悪党に痛めつけられた流れ者ロイ・ビーンが無法の地となった町と荒野を正義で一変させようとする奮闘を描く、監督ジョン・ヒューストン、主演ポール・ニューマン、ヴィクトリア・プリンシパル、アンソニー・パーキンス、ネッド・ビーティ、エヴァ・ガードナー、ジャクリーン・ビセット他共演による異色の西部劇。 |
・西部劇
・エヴァ・ガードナー / Ava Gardner / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・ヒューストン
製作:ジョン・フォアマン
脚本:ジョン・ミリアス
撮影:リチャード・ムーア
編集:ヒュー・S・フォウラー
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:モーリス・ジャール
主題歌:アンディ・ウィリアムス
出演
ポール・ニューマン:ロイ・ビーン
ヴィクトリア・プリンシパル:マリー・エレーナ
アンソニー・パーキンス:ラ・サール牧師
ネッド・ビーティ:テクター・クリティス
ジム・バーク:バート・ジャクソン
エヴァ・ガードナー:リリー・ラングトリー
ジャクリーン・ビセット:ローズ・ビーン
リチャード・ファーンスワース:無法者
ステイシー・キーチ:バッド・ボブ
ジョン・ヒューストン:ジェームズ”グリズリー”アダムズ
ロディ・マクドウォール:フランク・ガス
タブ・ハンター:サム・ドッド
アンソニー・ザーブ:詐欺師
ビル・マッキニー:ファーメル・パーリー
マット・クラーク:ニック・ザ・グラブ
マイケル・サラザン:ローズの夫
アメリカ 映画
配給 First Artists
1972年製作 123分
公開
北米:1972年12月18日
日本:1973年10月
■ アカデミー賞 ■
第45回アカデミー賞
・ノミネート
歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀末。
テキサスのペコス川は文明の境界線で、川より西は法も秩序もなく、無法者とガラガラ蛇だけが住む荒野が広がっていた。
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銀行を襲ったという、流れ者のロイ・ビーン(ポール・ニューマン)は、酒場の悪党どもに身包みはがされて痛めつけられてしまう。
酒場にいたメキシコ娘マリー・エレーナ(ヴィクトリア・プリンシパル)は、ビーンを見つけて介抱する。
マリーから拳銃を受け取ったビーンは悪党どもに復讐するが、そこにラ・サール牧師(アンソニー・パーキンス)が現れる。
裁きは神に任せるべきだと、ビーンにそれを悟らせたラ・サールは、悪党どもを埋葬する。 その後ビーンは、自分が”判事”として正義となることを決めて、ラ・サールに告げる。 マリーに感謝したビーンは、酒場を裁判所を兼ねた自宅に改造し、彼女を続き小屋に住まわせて村人を悪党から守ろうとする。 極悪非道な悪党がはびこるこの地で、ビーンの行く末を気にしながらラ・サールは去っていく。 イギリスの女優リリー・ラングトリー(エヴァ・ガードナー)の大きなポスターを壁に貼り、その後ビーンは精力的に仕事をこなす。 ある日、バート・ジャクソン(ジム・バーク)率いる無法者達が現れるが、それほどの悪党とも思えない彼らを、ビーンは保安官に任命し、殺人犯のサム・ドッド(タブ・ハンター)を捕らえる。 ビーンはサムを裁判にかけて、容赦なく絞首刑を言い渡し刑を執行する。 保安官となったバート、ファーメル(ビル・マッキニー)、ニック(マット・クラーク)、そしてバーテンダー、テクター(ネッド・ビーティ)らは、獲物を追うハンターのように無法者達を捕らえ、やがて押収金が大量に集まる。 それを資金として、ビーンは荒野を町に変え、町には善良な人々が住み着き、彼は裕福な実力者となる。 その間、マリーは美しく変貌して、ビーンは彼女に憧れのリリーと同じドレスを着させ、暮れなずむ夕陽の前で2人は寄り添う。 その時、流れ者グリズリー・アダムズ(ジョン・ヒューストン)からビーンは黒熊を譲り受け、その熊が相棒となり同居が始まる。 そんなビーンに挑戦する、無法者バッド・ボブ(ステイシー・キーチ)が現れる。 しかし、町で暴れまわるバッド・ボブを、ビーンは一撃で仕留めてしまう。 ある日、弁護士フランク・ガス(ロディ・マクドウォール)が現れ、ビーンの土地の所有権を主張して、怒ったビーンはガスを熊の檻に監禁してしまう。 ビーンと話をつけたガスは、檻から出され弁護士事務所を開業し平穏な暮らしを取り戻すが、心の中で彼への復讐を誓う。 ガスが仕組んだと思われる、殺し屋がビーンを襲おうとした事件が起きるが、殺し屋は熊と格闘となり死亡し、熊も撃ち殺されてしまう。 駆けつけたガスは、ビーンが無事だったことを知ってその場を立ち去り、周囲に仲間をつけて次の計画を企む。 やがてマリーは妊娠し、春にはビーンの子供が生まれることになる。 ガスに言いくるめられた保安官達の妻は、元娼婦にも拘らず妊娠したメキシコ人マリーを軽蔑して、自分達を侮辱したビーンに怒りを露にする。 ビーンは已む無く妻達に謝罪するが、それは大芝居で皮肉を込めたものだった。 憧れのリリーが公演でサンアントニオにやって来ることになり、正装したビーンは意気揚々と公演会場に向かう。 しかし、公演のチケットは完売してビーンは劇場に入ることが出来なかった。 そこに詐欺師(アンソニー・ザーブ)が現れ、リリーの楽屋番に扮し、ビーンを騙して金を奪って逃げる。 町に戻ったビーンは、子供を生んだマリーが臨終を迎えていることを知る。 ビーンはマリーに、彼女の欲しがっていたオルゴールを贈るが、彼女は息を引き取ってしまう。 飲んだくれていて遅れた医者を、ビーンは絞首刑にしようとするが、町長に任命されたガスがそれを制止する。 信頼していた保安官達も、ガスに丸め込まれたことを知ったビーンは町から姿を消してしまう。 その後、町はガスに支配され、保安官達の生活も一変し、落ちぶれてしまう。 時は流れ、ビーンの娘ローズ(ジャクリーン・ビセット)は、彼の書き残した本でしか父親を知らずに育つ。 石油王とまでなったガスは、自分に盾突く者は撃ち殺し、再び無法の町と化していく。 ローズはガスに立ち退きを命ぜられるが、彼女はそれを拒否して敢然と立ち向かう。 ある日ローズは、未だに馬に乗る老人の姿を見かけ、何か懐かしいものを感じる。 その老人こそ生きていたロイ・ビーンで、彼は落ちぶれて、老いぼれとなった元保安官達を集める。 ローズを引き取り育てたテクターの前に、ビーンと保安官達が現れ、彼は多くを語らずにローズ達とポーカーを始める。 一勝負終えたビーンらは、彼らを取り囲むガスの手下達に立ち向かい、彼らの正義で町の悪を一掃して姿を消す。 町は昔に戻り、やがて美しさの変わらないリリーが町を訪れる。 リリーは、今では”ロイ・ビーン記念館”となった、かつての酒場を訪れる。 ビーンは他界し、ローズは結婚して夫(マイケル・サラザン)と幸せに暮らしていることをリリーは知らされる。 記念館の館長のテクターは、リリーに彼の拳銃と一通の手紙を贈る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
19世紀末、テキサス。
銀行を襲った流れ者のロイ・ビーンは、酒場の悪党どもに身包みはがされて痛めつけられてしまい、メキシコ娘マリーに介抱される。
回復したビーンは、悪党どもに対して復讐を果たして、現れたラ・サール牧師に、自分が”判事”となり正義となることを伝える。
イギリスの女優、リリー・ラングトリーの特大ポスターを壁に貼り、酒場を裁判所を兼ねた自宅に改装し、ビーンは仕事に励む。
その後ビーンは、無法者のバートらを保安官にして悪党を捕らえて、大量の押収金を手にする。
そしてビーンは、それを資金に荒野を町に変えていくのだが・・・。
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多くの奇妙なキャラクターやエピソードなどが、ユーモアを交え絶妙なタッチで描かれた、”風変わり”なコメディ・ウエスタンとも言えるが、主人公の男臭さや人間味を感じさせる人物描写や友情を、ジョン・ヒューストンらしく痛快に描いた作品でもある。
第45回アカデミー賞では、アンディ・ウィリアムスが唄う挿入歌”Marmalade Molasses and Honey”が歌曲賞にノミネートされた。
モーリス・ジャールの楽曲も、楽しいものになっている。
実際にはロイ・ビーンは1903年に78歳で亡くなっていて、ドラマの始まりの時点で老人だったはずであり、かなりの脚色している。
主人公を演ずるポール・ニューマンは、いつものスマートさから一変、浮世離れして野暮ったさがあるものの、愛すべきキャラクターのロイ・ビーンを豪快に演じている。
主人公の命を助けて、見初められるヴィクトリア・プリンシパル、牧師アンソニー・パーキンス、主人公に献身的に仕えるバーテンダーのネッド・ビーティ、弁護士から成り上がり、主人公に復讐を誓うロディ・マクドウォール、娘のジャクリーン・ビセット、保安官のジム・バーク、ビル・マッキニー、マット・クラーク、無法者のタブ・ハンター、ステイシー・キーチ、リチャード・ファーンスワース、詐欺師アンソニー・ザーブ、写真だけで登場のJ・ビセットの恋人であり夫役のマイケル・サラザン、そして、主人公に熊を譲る実在の人物のグリズリー・アダムズを演ずる監督のジョン・ヒューストンと、ポスターだけで終わってしまうのかと思いきや、クライマックスでようやく登場する女優リリー・ラングトリーを演ずるエヴァ・ガードナーの出演は嬉しい。