サイトアイコン That's Movie Talk!

マダムと泥棒 The Ladykillers (1955)

現金強奪を計画した5人の強盗が老婦人の部屋を借りたことから巻き起こる騒動を描く、監督アレクサンダー・マッケンドリック、主演アレック・ギネスケイティ・ジョンソンセシル・パーカーハーバート・ロムピーター・セラーズダニー・グリーン他共演のブラック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


コメディ


スタッフ キャスト ■
監督:アレクサンダー・マッケンドリック

製作:マイケル・バルコン
脚本:ウィリアム・ローズ
撮影:オットー・ヘラー
編集:ジャック・ハリス
音楽:トリストラム・キャリー

出演
マーカス教授:アレック・ギネス

ルイザ・アレキサンドラ・ウィルバーフォース:ケイティ・ジョンソン
クロード・コートニー少佐:セシル・パーカー
ルイ・ハーヴェイ:ハーバート・ロム
ハリー・ロビンソン:ピーター・セラーズ
警察署長:ジャック・ワーナー
”ワン・ラウンド”ローソン:ダニー・グリーン
マクドナルド巡査部長:フィリップ・ステイントン

イギリス 映画
配給
Rank Organisation(イギリス)
Continental Distributing(北米)
1955年製作 97分
公開
イギリス:1955年12月8日
北米: 1956年2月20日
日本:1957年12月24日


アカデミー賞 ■
第29回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ロンドンキングス・クロス
駅の近くに住む未亡人ルイザ・アレキサンドラ・ウィルバーフォース(ケイティ・ジョンソン)は、いつものように警察署に向い、警察署長(ジャック・ワーナー)を相手に話をする。

ウィルバーフォース夫人の”宇宙人に関する情報提供”に感謝して、署長は彼女を見送る。

一人住まいのウィルバーフォース夫人は、寂しさを紛らすため二階の部屋を貸すことを考え貸し部屋の広告を出していた。

その広告を見たマーカス教授(アレック・ギネス)は、夫人を訪ね家に招き入れられる。

空襲で家が傾いていると夫人に言われたマーカスだったが、部屋を見せてもらい気にいる。

明日にでも越して来たいというマーカスは、楽団の練習をしたいことを夫人に伝える。
...全てを見る(結末あり)

音楽好きな夫人はそれを大歓迎し、居間の使用まで許可しようとする。

夫人が飼っている”ゴードン将軍”他のオウムを確認したマーカスはその場を去る。

翌日、引っ越してきたマーカスを訪ねて、クロード・コートニー少佐(セシル・パーカー)、”ワン・ラウンド”ローソン(ダニー・グリーン)、ハリー・ロビンソン(ピーター・セラーズ)が現れる。

ウィルバーフォース夫人は三人を歓迎し、続いてルイ・ハーヴェイ(ハーバート・ロム)も現れてメンバーは揃う。

実は5人で強盗を計画していたマーカスは、レコードをかけて夫人には演奏を始めたと思わせて話し合いをする。

夫人にも強盗の片棒を担がせるつもりのマーカスは、彼女がお茶を持って現れたため、レコードを止めて演奏していたように見せかける。

プロの演奏家のようなメロディだったと言う夫人は、感心してその場を去る。

ルイは夫人を使うことに反対するが、マーカスはうまく利用すれば分け前もやらずに済むと言って多数決で決めようとする。

マーカスは夫人を使う多数意見を尊重するものの、ルイの不満は残る。

その後、現金輸送の下見に行ったマーカスを待つ4人は、お茶やコーヒーを出そうとして世話を焼き、手伝いまでさせる夫人にうんざりする。

オウムのゴードン将軍に薬を飲ませるのを手伝うことになったハリーは手を噛まれてしまう。

ゴードン将軍を捕えることになったハリーとローソンは騒ぎを起こす。

4人は外に逃げてしまったゴードン将軍を捕まえようとするが、戻ったマーカスが表のフェンスにいた将軍を連れて帰り騒ぎは収まる。

計画実行の日。
マーカス、ルイ、ローソンが現金輸送車を襲い、大金を奪って逃走する。

現金は駅に運ばれ、職員に扮したハリーが、それを到着荷物に紛れ込ませる。

現金が荷物として列車で運ばれると考えた警察は捜査を始める。

そこに現れたウィルバーフォース夫人は、マーカス宛てに届いた荷物を受け取る。

夫人を監視する役のクロードは、マーカスからの電話で指示を受ける。

一旦、駅から荷物を運び出した夫人の車が戻ってきてしまい、クロードは焦りそれをマーカスに伝える。

マーカスらも慌てるが、夫人は忘れた傘を取りに来ただけだった。

夫人の車を追ったマーカスらだったが、果物を食べられて馬を痛めつける男を注意するため彼女は車を降りる。

果物屋と夫人を乗せて来た運転手が揉めて大騒ぎになり警官が現れたため、マーカスらの車は警戒しながらその場を離れる。

その後、現場での騒動は収まり様子を見に行ったマーカスらは、荷物(現金)が警察署の前に置かれていたため驚いてしまう。

ウィルバーフォース夫人の家では、警察の車が現れたため待機していたクロードが慌てて裏口から逃げる。

警官は、夫人と荷物を家に送り届け、ハリーと出くわしたクロードはそれを知らされる。

二人を乗せたマーカスらは夫人の家に向かい、荷物を二階に運び現金を確認して満足する。

その日限りで部屋を空けることになっていたマーカスは、ウィルバーフォース夫人に別れを告げて4人と共に去ろうとする。

ところが、ローソンのチェロのケースのベルトが入り口のドアに挟まってしまう。

夫人にドアを開けてもらうようにと指示されたローソンは、ケースを強引に引っ張ったためにそれが開き、現金が入り口に散らばってしまう。

4人は慌ててそれを拾い集め、ドアを開けた夫人を家の中に戻す。

5人は車を出すが、現金を見られた夫人を始末することを考えて引き返す。

現金とケースに入っていなかったチェロのことを適当にごまかしたマーカスらだったが、そこに夫人の友人達が次々と現れる。

その一人が新聞を持参して、駅で起きた6万ポンド強奪事件のことを話したため、慌てるマーカスの様子で夫人は5人の犯行に気づく。

夫人は毅然とした態度でマーカスらに接し、友人の前で1時間だけは紳士でいるようにと伝えて居間に入れる。

友人達は帰り、今回の事件では保険金が下りるため損をする者はいないことを、夫人はマーカスから知らされる。

各自が不幸を抱えている身で仕方なく計画したという話を聞いた夫人だったが、強盗を正当化することはできないと伝える。

理解してもらえないマーカスらは、夫人も共犯だと言って困らせる。

夫人が首謀者であり、正体は大泥棒だと供述するとまでルイは言いだす。

困惑する夫人は、そこに現れたマクドナルド巡査部長(フィリップ・ステイントン)に対応するようマーカスに指示される。

署長の命令で訪れたマクドナルドは、昼間の騒ぎは解決したため、事情聴取は不要だということを夫人に伝える。

捜査ではないのに令状のことなどを言われたマクドナルドは、夫人の言葉を気にするものの追い払われる。

二度と警察には行かないようにと言われた夫人だったが、やはりこの件は正直に話さなければならないと心に決める。

マーカスらは夫人を殺すことを考えるもののいい案は見つからず、殺人の経験者ルイに任せることにするが彼は躊躇する。

あくまで警察に行くと言い張る夫人は、現金の入ったチェロのケース他を奥の部屋に入れて鍵をかける。

巨漢のローソンはそのドアを簡単に壊し、ルイはマッチ棒で夫人を殺す者を選ぶクジを作り皆に引かせる。

クロードが夫人を殺すことになり、オウムがいる居間ではだめだという彼は、夫人を二階に呼ぶよう指示する。

臆病なクロードは夫人を殺せるはずもなく、警察を呼んでくると言って窓から逃げてしまう。

クロードがチェロのケース(現金)を奪って逃げたことに気づいた4人は、屋根の上にいた彼を見つける。

ケースを奪われルイに追い詰められたクロードは、煙突から落下して命を落とす。

その後、ローソンが夫人は殺さないと言い出し、まずクロードの死体の始末をするべきだとマーカスが提案する。

動揺するローソンは当てにできないと考えたマーカスは、三人でけりをつけることをルイとハリーに伝える。

三人はクジを引き、ハリーが夫人を殺すことになる。

荷車にクロードの死体を積んだマーカスとローソンは、その始末に向かう。

ハリーは居間で眠っていた夫人を殺すことができず、チェロのケースを持って逃げる。

クロードの死体を通過する列車に落下させたローソンは、マーカスが自分を除け者にしようとしていることに気づき、夫人の危険を察して家に戻る。

熟睡している夫人が死んでいるものと思い込んだローソンは、逃げたハリーを追いかけてなぐり殺してしまう。

ローソンは目覚めた夫人が生きていたことに驚き、外にあるケースを元に戻すよう彼女に指示される。

ハリーを殺してしまったことをマーカスとルイに知らせたローソンは、死体の始末を拒んで居間に向かう。

ハリーの死体を通過する列車に落下させたマーカスとルイは、現れたローソンに銃を向けられる。

二人を撃とうとしたローソンだったが、銃の安全装置を外さなかったために発砲できず、ルイに殺されてしまう。

マーカスとルイはローソンの死体を始末するものの、二人は殺し合いを始める。

ルイは梯子を下りようとしたところを、固定個所をマーカスに外されて落下死する。

それを確認したマーカスだったが、腕木式信号機が作動して頭を直撃し、彼も落下死する。

その後、いつものように警察署に向かったウィルバーフォース夫人は、マクドナルドに今回の強盗計画のことを話す。

自分が大泥棒などではないことを説明する夫人は、署に戻った署長から部下に全て話すようにと言われる。

現金は家にあるのに強盗達が消えてしまったと夫人は話す。

警官に宇宙船で消え去ったのかと聞かれ、作り話か正気を失っていると思われた夫人は気分を害する。

夫人を落ち着かせるマクドナルドは、この話は他言せずに忘れてほしいことを伝え、現金はそのままにしていてほしいと言って彼女を説得する。

マーカスに言われた保険の話を思い出し、現金を返せば揉め事も起きると考えた夫人は、マクドナルドに見送られて家に向かおうとする。

マクドナルドに引き留められた夫人は、いつも忘れる傘を渡されるが、新しいものを買うと言って立ち去る。

路上の貧しい絵描きに大金である紙幣を渡した夫人は、何事もなかったような表情で自宅に向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ロンドンキングス・クロス
駅の近くに住む未亡人ウィルバーフォースは、一人暮らしの寂しさから二階の部屋を貸すことを考える。
広告を見たマーカス教授が部屋を借りることになり、楽団の練習をしたいと言う彼を夫人は歓迎する。
楽団のメンバー、クロード、ルイ、ハリー、ローソンらが集まるのだが、マーカスら5人は実は現金強奪を考えていたのだった。
計画に利用されることも知らずに、夫人は5人の世話を焼く。
そして計画は実行され、5人は現金6万ポンドを奪うことに成功する。
現金は駅の到着荷物として持ち込まれ、夫人はマーカスの荷物だと言われてそれを受け取りに行く。
ちょっとした騒動も収まり何んとか現金を手に入れた5人だったが、夫人に犯行を知られてしまう。
5人は逃亡前に、仕方なく夫人を殺すことを考えるのだが・・・。
__________

コーエン兄弟により、「レディ・キラーズ」(2004)がトム・ハンクス主演でリメイクされた。

イギリス人の国民性を見事に描写したブラック・ユーモア満載の楽しい作品で、大強盗を計画する5人の強盗の間抜け度合いも実に可笑しい快作に仕上がっている。

出演者の個性も生かす、軽快でテンポの良いアレクサンダー・マッケンドリックの演出が見所の作品。

第29回アカデミー賞では、脚本賞にノミネートされた。

強盗や死体の始末に最適であるという、キングス・クロス駅の脇の家が舞台という設定が、古風な犯罪コメディに効果抜群であるところにも注目したい。

”教授”ということで登場するが、異様な容姿の強盗のリーダーを怪演するアレック・ギネス、周囲とは違う次元で生きている雰囲気である、出色の演技を見せる老婦人ケイティ・ジョンソン、強盗一味で、臆病なセシル・パーカー、殺し屋ハーバート・ロム、撮影当時まだ20代のピーター・セラーズ、巨漢ダニー・グリーン、警察署長ジャック・ワーナー、巡査部長フィリップ・ステイントンなどが共演している。


モバイルバージョンを終了