1990年に発表された、ジェイ・パリニの小説”The Last Station”の映画化。 ロシアの文豪レフ・トルストイが妻ソフィアとの不和に悩みながら死去する生涯最後の年を描く、監督、脚本マイケル・ホフマン、主演ヘレン・ミレン、クリストファー・プラマー、ジェームズ・マカヴォイ、ポール・ジアマッティ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
・ジェームズ・マカヴォイ / James McAvoy / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・ホフマン
製作総指揮
アンドレイ・コンチャロフスキー
フィル・ロバートソン
ジュディ・トッセル
ロビー・リトル
製作
クリス・カーリング
イェンス・モイラー
ボニー・アーノルド
原作:ジェイ・パリニ”The Last Station”
脚本:マイケル・ホフマン
撮影:ゼバスティアン・エドシュミット
編集:パトリシア・ロンメル
音楽:セルゲイ・ イェフトゥシェンコ
出演
ソフィア・トルストイ:ヘレン・ミレン
レフ・トルストイ:クリストファー・プラマー
ワレンチン・ブルガーコフ:ジェームズ・マカヴォイ
ウラジミール・チェルトコフ:ポール・ジアマッティ
サーシャ・トルストイ:アンヌ=マリー・ダフ
マーシャ:ケリー・コンドン
ドゥシャン・マコヴィッキー医師:ジョン・セッションズ
セルゲンコ:パトリック・ケネディ
ドイツ/ロシア/イギリス 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2009年製作 113分
公開
ドイツ:2010年1月28日
ロシア:2010年11月11日
イギリス:2010年2月19日
北米:2010年1月15日
日本:2010年9月11日
製作費 $18,000,000
北米興行収入 $6,616,970
世界 $13,550,770
■ アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優(ヘレン・ミレン)
助演男優(クリストファー・プラマー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1910年、ロシア、ヤースナヤ・ポリャーナ(トルストイ邸)。
文豪レフ・トルストイ(クリストファー・プラマー)の妻ソフィア(ヘレン・ミレン)は、夫の遺産が他人に渡ることを恐れていた。
モスクワ。
トルストイに近づけない弟子のウラジミール・チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)は、ワレンチン・ブルガーコフ(ジェームズ・マカヴォイ)を、トルストイの秘書として屋敷に送り込み、ソフィアの動きを監視させようとする。
トルストイ主義運動に、全てを捧げる人々が集い暮らすコミューンに付いたワレンチンは、マーシャ(ケリー・コンドン)という気さくな若い女性に出会う。 ヤースナヤ・ポリャーナ。 ”戦争と平和”の執筆も手伝ったというソフィアは、今ではお払い箱だと言って嘆き、ワレンチンに、日記帳を渡して全てを記述することを勧める。 そんな時、政府の命令で、軟禁状態だったチェルトコフが解放され、トルストイの元に向かい歓迎される。 ソフィアに毛嫌いされているチェルトコフは、ワレンチンの、彼女についての情報に満足できなかった。 チェルトコフに、家族を裏切るような遺書を書かせられることを阻もうとするソフィアは、トルストイにそれを問質す。 トルストイは、チェルトコフを信頼していることと、遺書は書き換えていないことをソフィアに伝え口論となる。 その頃、大胆なマーシャに迫られたワレンチンは、彼女のペースのまま愛し合う。 ある日、コミューンを視察していたトルストイは、ソフィアの容態が悪いという連絡を受けて屋敷に戻るが、それは彼女の策略だった。 ソフィアはトルストイの気を引き、遺書の件でいがみ合った二人のわだかまりは消える。 チェルトコフは、ソフィアがトルストイの新しい遺書の存在に気づいたことを、ワレンチンから知らされる。 コミューンに出向き、遺書を確かめに来たソフィアは歓迎されるものの、トルストイの許可がなくては、それを見せる訳にはいかないとチェルトコフに言われ、仕方なく引き下がる。 恋に遠慮していたワレンチンは、吹っ切れたようにマーシャに愛を告げて、二人の関係は深まっていく。 その後、チェルトコフは、ソフィアが、著作権を手中にしようとしていることをトルストイに伝える。 それを知ったソフィアは、娘サーシャ(アンヌ=マリー・ダフ)や主治医ドゥシャン・マコヴィッキー(ジョン・セッションズ )も同席する書斎に踏み入ってしまう。 ソフィアとチェルトコフの争いは決定的となり、トルストイは、自分の意思が理解されず苦悩する。 コミューンでの生活が、自らの考えと違うものを感じ始めたマーシャは、そこを離れる決心をしてワレンチンにも同行を求めるが、彼はそれに同意することは出来なかった。 ワレンチンは、コミューンを出てモスクワに向かう決意をし、それをトルストイに伝えようとする。 しかし、遺書を書き換えたことを知ったソフィアは取り乱し、トルストイとワレンチンの目の前で発砲騒ぎを起こす。 そして、耐え切れなくなったトルストイは、独り家を出る決心をする。 トルストイは、ワレンチンにソフィアへの手紙を託し、娘のサーシャに別れを告げ、ヤースナヤ・ポリャーナから去って行く。 翌日、それを知ったソフィアは池に身を投げるが、後を追ったワレンチンが彼女を救う。 その後ワレンチンは、ソフィアから、トルストイに会いに行くよう頼まれる。 鉄道で移動中のトルストイは体調を崩し、”アスターポヴォ駅”(現レフ・トルストイ)で下車し、ワレンチンはソフィアにそれを知らせる。 トルストイの病状は人々の関心の的になり、チェルトコフも現地に急行する。 ソフィアも到着するが、チェルトコフとサーシャは、彼女を衰弱しているトルストイに会わせようとしない。 トルストイはソフィアに会うことを望むが、チェルトコフは彼女がいないことを伝える。 チェルトコフの考えに同調できないワレンチンは、ソフィアを呼ぶべきだとサーシャを説得する。 脈も弱まったトルストイの元に寄り添うソフィアは、彼に許しを請う。 失意のワレンチンの元に、連絡を受けたマーシャが現れ、二人は固く抱き合う。 訃報は、駅に集まっていた記者や人々に伝えられ、悲しみは広がり、トルストイの遺体は、ヤースナヤ・ポリャーナに向かい、ソフィアは労りの言葉をかけられる。 1914年、トルストイの全作品の著作権はソフィアに委譲され、その5年後に彼女は自宅で死去した。
...全てを見る(結末あり)
その後、トルストイに歓迎されたワレンチンは感激してしまい、彼は、夫が作品や財産を、国民のために手放そうとする考えに同調できないソフィアの愚痴も聞かされる。
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*(簡略ストー リー)
1910年、ヤースナヤ・ポリャーナ。
文豪レフ・トルストイは、全作品の著作権や財産を国民に捧げようと考えていた。
それを阻止しようとする妻ソフィアだったが、軟禁中のトルストイの高弟チェルトコフが、秘書として青年ワレンチンを送り込み、彼女の出方を探ろうとする。
ワレンチンは、トルストイ主義運動の人々が生活を共にするコミューンに居住しながら、トルストイの秘書として、彼を尊敬しながら仕事をこなす。
やがてチェルトコフが解放され、トルストイが、遺書を書き換えたことを察したソフィアは、それを夫に問質す。
ソフィアに、自分の考えが理解されないことで思い悩むトルストイは、彼女が起こした発砲事件で限界を感じ、ついに家を出る決心をするのだが・・・。
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世界的な文豪レフ・トルストイの物語ということで、硬い物語を想像し身構えていると、ヒステリックなソフィアと、ややとぼけたトルストイ夫妻の描写は、コメディのような雰囲気でもあり、その序盤がまず興味深い。
実力派の若手ジェームズ・マカヴォイと、癖のあるポール・ジアマッティの、主人公達への絡みも面白い。
教師でもあり、型にはまった共同生活を続けているはずの女性が、実は奔放で大胆だったりするのも、物語にアクセントを加え観る者を引き付ける。
その女性とワレンチンの初恋と、50年近く続く夫婦愛を対比させ、マイケル・ホフマンは、純粋な愛とその複雑な一面を実に巧みに描いている。
第82回アカデミー賞では、主演女優(ヘレン・ミレン)、助演男優(クリストファー・プラマー)にノミネートされた。
悪妻の汚名が高かったソフィア・トルストイを、情熱的に演ずるヘレン・ミレンは実に魅力的であり、80歳手前にも拘らず、矍鑠たる演技でトルストイを演ずるクリストファー・プラマー、二人の演技は各方面から絶賛された。
トルストイとの親交で成長していく、恋に初心な青年ワレンチンを好演するジェームズ・マカヴォイ、トルストイの財産を国民の手に委譲させようとする高弟チェルトコフのポール・ジアマッティ、J・マカヴォイの妻で、トルストイの娘役サーシャのアンヌ=マリー・ダフ、ワレンチンと愛し合う、コミューンの奔放で大胆な女性役のケリー・コンドン、トルストイの主治医マコヴィッキーのジョン・セッションズ、コミューンを管理するパトリック・ケネディなどが共演している。