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クランスマン The Klansman (1974)

白人至上主義者による差別がはびこるアメリカ南部の町の治安を維持する保安官の戦いを描く、監督テレンス・ヤング、主演リー・マーヴィンリチャード・バートンキャメロン・ミッチェルO・J・シンプソンデヴィッド・ハドルストンリンダ・エヴァンスルチアナ・パルッツィ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:テレンス・ヤング

製作:ウィリアム・D・アレクサンダー
原作:ウィリアム・ブラッドフォード・ヒューイ”The Klansman”
脚本
ミラード・カウフマン
サミュエル・フラー
撮影:ロイド・エイハーン
編集:ジーン・ミルフォード
音楽
ステュー・ガードナー
デイル・O・ウォーレン

出演
トラック・バスコム保安官:リー・マーヴィン
ブレック・スタンシル:リチャード・バートン
バット・カット・ケイツ:キャメロン・ミッチェル
ガース:O・J・シンプソン
ロレッタ・サイクス:ロラ・ファラナ
ハーディ・リドル町長:デヴィッド・ハドルストン
ナンシー・ポティート:リンダ・エヴァンス
トリクシー:ルチアナ・パルッツィ
フラッグ:デヴィッド・ラッド
ヴァーノン・ホード:ジョン・アルダーソン
タガート:ジョン・ピアース
ジョンソン:ヴァージル・フライ
アラン・バスコム:ウェンデル・ウェルマン
ライトニング・ロッド:ラリー・ウィリアムズ

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1974年製作 112分
公開
北米:1974年11月13日
日本:1977年2月5日
製作費 $5,000,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
アメリカ南部。
人種差別がはびこる町の治安を守る保安官トラック・バスコム(リー・マーヴィン)は、日々起こる事件に対処していた。

黒人女性を暴行しようとしていた白人らを制止したバスコムは、妻ナンシー・ポティート(リンダ・エヴァンス)に車を乗って行かれたと言うボビーを途中まで乗せていく。

山に住む脚が悪い退役軍人で、人種問題では中立派のブレック・スタンシル(リチャード・バートン)を訪ねたバスコムは、公民権運動で集まる者たちをキャンプさせる件を尋ねる。

ブレックは、デモを応援する気はないが、中立な立場を示しているだけだとバスコムに伝える。

ナンシーと街道を車で走っていたビリーは、エンジンが故障してしまい停車する。

町でレッカーを手配しようとしたビリーは車を降り、その場で待とうとしたナンシーは何者かに襲われる。
...全てを見る(結末あり)

集会を開いていた、白人至上主義者で製材会社の社長でもあるハーディ・リドル町長(デヴィッド・ハドルストン)は、公民権運動デモは勝手にやらせる方針を皆に伝える。

しかし、保安官補のバット・カット・ケイツ(キャメロン・ミッチェル)やタガート(ジョン・ピアース)らは、デモを阻止することを考える。

責任者であるリドルは、誰も殺さないことと教会は破壊しないことを皆に約束させる。

よそ者に黒人を誘惑させるわけにはいかないと言うリドルは、十字架を焼くことや活動家を牽制することも許す。

そこにバスコムから電話が入り、リドルはナンシーが黒人にレイプされたことを知り、フラッグ(デヴィッド・ラッド)らは黒人のウィリー・ワシントンが犯人だと決めつける。

バーに向かったバスコムは、ウィリーに逮捕状を見せて逮捕しようとするが、ガース(O・J・シンプソン)らが手を貸して抵抗する。

ウィリーを観念させたバスコムは彼を連行しようとするが、フラッグらが現れる。

バスコムにウィリーの引き渡しを要求したフラッグらは、相手にされずに諦める。

帰り道にガースとヘンリーを見つけたフラッグらは、銃を持って2人を追う。

撃たれたヘンリーは転倒し、痛めつけられて射殺される。

警察署の職員である恋人のトリクシー(ルチアナ・パルッツィ)とベッドを共にしていたブレックは、銃声を気にする彼女から、結婚のことを訊かれる。

結婚に興味がないブレックは、黒人活動家のロレッタ・サイクス(ロラ・ファラナ)が戻ってくることを気にするトリクシーに、祖母に会いに来るだけだと伝える。

トリクシーは、かつてブレックと付き合っていたロレッタが、デモに参加しに来ることが噂になっていると話し、銃声のことを気にする。

翌日、町の床屋に行ったブレックは、ヘンリーの死体が発見されたというリドルやバットらの話を聞きながら、”KKK”の貼り紙を外して丸めて捨てる。

バットは、そんなブレックの態度に苛立ちながら署に向かう。

バスコムは、牢屋に入れたウィリーから、犯人はヘンリーだと言う話を聞く。

そこにバットが現れ、貼り紙を捨てたブレックのことをバスコムに話す。

トリクシーは、元海軍のブレックは脅しても怯まないとバットに伝える。

バスコムも、自分には仲間がいると言うバットに、ブレックに手を出すことは許さないと警告する。

バスコムは、バス停にいたブレックがロレッタを迎えに来たことを知る。

デモのことなどをロレッタと話すブレックは、危険かもしれないと伝える。

ロレッタは、ここに来たのは祖母とあなたのことが気になったからだとブレックに伝える。

祖母の家に着いたロレッタは、山にいる活動家のペックと牧師のジョシュと話す。

ブレックの話をしたロレッタは、教会の分離に反対した彼の曽祖父が吊るされた木の前で、それが原因でブレックが酒浸りになったと2人に伝える。

ペックからデモの話を聞いたロレッタは協力を求められ、参加はすると伝える。

その夜、KKKに扮したガースは、仲間と共にヘンリーを殺したジョンソン(ヴァージル・フライ)を射殺する。

事件の取材をする記者たちは、バスコムに相手にされないために、トリクシーと話をする。

ナンシーの事件による誹謗中傷に耐えられないボビーは、独りで町を去ることをバスコムに伝える。

日曜日の教会のミサに出席したナンシーは、その場の人々に軽蔑され、KKKに属する牧師に追い払われそうになる。

自分は何も悪いことをしていないと言って、皆を非難して興奮するナンシーは、気遣ってくれるバスコムと彼の息子アラン(ウェンデル・ウェルマン)と共にその場を去る。

ブレックにナンシーの件を話したバスコムは、レイプされたにも拘わらず、彼女が人前に出て皆を動揺させていることを問題視する。

ナンシーの世話を任されたブレックは戸惑うが、バスコムの頼みを聞き入れて彼女を家に迎える。

その件でリドルに呼び出されたバスコムは、今回のことを非難する彼から、黒人を排除して白人の町にしたいと言われ、ナンシーの件を何とかしなければ大きな問題になると忠告される。

トリクシーは、ブレックの取材ができない記者たちに協力を求められるものの、相手にしない。

ジョンソンの葬儀が行われ、白人至上主義者らも参列する中、ガースがタガート(ジョン・ピアース)を射殺し、その場は混乱する。

バットは、山にいる活動家の仕業だと考える。

仲間のジェスから、ヘンリーと共に逃げたガースが犯人だと言われたバットは、彼がロレッタと一緒にいるはずだと考える。

その夜、ロレッタの元に向かったバットらは、ガースがいないことを確認して、活動家と話したことを非難し彼女を連れて行く。

ブレックを食事に招待していたバスコムは、リドルからの電話を受ける。

バスコムは、KKKの貼り紙を剥がしてしることをアランに確認する。

アランから、リドルが協力してくれている”ウエストポイント”に進学する気はないと言われたバスコムは、彼が林業をしたいことを知る。

ブレックと話したバスコムは、40人のKKKの支配下で、1万6000人の住民が自由を脅かされていると言われ、国内には6000支部があり50万人が活動していると伝える。

危険な身であるために、守りたいからこそ心配だと言うバスコムは、ブレックから自分もKKKかと訊かれ、それを否定して話題を変える。

バットらと共にロレッタを製材所に連れて行ったヴァーノン・ホード(ジョン・アルダーソン)は、黒人に黒人を痛めつけさせるべきだと意見する。

自分がやると言うバットは、ロレッタを暴行する。

匿名の通報で製材所に向かったバスコムは、傷ついたロレッタと取引し、トラブルを避けるために、黒人に痛めつけれた話にすることに同意させて病院に向かう。

病院に駆けつけたブレックは、祖母のことを気にするロレッタに、トリクシーが世話をしていると伝える。

これ以上、活動はしたくないと言うロレッタは、バスコムと取引したことをブレックに話し、身の安全を考えた彼の考えに従うよう指示される。

翌日からデモが始まり、バットを謹慎処分にしたバスコムは、騒ぎが起きないように監視する。

ブレックと話したジョシュは、ロレッタの件で責任を感じて謝罪し、真実を話すよう彼女を説得してほしいと言われるものの、その気にはなれなかった。

ブレックから、ロレッタを家に送ると言われたバスコムは、彼が真実を知っていると考える。

デモを止めさせろとバスコムに伝えたフラッグは、無視されたために活動家の元に向かう。

その様子を見ていたガースは、フラッグを狙撃する。

ブレックに送ってもらったロレッタは、自分と同じ悲劇を繰り返さないようにするための活動をすることを伝える。

車に隠れていたガースは、ブレックに銃を向けて停車させる。

ガースは、戦う意思のないブレックとロレッタを非難してその場を去る。

家に戻ったブレックは、愛犬が殺されたことをナンシーから知らされ、動揺する彼女を気遣い抱きしめる。

警察署に向かったバットらは、バスコムに銃を向けてウィリーを連れ出そうとする。

そこにジェフの妻が現れ、事件の夜にウィリーといたことを皆に話す。

激怒したジェフは妻を殴り、それを制止したバスコムは、彼らをバーに向かわせる。

犯人の疑いがあるライトニング・ロッド(ラリー・ウィリアムズ)の家に向かったバスコムは、その場にいたガースに事件の夜のことを尋ね、KKKに疑われているので町を出るよう指示する。

ガースは、バスコムに銃を向けながらその場を去る。

ブレックと話をしたナンシーは、自分と結婚するつもりの彼に、今はその気になれないので、旅から戻ってくるまで待ってほしいと伝える。

行き先を訊かれたナンシーは分からないと答えて、ブレックと共にバスターミナルに向かう。

その場にいたバットがナンシーを侮辱したため、ブレックは彼を叩きのめす。

ブレックは、ナンシーをバスに乗せて別れを告げる。

リドルに呼ばれたブレックは、町の男たちが自分を殺す気なので、町を去るようにと言われるものの、話を聞き入れなかった。

アランからウエストポイントに行く気になったと言われたバスコムは、本気で林業をやりたいのなら協力すると伝える。

そこにリドルから電話が入り、ブレックの山で問題が起きそうだと知らされる。

その場に向かおうとしたバスコムは、同行すると言うアランに家に帰るよう指示して、機関銃を持って出かける。

ブレックの危険を知ったトリクシーは、アランと共に山に向かう。

ロレッタや黒人たちと共に襲撃に備えるブレックは、現れたバスコムから、協力する者はいないが、何かあれば対処はすると言われ、町を出ると伝える。

アランと共に到着したトリクシーは、ブレックの無謀な行為を止めさせようとする。

KKKの合図と共に警戒したバスコムは、アランに銃を渡して戦いに備える。

十字架に火を放ったKKKが現れ、バスコムは、ブレックが町を去ることを彼らに伝える。

バスコムは、ロレッタの暴行容疑で逮捕することをバットに伝え、他の者もKKKとして逮捕すると警告する。

バットが発砲してバスコムは反撃し、銃撃戦が始まる。

受弾を受けたブレックは倒れ、トリクシーとロレッタが駆け寄る。

銃を手にしたロレッタは、KKKを射殺する。

バスコムは、その場にいたガースに気づくものの彼を見逃す。

銃弾を受けていたバスコムは、それを気にするアランに大丈夫だと伝えて、生存者を確認するよう指示する。

ジェスを射殺しようとしたガースは、バスコムに銃を向けられるものの引き金を引く。

ブレックの死を確認したバスコムは、無線で応援を要請する。

バスコムは、瀕死のバットに背後から銃撃され、アランが駆け寄る。

ガースはその場を去り、ロレッタは、もう必要ないと言って縛り首の木に火を放つ。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
アメリカ南部。
人種差別がはびこる町の治安を守る保安官トラック・バスコムは、公民権運動のデモが行われるために、白人至上主義者の動きと共に双方を監視していた。
差別問題には中立的な山を管理するブレックが、デモに参加する活動家や黒人たちに土地を提供しているため、バスコムは彼にも警戒させる。
そんな時、白人のナンシーが黒人にレイプされる事件が起き、バスコムは、黒人を標的にする”KKK”の動きを察知するのだが・・・。
__________

1965年に発表された、ウィリアム・ブラッドフォード・ヒューイの小説”The Klansman”を基に製作された作品。

アメリカ最大の社会問題と言っていい人種差別を扱った作品であり、白人至上主義を徹底させようとする勢力と、それに抵抗する黒人と活動家、そして、その狭間で苦悩しながら治安を守る保安官の戦いを描くドラマ。

007シリーズ”で知られるテレンス・ヤングが監督し、人気スターのリー・マーヴィンリチャード・バートンが共演し、魅力的な脇役陣なども話題になった作品。

しかし、テレンス・ヤングの演出にいまいち切れもなく、ストーリーに新鮮味も欠ける内容であり、評価は低かった作品でもある。

主演のリー・マーヴィンは、支配する側の白人に気を遣いながらも弱者にも手を差し伸べ、何とか町の治安を守ろうとする保安官を熱演し、山を管理する中立派を演ずるリチャード・バートンも、考えがぶれない元軍人を好演している。

KKKに属する保安官補キャメロン・ミッチェル、友人を白人に殺されて復讐鬼となる黒人青年O・J・シンプソン、活動家に協力しようとする黒人女性ロラ・ファラナKKKの影のリーダーでもある町長のデヴィッド・ハドルストン、レイプされる白人女性リンダ・エヴァンス、警察の署員であるブレック(リチャード・バートン)の恋人ルチアナ・パルッツィKKKデヴィッド・ラッドジョン・アルダーソンジョン・ピアースヴァージル・フライ、主人公の息子ウェンデル・ウェルマン、黒人青年のラリー・ウィリアムズなどが共演している。


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