ピューリッツァー賞並びにノーベル文学賞受賞者ウィリアム・フォークナーの1940年に発表された長編小説「村」”The Hamlet”を基に製作された作品。 放火犯と疑われている青年と大地主一家の関係を描く、監督マーティン・リット、主演ポール・ニューマン、ジョアン・ウッドワード、オーソン・ウェルズ、アンソニー・フランシオサ、リー・レミック、アンジェラ・ランズベリー共演によるドラマ。 |
・ドラマ
・オーソン・ウェルズ / Orson Welles / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・リット
製作:ジェリー・ウォルド
原作:ウィリアム・フォークナー
“Barn Burning” (1939)
“Spotted Horses” (1931)
脚本
アーヴィング・ラヴェッチ
ハリエット・フランクJr.
撮影:ジョセフ・ラシェル
編集:ルイス・R・ロッファー
音楽:アレックス・ノース
出演
ポール・ニューマン:ベン・クイック
ジョアン・ウッドワード:クララ・ヴァーナー
オーソン・ウェルズ:ウィル・ヴァーナー
アンソニー・フランシオサ:ジョディ・ヴァーナー
リー・レミック:ユーラ・ヴァーナー
アンジェラ・ランズベリー:ミニー・リトルジョン
リチャード・アンダーソン:アラン・スチュアート
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1958年製作 115分
公開
北米:1958年4月3日
日本:1965年6月
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ミシシッピー州。
片田舎の町に、放火犯のとして疑われている若者ベン・クイック(ポール・ニューマン)がやってくる。
ベンは、町の実力者であるウィル・ヴァーナー(オーソン・ウェルズ)の娘クララ(ジョアン・ウッドワード)と義娘ユーラ(リー・レミック)と出くわし、車に乗せてもらう。
その後ベンは、ウィルが入院中だったため、ヴァーナー家の長男ジョディ(アンソニー・フランシオサ)に話をつけて、畑を借りることになる。
クララはベンに、”あなたのような男は歓迎できない”と はっきり伝える。
病院から帰ったウィルは、後継者に相応しくないジョディと、結婚をしない娘クララのことを案じていた。 ウィルは、ジョディが、放火犯のベンに土地を貸したことを知り激怒する。 ベンの元に向かったウィルは、脅しに近い要求を突きつけるが、彼は動ずる様子も見せなかった。 その際にウィルは、ベンに商売の才能があることを見抜き、彼をジョディの店で働かせることのする。 ウィルは、ヴァーナー家の子孫を増やすため、クララに、幼馴染のアラン・スチュアート(リチャード・アンダーソン)かベンのどちらかを選ばせ結婚を急がせる。 クララは次第にベンを意識し始めるが、素直に彼を受け入れられない。 その後ウィルは、クララと結婚したら土地と金を渡すとベンに約束し、彼を自分の家に住まわせる。 ウィルの愛人ミニー(アンジェラ・ランズベリー)は、彼に結婚を迫るが、金の指輪を渡されただけだった。 クララは、教会のバザーで、自分とランチを食べる権利を得たベンに、知性と美を磨いた自分は、流れ者の妻などにならないと断言する。 ベンを憎むジョディは、彼を殺そうとするが、貰った土地から財宝が出てきたというベンの話を聞き、それを手に入れようとする。 クララが、アランと婚約したと思い込んだウィルは喜ぶが、 それが誤解だと分かり、今度は、即刻ベンと彼女を結婚させようとする。 家に戻った父ウィルを、ジョディは焼き殺そうとするが、思い止まり彼を助け出す。 そして、息子の愛を知ったウィルはジョディを抱きしめる。 放火犯人をベンだと思いこむ住民は、彼を捕まえようとするが、ベンはクララに助けられる。 ベンは、放火魔だった父のせいで、惨めな生活を送っていた過去をクララに語る。 ヴァーナー家を出ようとするベンだったが、クララと気持ちが通い合い、結婚を決意する。 そして、二人の笑い声を聞いたウィルには後継者も出来て、生きている幸せを実感する。
...全てを見る(結末あり)
ベンを贔屓するウィルに、ジョディは嫉妬心を燃やすが、 自分の才能のなさにいじけるだけだった。
*(簡略ストー リー)
ミシシッピー州。
放火犯のとして疑われているベン・クイックという若者が現れ、彼は、町の実力者であるウィル・ヴァーナーの娘クララと義娘ユーラと出くわして車で町に向かう。
その後ベンは、ウィルが入院中だったために、長男ジョディに話をつけて畑を借りることになるが、クララはベンを敬遠する。
退院したウィルは、放火犯のベンに土地を貸したことを知り激怒するが、彼が商売の才能があることを見抜き、ジョディの店で働かせることのする。
そんなウィルは、子孫を増やすため、クララに幼馴染のアランかベンのどちらかと結婚させようとする。
クララは、次第にベンを意識し始めるのものの、素直に彼を受け入れられなかった・・・。
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町そして家族を思いのままに支配しようとする男、知性と美貌を持つ勝気な長女、放火犯の容疑者である強かな流れ者、その三人が自らの欠点を知りながらも、自分らしさを通す生き方をしている一方で、父の信頼を得られず、才能のない長男の嘆きや惨めさを、対照的に描いているところが注目だ。
陰険で嫌味もあり、自信過剰な人物が多く登場するものの、ラストでの、オーソン・ウェルズと家族の高笑いが象徴するように、痛快差を感じながらに観終わることができる。
そんなマーティン・リットの、メリハリの利いた演出は見応え十分。
本作の共演がきっかけで、この年の1月29日に結婚した、ポール・ニューマンとジョアン・ウッドワードは、夫婦として公開を迎えることになった。
二人の息はぴったりで、作品が終わる寸前まで、ジョアン・ウッドワードがポール・ニューマンを受け入れないところが興味深い。
とてつもなく太ってしまったオーソン・ウェルズは、貫禄があり過ぎて、まるで独裁者のようだが、愛嬌たっぷりに豪快な演技を見せてくれる。
愛人役のアンジェラ・ランズベリーも、可愛気がある中年女性役で、いい味を出している。
父親の愛を得られず苦悩する長男アンソニー・フランシオサ、義娘リー・レミック、ヒロインの幼馴染のリチャード・アンダーソンなどが共演している。
余談だが、本作は1958年の作品なのに、最近、日本でもようやく流行だし始めたウォーターサーバーが、既にアメリカにはあったことに驚かされるのだが、1940年代の作品にも登場している。