医療ミスで死亡させた患者の息子に翻弄される心臓外科医家族に迫る恐怖を描く、製作、監督、脚本ヨルゴス・ランティモス、主演コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、バリー・コーガン、ラフィー・キャシディ、サニー・スリッチ、アリシア・シルヴァーストーン、ビル・キャンプ他共演の心理スリラー。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ヨルゴス・ランティモス
製作
エド・ギニー
ヨルゴス・ランティモス
製作総指揮
アンドリュー・ロウ
ダニエル・バトセク
サム・ラヴェンダー
デヴィッド・コス
ニッキー・ハッティング
アミット・パンディヤ
アン・シーアン
ピーター・ワトソン
マリー=ガブリエル・スチュワート
脚本
ヨルゴス・ランティモス
エフティミス・フィリップ
撮影:ティミオス・バカタキス
編集:ヨルゴス・モヴロプサリディス
出演
スティーヴン・マーフィ:コリン・ファレル
アナ・マーフィ:ニコール・キッドマン
マーティン・ラング:バリー・コーガン
キム・マーフィ:ラフィー・キャシディ
ボブ・マーフィ:サニー・スリッチ
ラング夫人:アリシア・シルヴァーストーン
マシュー:ビル・キャンプ
イギリス/アイルランド 映画
配給
Curzon Artificial Eye(イギリス)
A24(北米)
2017年製作 121分
公開
イギリス:2017年11月3日
北米:2017年10月20日
日本:2018年3月3日
製作費 $6,100,000
北米興行収入 $2,291,900
世界 $7,027,340
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
オハイオ州、シンシナティ。
心臓外科医のスティーヴン・マーフィ(コリン・ファレル)は、手術を終える。
友人で麻酔科医のマシュー(ビル・キャンプ)と腕時計の話をしたスティーヴンは、病院を出てダイナーに向う。
スティーヴンは、ティーンエイジャーの少年マーティン・ラング(バリー・コーガン)に会う。
マーティンと話をしたスティーヴンは、彼に腕時計をプレゼントして感謝される。
帰宅したスティーヴンは、眼科医の妻アナ(ニコール・キッドマン)、娘のキム(ラフィー・キャシディ)、息子ボブ(サニー・スリッチ)と共に食事をする。
その後、ベッドに横たわったアナは、スティーヴンが望む全身麻酔にかかったフリをして彼と愛し合う。 翌日スティーヴンは、連絡せずに病院に来たマーティンに注意し、腕時計のお礼と交換したベルトを見せたかったことを知る。 次から必ず電話をするようにと言われたマーティンは、スティーヴンに話しかけて来たマシューの時計を見て、自分と同じものだと気づく。 マーティンをマシューに紹介したスティーヴンは、娘の友人で医師志望であるため、医療現場の見学を勧めたと伝える。 マシューに挨拶したマーティンは、スティーヴンから電話をすると言われてその場を去る。 スティーヴンから家に招待されたマーティンは、マーフィ家に向かう。 アナに挨拶して子供たちを紹介されたマーティンは、それぞれにプレゼントを渡す。 キムとボブと三人で話をしたマーティンはタバコを吸い、彼女と散歩することになる。 キムに歌を歌ってもらい家に戻ったマーティンは、スティーヴンから泊るようにと言われるものの、母が待っていると伝える。 その夜、マーティンのことをスティーヴンに尋ねたアナは、父親の死因は電柱に激突した事故で即死であり、患者だったことを知る。 マーティンから電話を受けたスティーヴンは、お礼を言われお返しに夕食に招かれる。 マーティンと母親(アリシア・シルヴァーストーン)に歓迎され食事をしたスティーヴンは帰ろうとするが、三人で映画を観ることになる。 先にマーティンが眠ったために、映画を観ながら母親と話をしたスティーヴンは、手がきれいだと言われて褒められる。 手に触れさせてもらった母親はスティーヴンに迫り、それを拒んだ彼はその場を去る。 数日後の朝、病院のオフィスに向かったスティーヴンは、マーティンがいたために驚く。 胸が痛いと言うマーティンは、父親も同じように苦しんだことをスティーヴンに伝える。 仕方なく検査をしたスティーヴンは、その日もマーティンに夕食に誘われ、母親が惹かれていると言う彼に、自分は既婚者なので交際はあり得ないと伝える。 愛する家族と幸せに暮らしていると言うスティーヴンは、検査では問題なく健康体だが、禁煙するようにとマーティンに伝える。 その後スティーヴンは、頻繁に連絡してくるマーティンを煩わしく思う。 マシューとバーベキューをしていたスティーヴンは、昨日マーティンを病院の駐車場で見たと言われ、自分の車のスペースにいたことを知る。 その夜、歌の練習から帰ったキムは、マーティンに出くわしてバイクで送ってもらったことをスティーヴンに話す。 外にいたマーティンは、スティーヴンからの電話を無視する。 翌朝、起きて来ないボブの様子を見に行ったスティーヴンは、彼から脚の感覚がないと言われ、アナと共に病院に連れて行く。 検査の結果、異状ないことが分かったボスは歩けるようになり、キムと共に家に向かおうとするものの、その場で倒れてしまう。 再び精密検査をしたボブは異常なしと診断され、学校のテストを気にしていることが原因かとも思われ、その日は入院して様子を見ることになる。 その頃キムは、ヘルメットも被らずにマーティンのバイクに乗っていた。 帰宅したキムは、友人の家に居たことをアナに伝え、ボブの様態を訊く。 翌朝、アナと共にボブの病室に向かったスティーヴンは、その場にいたマーティンから話があると言われる。 病院のカフェでスティーヴンと話したマーティンは、アーミーナイフをプレゼントし、今後、最悪のことが起きると伝える。 マーティンは、自分の家族を一人殺されたので、あなたが家族の一人を殺す必要があり、実行しなければ皆が病気で死ぬとスティーヴンに伝える。 そうすれば自分は助かると言われたスティーヴンは、従わなければ、麻痺、食欲不振、目の出血、そして死に至ると言われたため、警備員を呼び正気と思えないマーティンを追い払う。 ボブの様子を見に行ったスティーヴンは、食欲がないと言う彼に、無理矢理ドーナツを食べさせようとしてアナに制止される。 今食べなければ寝たきりになると伝えたスティーヴンは、全部食べさせることをアナに指示してその場を去る。 マーティンを家に招き過ごしていたキムは、服を脱ぎベッドに横たわる。 帰ろうとしたマーティンは、キムから愛していると言われるものの、何も語らずに立ち去る。 その後もボブの検査を続けたスティーヴンだったが、異常は見つからなかった。 ボブと秘密を告白し合ったスティーヴンは、何もないと言う彼に、仮病なら話すようにと伝える。 それを否定されたスティーヴンは、翌朝、心理的疾患だと言っていたアナの考えに賛成する。 心配いらないと言うアナは、家族で乗り越えるべきだとスティーヴンに伝える。 その後、聖歌隊のメンバーだったキムは、リハーサル中に倒れてしまう。 足の感覚がなくなったキムもボブの部屋に運ばれ、何も食べることができなくなる。 マーティンの家に向かったスティーヴンは、応答がないために苛立つ。 アナとマーティンのことを話したスティーヴンは、心を病んでいる彼の精神に問題があるので、用心し警察にも相談すると伝える。 少量だが酒を飲んでマーティンの父親の手術をしたため、それが原因で死亡したと考えるスティーヴンは、罪悪感から彼に金を渡していたことをアナに話す。 マーティンから電話を受けたキムは、駐車場にいる彼を確認するために起き上がり、立って窓に向かい話しながら手を振るものの誰も見えない。 電話を切ったキムはベッドに戻り、再び脚が麻痺する。 自分も立つと言うボブがベッドから落ちたために、彼を戻したアナは、マーティンから電話を受けたキムに話すことを禁ずる。 口答えしたキムを叱ったアナは、彼女の携帯電話を取り上げる。 キムから次は自分だと言われたアナは動揺し、専門医を呼んだことをスティーヴンから知らされ、帰って休むよう指示される。 マーティンの家を訪ねたアナは彼と話し、スティーヴンが父親を死亡させた後、母親と惹かれ合う仲になったことを知る。 スティーヴンの過失で自分まで苦しまなければならない理由をマーティンに尋ねたアナは、フェアかわ分からないが、正義には近づいていると言われて話を終える。 病院側から手を尽くしたと言われたスティーヴンとアナは、子供たちを退院させる。 マシューと話したアナは、手術中に死亡したマーティンの父親の話しを聞き、カルテを見せてもらおうとするが、それを拒まれる。 手術で麻酔を担当したマシューは、情報は提供すると言ってアナに迫る。 マシューは、スティーヴンが手術前に酒を飲んでいたことが原因のミスだと認め、同じことが何度かあったことをアナに伝える。 子供たちを自宅で看病するアナは、休暇旅行を計画する呑気なスティーヴンに、決着をつけることを強要する。 憤慨したスティーヴンだったが、その後、落ち着き、対処方がないことを伝え、アナに症状が出ない理由を考える。 アナから再び行動するようにと言われたスティーヴンは、それを実行する。 翌朝、アナを起こしたスティーヴンは、彼女を地下室に連れて行き、誘拐して痛めつけ監禁したマーティンに会わせる。 アナはその場を去り、スティーヴンの脅しに動じないマーティンは、言われたことを実行すればすべて解決すると伝える。 スティーヴンの腕を嚙んだマーティンは、自分の腕も噛み切る。 スティーヴンの車のトランクの血を落としていたアナは、銃声が聴こえたために地下室に向かう。 マーティンは、銃を手にしながら動揺するスティーヴンに、自分を殺せば4人が死ぬと伝える。 窓際に座りタバコを吸うキムは、スティーヴンが誰を選ぶかについて、ボブと話をする。 這って部屋を出たボブは、伸びていた髪をハサミで切る。 キッチンにいたスティーヴンにそれを知らせたボブは、自分の夢は、母と同じ眼科医ではなく心臓外科医だと話し、ベッドに運んでもらう。 決断を迫られ苦悩し涙するスティーヴンは、翌日、学校に向かい校長に会う。 キムとボブの成績や才能を比較してもらい、どちらが優秀か尋ねたスティーヴンは、答えてもらえなかった。 子供たちを地下室に連れて行ったアナは、マーティンの傷の手当てをして、ボブが死ぬことを知らされる。 スティーヴンと話したアナは、1人を選ぶなら子供だと伝える。 這ってマーティンの元に向かったキムは、一緒に逃げることを提案し、脚を戻すことを要求するものの、何もしてもらえない。 キムがいないことに気づいたスティーヴンは、アナと共に彼女を捜す。 地下室に向かったスティーヴンは、マーティンから姿を消したと言われ、アナと近所を捜す。 キムを見つけて家に連れ戻したスティーヴンは、彼女の擦り傷を消毒する。 家族のために死を覚悟するキムは、スティーヴンに愛を伝える。 翌朝、マーティンを解放したことをスティーヴンに知らせたアナは非難され、解決できないのに拘束しても意味がないと伝える。 アナは、不要な質問をするキムの頬を叩いてしまう。 その後、ボブが目から出血したことを知ったスティーヴンは、それをアナに伝えて居間に向かわせる。 アナ、キム、ボブを粘着テープで拘束してソファに座らせたスティーヴンは、三人に枕カバーをかぶせる。 ライフルを手にし、毛糸の帽子を被り目隠ししたスティーヴンは、その場で回り始めて発砲する。 二度失敗するものの、三度目の発砲でボブは射殺される。 その後スティーヴンは、アナとキムと共にダイナーに向かう。 店に入って来たマーティンは、三人を見つめる。 スティーヴンとアナと共に席を立ったキムは、振り返る。 マーティンは、店を出る三人を見つめる。
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*(簡略ストー リー)
オハイオ州、シンシナティ。
心臓外科医のスティーヴン・マーフィは、眼科医の妻アナ、娘キム、息子ボブと共に何不自由ない生活を送っていた。
そんなスティーヴンは、マーティンという少年に頻繁に会い、彼を見守っていた。
実はスティーヴンは、患者だったマーティンの父親が手術後に死亡したため、彼を気遣っていたのだった。
スティーヴンは、マーティンを家に招待して家族と共に食事をしたりもするのだが、度々、病院に訪ねて来る彼を煩わしく思うようになる。
やがて、父親を殺したスティーヴンに、家族の一人を殺すよう指示したマーティンは、それを実行しなければ全員が死ぬと言って脅す。
マーティンを追い払ったスティーヴンだったが、その後、ボブに異変が起きる・・・。
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世界的に評価されるギリシャ出身のヨルゴス・ランティモスが、製作と脚本を兼ねて監督した作品。
「ロブスター」(2015)に続きコリン・ファレルと組んだヨルゴス・ランティモスは、第70回カンヌ国際映画祭でパルムドールにノミネートされ脚本賞を受賞した。
*第70回記念名誉賞受賞 ニコール・キッドマン
医療ミスで死亡させた患者の息子の異常な行動に翻弄される、心臓外科医家族に迫る恐怖を描く心理スリラー。
医療ミスの罪悪感を気にする主人公医師と付き合う遺族の少年は、風変わりではあるものの、現代社会の中では一般的にも思える。
その後、少年の予言通り医師家族に起きる異変は超常現象的であり、悪魔のような存在に変貌するその姿が恐ろしい。
ヨルゴス・ランティモス独特の”神経質的”な演出は今回も活かされ、批評家から好評価を得た。
常に冷静沈着な隙のない人物ではあったが、少年に翻弄され心乱れる心臓外科医を好演するコリン・ファレル、その妻であり、強い意志を持つ女性を演ずるニコール・キッドマン、異様な雰囲気で主人公家族に迫る少年バリー・コーガン、主人公の娘ラフィー・キャシディ、息子のサニー・スリッチ、少年の母親アリシア・シルヴァーストーン、主人公の友人である麻酔科医ビル・キャンプなどが共演している。