国家と軍に人生を捧げる兵士の半生を描く、製作、監督、脚本マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガー、主演ロジャー・リヴセイ、デボラ・カー、アントン・ウォルブルック他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督
マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
製作
マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
脚本
マイケル・パウエル
エメリック・プレスバーガー
撮影:ジョルジュ・ペリナール
編集:ジョン・シーボーンSr.
音楽:アラン・グレイ
出演
クライヴ・キャンディ:ロジャー・リヴセイ
エディス・ハンター/バーバラ・ウィン・キャンディ/アンジェラ”ジョニー”キャノン:デボラ・カー
テオ・クレッチマー=シュルドルフ:アントン・ウォルブルック
フラウ・フォン・カルテネック:ウルスラ・ジーンズ
スパッド・ウィルソン:ジェームズ・マッケニー
ホップウェル”ホッピー”:デヴィッド・ハチソン
デヴィッド “ベイビー=フェイス “フィッツロイ:フリス・バンバリー
マーガレット:ミュリエル・アケド
マードック:ジョン・ローリー
スタッフィ・グレイブス:ネヴィル・マップ
クラブのポーター:ヴィンセント・ホルマン
クラブのポーター:ジェームズ・ナイト
キャンディの上官:スペンサー・トレヴァー
ベターリッジ大佐:ローランド・カルヴァー
カフェ・オーケストラ・リーダー:デニス・アルンデル
カウニッツ:デヴィッド・ウォード
移民局審査官:A.E.マシューズ
フォン・ロイマン:カール・ジャッフェ
フォン・リッター:アルバート・リーベン
フォン・ショーンボルン:バレンタイン・ダイル
グッドヘッド大佐:エリック・マトリン
大使館員:ロバート・ハリス
大使館員:アーサー・ウォントナー
ボーグ大佐:セオドア・ジシー
看護師エルナ:ジェーン・ミリカン
ヴァン・ザイル:レジナルド・テイト
テキサス人:W・バレット大尉
軍曹:トーマス・パーマー伍長
修道女:イヴォンヌ・アンドレ
寮母:マージョリー・グレスリー
司教:フェリックス・アイルマー
ウィン夫人:ヘレン・デブロイ
クリストファー・ウィン:ノーマン・ピアース
デイヴィス少佐:ハリー・ウェルチマン
BBC職員:エドワード・クーパー
イギリス 映画
配給
General Film Distributors(イギリス)
ユナイテッド・アーティスツ(北米)
2000年製作 分
公開
イギリス:1943年6月10日
北米:1945年3月29日
日本:1952年5月10日
製作費 £188,810
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1942年、第二次世界大戦下、イングランド。
戦闘前に実戦訓練を行う予定の民兵組織”ホーム・ガード”の指揮官スパッド・ウィルソン中尉(ジェームズ・マッケニー)は、開始前に司令官のクライヴ・キャンディ少将(ロジャー・リヴセイ)を捕えることを考える。
スパッドはある場所に寄り、そこから出てきた婦人部隊の兵士(デボラ・カー)が車に乗り走り去る。
気を失っていたスパッドは、女性兵士がキャンディに知れせに行くと考えクラブに向かう。
ロンドン。
クラブに着いたスパッドは、隠れている女性兵士に気づきながら、トルコ風呂にいたキャンディを捕らえる。
訓練開始時間は真夜中だと言うキャンディは憤慨し、説教を聞かないスパッドをプールに突き落として襲い掛かり、彼に40年前の話をしようとする。 1902年、ロンドン。 キャンディの胸の”ヴィクトリア十字章”に気づいた上官は、有名な兵士だったために態度を変える。 キャンディは、ホッピーから、ベルリンにいる姪の家庭教師の妹から受け取った手紙を渡される。 エディス・ハンター(デボラ・カー)からの手紙を読んだキャンディは、イギリスとドイツの関係を悪化させる存在である、戦友のカウニッツ(デヴィッド・ウォード)を懲らしめられるのは自分しかいないという内容を確認する。 上官のベターリッジ大佐(ローランド・カルヴァー)にその件を話したキャンディは、カウニッツがデマを流していることを伝える。 南アフリカで諜報活動をしている新人作家”アーサー・コナン・ドイル”の話を持ち出しながら話を続けたキャンディは、ベルリン行きを希望する。 この件は軍ではなく大使館の仕事だと言われたキャンディは、ベターリッジには内緒でベルリンに向かうことをホッピーに伝える。 数日後ホッピーは、ベルリンに着いたというキャンディからのハガキを受け取る。 ベルリン。 キャンディは、カウニッツが南アフリカで捕虜だった時に聴いていた”Mignon”の曲をバンドに演奏させて反応を見ようとする。 曲を聴いたカウニッツは苛立ち、演奏を止めさせる。 キャンディは、バンドをビールで買収して演奏を再開させる。 憤慨したカウニッツは、演奏させたのがキャンディだと知り、彼と揉めて顔に唾を吐く。 カウニッツを殴ったキャンディは、憤慨する帝国軍将校に非難されたために、ドイツ協会と帝国軍を侮辱する。 その後、帝国軍のフォン・リッター(アルバート・リーベン)とフォン・ショーンボルン(バレンタイン・ダイル)はイギリス大使館に向かい、デヴィッド “ベイビー=フェイス “フィッツロイ(フリス・バンバリー)にキャンディのことで抗議する。 キャンディが将校であることを確認した二人は、決闘の資格があるとフィッツロイに伝えてその場を去る。 大使に事情を説明したキャンディは、帝国軍の代表テオ・クレッチマー=シュルドルフ大尉(アントン・ウォルブルック)と決闘することになる。 準備は整い、決闘に関する説明を受けたキャンディとテオは剣を交える。 フィッツロイと共に会場の外の馬車で待機していたエディスは、負傷者を運ぶ馬車が気になる。 その後、共に傷ついたキャンディとテオは、病院で治療を受ける。 帰国するつもりだったエディスは、決闘の原因は自分だと言う大使館員から、費用は持つのでキャンディを看病するよう指示される。 看護師エレナ(ジェーン・ミリカン)と話したエディスは、キャンディの傷のことなどを聞き、顔に包帯が巻かれた彼と話をする。 エディスは、伯母マーガレット(ミュリエル・アケド)への手紙をキャンデイに頼まれる。 その後、包帯が取れたキャンディは、唇が切れたために髭を生やすことを考える。 世話をしてくれるエディスと共にカードを楽しんでいたキャンディは、フラウ・フォン・カルテネック(ウルスラ・ジーンズ)に付き添われて現れたテオと話をする。 英語が話せないテオはフラウに通訳してもらい、エディスがドイツ語を話せることを知る。 回復したキャンディは帰国することになり、友人になったテオがエディスと愛し合っていることを知る。 エディスが自分のフィアンセだと思っていたテオに、それを否定したキャンディは、二人を祝福する。 ロンドン。 エディスの姉マーサを劇場に誘い”ユリシーズ”を観たキャンディは、桟敷席のホッピーに気づき、彼が、同伴していたシビルと結婚したことを知る。 伯母マーガレットの屋敷に向かったキャンディは、マーサと劇場に行ったのだが、ベルリンで一緒だった彼女の美しい妹が気になることを話す。 その後、屋敷で暮らし始めたキャンディは狩りを楽しみ、十年以上の間に獲物は増え続けて壁に飾られる。 1918年11月。 捕虜を尋問したキャンディは、テオ・クレッチマー=シュルドルフのことを尋ね、何も答えない彼らから、ダイナマイトを所持していた目的を聞き出そうとする。 捕虜が何も話さないために後を任せたキャンディは、交通局に向かい、ドイツ軍が休戦を考えていることを知る。 食事をしたいキャンディは、修道院に案内されるものの、シスターに英語がうまく伝わらず腹痛と間違えられる。 多くの看護師が食事をしている食堂に案内されたキャンディは、英語が話せるシスターに、食事がしたかったが勘違いされたと伝える。 席に案内されたキャンディは、その場にいた看護師バーバラ・ウィン(デボラ・カー)が、驚くほどエディスに似ていたために彼女が気になりる。 バーバラのことを他の看護師に尋ねたキャンディは、彼女らの出身地がヨークシャー西部であることだけしか分からなかった。 翌日キャンディは、その件をマードックに話す。 伝達を受け取ったキャンディは、ドイツ軍が降伏して戦争が終わったことをマードックに伝えて、喜びをかみしめる。 帰国したキャンディはバーバラを捜し、20歳の年の差にも拘らず彼女と結婚する。 バーバラとロンドンの屋敷に向かい、執事となったマードックに迎えられたキャンディは、捕虜委員会からの連絡を受ける。 テオがダービーシャーの収容所にいることを知ったキャンディは、パリ旅行を延期しても彼に会いたいと言うバーバラと共にその場に向かう。 音楽会の演奏を聴いていたテオは、司令官室からキャンディの伝言を受け取るものの、返事をしなかった。 テオが旧友に会おうとしないことを、バーバラは不思議に思う。 捕虜たちの元に向かったキャンディは、テオに近づき微笑むものの無視されてしまい、ショックを受ける。 ロンドンに戻ったキャンディは、帰国するテオからの電話を受け、収容所でのことを謝罪される。 ヴィクトリア駅に向かいテオを車に乗せたキャンディは、エディスは元気で子供が二人いることを知る。 将来がない祖国のことを心配するテオは、キャンディが結婚したことを知り、今晩は観劇で留守だが妻に会ったら驚くと言われ、それが気になる。 屋敷では軍人仲間がなどが集まるパーティーが開かれ、キャンデイはテオを紹介する。 祖国が公平な扱いを受けるか懐疑的なテオは、軍も不要になると話す。 キャンディは、両国が友好的な関係を築きたいことをテオに伝える。 仲間達の元に戻ったテオは、キャンディと友人の軍人たちが、ドイツは再建すると言ってくれたことを皆に話す。 キャンディは、観劇から戻ったバーバラに、ドイツは立ち直れるとテオに話したことを伝える。 その後の10年も、キャンディは狩りを楽しみ、その間にバーバラは亡くなる。 更に時は流れ、壁の獲物は増える。 1939年11月2日。 妻は亡くなり、ナチ党員となった二人の息子とは疎遠だと話すテオは、イギリスへの移住を認めてもらえない。 イギリス人の妻は帰国を望んだが、祖国の危機を見捨てられずにとどまったと言うテオは、1933年に息子たちがナチ党員となったと同時に妻を亡くしたことを話す。 ヒトラーを崇拝する息子たちは葬儀に参列しなかったと話すテオは、1935年にベルリンの病院の前で思ったことは、今から40年前に入院したそこで、妻、そして親友となるイギリス人に出会ったことだと伝える。 その時に1919年のことも思い出したと言うテオは、捕虜送還の際、祖国の敗北で絶望していた自分を、その親友や軍人などが励ましてくれたと話す。 テオにイギリス人の知人がいるか尋ねた審査官は、キャンディを呼ぶ。 テオとの20年ぶりの再会を喜ぶキャンディは、審査官の許可を得て、屋敷で二人で話をすることになる。 門限となり帰ろうとするテオを引き留めたキャンディは、エディスを愛していたことを告白する。 テオとエディスの関係を喜んだ後に、彼女への気持ちに気づいたと言うキャンディは、帰国後に姉のマーサに会うものの期待が外れ、失恋から立ち直れなかったことを話す。 それ以来、エディスに似た女性を探し続けたと言うキャンディは、彼女に驚くほど似ている妻バーバラの肖像画をテオに見せる。 それを見て感激したテオは、キャンディとマードックに見送られ、”MTC”の婦人兵士アンジェラ”ジョニー”キャノン(デボラ・カー)が運転する車で送ってもらう。 アンジェラがエディスにソックリだったために驚いたテオは、移民局に着き彼女に感謝する。 1940年。 帰宅したキャンディは、解任通知を受け取り敗北感を味わう。 キャンディは、同居していたテオから、負けた場合の結果はとても悲惨なものになる、どんな手段を使ってでも戦い、勝利する必要性を説かれる。 テオの意見に同意するアンジェラは、民兵を組織化し指揮官になることをキャンディに提案する。 1940年10月。 1942年。 実践訓練を夜中の0時に開始することを参謀に伝えたキャンディは、それに備える。 その頃、スパッド中尉は、指令を無視して行動を開始していた。 恋人アンジェラの元に向かったスパッドは、彼女から知った情報で、キャンディを捕えることを話す。 それを阻止しようとするアンジェラは、その件をキャンディに知らせようとする。 アンジェラを阻止しようとするスパッドは、誤って転倒し気を失う。 その隙に逃げたアンジェラは、車でキャンディがいるクラブに向かう。 仲間たちに助けられたスパッドは、キャンディに知らせようとしているアンジェラを追う。 クラブに着いたアンジェラは、訓練開始前にトルコ風呂で休息するキャンディに、スパッドのことを知らせようとする。 そこに現れたスパッドは、隠れているアンジェラに気づきながら、キャンディを捜して捕らえようとする。 その後、テオとアンジェラは、屋敷が建っていた通りの向かいに座っているキャンディを見つける。 二人に慰められたキャンディは、非常用水地になった屋敷跡に向かい、スパッドを告発せずに夕食に招くことをテオに伝える。 1902年、外交問題を起こしたことを非難しながら、自分を食事に誘ってくれたベターリッジの話をするキャンディは、それを断ったのを後悔しているとテオに伝える。 スパッドを食事に招待するようキャンディから指示されたアンジェラは、ホーム・ガードのパレードが近づくことをキャンディに伝える。 かつてバーバラから、ここが池になっても自分は変わらないと言われたことを思い出したキャンディは、自分は変わっていないとテオとアンジェラに伝える。 パレードの音楽を聴き微笑むキャンディは、勇ましく行進するホーム・ガードに敬礼する。
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...全てを見る(結末あり)
ボーア戦争から帰還したキャンディは、クラブのトルコ風呂で、友人ホップウェル”ホッピー”(デヴィッド・ハチソン)と共に上官(スペンサー・トレヴァー)に注意される。
エディスに会ったキャンディはカフェに向かい、カウニッツが現れたことを確認する。
ベターリッジ大佐の元に向かったキャンディは、経費を使い過ぎと、指示を無視して大使館の仕事に関わったことを非難される。
第一次世界大戦下、少将となっていたキャンディは、部下のマードック(ジョン・ローリー)と共に司令部に向かう。
イギリスの移民局に向かい亡命を希望するテオは、ナチの台頭で祖国を捨てたことを審査官(A.E.マシューズ)に話す。
”ダンケルクからの撤退”に関して”BBC”ラジオのトークショーに出演する予定だったキャンディは、それがキャンセルとなったことを、職員(エドワード・クーパー)から知らされて残念に思う。
”ザ・ブリッツ/ロンドン大空襲”により屋敷が爆撃の被害に遭い、マードックが亡くなる。
民兵組織”ホーム・ガード”の司令官となったキャンディは、アンジェラに司令部まで送ってもらう。
*(簡略ストー リー)
1902年。
ボーア戦争から帰還したイギリス軍将校クライヴ・キャンディは、ベルリンで家庭教師をするバーバラからの手紙を受け、戦友がイギリスとドイツの関係を悪化させる行為をしていることを知る。
ベルリンに向かったキャンディは、その件に関連して帝国軍と問題を起こし、将校のテオと決闘することになる。
その結果、傷ついたキャンディとテオは、病院でバーバラに看病されながら友情が芽生えるのだが・・・。
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イギリス映画界の至宝マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーが、製作と脚本を兼ねて監督した作品。
20世紀初頭に出会い、二度の世界大戦を経験する激動の時代を生きたイギリス人とドイツ人の軍人の友情を描くドラマ。
その二人に関係する女性の存在がポイントで、彼女にまつわる描写が時にファンタジックな雰囲気でもあり、ユーモアも含めたマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーの演出が光る傑作ドラマに仕上がっている。
冒頭とクライマックスは、第二次大戦下のその当時の現状が描かれ、攻勢を仕掛けるナチス・ドイツへのあからさまな批判ではなく、戦況を見極めているように感じられる、社会情勢の表現なども興味深い。
主演のロジャー・リヴセイは、40年以上を軍に捧げる主人公を見事に演じ、年齢を重ねた老兵の自然なメイクの素晴らしさも印象に残る。
それぞれ性格の違う主人公に関わる三人の女性を演ずる、撮影当時まだ20歳の美しいデボラ・カー、激動する時代を苦悩しながら息抜き、主人公との親交を続けるドイツ人を好演する、アントン・ウォルブルックの深い演技も注目だ。
テオ(アントン・ウォルブルック)に通訳を頼まれる婦人(1902)ウルスラ・ジーンズ、アンジェラ(デボラ・カー)の恋人であり、主人公を出し抜こうとする民兵組織”ホーム・ガード”の将校(1942)ジェームズ・マッケニー、主人公の友人(1902)デヴィッド・ハチソン、駐ドイツ・イギリス大使館員(1902)のフリス・バンバリー、主人公の伯母(1902)ミュリエル・アケド、主人公の元部下で執事となるジョン・ローリー、クラブのポーター(1942)ヴィンセント・ホルマン、クラブのポーター(1902)ジェームズ・ナイト、主人公の上官(1902)スペンサー・トレヴァー、同じくローランド・カルヴァー、ベルリンのカフェ・オーケストラ・リーダー(1902)、デニス・アルンデル、主人公がスパイと疑う戦友(1902)デヴィッド・ウォード、移民局審査官(1939)のA.E.マシューズ、ドイツ軍将校(1902)カール・ジャッフェ、アルバート・リーベン、バレンタイン・ダイル、主人公の上官(1902)エリック・マトリン、大使館員(1902)ロバート・ハリスとアーサー・ウォントナー、ドイツ軍の大佐(1902)セオドア・ジシー、看護師(1902)のジェーン・ミリカン、主人公の部下(1918)レジナルド・テイト、司教(1919)のフェリックス・アイルマー、主人公の妻バーバラ(デボラ・カー)の両親ヘレン・デブロイとノーマン・ピアース、収容所長の少佐ハリー・ウェルチマン、BBC職員(1942)のエドワード・クーパーなどが共演している。