1971年に発表された、ダリル・ポニクサンの小説”The Last Detail”を基に製作された作品。 罪を犯した未成年の兵士の護送を命ぜられた2人の水兵の奇妙な旅を描く、監督ハル・アシュビー、主演ジャック・ニコルソン、オーティス・ヤング、ランディ・クエイド他共演のコメディ・ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ハル・アシュビー
製作:ジェラルド・エアーズ
原作:ダリル・ポニクサン”The Last Detail”
脚本:ロバート・タウン
撮影:マイケル・チャップマン
編集:ロバート・C・ジョーンズ
音楽:ジョニー・マンデル
出演
ビリー・L”バダス”バダスキー:ジャック・ニコルソン
リチャード”ミュール”マルホール:オーティス・ヤング
ローレンス・M”ラリー”メドウズ:ランディ・クエイド
M.A.A.:クリフトン・ジェームズ
娼婦:キャロル・ケイン
海兵隊中尉:マイケル・モリアーティ
ドナ:ルアナ・アンダース
日蓮正宗のメンバー:ギルダ・ラドナー
アネット:キャスリーン・ミラー
ナンシー:ナンシー・アレン
タクシー・ドライバー:マイケル・チャップマン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1973年製作 103分
公開
北米:1973年12月12日
日本:1976年11月3日
製作費 $2,300,000
■ アカデミー賞 ■
第46回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優(ジャック・ニコルソン)
助演男優(ランディ・クエイド)
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
バージニア州、ノーフォーク、ノーフォーク海軍基地。
信号手のビリー・L”バダス”バダスキー(ジャック・ニコルソン)と砲手のリチャード”ミュール”マルホール(オーティス・ヤング)は、最先任上等兵曹(クリフトン・ジェームズ)に呼ばれる。
嫌々、上等兵曹の元に向かった二人は、わずか40ドルを盗み8年の刑になった未成年の兵士ローレンス・M”ラリー”メドウズ(ランディ・クエイド)を、ポーツマス海軍刑務所へ護送することを命ぜられる。
冗談かと思ったバダスキーだったが、メドウズは小児麻痺の献金箱に手をつけたと言われ、指揮官の妻がその福祉活動に関わっていたための措置だったことを知る。
それでも8年の刑は重過ぎると言うバダスキーだったが、上等兵曹に楽しい旅になると言われる。 1週間の旅行になるので数日でメドウズを護送し、その分の日当で残りを楽しく過ごすことを考えたバダスキーとミュールの意見は一致する。 上等兵曹から武器などを受け取ったバダスキーとミュールは、手錠をかけられたメドウズと共にバスターミナルに向かう。 三人はバスに乗り、バダスキーは、事故に対処するためにメドウズの手錠を外す。 その後、三人は列車に乗り換え、バダスキーとミュールは、メドウズが、献金箱に手を出そうとしたところで捕まってしまったことを知る。 金も盗まずに8年の刑を受けて不名誉除隊になるメドウズが、馬鹿にされていると思い呆れたバダスキーだったが、彼を気の毒にも思い話を聞く。 今回の一件の前に前科があるかをバダスキーに聞かれたメドウズは、入隊前に2度ほど万引きで逮捕されたことがあると答える。 模範囚ならば2年は刑期が短くなるだろうと言って、バダスキーはメドウズを慰める。 その後、メドウズがどこかで万引きしたかもしれないことを知ったバダスキーとミュールは、慌てて逃げ出した彼を追う。 メドウズを取り押さえて席に連れ戻したバダスキーとミュールは、出来心でいつもつまらないものを盗んでしまうと謝罪して嘆く彼が、正常ではないと考える。 医者に診せた方がいいと考えたバダスキーとミュールは、一旦列車を下りる。 ワシントンD.C.。 ダイナーでハンバーガーを食べた三人は、バーでビールを飲もうとするが、バーテンダーに未成年には酒を出さないと言われる。 憤慨したバダスキーは銃を取り出してバーテンダーを脅すが、ミュールがそれを制止して店を出る。 三人は、羽目を外せたことで陽気になり、その後、街角でビールを飲んで楽しむ。 列車に乗るのを止めた三人は、ホテルに泊まりビールを飲んで酔って眠る。 翌朝、バダスキーは、フィラデルフィア経由で北に向かう途中で、メドウズの実家に寄る考えをミューズとメドウズに伝える。 故郷に戻ったメドウズは、バダスキーとミュールに親や学生時代のことなどを話す。 母親が留守だったために、メドウズは近所の夫人に聞いてくると言って姿を消す。 バダスキーとミュールは、メドウズが逃げたと思い捜しに行き、二軒先で彼を見つける。 メドウズのような男はシャバにいても得なことがないので、彼が刑務所に行きたがっていると、バダスキーはミュールに伝える。 母親が一日中、留守だと知ったメドウズだったが、バダスキーが中で待とうと提案し、入り口のドアが開いているいことに気づく。 部屋はだらしなく汚れていて、母親に会っても話すこともないとメドウズが言うため、三人はその場を去り列車に乗る。 メドウズを助ける方法がないかを考えるバダスキーは、母親が議員に手紙を書けばいいと話すが、ミュールに無駄だと言われる。 メドウズは落ち込み、ミュールは、罪人を刑務所に護送する任務を忘れていると言ってバダスキーを非難し、余計なことを考えるなと意見する。 ニューヨーク。 発散すた三人は気分が晴れ、バダスキーは、ミュールとメドウズに世界一旨いソーセージ・サンドの店を教える。 その後、バーに向いダーツで稼いだバダスキーは、その金を三人で分ける。 奇妙な声が聞こえる建物に入った三人は、そこが日蓮正宗のお題目を唱える場所だと知る。 奇妙な雰囲気を体験した三人は、アダルトショップやゲームセンター、スケート場などで楽しみバーに向かう。 その場で日蓮正宗の信徒ドナ(ルアナ・アンダース)に声をかけられたメドウズは、仲間達に紹介すると彼女に言われる。 メドウズはパーティーに誘われて、バダスキーとミュールと共にある家に向かう。 バダスキーはその場にいたナンシー(ナンシー・アレン)を口説き、ミュールは政治や戦争の話をされて退屈し、ドナに刑期のことを話したメドウズは、逃亡するべきだと言われる。 二階に連れて行かれるメドウズは、バダスキーに冷やかされる。 初体験ができるかと思い期待するメドウズだったが、ドナは、彼が逃げられるようにと言ってお題目を唱えるだけだった。 その後、三人はホテルに向い眠る。 翌日、三人はボストンに着き、バダスキーとミュールは、メドウズに初体験をさせようとする。 三人はタクシーに乗り、バダスキーがドライバー(マイケル・チャップマン)と交渉して娼館を紹介される。 メドウズは若い娼婦(キャロル・ケイン)を選び、バダスキーが彼女に金を渡してサービスするようにと伝える。 触られただけで感じてしまったメドウズに、バダスキーは、心配いらないと言ってもう一度楽しませる。 メドウズは満足し、その場を去った三人は、雪が積もった寒い公園で、パンなしのホットドッグを焼いて食べてビールを飲む。 バダスキーとミュールは、海兵隊員に虐げられて8年間を過ごすメドウズに同情する。 その時、メドウズが逃げ出してしまい、バダスキーとミュールは彼を追って取り押さえる。 ポーツマス海軍刑務所。 メドウズが逃げなかったと言わされたバダスキーとミュールは、書類のサインがないために、囚人はまだノーフォークを出ていないと言われる。 基地のミスだと言うバダスキーとミュールは、司令官としか話さないと言い張り、帰ることを許される。 バダスキーは書類を受け取り、コピーをとり忘れていることを中尉に不満げに伝え、それを置いて立ち去る。 中尉の態度に苛立つバダスキーとミュールは、こんな任務は二度とごめんだと言いながら、互いに違う場所に寄ることを確認し、ノーフォークで会う約束をして刑務所を離れる。
...全てを見る(結末あり)
最終列車に乗ることにした三人は、街で食事をすることにして、バダスキーとミュールは、列車内のような騒ぎは起こさないと約束させてメドウズの手錠を外す。
ボストン行きの列車に乗り換えるバダスキーは、駅のトイレで海兵隊兵士にからかわれ、ミュールとメドウズも加わり喧嘩になる。
メドウズを引き渡し護送を終えたバダスキーとミュールは、囚人を痛めつけたことを海兵隊中尉(マイケル・モリアーティ)に非難される。
*(簡略ストー リー)
バージニア州、ノーフォーク海軍基地。
信号手のビリー・L”バダス”バダスキーは、砲手のミュールと共に、未成年の囚人で兵士のメドウズをポーツマス海軍刑務所に護送する任務を受ける。
バダスキーとミュールは、今回の任務で1週間分の日当がでるために、護送は数日で済まして、その後は楽しむことで意見が一致する。
考えも行動も子供のメドウズが、わずか40ドルの盗みで8年の刑に課せられることを気の毒に思ったバダスキーとミュールは、彼に同情する。
更に、金を盗む前に捕まっれしまったと言うメドウズの話を聞いたバダスキーとミュールは、彼と共に羽目を外すことを考えるのだが・・・。
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アメリカン・ニューシネマを代表する作品であり、繊細な人間描写、テンポの良いハル・アシュビーの演出は高く評価された。
ダリル・ポニクサンの原作は映画化でかなり変更され、主人公は理知的な性格から粗暴な男に描かれ、ラストも、主人公が亡くなる設定を基地に戻ろうとする場面で終わっている。
第46回アカデミー賞では、主演男優(ジャック・ニコルソン)、助演男優(ランディ・クエイド)、脚色賞にノミネートされた。
第27回カンヌ国際映画祭ではパルム・ドールにノミネートされ、ジャック・ニコルソンが男優賞を受賞した。
主人公の二人の兵士役はジャック・ニコルソンとオーティス・ヤングでキャスティングされていたのだが、メドウズ役は難航し、ジョン・トラボルタも候補にあがったが、独得の雰囲気を持つランディ・クエイドにその役が決まった。
各都市を訪れる旅で描写される、1970年代を感じさせる影像が実に懐かしい。
行進曲を効果的に使ったジョニー・マンデルの軽快な音楽も印象に残る。
不躾で自己中心的な役柄という、正に適役を熱演するジャック・ニコルソンの演技は秀逸で、無骨だが人間味のある魅力的男を見事に演じている。
主人公と共に囚人護送の任務を命ぜられるオーティス・ヤング、気弱な若い兵士を好演するランディ・クエイド、主人公らに囚人護送を命ずる上官クリフトン・ジェームズ、娼婦キャロル・ケイン、刑務所で主人公らの行為を批判する海兵隊中尉マイケル・モリアーティ、日蓮正宗の信徒ルアナ・アンダース、彼女のパーティーに参加する女性で、本作が映画デビューのナンシー・アレン、日蓮正宗の集会のメンバー、ギルダ・ラドナー、そして、本作の撮影を担当するマイケル・チャップマンが、ボストンのタクシー・ドライバー役で出演している。