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ベンガルの槍騎兵 The Lives of a Bengal Lancer (1935)

イギリス領インド帝国で独立派部族を制圧するイギリス陸軍槍騎兵連隊の戦いを描く、監督ヘンリー・ハサウェイ、主演ゲイリー・クーパーフランチョット・トーンリチャード・クロムウェルガイ・スタンディングダグラス・ダンブリルC・オーブリー・スミス他共演のアクション・アドベンチャー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


アクション/アドベンチャー


スタッフ キャスト
監督:ヘンリー・ハサウェイ

製作:ルイス・D・ライトン
原作:フランシス・イエーツ・ブラウンThe Lives of a Bengal Lancer
脚本
ウォルデマー・ヤング
ジョン・L・ボルダーストン
アクメッド・アブダラー
撮影:チャールズ・ラング
編集:エルズワース・ホーグランド
美術・装置
ハンズ・ドライエル
ローランド・アンダーソン
音楽
ハーマン・ハンド
ジョン・ライポルド
ミラン・ロダー
ハインツ・ロムヘルド

出演
アラン・マクレガー中尉:ゲイリー・クーパー
ジョン・フォーサイス中尉:フランチョット・トーン
ドナルド・ストーン少尉:リチャード・クロムウェル
トム・ストーン大佐:ガイ・スタンディング
モハメッド・カーン:ダグラス・ダンブリル
ハミルトン少佐:C・オーブリー・スミス
ハムズラ・カーン:モンテ・ブルー
タニア・ヴォルカンスカヤ:キャスリーン・バーク
バレット中尉:コリン・タップリー
トーマス・ウッドリー少将:ラムズデン・ヘア
エミール:エイキム・タミロフ
宰相:J・キャロル・ネイシュ
アフリディ:ミシャ・オウア

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1935年製作 109分
公開
北米:1935年1月11日
日本:1935年3月日
北米興行収入 $1,500,000


アカデミー賞
第8回アカデミー賞

・受賞
助監督賞
クレム・ビーチャム
ポール・ウイング
・ノミネート
作品・監督・脚色・美術・録音・編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
イギリス領インド帝国
第41ベンガル槍騎兵連隊のトム・ストーン大佐(ガイ・スタンディング)は、ベンガル独立のために戦う部族の王子モハメッド・カーン(ダグラス・ダンブリル)を捕らえようとしていた。

攻撃を仕掛けてくる敵への反撃を許されずに苛立つスコットランド系カナダ人のアラン・マクレガー中尉(ゲイリー・クーパー)は、同僚が射殺されてために突撃してしまう。

命令に背いたことでストーンから非難されたマクレガーは、納得いかないものの、ストーンの副官ハミルトン少佐(C・オーブリー・スミス)から、大佐は最善策を考えていると言われる。

その後、連隊本部に戻ったストーンは、ハミルトンから補充兵の二人が配属されることを知らせ、ジョン・フォーサイス中尉(フランチョット・トーン)と士官学校を出たばかりの息子ドナルド・ストーン少尉(リチャード・クロムウェル)だと言われて驚く。
...全てを見る(結末あり)

ドナルドを呼んだ理由を訊かれたハミルトンは、あと2年で退役するストーンに、第41連隊に”ストーン”の名を残したいからだと伝える。

息子に試練を与えるべきだと言われたストーンは、特別扱いはしないとハミルトンに伝えて仕方なく納得する。

マクレガーは、フォーサイスとストーンの息子ドナルドを駅に迎えに行くようハミルトンから指示を受ける。

親友のバレット中尉(コリン・タップリー)と共に駅に向かったマクレガーは、フォーサイスをドナルドだと思う。

用事があるので後は任せると言ってバレットはその場を去り、マクレガーはフォーサイスに声をかける。

フォーサイスは、列車の中で知り合った女性に挨拶して別れるが、マクレガーから、スパイの可能性もあるので警戒するようにと言われる。

自分をドナルド・ストーンだと思っているマクレガーに名前を伝えたフォーサイスは、彼と共に現れたドナルドを歓迎する。

部隊に着いたマクレガーは、フォーサイスとドナルドに召使いを紹介し、ヘビ使いを追い払う。

スコットランドの笛に似ていると言って、ヘビ使いから笛を譲ってもらったフォーサイスは、その音を嫌うマクレガーに吹いて聴かせる。

父には謁見式まで会えないだろうとマクレガーから知らされたドナルドは、それまで待つことになる。

謁見式が始まり、マクレガーからフォーサイスとドナルドを紹介されたストーンは、息子には、色々、学び期待しているとしか伝えなかった。

父とまともに話せなかったドナルドの寂しそうな表情を見たマクレガーは、白紙の用紙を彼に渡し、ストーンの忘れものなので届けるようにと指示する。

フォーサイスは、風変わりな男ではあるが思いやりのあるマクレガーの行為に感心する。

幼いドナルドと妻の写真を見ていたストーンは、現れたドナルドからメモを受け取る。

それが白紙であり、マクレガーから渡されたことを知ったストーンは苛立つが、ドナルドに母親のことを尋ねる。

元気だと答えたドナルドに、軍人になった理由を尋ねたストーンは、代々軍人の家系だと言われる。

危険な場所だと話すストーンは、ドナルドに特別扱いはしないことを伝えて、当然だと言われる。

会えたのはうれしいが、親子であることは忘れるようにと言われたドナルドは、その場を去ろうとするものの呼び止められる。

国境付近の軍務は本国の兵役とは異なると言うストーンは、経験を積むことが何よりも大事であり、それができなければ帰国させるとドナルドに伝える。

兵舎に戻るドナルドの表情が気になったマクレガーは、ストーンから、軍隊では私情を忘れろと言われ、メモを渡される。

ドナルドに、ストーンの性格も考えずに悪いことをしたと言って謝罪したマクレガーは、頑固者に早くなれるべきだと伝える。

父に対して失礼だと言われたマクレガーは、ドナルドの気持ちを察するものの、フォーサイスにからかわれる。

その後マクレガーとフォーサイスは、必死に軍務をこなすドナルドを可愛がる。

ある夜、マグレガーが嫌う笛を、落ち着くことができると言って吹き続けるフォーサイスだったが、コブラを呼び込んでしまう。

目の前のコブラに気づいたフォーサイスは焦り、それを知ったマクレガーは、吹き続けろと言って彼をからかう。

マクレガーにコブラを撃ち殺してもらったフォーサイスは、笛を捨てる。

ストーンに呼ばれたマクレガーは、偵察にでたバレットから連絡がないことを知らされ、今夜、国境を越えることを指示される。

狩猟の一団に見せかけるようにと言われたマクレガーは、副官にドナルドを指名するものの、経験が浅いという理由でストーンに却下され、フォーサイスを連れて行く。

自分が同行できないことを知ったドナルドはストーンに抗議するが、意見を聞き入れてもらえなかった。

岩場で野営をすると言うマクレガーに、危険だと警告したフォーサイスは、敵軍に潜入していたバレットを近づけるための作戦だったことを知る。

向かってきたバレットを射殺したように見せかけたマクレガーは、カーンが全部族を統合するつもりだということを知らされる。

部隊に戻ったマクレガーは、カーンは全部族を統合するつもりであり、機関銃と200万の弾薬奪い装備させるようだとストーンに伝える。

別動隊を出し不意打ちして反乱を防ぐことを提案したマクレガーは、命令も受けずに攻撃はできないと言われる。

その場に諜報部長のトーマス・ウッドリー少将(ラムズデン・ヘア)がいることに気づかづ、上層部に現地の状況は把握できないと言うマクレガーは、去年はイノシシ狩りの指示を受けたとストーンに伝える。

話を聞いていたウッドリーは、マクレガーの意見に賛成し、ストーンにイノシシ狩りをする指示を出す。

ゴーパルでイノシシ狩りをして宴会をすることをフォーサイスに伝えたマクレガーは、酒浸りだったドナルドが姿を消したことを知らされる。

2時間後には出動すると言うマクレガーとフォーサイスは仮眠をとろうとするが、ドナルドが心配な二人は彼を捜す。

町で出くわした二人は、ドナルドを見つけて酔いを醒まし、出撃の準備をさせる。

出撃したマクレガーは、捨てた笛をフォーサイスに渡して皮肉を言う。

ゴーパルに到着した部隊はキャンプを張り、ストーンは、族長エミール(エイキム・タミロフ)の使者に歓迎される。

マクレガーとフォーサイスは、バレットが同行していることに気づく。

祝宴に招待されたストーンは、マクレガーら士官を伴い宮殿に向かい、エミールに歓迎される。

エミールからその場にいたカーンを紹介されたストーンは、彼と話しをする。

現れた美しい女性タニア・ヴォルカンスカヤ(キャスリーン・バーク)の相手をしようとしたマクレガーとフォーサイスだったが、ドナルドに先を越されてしまう。

ドナルドを監視していようとしたマクレガーとフォーサイスは、ストーンからカーンを紹介される。

ハミルトンと話したストーンは、カーンが予想通り明日、出発するようであるため、できるだけ引き留めるようとする。

カーンが連れて来たタニアを怪しく思うマクレガーとフォーサイスは、ハミルトンが呼んでいるとドナルドに伝えて向かわせる。

ハミルトンから呼んでいないと言われたドナルドは、タニアと踊るフォーサイスを見て、彼とマクレガーに追い払われたと思う。

食事が始まり、帰る予定だったカーンは、翌日、ストーンらとイノシシ狩りをすることになる。

その夜、士官らを集めたストーンは、山に潜むカーンの部下が、エミールに渡した弾薬他を奪おうとしていることを伝える。

翌日、傷ついたイノシシがより凶暴になることを部下たちに伝えたストーンは、深追いすることを禁ずる。

槍を確認するドナルドは、心配してくれたタニアから、今夜、会いたいというメモを受け取る。

イノシシ狩が始まり、指示を無視し、傷ついたイノシシを下馬して追ったドナルドを心配するストーンは彼を追う。

イノシシに襲われるものの、マクレガーとフォーサイスに助けられたストーンは、このことは誰にも話すなと二人に伝える。

指示に従わなかったドナルドを非難したストーンは、彼を失格にする。

マクレガーとフォーサイスには感謝したストーンだったが、下馬を禁じた命令に従わなかったことを注意する。

その夜、ハミルトンの気遣いで、マクレガーとフォーサイスと話をしたストーンは、昼間の行動を労うだけだった。

テントに戻ったマクレガーとフォーサイスは、ドナルドを守ってほしいと言えなかったストーンの気持ちを察する。

姿が見えないドナルドがタニアの元に向かったことに気づいたマクレガーとフォーサイスは、彼を捜そうとする。

タニアに誘惑させてドナルドを捕らえたカーンは、死体を乗せた馬をキャンプに向かわせる。

それを目撃したマクレガーは、死体を運んできた男を撃ち、フォーサイスと共に男をストーンの元に連れて行く。

ドナルドの居場所を知っているはずの男の口を割らせようとしたマクレガーは、イノシシの皮を剥ぐ。

それを見せられた男はドナルドの意居場所を教えるが、計画通りに進める考えのストーンは、すぐにはドナルドを救いに行こうとしない。

モガラに向かうべきだと言うマクレガーに、ドナルドの誘拐は部隊を誘き出すことが目的だと伝えたストーンは、意見を聞こうとしない。

納得いかないマクレガーは、命令不服従で逮捕され、ストーンはフォーサイスに彼を監視させる。

ストーンの考えが正しいと言う、ハミルトンの意見を聞き入れる気がないマクレガーは憤慨する。

入隊に賛成しない妻に見捨てられ、その後に連隊に入ったストーンが、息子のことを心配していないはずはないと言うハミルトンは、同期である彼は軍務にすべてを捧げているとマクレガーに伝える。

間もなく引退して祖国で余生を送るストーンは、息子の成長が唯一の楽しみだと言うハミルトンは、私情で動く男ではないと話す。

様々な苦難を乗り越え、軍人として生きて来たストーンのような精神を貫かねば連隊は滅びると伝えたハミルトンは、ストーンは誰よりも使命感を抱いているとマクレガーに伝えてその場を去る。

ストーンのことが理解できたと言うフォーサイスは、立派な人物だとマクレガーに伝える。

それでも納得しないマクレガーがドナルドを救いに行こうとするため、監視役なので目を離すわけにはいかないと言うフォーサイスも、同行することになる。

翌朝、ハミルトンから、マクレガーとフォーサイスが姿を消したことを知らされたストーンは、二人を罰する気はなかった。

モガラ。
行商人に扮して町に入ったマクレガーとフォーサイスは、ドナルドが拘束されている場所を探す。

それを見つけた二人は、商品を見たいと言うカーンに呼ばれる。

カーンとタニアに正体を見破られていたマクレガーとフォーサイスは、逃げようとするものの無駄だった。

マクレガーとフォーサイス、そしてドナルドと共に食事をするカーンは、オックスフォード大学に留学したことを話し、在学中にフォーサイスのクリケットの試合を見たと伝える。

弾薬の運搬ルートとエミールに引き渡す場所を話すことを条件に、部隊に帰すと言われたマクレガーとフォーサイスは、カーンの指示に従う気はなかった。

竹の小片を爪に刺し、火を点ける拷問を受けたマクレガーらは監禁される。

翌日、マクレガーとフォーサイスは、武器を運び込んだカーンが戦闘の準備をしていることを知る。

マクレガーとフォーサイスは、拷問に耐えられずにすべてを話したドナルドから、自分を見捨てた父は、こうなることは分かっていたはずだと言われる。

ドナルドを殴り、裏切ったことは忘れろと伝えたマクレガーは、士官学校では習わない、私情は挟めない現場の複雑な状況を話す。

外の様子を見ながら、弾薬庫に火を点けることを思いついたマクレガーとフォーサイスは、どうやって抜け出すか考える。

モガラに向かうストーンは、損害を覚悟して戦う決心をする。

現れたカーンから、ストーンが退却すれば生きて帰すと言われたマクレガーは、抵抗して痛めつけられたフォーサイスが弾薬を奪ったことを知る。

それを利用してドアの鍵を爆破しようとしたマクレガーは、ドナルドにも手伝わせる。

機関銃を奪い援護するとフォーサイスに伝えたマクレガーは、ドアを爆破して外に出る。

塔に上り機関銃を奪ったマクレガーは、ストーンの部隊が近づくのを確認する。

フォーサイスの手を借りて機関銃を下したマクレガーは、自分たちに気づいたカーンの部下を攻撃する。

たいまつを手にしたフォーサイスを殴り倒したマクレガーは、弾薬庫に向かうものの銃弾を受けて倒れる。

瀕死のマクレガーは、たいまつを弾薬庫に投げ込み力尽き、その場は爆破される。

カーンは、ストーンの部隊と激しい戦闘を行う。

瓦礫の下敷きになっていたフォーサイスを助けたドナルドは、マクレガーが命を落としたことを伝える。

爆破のことはストーンには話すなとドナルドに伝えたフォーサイスは、マクレガーへの恩返しだと言いながら意識を失いかける。

カーンに襲い掛かったドナルドは彼を殺し、指揮官を失った部下たちは降伏する。

それを知ったフォーサイスは、マクレガーのことを想う。

部隊に戻ったフォーサイスは、ドナルドと共に武勲に対して殊勲章を授けられる。

ドナルドに勲章を授けたストーンは、逞しく成長した息子を誇りに思う。

戦死したマクレガーには”ヴィクトリア十字章”が授けられ、ストーンは、それを彼の馬の鞍に置く。

フォーサイスとドナルド、そして連隊員は、マクレガーに敬意を表して敬礼する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
イギリス領インド帝国
第41ベンガル槍騎兵連隊のストーン大佐は、ベンガル独立のために戦う部族の王子モハメッド・カーンを捕らえようとしていた。
フォーサイス中尉と共に息子ドナルドが補充兵として到着することを副官のハミルトンから知らされたストーンは、軍務に私情を挟む考えはなかった。
士官のアラン・マクレガー中尉は、頭の固いストーンの考えに納得出来ず、親交を深めたフォーサイスと共に、ドナルドの気持ちを察して彼を気遣う。
族長エミールとの武器供与の取引を進めるストーンは、カーンとも接触して牽制し、探りを入れる。
そんな中、カーンの女スパイ、タニアの誘惑に負けて誘拐されたドナルドを救うため、マクレガーとフォーサイスは、ストーンの命令を無視して救出に向かうのだが・・・。
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1930年に発表された、フランシス・イエーツ・ブラウンの著書”The Lives of a Bengal Lancer”を基に製作された作品。

着実にキャリアを重ねていた若手期待のヘンリー・ハサウェイの監督作品であり、人気スターのゲイリー・クーパーフランチョット・トーンら共演のスペクタクル大作として話題になった作品。

スケール感のあるヘンリー・ハサウェイの切れのいい演出、ユーモアをまじえたヒューマニズム溢れる内容、そしてクライマックスの迫力ある戦闘シーンなど、娯楽の要素満載の見応えある作品。

第8回アカデミー賞では作品賞以下7部門でノミネートされ、クレム・ビーチャムポール・ウイングが助監督賞を受賞した。
*ノミネート

作品、監督、脚色、美術、録音、編集賞

主演のゲイリー・クーパーは、風変わりだが勇敢な兵士であり人間味溢れる愛すべきキャラクターを熱演し、彼と親交を深めるエリート士官を演ずるフランチョット・トーンの好演も見逃せない。

その二人に可愛がられながら、命懸けの任務で逞しく成長する少尉のリチャード・クロムウェル、その父であり上官として、息子を厳しく見守る連隊指揮官を印象的に演ずるガイ・スタンディング、その副官であるC・オーブリー・スミス、独立派部族の王子ダグラス・ダンブリル、部族長のモンテ・ブルー、女スパイのキャスリーン・バーク、主人公の友人である中尉のコリン・タップリー、軍情報部長の少将ラムズデン・ヘア、連隊と手を組む部族長のエイキム・タミロフ、大宰相のJ・キャロル・ネイシュ、部族民のミシャ・オウアなどが共演している。


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