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バルカン超特急 The Lady Vanishes (1938)

大陸横断列車の中で失踪した老婦人を捜そうとする女性が巻き込まれる陰謀を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演マーガレット・ロックウッドマイケル・レッドグレイヴポール・ルーカスメイ・ウィッティ他共演のミステリー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作:エドワード・ブラック
原作:エセル・リナ・ホワイトThe Wheel Spins
脚本
シドニー・ギリアット
フランク・ラウンダー
撮影:ジャック・E・コックス
編集:R・E・ダーリング
音楽
ルイス・レヴィ
チャールズ・ウィリアムズ

出演
アイリス・ヘンダーソン:マーガレット・ロックウッド
ギルバート・レッドマン:マイケル・レッドグレイヴ
ハーツ医師:ポール・ルーカス
ミス・フロイ:メイ・ウィッティ
エリック・トッドハンター:セシル・パーカー
”トッドハンター夫人”/マーガレット:リンデン・トラヴァース
カルディコット:ノウントン・ウェイン
チャータース:ベイジル・ラドフォード
アテナ男爵夫人:メアリー・クレア
ドッポ:フィリップ・リーヴァー
ドッポ夫人:セルマ・ヴァズ・ディアス
尼僧:キャサリン・レイシー
クマー:ジョセフィン・ウィルソン
ブランシュ:グーギー・ウィザース
ジュリー:サリー・スチュワート
ボリス:エミール・ボレオ

イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1938年製作 97分
公開
イギリス:1938年10月7日
北米:1938年11月1日
日本:1976年11月13日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ヨーロッパの小国バンドリカから西に向かう大陸横断列車が、雪山の駅で立ち往生する。

駅に隣接するホテルの支配人ボリス(エミール・ボレオ)は、宿泊する乗客の対応に追われる。

クリケット愛好家であるイギリス人のチャータース(ベイジル・ラドフォード)とカルディコット(ノウントン・ウェイン)は、ボリスの会話を聞き、雪崩のことをようやく知る。

ホテルに戻ってきたイギリス人旅行客のアイリス・ヘンダーソン(マーガレット・ロックウッド)は、ボリスから騒ぎの理由を聞き、友人のブランシュ(グーギー・ウィザース)ジとュリー(サリー・スチュワート)と共に食事の用意を頼み部屋に向かう。

チャータースとカルディコットは、クリケットのイングランド・チームの試合に間に合うか気になり、乗り換えを考える。

弁護士のエリック・トッドハンター(セシル・パーカー)は、妻を装う不倫相手のマーガレット(リンデン・トラヴァース)と共に部屋に向かう。

ボリスからメイド部屋しか空いていないと言われたチャータースとカルディコットは納得するしかなく、メイドのアンナに部屋に案内してもらう。
...全てを見る(結末あり)

婚約者チャールズとの結婚を控えるアイリスは、その思いをブランシュとジュリーに話す。

メイド部屋でクリケットの試合のことが気になるチャータースとカルディコットは、入ってきたアンナが着替え始めたために部屋を出てロビーに向かう。

ロンドンからかかってきた電話を受けたボリスが人を呼びに行った間に、電話の相手と話したチャータースは、イングランド・チームの試合の結果を尋ねる。

知らないと言われたチャータースは苛立ち電話を切ってしまい、戻ったボリスは焦る。

食堂に向かったチャータースとカルディコットは席に着き、ウェイターに食事を注文しようとするものの、話している言葉が理解できない。

同席していた老婦人フロイ(グーギー・ウィザース)から、客が多くて今日の食事は終わりだと言っていると知らされたチャータースは苛立ち、彼女からチーズをもらう。

音楽の教師だったと話すフロイは、外から聴こえてくる曲に耳を傾けながら、この国の人々は音楽と笑いを愛するとチャータースとカルディコットに伝えて席を立つ。

部屋に戻ったフロイは、窓を開けてその場でも聞こえる曲に耳を聴く。

上の階の騒音のような音楽に気づきいたフロイは、部屋から出てきたアイリスと共に何事が起きたかと思う。

ボリスに電話をしたアイリスは、上の部屋の騒音のことを伝えて、フロイは部屋に戻る。

現れたボリスは上の階に向かい、三人にダンスをさせていた音楽家のギルバート・レッドマン(マイケル・レッドグレイヴ)に、騒音で苦情が殺到していると伝える。

結婚式の音楽だと言って反論するギルバートは、苦情を言ったのが下の階の女性客だということを知り、ボリスを追い払い演奏とダンスを続ける。

それをアイリスに伝えたボリスは、チップを渡されたために、ギルバートを追い払うことを彼女に約束する。

ベッドに入ったチャータースとカルディコットは、新聞に試合のことが掲載されていないことを気にする。

二人は、アンナが部屋に出入りするために戸惑う。

眠っていたアイリスは、部屋に入ってきたギルバートが上で騒いでいた男性だと知り、追い払おうとする。

居座ろうとするギルバートがチップのことを知っていたため、ボリスに電話をしたアイリスは、彼を上の部屋から追い出さなくてもいいと伝える。

それを知ったギルバートは、荷物を上に運ばせるようにとアイリスに伝えてその場を去る。

その後も窓辺で熱心に曲を聴くフロイだったが、歌っていた男性は何者かに殺される。

音楽が止んだために路上に小銭を投げたフロイは、眠る支度をしながら覚えた曲を確認する。

翌朝、線路は開通して列車は出発することになり、バッグが見当たらないフロイは、アイリスらにそれを伝えて捜そうとする。

メガネを落とした彼女にそれを渡そうとしたアイリスは、上から落とされた植木鉢を後頭部に受けてしまう。

出発時間となり、フロイは、アイリスのことを心配するブランシュとジュリーに、自分がついていると伝えて列車に乗り込む。

ブランシュとジュリーに手を振るアイリスだったが、めまいがして気を失ってしまう。

個室で目覚めたアイリスは、同席する人々に気づき、様子を見ていてくれたフロイと共に食堂車に向かう。

他人の目を気にするエリックは、マーガレットから怯え過ぎだと言われる。

チャータースとカルディコットの隣の席に着いたフロイは、アイリスのためにお茶を注文し、持参したハーブ茶の葉をウェイターに渡す。

自己紹介をしたアイリスは、戻ったら結婚することをフロイに伝える。

それを祝福して、子供を産むことを勧めるフロイは、一緒にいると若さを保てると話し、家庭教師をしていたことをアイリスに伝える。

汽笛など外の音で声が聞こえないと言われたフロイは、結露した窓に自分の名前を指で書く。

お茶が運ばれ、砂糖がないことに気づいたフロイは、チャータースに話しかけて、彼のテーブルの砂糖をもらう。

その後、フロイと席に戻ったアイリスは、眠ってしまう。

暫くした目覚めたアイリスは、フロイがいないことに気づき、同席していたドッポ(フィリップ・リーヴァー)とアテナ男爵夫人(メアリー・クレア)にフロイのことを尋ねるものの、知らないと言われる。

男爵夫人から自分一人しかいなかったと言われ、ドッポには頭を打ったことで記憶をなくしたことを疑われたアイリスは、フロイを捜し始める。

ウェイターにも一人だったと言われたアイリスは、食堂係が伝票を確認してくれるが、注文はお茶が1杯だったことを知らされる。

お茶の葉のこともウェイターから知らないと言われたアイリスは、戸惑いながらフロイを捜し、ギルバートと出くわしてしまう。

後頭部の痛みでめまいがしたアイリスを気遣ったギルバートは、フロイのことを訊かれるものの知らないと答える。

バンドリカ語が分からないアイリスのために協力してあげようとするギルバートは、同席していたドッポから話を聞こうとする。

イタリア人だと言うドッポから妻(セルマ・ヴァズ・ディアス)と男爵夫人と子供の話を聞いたアイリスとギルバートは、その場で話していたプラハの医師ハーツ(ポール・ルーカス)から挨拶される。

次の駅で重症患者を乗せると言うハーツは、手術をすることを二人に話す。

男爵夫人とドッポの妻に話しを聞いたギルバートは、フロイのことは知らないと言われ、彼女の容姿を話したアイリスは、食堂車で砂糖をくれたイギリス人のことを思い出して二人を捜そうとする。

エリックのことも思い出したアイリスは、個室から出てきた彼からも、この場で転んだフロイのことは知らないと言われ、列車を止めてでも捜すとギルバートに伝える。

その話を聞いたチャータースは、列車を止められては乗り継ぎができないと考え、カルディコットに話をして隠れることにする。

エリックに相手にされないアイリスは、通路に出てきたチャータースに食堂車でのことを訊くものの、覚えていないと言われて苛立つ。

打撲の影響で想像力豊かになる場合があるというハーツの話を聞いたアイリスは、安静にしていればよくなると言われる。

駅が近づいたために、ハーツは患者を乗せる準備があると言ってその場を去り、フロイが車内にいると考えるアイリスは、ギルバートと共に手分けをして出入りする客を監視する。

駅に着き、ハーツは、尼僧(キャサリン・レイシー)と共に運ばれる患者を確認する。

アイリスとギルバートは、車両の外を監視する。

妻といつ離婚するのかとマーガレットから訊かれたエリックは明確には答えず、通路での話も聞いていたと言われる。

老婦人を見たと言えば重要な証人になってしまい、新聞に掲載されてスキャンダルになると、エリックはマーガレットに伝える。

列車は動き始め、通路に出たマーガレットは、自分は老婦人を見たとアイリスとギルバートに伝えて協力しようとする。

現れたハーツから、運ばれたのが興味深い患者だと言われたアイリスは、フロイを見たという女性が現れたことを彼に伝える。

老婦人のことをアイリスに話したとエリックに伝えたマーガレットは、スキャンダルになれば離婚が近づくと彼に伝える。

君が離婚できても自分の妻は絶対に認めないと、エリックはマーガレットに伝える。

通路で出くわしたドッポから、フロイが戻ったと言われたアイリスは、ギルバートと共に席に向かう。

その場にいたのは別人のクマー(ジョセフィン・ウィルソン)だったが、服装はフロイト同じだったために戸惑うアイリスは、現れたハーツから、潜在意識の中でフロイだと思い込んだと言われる。

納得いかないアイリスは、目撃者に確認してもらおうと言うギルバートと共にエリックの個室に向かう。

マーガレットは、クマーが老婦人だと言うしかなかった。

席に戻るものの、ドッポらがフロイの顔に見えたアイリスは、ハーツの言う通りかもしれないと思い、ギルバートと共に食堂車に向かう。

アイリスに惹かれていたギルバートは、彼女が結婚式を控えていることを知りショックを受ける。

ギルバートの話を聞きながらお茶を飲もうとしたアイリスは、フロイがウェイターに渡したハーブ茶の葉のことを思い出す。

フロイのことは忘れる約束だとギルバートから言われたアイリスは話題を変えるが、フロイが窓に書いた名前をが見えたために興奮し始める。

その場にいた乗客たちに、フロイがいたと伝えたアイリスは、列車を止めなければならないと言って取り乱し、制止するギルバートとハーツの話を聞こうとしない。

緊急ブレーキを作動させてしまったアイリスは、意識を失う。

意識が戻ったアイリスが、あくまでフロイを捜すと言い張るため、ハーツは彼女のことをギルバートに任せる。

コックが捨てたごみの中のハーブ茶の包装紙が窓に張り付いたことに気づいたギルバートは、そのことをアイリスに伝えてフロイを捜そうとする。

貨物車両を調べたアイリスとギルバートは、ドッポの荷物を確認して、彼がマジシャンだということを知る。

ポスターを見つけたギルバートは、ドッポの得意芸が女性を消すことだと知り、今回のフロイ失踪のことを推理してみる。

皆がウソをついていたということは、フロイを捜してほしくないのではないかと考えたギルバートは、その場にあったメガネを確認したアイリスから、フロイのものだと言われる。

そこに現れたドッポは、自分のメガネだと言ってそれを奪い、ギルバートと揉み合いになる。

アイリスも加わりドッポを殴り、朦朧とした彼をギルバートが箱の中に閉じ込める。

メガネをドッポが持っていることに気づいたアイリスとギルバートは、箱を開けるものの中は空だった。

自分たちのことが仲間に知られてしまうと考えたギルバートとアイリスは、ハーツに協力してもらおうとする。

ハーツの部屋にいた患者と尼僧を確認したアイリスは、ギルバートから、患者がフロイではないかと言われる。

フロイがいなくなってから患者が乗り込んだとギルバートに話すアイリスは、尼僧がハイヒールを履いているのは不自然だと伝える。

それを確認したギルバートは、クマーが乗り込む姿は見なかったために、フロイを貨物車両に閉じ込めて、患者を装ったクマーを乗せてフロイと入れ替わったと考える。

フロイが狙われる理由を考えるアイリスに、政治的な理由がある可能性を伝えたギルバートは、個室に入り探りを入れようとする。

患者を調べようとしたギルバートは、入ってきたハーツに制止される。

アイリスから、患者がフロイでないかと言われたハーツは、尼僧は聴覚障害だが読唇術ができることを考え、食堂車で二人と話そうとする。

先に二人を行かせたハーツは、尼僧からバレた理由を訊かれ、誰かが裏切ったと言われる。

ある陰謀に関わるハーツは、余計な口出しはするなと尼僧に伝える。

食堂車で酒を注文すると尼僧に伝えたハーツは、ウェイターの一人が仲間だと伝えて薬を渡すよう指示する。

食堂車に向かったハーツは、アイリスとギルバートから話を聞き、ウェイターに酒を注文する。

ギルバートから、尼僧がハイヒールを履いていたことを知らされたハーツは、アイリスからは何かの陰謀だと言われる。

その様子を見ていたチャータースとカルディコットは、また列車を止められたら困ると考える。

貨物車でのドッポとのこともハーツに話したギルバートは、その場に現れた彼が、何事もなかったような顔をしているので不思議に思う。

ハーツは、ウェイターやチャータースとカルディコットも関わりたくない理由は理解できると言うギルバートに、老婦人を消す目的が分からないと伝える。

消えたのは事実だと話しながらギルバートは酒を飲み、ハーツは患者を調べることを約束し、アイリスにも酒を勧めて飲ませて、二人を客室に送る。

二人がハイヒールに気づいたことを尼僧に伝えたハーツは、心配ないと言ってアイリスとギルバートの元に向かう。

患者はフロイだったと伝えたハーツは、手術をするのは自分だと言って安心させるものの、二人に銃を向ける。

自分も陰謀を企む者の仲間だと言うハーツは、酒に混ぜた薬で暫く意識不明になると二人に伝える。

アイリスとギルバートは意識を失い、ハーツは部屋を出る。

意識を失ったフリをしていたギルバートは、動いていれば大丈夫だとアイリスに伝えて、窓から出て隣の部屋に向かう。

抵抗しない尼僧から、患者はフロイであり、指示を無視して酒に薬は入れてないと言われたギルバートは、聴覚障害ではなかった彼女と共に、患者がフロイだということを確認する。

ギルバートはフロイを助け、現れたクマーを拘束して患者に見せかけようとする。

ドッポの元に向かったハーツは、彼に報酬を渡す。

体操をするアイリスに、薬は入っていなかったことを知らせたギルバートは、彼女とフロイを再会させる。

アイリスとギルバートが眠っていることを確認したハーツは、停車に備える。

駅に着いたハーツは、救急車に運び込んだフロイがクマーであることに気づき、降りようとする尼僧を車両に戻し、ホームにいた職員と話をする。

車両を切り離したハーツは出発し、男爵夫人と共に裏切った尼僧を責める。

イギリス人なので同胞は殺せないと言う尼僧は、ハーツと男爵夫人が、アイリスとギルバートも殺す考えを知る。

悲鳴が聞こえたために外を確認したギルバートは、車両が切り離されていることに気づく。

フロイが何者なのか知ろうとするギルバートは、ただの家庭教師であり、誰かと間違えていると言われる。

アイリスとフロイと共に食堂車に向かったギルバートは、老婦人が拉致されたちと皆に伝えて、列車が切り離されていることを知らせる。

エリックやチャータースとカルディコットは、ギルバートとアイリスの話を信じようとせず、やがて列車は止まる。

森の中の車が見えたギルバートは、ハーツと男爵夫人がそれに近づく姿を確認し、フロイを拉致しようとしていると考える。

馬鹿げた話だと言うカルディコットに車両が切り離されているのを見せようとしたギルバートは、現れた痛めつけられた尼僧を介抱する。

チャータースは、信じるしかないとカルディコットに伝えて、何者かが車両に近づいてくる。

乗客に対する妨害工作を謝罪した当局の将校は、ギルバートに椅子で殴られて気を失う。

チャータースらは将校の話を信じたために、罠だと言うギルバートを非難する。

外で当局の者と話していたハーツは、将校が殴られたことをウェイターから知らされる。

話をつけてこようとしうたチャータースは、列車から降りようとしたところで手を撃たれてしまい、車内に戻り、ギルバートが正しかったことを認める。

当局の者達が近づいてくるため、将校の銃を手にしたギルバートは、警告して一人を撃つ。

銃撃戦が始まり、マーガレットはエリックが隠し持っていた銃を奪う。

それを受けっとったカルディコットは応戦する。

フロイから話があると言われたギルバートは、彼女とアイリスと共にその場を離れる。

列車から降りると言うフロイは、自分が死に、あなたたちが生き残った場合は、外務省のカレンダーに伝言を頼むとギルバートとアイリスに伝える。

スパイだったフロイは、ヨーロッパの二国間における協定の条件を暗号化した曲(ホテルで聴いた曲)を、ギルバートに覚えさせる。

ギルバートとアイリスに感謝したフロイは、互いの無事を祈り、窓から外に出て森の中に向かうものの、銃撃されて倒れる。

その様子を見守るアイリスとギルバートは、フロイが撃たれたかは分からなかった。

弾切れになった銃を持ったギルバートは、それで機関士を脅し列車を動かそうと考え、カルディコットと共に機関車両に向かう。

降伏しようとしたエリックは、白いハンカチを手にして車両から降りようとする、射殺されてしまう。

残りの弾が一発となったチャータースは諦めるが、列車が動き始める。

機関士が撃たれてしまい、ギルバートは何とか運転をしようとする。

目覚めた将校は、銃を奪ってチャータースらに向ける。

アイリスが将校の気を引く間に、尼僧がその場から離れる。

停車した車両から降りた尼僧は、分岐点で変換器を操作し、ギルバートは発車させる。

ギルバートとカルディコットは、脚を撃たれながら戻った尼僧を引き上げる。

追跡を諦めたハーツと男爵夫人は、走り去る列車を見つめる。

ギルバートは、フロイから教わった曲を繰り返し口笛で吹く。

船でドーバー海峡を渡り列車でロンドンに着いたギルバートは、曲を口ずさみながらアイリスと共に列車を降りる。

間に合ったと言いながらクリケットの試合を楽しみにするチャータースとカルディコットは、洪水のために試合が中止になったことを知りショックを受ける。

ギルバートから別れを告げられたアイリスは、迎えに来た婚約者のチャールズに気づき、タクシーに乗り隠れてしまう。

アイリスが結婚する気がないことを知ったギルバートは、タクシーに乗り彼女にキスする。

外務省。
カレンダーとの面会を待ちながら、アイリスと結婚について談笑するギルバートは、部屋に呼ばれるものの曲を忘れてしまう。

焦るギルバートは、部屋の中から聴こえるピアノで演奏される例の曲に気づく。

部屋に入ったギルバートとアイリスは、その場でピアノを弾いているフロイと再会する。


解説 評価 感想

★ヒッチコック登場場面
上映1時間32分、クライマックスのヴィクトリア駅、ホームを歩く、タバコをくわえた奇妙な頭の動きをする太った男性がアルフレッド・ヒッチコック
注意して観ていないと分からない。

*(簡略ストー リー)
ヨーロッパの小国バンドリカから西に向かう大陸横断列車が、雪山の駅で雪崩のために立ち往生する。
乗客らは駅に隣接するホテルで過ごし、家庭教師の老婦人フロイは、通りで演奏される曲に耳を傾ける。
イギリス人の旅行者アイリス・ヘンダーソンは、結婚を控えてロンドンに戻ろうとしていたが、上の階で騒ぐ音楽家の青年ギルバート揉め事を起こす。
翌日、出発できることになったアイリスは、テラスから落とされた植木鉢を後頭部に受けてしまい、フロイに気遣われながら列車に乗り込む。
フロイと親交を深めたアイリスは眠ってしまい、その後、目覚めるとフロイの姿がなかった。
戸惑うアイリスは、フロイと話した人までも彼女のことは知らないと言うために困惑する。
フロイを捜し始めたアイリスは、昨夜、揉めたギルバートだけが協力してくれる中、車両内を調べるのだが・・・。
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1936年に発表された、エセル・リナ・ホワイトのミステリー小説”The Wheel Spins”を基に製作された作品。

アルフレッド・ヒッチコックイギリス時代に監督した作品。

事件は架空の国”バンドリカ”の列車内で起きるのだが、登場人物はイギリス人が多く、そのお国柄である皮肉やユーモア・センスを活かした脚本と、アルフレッド・ヒッチコックの軽快な演出は冴え渡る。

国家が関わる陰謀に巻き込まれる人々を描く純粋なスパイ劇なのだが、諜報活動にはまったく相応しくない老婦人の活躍や、その”暗号”を音楽で伝えようとするアイデアなども素晴らしい。

また、当時の技術を駆使したミニチュア・セットの使い方なども興味深い。

表情や仕草などが少女のようであり、美しさも際立つヒロインを熱演するマーガレット・ロックウッド、国家犯罪が絡む陰謀にヒロインと共に勇敢に立ち向かう青年を愉快に演ずるマイケル・レッドグレイヴ、陰謀の黒幕である医師のポール・ルーカス、物語の鍵となるスパイだった老婦人を雰囲気ある演技で好演するメイ・ウィッティ、愛人(リンデン・トラヴァース)と共に旅をしながらスキャンダルを恐れる弁護士のセシル・パーカー、その後も同じ役柄で何作もに登場するクリケット愛好家”チャータースとカルディコット”を演ずるベイジル・ラドフォードノウントン・ウェイン、陰謀に加わる男爵夫人のメアリー・クレア、同じくマジシャンのフィリップ・リーヴァー、その妻セルマ・ヴァズ・ディアス、陰謀に加わるものの裏切りヒロインらに協力する尼僧のキャサリン・レイシー、包帯を巻かれた患者として列車に乗車して老婦人と入れ替わるジョセフィン・ウィルソン、ヒロインの友人グーギー・ウィザースとサリー・スチュワート、ホテルの支配人エミール・ボレオなどが共演している。


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