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小公女 The Little Princess (1939)

1905年に発表された、フランシス・ホジソン・バーネットの児童文学”小公女”を基に製作された作品。
出兵した軍人の父と離れ離れになった少女が様々な体験をしながら父との再会を待つ健気な姿を描く、製作ダリル・F・ザナック、監督ウォルター・ラング、主演シャーリー・テンプルリチャード・グリーンアニタ・ルイーズシーザー・ロメロ他共演による、心温まる家族愛のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(家族愛)


スタッフ キャスト ■
監督:ウォルター・ラング

製作:ダリル・F・ザナック
脚本
エセル・ヒル

ウォルター・フェリス
原作:フランシス・ホジソン・バーネット小公女
撮影
アーサー・C・ミラー

ウィリアム・V・スコール
編集:ルイス・R・レフラー
音楽
チャールズ・マクスウェル
シリル・J・モックリッジ

出演
サラ・クルー:シャーリー・テンプル

ジェフリー・ハミルトン:リチャード・グリーン
ローズ:アニタ・ルイーズ
クルー大尉:イアン・ハンター
ラム・ダス:シーザー・ロメロ
アマンダ・ミンチン:メアリー・ナッシュ
ヒューバート”バーティ”ミンチン:アーサー・トレイサー
ベッキー:シビル・ジェーソン
ヴィッカム卿:マイルズ・マンダー
オコネル:エイリー・マリオン
ヴィクトリア女王ベリル・マーサー
ゴードン大佐:ハリー・アレン

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX

1939年製作 93分
公開
北米:1939年3月10日
日本:1979年12月22日
製作費 $1,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1899年、イングランドロンドン
インドから帰国しアフリカへの派遣(第二次ボーア戦争)を控えたクルー大尉(リチャード・グリーン)は、娘のサラ(シャーリー・テンプル)を”ミンチン寄宿学校”に預けようとする。

校長のアマンダ・ミンチン(メアリー・ナッシュ)に挨拶したクルーは、サラの入学を断られてしまう。

しかし、クルーが貴族で南アフリカのダイヤ採掘権を持つ企業の株主でもある資産家だと知ったミンチンは、サラの入学を許可する。

同席していた、元芸人である朗読と演技の教師でミンチンの弟ヒューバート”バーティ”(アーサー・トレイサー)もそれを聞いて喜ぶ。

ミンチンは、クルー大尉に無礼を謝罪して高額小切手を受け取り、女性教師ローズ(アニタ・ルイーズ)と生徒達を彼とサラに紹介する。
...全てを見る(結末あり)

態度を一変させたミンチンはクルーを最高の部屋に案内し、母親を亡くしたサラに寂しい思いをさせないことを約束する。

父娘は別れを告げて再会を約束し、サラは涙しながらも勇気を出して父を見送る。

翌朝、元気を出したサラは、向かいの屋敷のヴィッカム卿(マイルズ・マンダー)に仕えるインド人ラム・ダス(シーザー・ロメロ)に気づき、ヒンズー語で窓越しに話しかける。

優しそうなラム・ダスだったのだが、現れたヴィッカム卿は気難しい老人だった。

迎えに来たローズと話していたサラは、使用人の少女ベッキー(シビル・ジェーソン)に磨いてもらう靴を預ける。

朝食を済ませたサラは、乗馬を教えてくれるジェフリー・ハミルトン(リチャード・グリーン)に挨拶して、彼とローズが愛し合っていることを知る。

ジェフリーは、国のために兵役に就くことをローズに伝える。

その後、セラは父からの手紙を受け取り、誕生日には帰れないという内容だった。

ローズに励まされるサラは、行進する派兵される軍人がマフェキングに向かうことを知り、父の任地と同じだと分かり心配する。

涙するサラをローズは優しく抱き寄せる。

サラを迎えに来たジェフリーは、志願した自分がクルー大尉を助けに行くと言って彼女を安心させる。

建物を出たところで祖父のヴィッカム卿と言い合いになったジェフリーだったが、それを気にせずにサラにあることを頼む。

出兵するジェフリーとローズを学校内で会わせる手助けを頼まれたサラは、自分が彼をお茶に招待すると言ってミンチンにその許可を得る。

その後サラは、結婚したジェフリーとローズが楽しんでいる部屋の外で見張りをする。

そこに現れたミンチンに二人のことが知られてしまい、ジェフリーは結婚したことを話そうとするが、ローズがそれを制止して彼はその場を去る。

その後も戦いは長引いていたが、ついにマフェキングが解放され、市民はそれを喜ぶ。

サラは父が助かり戻ってくることを信じ、ローズやバーティ、そしてミンチンや生徒達と共に歓喜する。

学校では、誕生日を迎えたサラと母国の勝利を祝うパーティーが催される。

サラは、父が救われたことに感謝して全員にプレゼントを贈る。

仲良くなったベッキーから手作りのプレゼントを贈られたサラは、お返しにエジプトのお守りを渡す。

ところがミンチンは、クルー大尉が戦死したため財産を没収され、サラには何も遺されず資金援助が得られなくなったことを知らされる。

ミンチンは、サラを追い出すと世間の評判を悪くするため、彼女を使用人として働かせることを考える。

ローズは、サラを部屋に戻したミンチンに、クルー大尉が戦死したことを知らされる。

それをサラに伝えるよう指示されたローズは、彼女に父が死んだことを話す。

ミンチンは、ショックを受けるサラを薄汚い屋根裏部屋に連れて行き、借金を返済するまで働いてもらうことを伝える。

父の死を信じないサラはベッキーと共に働くことになり、炊事係のオコネル(エイリー・マリオン)は彼女に辛く当たる。

ローズに届いた手紙を読んだミンチンは、ヴィッカム卿がジェフリーに送った小切手をローズに渡そうとしたことを知る。

ミンチンはローズを解雇して、その件ををヴィッカム卿に話し、彼はジェフリーを見限る。

希望を捨てないサラは、父が怪我をしてどこかの病院に入院していると信じ、それをベッキーに伝える。

ローズやサラへのミンチンの仕打ちに我慢ならないバーティは、志願することを伝えて出て行く。

ある病院に向かったサラは、戦地ではなく患者を励ます任務を受けたバーティに出くわす。

バーティの協力で患者に会ったサラだったが、父の手掛かりは掴めなかった。

患者達の要望で、かつて芸人だったバーティと共に、サラはその場で歌と踊りを披露する。

飼っていた鳥がサラの部屋に飛び込んでしまったため、その場に向かったラム・ダスは、暖炉に火もないみすぼらしい内部に驚き彼女を気の毒に思う。

その頃、重傷を負いながら助かり帰国していたクルー大尉は、収容されている病院で”サラ”といううわ言だけを発し意識を失っていた。

オコネルに仕事を言いつけられたため、病院に行けないサラは苛立つ。

夜になり病院に向かったサラは、中に入れてもらえず仕方なく学校に戻るが、同じ頃クルー大尉は、翌日、エジンバラの病院に移送されることが決まる。

部屋に戻ろうとしたサラはミンチンに呼び止められ、父を捜していたことで注意される。

クルー大尉は死んだと言い張るミンチンに対し、サラは父の生存を信じていると言い返しす。

部屋に入ったサラは、思い通りにならないことで悲しくなり泣き出してしまい、ラム・ダスはその様子を見守る。

眠ってしまったサラは、優しくしてくれる人達に囲まれながら自分がプリンセスとなり、意地悪なミンチンを追放する夢を見る。

ラム・ダスが窓をたたく音で目覚めたサラは、部屋の様子が一変し、暖炉に火が点いていることなどに気づき、それをベッキーに知らせる。

それはヴィッカム卿の好意であり、ラム・ダスは感謝されると彼に伝える。

ガウンを着たサラとベッキーは、用意されていたお菓子なども食べて楽しむ。

翌日、サラは病院に向かおうとする。

そこに現れたミンチンは部屋の様子に驚き、サラとベッキーをその場に閉じ込めてしまう。

サラとベッキーは窓から出て隣の屋敷に向かい、ラム・ダスの協力で通りに出る。

ミンチンの通報で駆け付けた警官が二人を追い、ベッキーは転んだために捕まってしまう。

物々しい警備の病院に入れなかったサラは、隙を見て建物に侵入し、追いかけられながらある部屋に入る。

その場にいた高貴な老婦人に父を捜していることを伝えたサラは、協力するようにと命ずる彼女がヴィクトリア女王(ベリル・マーサー)だということに気づく。

女王に付き添っていたゴードン大佐(ハリー・アレン)は、サラの父を捜すことを命ぜられて各病室を回る。

負傷して帰還していたジェフリーも、その病院でローズに付き添われていた。

二人に気づいたサラは、ジェフリーがマフェキングに行かなかったことを知り、父には会えなかったと言われる。

大佐と父を捜すサラを見守るジェフリーは、決して諦めない彼女に感心する。

移送準備をしていたクルー大尉は、次の車に乗るため控室で待機する。

サラは父を見つけられることができずに気落ちするが、ゴードン大佐は彼女を励ます。

病院を出ようとしたサラは、自分を捜しているミンチンが現れたため控室に隠れる。

その場を出ようとしたサラは、そこにいた患者が”サラ”と言葉していることに気づく。

サラは父に抱きつくものの、自分が娘だと分からない彼に必死に話しかける。

そして、ようやくサラのことに気づいたクルー大佐は娘を抱きしめる。

バーティは、サラを泥棒だと言うミンチンに飽きれてしまう。

サラが父を見つけたということを知らされたバーティーは、現れた彼女を抱きしめる。

そこに、その場を去られるヴィクトリア女王が現れ、サラは、車椅子から立ち上がった父と共に女王に敬礼する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1899年、イングランドロンドン
アフリカへの派遣(第二次ボーア戦争)を前にクルー大尉は、娘のサラを”ミンチン寄宿学校”に預けようとする。
ミンチン校長はそれを拒もうとするが、クルー大尉が資産家であること知り、態度を一変させてサラを預る。
父と別れたサラは、教師ローズや恋人のジェフリー、使用人の少女ベッキーに優しくされながら日々を過ごす。
その後サラは、父の任地が解放されたため親子の再会を確信する。
しかし、クルー大尉の戦死の報告を受けたミンチンは、資金援助がなくなったことでサラを使用人にしてしまう。
父の死を知らされたサラはそれを信じようとせず、怪我をして病院に運ばれたと考え、父を捜そうとするのだが・・・。
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今風に言えば”スーパー・スター”に更に”超”が付くほどの人気子役だったシャーリー・テンプルの堂々たる主演作で、当時を考えると、子供が主役の作品に製作費を100万ドルかけたというのだから驚きだ。

シャーリー・テンプル作品としては初のカラー作品で、幼く見えるものの既に9歳だった彼女はキャリアも十分であり、貫録さえ感じる演技を見せる。

子供が主役ながら、力強ささえ感じるテンポの良いウォルター・ラングの演出、押しつけがましくない親子愛の描写、主人公を優しく見守る周囲の人々の人情、そしてファンタジックでもあるミュージカル・タッチのシーンなど見所満載だ。

ヨーロッパで戦果が近づく時期、健気な少女の活躍が人々にどれだけの希望を与えたかを考えると、シャーリー・テンプルが当時の人々に与えた影響や功績は大きい。

主人公に優しく接する資産家の青年リチャード・グリーン、その恋人で教師役の美しいアニタ・ルイーズ、主人公の父親イアン・ハンター、寄宿学校に隣接する屋敷の主人マイルズ・マンダーに仕える優しいインド人を演ずるシーザー・ロメロ、意地の悪い学校長メアリー・ナッシュ、その弟で心優しいアーサー・トレイサー、主人公と親交を深める使用人の少女シビル・ジェーソン、学校の炊事係エイリー・マリオンヴィクトリア女王役のベリル・マーサー、女王に付き添う大佐ハリー・アレンなどが共演している。


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