ルドルフ・シュハンザーとアーネスト・ウェリッシュのオペレッタ”Die Frau im Hermelin”を基に製作された作品。 エルンスト・ルビッチの遺作となった作品であり、オットー・プレミンジャーが引き継いだ。 主演ベティ・グレイブル、ダグラス・フェアバンクスJr.、シーザー・ロメロ、ハリー・ダベンポート他共演によるミュージカル・コメディの名作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督
エルンスト・ルビッチ
オットー・プレミンジャー
原案
ルドルフ・シュハンザー
アーネスト・ウェリッシュ
製作:エルンスト・ルビッチ
脚本:サムソン・ラファエルソン
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演
フランチェスカ/アンジェリーナ:ベティ・グレイブル
大公/ラディスラウス・カロリイ・テグラシュ大佐:ダグラス・フェアバンクスJr.
マリオ男爵:シーザー・ロメロ
ルイージ:ハリー・ダベンポート
ベンヴェヌート/ホーヴァス少佐:ウォルター・エイベル
アルベルト:レジナルド・ガーディナー
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1948年製作 89分
公開
北米:1948年8月24日
日本:未公開
製作費 $2,484,000
北米興行収入 $1,414,000
■ アカデミー賞 ■
第21回アカデミー賞
・ノミネート
歌曲賞”This Is the Moment”
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1861年、ヨーロッパ南東のベルガモ公国。
城内に多くの肖像画が飾られる中、300年前の女伯爵”アーミン毛皮の貴婦人”と呼ばれたフランチェスカが、現在の伯爵アンジェリーナ(ベティ・グレイブル)の、明日に控える結婚式を心待ちにしていた。
そして、”アーミン毛皮の貴婦人”から6代目のベルガモの君主アンジェリーナは、幼馴染みのマリオ男爵(シーザー・ロメロ)と結婚式を挙げる。
男爵でありながら、王家の婿になることを気にするマリオだった。
その時、敵国ハンガリーが城に近づき、執事のルイージ(ハリー・ダベンポート)が、それをアンジェリーナとマリオに知らせる。
マリオは、攻めてくる敵からアンジェリーナを守ろうとするが、彼女は軍を率い戻る夫を待つと言って彼を送り出す。 その夜、ベルガモと城の危機を知った、肖像画の歴代の城主達が現実に飛び出し、フランチェスカを中心に対策を考える。 城を占領した、ハンガリー軍騎兵団指揮官ラディスラウス・カロリイ・テグラシュ大佐(ダグラス・フェアバンクスJr.)は、フランチェスカの肖像画が気になり、自分に微笑みかけたようにも見えてしまう。 翌朝、アンジェリーナは、テグラシュと副官ホーヴァス少佐(ウォルター・エイベル)に挨拶し、彼女は拘束されることになる。 さらに、結婚初夜に攻め入り、夫が城を出たことなどを立ち入って聞かれたアンジェリーナは心を痛める。 テグラシュは、アンジェリーナを気遣いながらも、肖像画のフランチェスカに恋をしてしまったことを告げ、微笑みかけるような絵が、自分を好いているのではないかとも伝える。 やがて、フランチェスカと瓜二つの、アンジェリーナに惹かれてしまったテグラシュは、彼女のことをルイージに尋ねる。 ルイージは、それがフランチェスカのことだと思い、300年前に、ベルガモがラベンナ大公(ダグラス・フェアバンクスJr.)に占拠された時のことを話し始める。 冷酷なラベンナ大公は、副官ベンヴェヌート(ウォルター・エイベル)をどやしつけながら、たいくつな日々を過ごしていた。 大公に、国民に対しての慈悲を請う、君主アルベルト(レジナルド・ガーディナー)の努力が無駄足に終わり、フランチェスカが代わりに大公の元に向かう。 大公が自分を無視したため、フランチェスカは憤慨し彼を追うが、暫くして大公は、ベルガモの民を自由にする命令をベンヴェヌートに出す。 しかし、弱々しく倒れる大公の背中には剣が刺さっていた。 ルイージは、フランチェスカが自分に恋した大公を刺し殺したということを最後に付け加える。 その夜、ロマの一団に紛れ込み、マリオがアンジェリーナの元に戻ってくる。 アンジェリーナは、不快な男テグラシュが気に障り、夜も眠れないことをマリオに告げる。 軍を率いて城に戻るよう、マリオに頼んだアンジェリーナだったが、テグラシュが就寝の挨拶に現れる。 隠れていたマリオはそれを聞いて憤慨するが、テグラシュの部下が現れたので姿を消す。 翌朝、マリオはテグラシュの元に連行されてしまい、見事なヴァイオリンの演奏を披露し気に入られる。 現れたアンジェリーナに、言い寄ろうとするテグラシュは、マリオに手相を見させ、彼は再びテグラシュのご機嫌をとる。 しかし、テグラシュは、マリオがアンジェリーナの夫ということを見抜いていた。 マリオを見逃してくれと願うアンジェリーナを、テグラシュは強引に食事に誘い、彼女に300年前と同じアーミンのコートを身に着けるよう強要して、マリオを逃がすことを約束する。 しかし、アンジェリーナは約束の9時を過ぎても現れず、テグラシュは眠ってしまう。 時計の針は12時を指し、肖像画から現れたフランチェスカが、時間を9時に戻した夢をテグラシュに見せて、彼女はアンジェリーナに扮する。 時計は9時に戻り、テグラシュは現れたアンジェリーナ(フランチェスカ)の美しさに息を呑む。 二人は歌い踊り、満ち足りた時を過ごし、テグラシュは、正に”夢見心地”でアンジェリーナに愛を語る。 翌朝、テグラシュはいつになく上機嫌で目覚め、何も知らないアンジェリーナを迎える。 しかし、テグラシュは部屋の様子が昨晩と違うことで、自分が夢を見ていたことに気づく。 冷静になったテグラシュは、それでもマリオを解放し、アンジェリーナに素晴らしい思い出となった夢のことを語り、ホーヴァスに城から撤収することを命ずる。 テグラシュから別れを告げられたアンジェリーナは、潔く高貴な彼の姿に涙し、戻ったマリオにテグラシュの見た夢のことを話す。 肖像画が微笑んだというメイドの叫び声に対し、ルイージは、歴史が繰り返され城は救われるが、優しいテグラシュは殺されずに済んだことを喜ぶ。 それを聞いたマリオは、敵に助けられたことでプライドが傷つけられ憤慨する。 その後、以前と違うテグラシュを気遣うホーヴァスは、彼の心情を察し、アンジェリーナを呼び寄せる。 眠っていたテグラシュは、夢の中でアンジェリーナとテーブルの上でダンスを踊っていたが、彼女に背中を刺されてしまう。 目が覚めたテグラシュは、部屋にアンジェリーナがいるのに気づき夢かを確かめる。 それが現実だと知ったテグラシュは、マリオと別れたアンジェリーナから求婚され、それを承諾する。 城では、歴代の城主達も、二人の未来を祝福していた。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
ヨーロッパ南東。
ベルガモ公国の君主アンジェリーナは、幼馴染みの男爵マリオと結婚式を挙げる。
アンジェリーナは、その直後に敵国ハンガリーが攻め入ったため、軍の支援を得るためマリオを旅立たせる。
その後、城はの騎兵団に占拠され、指揮官のテグラシュ大佐はアンジェリーナを拘束する。
深夜、城内では、歴代の城主が肖像がから抜け出し、軍への抵抗を検討する。
しかしテグラシュは、300年前の城主”アーミン毛皮の貴婦人”フランチェスカに惹かれ、やがて、彼女と瓜二つのアンジェリーナに心奪われてしまうのだが・・・。
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エルンスト・ルビッチが、人気絶頂のベティ・レイブルを起用した、絢爛豪華なセットと巨大な肖像画、そして彼女の見事な衣装と美しさがカラー映像に映える、見応え十分な娯楽作品だ。
エルンスト・ルビッチは、順調に進行していた撮影半ばに、55歳の若さで心臓発作で亡くなり、その後をオットー・プレミンジャーが引き継ぎ完成された作品でもある。
エルンスト・ルビッチに敬意を表して、監督のクレジットは彼の単独となり、撮影はレオン・シャムロイ、音楽はアルフレッド・ニューマンという、スタッフも豪華な顔ぶれとなっている。
第21回アカデミー賞では、主題歌の”This Is the oment”が、歌曲賞にノミネートされた。
残念ながら日本では劇場未公開で、ソフト化もされていない。
公国君主、伯爵夫人として登場するベティ・グレイブルは、清楚な貴婦人を演じているが、気丈で強引な一面も見せる彼女らしい演技と、歌や踊りなども披露して楽しませてくれる。
粗暴な指揮官かと思いきや、高潔な人柄が部下からも慕われるダグラス・フェアバンクスJr.の、品格漂う見事な演技も見ものだ。
見かけは逞しく貫禄もあるが、三枚目に徹する男爵シーザー・ロメロ、全てを悟る執事役で、いい味を出しているハリー・ダベンポート、こちらも副官として存在感を発揮するウォルター・エイベル、300年前の城主レジナルド・ガーディナーなどが共演している。