好奇心だけでウガンダに入国した若い医師が見た世界を注目させた独裁者イディ・アミンとその恐怖政治の実態を描く、監督ケヴィン・マクドナルド、主演フォレスト・ウィテカー、ジェームズ・マカヴォイ、ジリアン・アンダーソン、ケリー・ワシントン他共演の社会派サスペンス・ドラマ。 |
・ジェームズ・マカヴォイ / James McAvoy / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ケヴィン・マクドナルド
製作:アンドレア・カルダーウッド
原作:ジャイルズ・フォーデン
脚本
ジェレミー・ブルック
ピーター・モーガン
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:ジャスティン・ライト
音楽:アレックス・ヘッフェス
出演
フォレスト・ウィテカー:イディ・アミン
ジェームズ・マカヴォイ:ニコラス・ギャリガン
ジリアン・アンダーソン:サラ・メリット
ケリー・ワシントン:ケイ・アミン
デヴィッド・オイロー:ジュンジュ医師
サイモン・マクバーニー:ストーン
アダム・コッツ:メリット医師
イギリス 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
2006年製作 123分
公開
イギリス:2007年1月12日
北米:2006年9月27日
日本:2007年3月10日
製作費 $6,000,000
北米興行収入 $17,605,860
世界 $48,303,580
■ アカデミー賞 ■
第79回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(フォレスト・ウィテカー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1970年、スコットランド。
医大を卒業した青年ニコラス・ギャリガン(ジェームズ・マカヴォイ)は、故郷を離れ外国行きを希望し、地球儀で指差したアフリカの地ウガンダに向かう。
ウガンダ。
冒険心と自分探しを目的に、国の事情も知らずにこの地を訪れたニコラスは、入国後、軍事クーデターが起きたことを知る。
ムガンボ村。 翌日ニコラスは、メリットに医療施設を案内され、医師が自分達の二人だけだということを知らされる。 その後ニコラスは、医師よりも呪い師を信じる人々達への、医療活動を始める。 淡々と仕事をする日々を送っていたニコラスは、ある日、サラと共にアミンの演説を聞き、民衆を引き付ける彼のカリスマ性を目にする。 アミンの行動に危機感を感じるサラは、ニコラスが興奮する姿を見て実情を伝える。 その演説から帰る途中、ニコラスとサラは手を怪我したアミンの治療をすることになる。 ニコラスは手際よく処置し、事故に巻き込まれ、その場で苦しんでいた牛を、治療に集中できないと言って大胆にもアミンの銃で撃ち殺す。 アミンは、ニコラスが親しみを持つスコットランド人だと知り、彼を気に入ってシャツを交換し立ち去る。 その夜、サラはニコラスに誘われるが、彼女はそれを断り自宅に戻る。 翌朝、保険大臣の訪問を受けたニコラスは、大統領のリムジンで首都カンパラに向かう。 ニコラスは、現れたアミンから主治医になることを勧められる。 ムガンボ村との契約があることを伝えたニコラスだったが、アミンは、彼がサラと別れたくないためだと察し、その場は引き下がろうとするが、晩餐会には出席するよう伝える。 スーツを作るよために街に出たニコラスは、外務・英連邦省支局代表であるイギリス人ストーン(サイモン・マクバーニー)から、オボテ派がアミンに対抗するとの意見を聞かされる。 アミン政権を支持指示したイギリスだったが、イングランドを嫌うニコラスは嫌悪感を示す。 晩餐会でニコラスは、アミンから何人かの妻の一人ケイ(ケリー・ワシントン)を紹介され、ストーンにも挨拶する。 夜中に、オボテ派に毒を盛られたと、体調不良を訴えたアミンに呼ばれたニコラスは、単なるガスだまりだと言って適切な処置を行う。 結局ニコラスは、アミンの申し出を受け入れ、カンパラの大病院に移り大統領付きの主治医となる。 ニコラスは、病院で再びストーンに声をかけられ、連絡をと取り合うことを希望される。 その後、ニコラスはケイに呼ばれ、発作を起こした息子を治療し、アミンに感謝された彼は高級車を贈られる。 リビアに向かうアミンは、ニコラスに試運転を兼ね空港まで送らせる。 その際、アミンはオボテ派の襲撃に遭い、リムジンに乗っていなかった彼は、ニコラスの運転で救われる。 内部に裏切り者がいることを察したアミンは、信用できるニコラスを、警護の責任者として側近に任命する。 保険大臣が公金を横領し、亡命したとの噂が流れる中、ストーンは執拗にニコラスの意見を求める。 アミンを支持しながらも、ニコラスは周囲の異変に気づき始め、ストーンと記者との話し合いの場に姿を見せる。 考えぬいたニコラスは、故郷スコットランドに帰る決意をするが、アミンはそれを認めなかった。 ニコラスは、殺された文部大臣の死に関与したことになるとアミンに脅され、仕方なく留まることにする。 その後、ニコラスは悩みながらも、アミンの妻ケイと親密になり、ますます深みにはまってしまう。 部屋を荒らされたニコラスは、パスポートを没収されてしまい、我慢の限界に達した彼はストーンの元に向かう。 ストーンは、ウガンダの実情を知らせ、国に帰りたければ、アミンを殺すことだとニコラスにそれを迫る。 対するアミンは、イギリスを裏切り者呼ばわりし、反対派勢力が拡大するのを恐れ、虐殺やアジア民族の排除を行う。 アジア人の病人まで追放し始めたアミンに対し、それに意見したニコラスは彼の怒りを買うだけだった。 そして、自分の話に耳を傾けなかったニコラスを、冷たい眼差しで見つめながら、サラはウガンダを去って行く。 そんな時、ケイがニコラスの子供を妊娠し、彼女が殺される恐れがある現状で、絶望的になった彼は堕胎手術を考える。 ニコラスは、同僚医師ジュンジュ(デヴィッド・オイロー)に相談するものの助けは得られず、自分で処置をしようとする。 英米の非難に興奮し激怒するアミンは、ニコラスを呼び寄せ、一転、意見させ彼に側にいるよう指示する。 アミンの記者会見に同行させられたニコラスは、ケイの元に向かえず、結局、捕らえられた彼女は惨殺される。 ニコラスはアミンの毒殺を企て、頭痛薬だといって彼に毒薬を手渡す。 その直後、パレスチナ・ゲリラがエールフランス機を乗っ取り、乗客を人質にエンテベ国際空港に強制着陸させられる事件が起きる。 官邸を出ようとしていたニコラスは呼び戻され、テロリストを支援するアミンと共に空港に向う。 車中、アミンに渡した毒薬に気を取られるニコラスだったが、 怪しむ側近が兵士にそれを飲ませようとする。 それを止めたニコラスは、裏切りを知られて捕らえられ痛めつけられる。 ニコラスは、ケイとの関係を知っているとアミンから告げられ、彼は部下に拷問されて殺されそうになる。 残虐な拷問を受けるニコラスを、現場にいた同僚医師のジュンジュが助け、アミンの正体を世界に知らせるよう彼に伝え、応急処置をして逃がす。 ニコラスは、ハイジャックで解放される人質に紛れ込み、無事ウガンダを脱出する。 アミンの部下達は、ニコラスを捜すが見つからず、その後ジュンジュは射殺される。 それを知らされたアミンは、飛び立った輸送機を見つめる。 その後、イスラエル国防軍対テロ特殊部隊”サイェレット・マトカル”他による奇襲”サンダーボルト作戦”が決行されて、人質は解放され、中立を装っていたアミンは、国際的な非難を浴びる。 アミン政権下で、ウガンダ国民は30万人が殺され、1979年、反体制派のウガンダ民族解放戦線によって彼は失脚させられる。 2003年8月16日、アミンは亡命先のサウジアラビアで死去する。 それが、アミンが”夢みた日”かは、誰も知らない。
現地の医師デヴィッド・メリット(アダム・コッツ)の妻サラ(ジリアン・アンダーソン)に迎えられたニコラスは、政権についたイディ・アミン(フォレスト・ウィテカー)大統領の存在を知る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1970年。
ニコラス・ギャリガンは医大を卒業して、故郷のスコットランドを離れて外国行きを希望しウガンダに向かう。
冒険心と自分探しを目的にして、国情も知らぬままでウガンダを訪れたニコラスは、軍事クーデターで政権に就いた、イディ・アミン大統領のカリスマ性を知る。
そんなニコラスは、偶然アミンの手を治療する機会があり、その手際の良さを認められ、彼の主治医となる。
その後、ニコラスはアミンの息子の発作を治療し期待に応え、更に、彼を抵抗勢力オボテ派から救い、側近アドバイザーに任命される。
やがて、アミン政権はオボテ派の勢力拡大を恐れ、虐殺や他民族の排除を行い、内部の粛清も始め、国の経済状態は悪化し、彼は国際的な非難を受ける。
そして、ニコラスは、ようやくアミンの暴挙に気付き、故郷スコットランドに帰る決意をするのだが、アミンはそれを認めなかった・・・。
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1998年に発表された、ジャイルズ・フォーデンの小説”The Last Kingof Scotland”の映画化。
第79回アカデミー賞では主演男優賞(フォレスト・ウィテカー)を受賞した。
愛嬌のある独特なユーモアなどを封印して、威圧感ある恐怖の独裁者イディ・アミンを演ずる彼の熱演は絶賛された。
「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」(2005)のタムナス役で注目されたジェームズ・マカヴォイが、エリートにしては余りにも世情に疎い、短絡的な青年医師を好演している。
「Xファイル」の時とは全くイメージが違い、現地の医師の妻を質素に演ずるジリアン・アンダーソン、 「ファンタスティック・フォー」(2005)シリーズでもお馴染みのケリー・ワシントンの悲惨な殺され方は、目を覆いたくなる。
ニコラス(J・マカヴォイ)を助けて殺される医師デヴィッド・オイロー、イギリス人外交官のサイモン・マクバーニー、現地の医師アダム・コッツなどが共演している。
アミンを、世界の人が知るきっかけにもなった、イスラエル軍によるエンテベ空港奇襲作戦の模様が登場するかと思ったのだが、ドラマの展開上それほど詳しい描写はなく、あっさりと結末を迎えてしまう。