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ラブリーボーン The Lovely Bones (2009)

2002年に発表された、アリス・シーボルトのベストセラー同名小説の映画化。
惨殺された少女が自分の死が原因で崩壊しかけた家族を別世界で見守る姿を描く、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、製作、監督ピーター・ジャクソン、主演シアーシャ・ローナンマーク・ウォールバーグレイチェル・ワイズスタンリー・トゥッチスーザン・サランドン他共演のファンタジー・サスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

スティーヴン・スピルバーグ / Steven Spielberg 作品一覧
シアーシャ・ローナン / Saoirse Ronan / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ピーター・ジャクソン

製作総指揮
スティーヴン・スピルバーグ

テッサ・ロス
製作
キャロリン・カニンガム

フラン・ウォルシュ
ピーター・ジャクソン
原作:アリス・シーボルト

脚本
フラン・ウォルシュ

フィリッパ・ボウエン
ピーター・ジャクソン
撮影:アンドリュー・レスニー
編集:ジャベス・オルセン
音楽:ブライアン・イーノ

出演
スーザン”スージー”サーモン:シアーシャ・ローナン

ジャック・サーモン:マーク・ウォールバーグ
アビゲイル・サーモン:レイチェル・ワイズ
ジョージ・ハーヴィー:スタンリー・トゥッチ
リン:スーザン・サランドン
リンジー・サーモン:ローズ・マクアイヴァー
バックリー・サーモン:クリスチャン・トーマス・アシュデール
レン・フェナーマン:マイケル・インペリオリ
レイ・シン:リース・リッチー
ルース・コナーズ:キャロリン・ダンド
クラリッサ:アマンダ・ミシュルカ
ブライアン・ネルソン:ジェイク・アベル
デニース”ホリー”ル・アン:ニッキー・スーフー
ケイデン:トム・マッカーシー

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

2009年製作 135分
公開
北米:2009年12月11日
日本:2010年1月29日
製作費 $65,000,000
北米興行収入 $43,818,840
世界 $93,621,300


アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(スタンリー・トゥッチ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1973年。
14歳のスーザン”スージー”サーモン(シアーシャ・ローナン)は、父ジャック(マーク・ウォールバーグ)、母アビゲイル(レイチェル・ワイズ)、妹のリンジー(ローズ・マクアイヴァー)、そして弟バックリー(クリスチャン・トーマス・アシュデール)とで、幸せな生活を送っていた。

ある日、スージーは弟バックリーの呼吸が止まったのを知り、慌てて車を運転して、病院に運び彼の命を救う。

スージーは、祖母リン(スーザン・サランドン)から、弟を救った自分が長生きすると言われるのだが・・・。

クリスマスも近づく頃、ショッピングセンターに家族で買い物に行ったスージーは、同級生のレイ・シン(リース・リッチー)をみかけて心奪われてしまう。

1973年12月6日。
スージーは学校でレイに声をかけられ、彼が自分に好意を持っていることを知る。
...全てを見る(結末あり)

そして、レイがスージーにキスしようとした時、問題児扱いされているルース・コナーズ(キャロリン・ダンド)が、ケイデン校長(トム・マッカーシー)に叱られながら部屋から出てくる。

キスはお預けとなったスージーだったが、土曜日にレイからデートに誘われ、彼女は夢見心地のまま帰宅しようとする。

トウモロコシ畑を通り抜けようとしていたスージーは、レイが本にはさんでおいたメモが落ちたため、それを拾おうとする。

畑にいた、隣人のジョージ・ハーヴィー(スタンリー・トゥッチ)がそれを拾いそこね、スージーに声をかける。

スージーは家に帰ろうとするが、ハーヴィーが畑の中に作った地下室を見せられ、彼女は興味本位で中に入ってしまう。

そこを、子供達の溜まり場にするというハーヴィーは、中に飾ってあるフィギュアなどをスージーに見せるが、彼女は危険を感じ始める。

そして、スージーは部屋から外に飛び出し、通りでメモを拾ったルースとすれ違う。

その頃、スージーの帰りが遅いことを心配したジャックが、娘の写真を持ち彼女を捜し始める。

アビゲイルは警察を呼び、レン・フェナーマン刑事(マイケル・インペリオリ)に事情を説明する。

スージーは、誰もいない街を走り回り、父ジャックを見つけても彼は自分に気づかず、帰宅しても家族の姿はない。

浴室の浴槽に浸かっていたハーヴィーに気づいたスージーは、叫びながら姿を消してしまう。

翌日、フェナーマン刑事は、トウモロコシ畑に埋まっていた、スージーの毛糸の帽子を見つけて、ジャックとアビゲイルにそれを見せる。

フェネーマンは、現場で大量の血液反応が出たことを両親に伝え、アビゲイルは取り乱してしまう。

ジャックはアビゲイルをなだめ、必ずスージーを捜し出すことを約束する。

証拠を消していたハーヴィーは、フェナーマンが来ることに気づき、冷静さを保ち質問に答える。

スージーの写真を見せられたハーヴィーは、彼女のブレスレットが部屋にある事に気づく。

一瞬動揺したハーヴィーだったが、何食わぬ顔でそれを隠し、その後、飾りを一つ外して、それを川に投げ捨ててしまう。

別世界に着いたスージーは、レイがいるのに気づくが、彼は呼びかけに応えず、近づくことも出来ない。

レイのメモを拾ったスージーはそれを読み、現実ではルースがメモをレイに渡す。

ルースは、スーザンが”去った”というレイの言葉に反し、彼女が近くにいる可能性を伝える。

その時、スージーの前に”ホリー・ゴーライトリー”(ニッキー・スーフー)という少女が現れる。

ホリーは、スージーの手に、通りでルースが触れたことで、彼女は一生スージーを近くに感じ続けると伝える。

そしてスージーは、そこがまだ天国ではないことを知らされ、先に行くことよりも、振り返ってばかりいることに気づき、元の世界に戻ることを望む。

浜辺を駆け抜けていたスージーは、現れた”ボトルシップ”が次々に壊れていくのを目撃する。

スージーは、それを作るのが趣味だった父ジャックが悲しみ、心が乱れているのを知る。

その頃、ハーヴィーは、事件が忘れ去られるのに安堵していたが、ジャックがどれだけ娘を愛しているかという、父親の気持ちを理解していなかった。

ジャックは、壊さずに残したボトルシップにろうそくを灯し、スージーとの触れ合いを試み、そして彼女もそれを感じる。

ようやく安らぎを得たスージーは、その世界でホリーと楽しい時を過ごす。

そんな時ジャックは、息子バックリーから、自分のところにスージーが現れ、家族を見守っていると言われ、彼を硬く抱きしめる。

ジャックは、プレゼントしたカメラで撮ったスージーの写真のフィルムを見つけ、それを現像してみる。

その後ジャックは、スージーが知らない人間に注意することに気づき、犯人が顔見知りだと確信し、それをフェナーマンに知らせる。

ジャックは、大量の資料を家に運び込みフェナーマンの捜査に協力しようとする。

しかし、スージーが行方不明となってから、既に1年近くが経とうとしているにも拘らず、娘の部屋に入る気にもなれないアビゲイルは、精神的に限界になる。

そして、母リンの助けを借りようとしたジャックは、彼女を自宅に呼び寄せる。

アルコール依存症だったが、家を仕切ろうと奮闘するリンは、孫のバックリーから、スージーが天国とこの世の間にいると言われる。

その後、ジャックを支えようとするリンだったが、それに耐え切れなくなったアビゲイルは家を出て、カリフォルニアの果樹園で働き始める。

1977年。
リンジーが、自分の様子を窺っていることに気づいていたハーヴィーは、彼女を標的に再び行動に出ようとする。

一本ずつ現像していた、スージーの写真のフィルムの最後の一本を確認したジャックは、その中に写るハーヴィーの姿が気になる。

ハーヴィーの家に目を留めたジャックは、彼が裏庭に作っていた、カモ猟に使う身を隠すドームが気になり、庭に咲いていた枯れた花が目に付く。

同じ頃、スージーが、金庫の中に入っていた花を手にして、父ジャックのことを想うと、彼の手の中の花が一瞬、真っ赤に咲く。

ジャックはハーヴィーが犯人だと確信して、家に戻った彼に言い寄ろうとする。

その後ジャックは、行過ぎた行動をフェナーマンに非難されてしまう。

ハーヴィーに疑いをかけていたリンジーは、父ジャックに同調する。

ジャックはフェナーマンに感謝して、冷静さを取り戻したように見せかけ、その夜、バットを持ってハーヴィーの家に向かう。

同じ頃、スージーもハーヴィーを殺したい思いでいたのだが、彼を追いトウモロコシ畑に向かったジャックを止めようとする。

しかし、ジャックは、畑の中にいたスージーの友人クラリッサ(アマンダ・ミシュルカ)とブライアン・ネルソン(ジェイク・アベル)に出くわし、彼に叩きのめされてしまう。

瀕死のジャックは、病院に運ばれて意識不明となるが、一命を取り留める。

その頃スージーは、ホリーと呼ばれたデニースを含めた6人の子供達が惨殺されたことと、ハーヴィーによって自分の遺体が金庫に隠されことを知る。

数日後、ハーヴィーの留守中に彼の家に忍び込んだリンジーは、寝室の床に隠してあった、スージーについての資料を見つける。

そこにハーヴィーが戻り、人の気配を感じた彼はリンジーが忍び込んでいることに気づき、彼女は二階の窓から脱出して逃げ延びる。

ハーヴィーは荷物をまとめて、金庫を車に積みそれを廃棄しようとする。

帰宅したリンジーは母アビゲイルが戻ったことを知り、回復に向かっていたジャックは彼女を抱きしめる。

リンジーは、ハーヴィーの資料を祖母リンに渡し、警察の本格的な捜査が始まる。

金庫を、廃棄物が埋められる穴に落とそうとしたハーヴィーだったが、近所に住むルースは彼のことが気になる。

スージーは、殺された子供達が現れ天国に向かおうとする姿を見ながら、やり残したことに気づき、ルースの前に現れる。

それを感じたルースは気を失ってしまい、彼女と親しくなっていたレイが寄り添う。

ルースがレイの顔に触れた瞬間、彼はそれがスージーの感触だと気づく。

そして、スージーがレイにキスを求めた時、ハーヴィーは金庫を穴に落として逃亡する。

時は流れ、ハーヴィーは、ダイナーの駐車場で若い女性に声をかけるが、木から落ちてきたつららに気をとられ、足を踏み外し崖下に転落して死亡する。

サーモン家は再び絆を取り戻し、ようやくスージーの部屋に踏み入る気になったアビゲイルは、彼女の部屋を整える。

そしてスージーは、自分が死んで、”ラブリーボーン”は育っていくことを確認し、別れの時が来たこと知り天国に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
幸せなサーモン家の長女スーザン”スージー”が、隣人ハーヴィーに殺されてしまう。
スージーの遺体は見つからず、諦めきれない父ジャックは彼女を見つけ出そうとする。
しかし、現実を受け入れた母アビゲイルは精神的に不安定になり、家族の絆に亀裂が入り始める。
その頃スージーは、あまりにも早い自分の死を受け入れられずに、天国を前にした世界で家族にメッセージを送り続ける。
一方、犯人のハーヴィーは、自分を疑い始めたスージーの妹リンジーを襲う行動にでる。
そしてスージーのメッセージを感じたジャックは、ハーヴィーが犯人だと確信するのだが・・・。
__________

残忍な少女惨殺事件のサスペンスにファンタジーを絡めたピーター・ジャクソンの斬新な演出、そして期待のアイルランド人子役シアーシャ・ローナン他の魅力的な出演者なども話題になった作品。

おぞましい殺人が起きる現実とは余りにも対照的な、VFXポストプロダクションWATデジタル”による、天国(の手前)の世界観など脅威の映像が楽しめる。

原作を読んでいないと解りにくい”ラブリーボーンが育つ(成長)していく・・・”というセリフの意味は、単純に、家族の絆がより強くなっていくという解釈であろう。

序盤から引き込まれるストーリーなのだが、中盤までに祖母の存在を強調して描く割には、後半に、期待していたほどの彼女の絡みや、スージーの存在を感じる弟の霊感などについての言及もなく、やや消化不良的な感じもする。

そのせいか、北米興行収入も前評判を下回り約4400万ドル弱、全世界でも1億ドルに達しない、ピーター・ジャクソン作品にしてはやや寂しい結果に終わってしまった。

つぐない」(2007)でアカデミー助演賞候補になった、主演の大役を任されたシアーシャ・ローナンは、その直後の撮影でもあり、当時まだ13歳とは思えない、物語をリードする貫禄さえ感じる見事な演技を見せてくれる。

大物スターながら、主人公の娘を控えめな演技で支える両親役マーク・ウォールバーグレイチェル・ワイズ、他の作品とは全く違う雰囲気で、平静を装う残虐な殺人鬼を好演するスタンリー・トゥッチ、上記のように、その存在を期待しただけに、地味な役柄に徹する祖母役のスーザン・サランドン、中盤から重要な役として活躍する、主人公の妹役ローズ・マクアイヴァー、弟クリスチャン・トーマス・アシュデール、刑事役のマイケル・インペリオリ、主人公が思いを寄せるリース・リッチー、霊感を持つ少女キャロリン・ダンド、主人公の友人アマンダ・ミシュルカ、その恋人のジェイク・アベル、殺人の犠牲者で別世界の案内役のニッキー・スーフー、校長トム・マッカーシーなどが共演している。


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