、主演クリスチャン・ベール、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、マイケル・アイアンサイド他共演の心理スリラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ブラッド・アンダーソン
製作:フリオ・フェルナンデス
製作総指揮:アントニア・ナヴァ
脚本:スコット・コーサー
撮影:シャビ・ヒメネス
編集:ルイス・デ・ラ・マドリード
音楽:ロケ・パニョス
出演
トレヴァー・レズニック:クリスチャン・ベール
スティーヴィー:ジェニファー・ジェイソン・リー
マリア:アイタナ・サンチェス=ギヨン
アイヴァン:ジョン・シャリアン
ミラー:マイケル・アイアンサイド
ジャクソン:ラリー・ギリアードJr.
ジョーンズ:レグ・E・キャシー
タッカー:クレイグ・スティーヴンソン
シュライク夫人:アンナ・マッセイ
スペイン/アメリカ 映画
配給
ラマウント・クラシックス
Filmax International
2004年製作 102分
公開
北米:2004年10月22日
日本:2005年2月12日
製作費 $5,000,000
北米興行収入 $1,082,720
世界 $8,203,240
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
工場の機械工であるトレヴァー・レズニック(クリスチャン・ベール)は、死体をカーペットに包み車に積んで海岸に向かう。
懐中電灯を持った誰かが近づくことに気づき焦るとレヴァーは、死体を海に捨てようとするものの、それがカーペットから転がり落ちそうになる。
そこに現れた男から声をかけられたトレヴァーは、”お前は誰だ?”と言われる。
アパートに戻ったトレヴァーは、石鹸で手を洗う。
(テーブルの上には懐中電灯が置いてある)
トレヴァーは壁に貼られているメモに気づき、”おまえは誰だ?”と書かれていた。
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激痩せしているトレヴァーは、馴染みの売春婦スティーヴィー(ジェニファー・ジェイソン・リー)と愛し合い、金を置いて帰る。
工場で働くとレヴァーは、同僚のミラー(マイケル・アイアンサイド)が機械を停止させていることを注意する現場管理者のタッカー(クレイグ・スティーヴンソン)に、調整中は必ず停止するという規則があることを伝える。 ブラックリストに載せたとトレヴァーに伝えたタッカーは、その場を去る。 仕事を終えて毎日、空港に向かうとレヴァーは、カフェのウエイトレスのマリア(アイタナ・サンチェス=ギヨン)と話すのが日課だった。 マリアから、それ以上、痩せると死んでしまうと言われ、過労なので眠るようにと助言されたとレヴァーは、その場のデジタル時計が故障し、1時30分から動かないことに気づく。 コーヒーを一口飲んだとレヴァーは、マリアが出してくれたパイも食べずに、20ドル札を置いてその場を去る。 アパートに戻り、ドストエフスキーの”白痴”を読みながらうたた寝をしていたトレヴァーは、目が覚めて体重を測り121ポンド(54.9kg)とメモする。 床のタイルの目地を掃除したトレヴァーは、漂白剤がなくなったために、それを買うとメモして冷蔵庫に貼る。 翌日、工場長に呼ばれたトレヴァーは、アル中のように痩せていることを心配され、同席していたタッカーから、ドラックのせいではないかと言われる。 問題ないと言い張るトレヴァーは、薬物の尿検査をするたために工場長からカップを渡される。 タバコを吸おうとしたトレヴァーは、ライターが点かないために駐車場の車に向かい、シガーライターを使おうとするが、それが気になる。 隣に駐車していた赤い”ポンティアック”に乗るアイヴァン(ジョン・シャリアン)から声をかけられたトレヴァーは、見たことない男だったものの、前からいて、今日は逮捕されたレイノルズの代わりに働いていると言われる。 トレヴァーに挨拶したアイヴァンは、タッカーがうるさいのでそろそろ戻ると伝えてその場を去る。 スティーヴィーの元に向かったとレヴァーは、1年間も眠れないために困っていると伝える。 翌日、ミラーに手を貸してほしいと言われたトレヴァーは、離れた場所で作業する溶接工のアイヴァンを気にする。 アイヴァンが、喉をかき切る仕草をしたために驚いたトレヴァーは、誤って機械のスイッチを入れてしまう。 作業服の袖が挟まったミラーは機械に腕をもがれてしまい、工場内は混乱する。 動揺するトレヴァーはアパートに戻り吐いてしまい、体重は119ポンド(54kg)に落ちる。 その後、食事をしたトレヴァーは、公共料金支払いの最終督促状を確認し、それを払うとメモして冷蔵庫に貼ろうとする。 トレヴァーは、”ハングマン・ゲーム”のメモが貼られていることに気づく。 大家のシュライク夫人(アンナ・マッセイ)に家賃を払ったトレヴァーは、アパートに不審者がいなかったかを尋ねる。 翌日、事故の検証が始まり、誤ってスイッチを入れてしまったことを認めたトレヴァーは、逮捕されたレイノルズの代わりの溶接工アイヴァンに気をとられていたことを話す。 トレヴァーは、レイノルズは働いていてアイヴァンという社員はいないと言われる。 混乱するトレヴァーは、帰りの車の中で考え込み、交差点の中で停まってしまう。 空港のカフェに向かったトレヴァーは、毎日、来る理由をマリアから訊かれ、自分の正体は”エルビス・プレスリー”なので、空港ならすぐに逃げられると答える。 労働者になりたくて家を出たと話したトレヴァーは、母の日のポスターに気づく。 母の日の過ごし方をマリアに尋ねたトレヴァーは、息子と遊園地に行くと言われる。 自分は母の墓参りに行くというトレヴァーは、マリアから、その後に遊園地に行かないかと言われる。 1時30分から動かない時計を確認しながら、トレヴァーは楽しそうだとマリアに伝える。 仕事場で皆の視線を感じるトレヴァーは、ジョーンズ(レグ・E・キャシー)から、自分とは働きたくないと言われる。 駐車場でアイヴァンの車を見かけたトレヴァーは、彼を追い話があると伝える。 アイヴァンとバーに向かったトレヴァーは、レイノルズが罪を犯す人間には思えないことを伝える。 工場で自分を見た者はいないと言われたアイヴァンは、からかうための嘘だとトレヴァーに伝える。 自分が現れたために事故を起こし同僚が腕を失ったと言われたアイヴァンは、トレヴァー自身のせいだと伝えてトイレに向かう。 カウンターに置いてあったアイヴァンの財布の写真を見たトレヴァーは、彼とレイノルズが釣りをした時の写真を見て驚く。 アパートに戻ったトレヴァーはレイノルズに電話をして、証拠を掴んだので覚悟しておけと伝える。 冷蔵庫の”ハングマン・ゲーム”のメモの絵が変わっていることに気づいたトレヴァーは、最後の”・・・・ER”だけ書いてある6文字も確認して気味悪くなり、ゴミ箱に捨ててしまう。 スティーヴィーの元に向かったトレヴァーは、話がしたいと言って、自分の周囲で策略のような何かが起きていることを伝えながら、”・・・・ER”が”TUCKER”でないかと考える。 母の日。 見覚えがあるような光景だと思いながら、トレヴァーは写真を撮る。 別れた夫から電話がかかってきたマリアに頼まれ、トレヴァーはニコラスと園内を歩く。 ”ルート666”というアトラクションに入ったトレヴァーとニコラスは、薄気味悪い中でフラッシュ・ライトを浴びる。 発作を起こしたニコラスは意識を失い、トレヴァーは彼を運びだし、駆け寄るマリアは、息子がてんかんであることを伝える。 乗せたことを後悔したトレヴァーは、マリアから、自分のせいではないと言われれ、彼女とニコラスを送る。 マリアの家に誘われて話をしたとレヴァーは、なぜ軽食に20ドルを払いチップを多くくれるのかと訊かれる。 楽しい会話のお礼だと言われたマリアは、喜ばせたいなら映画に連れて行ってほしいととレヴァーに伝える。 ワインを注ぐためにキッチンに向かったトレヴァーは、居間と同じく時計が1時30分で止まっていることに気づく。 キッチンに貼られた、ニコラスがマリアに贈った母の日のお祝いを見たトレヴァーは、それに描かれていた母子の絵が気になる。 アパートに戻ったトレヴァーは、ゴミ箱に捨てたメモを探し、描かれているのがトレヴァーの絵に似ていることと、6文字が”MOTHER”ではないいかと思う。 古いアルバムを取り出したトレヴァーは、マリアとニコラスの写真を撮ったメリーゴーランドの前で母と撮った写真を見て昔を思い出す。 翌日、タッカーから旋盤を任せると言われたトレヴァーは、ミラーが来ていたために、彼に話しかけて謝罪しようとする。 ミラーから気にするなと言われたトレヴァーは、償う方法があればいいがと伝える。 左腕をよこせと言われたトレヴァーは戸惑うが、ジョークだったために安堵する。 トレヴァーは、補償金は十分にもらったので気にするなとミラーから言われる。 恨んではいないとトレヴァーに伝えたミラーは、その場を去る。 作業に戻ったトレヴァーは機械のギヤに袖が挟まれてしまい、叫んでも誰も気づかず、スイッチにも手が届かないために、スパナをギヤに挟み何とか腕を引き出す。 同僚達を疑うトレヴァーは興奮し、アイヴァンと釣りをした写真をレイノルズに見せようとするものの、それが見つからない。 騒ぎに気づいたタッカーは激怒し、トレヴァーを解雇する。 アパートに戻ったトレヴァーは、電気が止められていることに気づき、アイヴァンの写真を捜す。 冷蔵庫からは、液体が流れだす。 バーに向かったトレヴァーは、アイヴァンがいなかったためにスティーヴィーに会いに行き、彼女が殴られたことを知る。 自分が望むならこんな仕事は辞めるとスティーヴィーから言われたトレヴァーは、そうすればいいと伝える。 アパートに戻りランプの光で過ごしていたトレヴァーは、現れたシュライク夫人を泥棒だと思う。 驚くシュライク夫人から水漏れのことを知らされたトレヴァーは、部屋の中が酷い匂いだと言われ、彼女に帰ってもらう。 冷蔵庫のメモに気づいたトレヴァーは、それが人が吊るされる絵になり、文字は”・IL・ER”だったため”MILLER”だと考える。 ミラーに会いに行ったトレヴァーは、補償金のお陰で不自由ない生活をする彼に話をしたいと伝える。 高級車を見せられたトレヴァーは、クビになったことを伝え、自分を恨むミラーが部屋に侵入したことを確かめようとする。 ミラーに追い払われたトレヴァーはアイヴァンの車を見かけ、二人がグルだと考える。 アイヴァンの車を追ったとレヴァーだったが、車が故障してしまう。 陸運局に向かい、アイヴァンの車のナンバーを見せて捜してもらおうとしたトレヴァーは、犯罪絡みの被害者でないと教えられないと言われる。 車にはねられたと言えばいいのかと尋ねたトレヴァーは、傷がないことを指摘され、その場合は警察に行くよう指示される。 道路に飛び出して車にはねられたトレヴァーは、警察に向かう。 ひき逃げされたことを伝えたトレヴァーは被害届を出し、アイヴァンの車のナンバーを教える。 それが自分の車だと言われたトレヴァーは、1年前に廃車にしていると言われる。 偽の事故報告は罪になると言われたトレヴァーは、その場から走り去り地下鉄に向かい、警官に追われながら下水道に逃げ込む。 アパートに戻ろうとしたトレヴァーはパトカーに気づき、スティーヴィーのアパートに向かう。 傷だらけのトレヴァーを介抱したスティーヴィーは、ひき逃げされたと言われる。 泊めてもらえることになり、快く承諾してくれたスティーヴィーに、トレヴァーは感謝する。 アイヴァンの写真が飾ってあることに気づいたトレヴァーは、彼がスティーヴィーの元夫だと思い込み、彼女に居場所を追求する。 写真を財布から盗んだのかと言われたスティーヴィーは、この前、来た時に置いて行ったとトレヴァーに伝える。 アイヴァンが写っていると伝えたトレヴァーは、スティーヴィーから、自分が写っていると言われる。 それを信じないトレヴァーから、嘘つきのアバズレだと言われたスティーヴィーは、彼を追いだす。 空港のカフェに向かったトレヴァーは、マリアのことを知らない初めて会うウエイトレスから、いつも相手をしていると言われる。 マリアはどこだと言って興奮あうるトレヴァーは、その場にいる皆がグルだと叫び始め、ウエイトレスに追い払われる。 駐車場に向かったトレヴァーは、アイヴァンの車を確認してそれを追い、自分のアパートに向かう。 車からニコラスを降ろしたアイヴァンが建物に入ったたために驚いたトレヴァーは、部屋に入り二人を捜す。 バスルームにいたアイヴァンがニコラスを殺したと思い込むトレヴァーは、彼に襲い掛かり格闘になる。 アイヴァンの喉を切り裂き殺したトレヴァーは、ニコラスがバスタブにいないために、血液が滴る冷蔵庫を確認する。 冷凍庫のドアを開けたトレヴァーだったが、そこから落ちたのは切り刻まれた魚だった。 アイヴァンの死体をカーペットに包んだトレヴァーは海に向かい、それを捨てようとするものの誰かが近づく。 カーペットの中は空で、近づく男に”お前は誰だ?”と言われたトレヴァーは、それがアイヴァンだったために驚く。 アパートに戻り手を洗ったトレヴァーは、壁に貼られた”お前は誰だ?”というメモと、その場にいるアイヴァンに気づく。 トレヴァーは、自分が誰なのか分かると呟く。 1年前。 車を停めたトレヴァーは、ニコラスに駆け寄るマリアを見つめながら、その場から逃げ去る。 メモの”ハングマン・ゲーム”の絵を完成させたトレヴァーは、”KILLER”という文字を記入する。 引っ越しの準備をするトレヴァーは、あおれをシュライク夫人に伝えるが、ひと月前に知らせることになっていると言われる。 急に越すことになったと言うトレヴァーは、敷金は返金不要だとシュライク夫人に伝える。 シュライク夫人からガラスの器を売ってほしいと言われたトレヴァーは、母の形見だったためにそれを断り、全て寄付するとことを伝える。 隣に座るアイヴァンを気にしながら車で警察に向かったトレヴァーは、警官に轢き逃げしたとことを伝えて自首する。 逮捕されたトレヴァーは留置場に入れられ、急に睡魔に襲われた彼は1年ぶりに眠る。
...全てを見る(結末あり)
マリアと息子ニコラスと共に遊園地に向かったトレヴァーは、メリーゴーランドの前で二人の写真を撮ろうとする。
ある日の1時30分、車で街を走っていたトレヴァーは、タバコを吸おうとしてシガーライターに気をとられ、横断歩道を渡るニコラスを轢いてしまう。
*(簡略ストー リー)
工場の機械工であるトレヴァー・レズニックは、1年間、眠ることができずに体重が激減していた。
売春婦のスティーヴィーと過ごす時間を唯一の楽しみにしていたトレヴァーは、溶接工のアイヴァンと知り合う。
アイヴァンを気にしていたことによりトレヴァーは事故を起こし、同僚のミラーが腕を失ってしまう。
事故の検証が始まり、アイヴァンという社員はいないと言われたトレヴァーは動揺し、彼の周辺では不可解な出来事が続く。
罪を感じながら日々を過ごすトレヴァーは、毎日通う空港のカフェのウエイトレス、マリアとの親交を深め、彼女を心の拠り所にするのだが・・・。
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1年間も眠ることができない機械工の周辺で起きる不可解な出来事を描く、ブラッド・アンダーソンのリアリズムと幻想の世界を融合させた演出が見どころの作品。
なんといっても注目は、役作りのために30キロ近く体重を落としたクリスチャン・ベールの迫真の演技であり、「バットマン ビギンズ」(2005)のオーディションを控えていた彼は、それに向けて体重を戻しながらトレーニングを積んだというのだから、その役者魂には頭が下がる。
轢き逃げした罪の意識からなる恐怖症により、現実と幻覚の区別がつかなくなる機械工の奇怪な体験を切実に描く、ブラッド・アンダーソンの演出手腕が冴える力作に仕上がっている。
主人公が事故を起こす瞬間の出来事などのヒントが随所で登場するため、それを見逃さないように鑑賞することをお勧めします。
ドラマの舞台はロサンゼルスということになっているが、撮影はスペインのバルセロナで行われた。
なじみ客である異様な雰囲気の主人公クリスチャン・ベールを優しく見守り受け入れる娼婦のジェニファー・ジェイソン・リー、主人公は空港のカフェのウエイトレスと思い込んでいる、轢き逃げしてしまった少年の母親アイタナ・サンチェス=ギヨン、主人公は工場の溶接工と思い込む自分の分身ジョン・シャリアン、主人公の不注意により腕を失う工員マイケル・アイアンサイド、その同僚ラリー・ギリアードJr.とレグ・E・キャシー、工場の監督員クレイグ・スティーヴンソン、主人公のアパートの大家アンナ・マッセイなどが共演している。