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現金に体を張れ The Killing (1956)

殺人を犯さずに大金の強奪を考える男達の綿密な実行計画を描くフィルム・ノワールの秀作。
脚本を兼ねたスタンリー・キューブリックの記念すべきハリウッド・デビュー作品。

主演スターリング・ヘイドンコリーン・グレイヴィンセント・エドワーズ他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:スタンリー・キューブリック

製作:ジェームズ・B・ハリス
原作:ライオネル・ホワイト”Clean Break”
脚本
スタンリー・キューブリック

ジム・トンプスン
撮影:ルシエン・バラード
編集:ベティ・ステインバーグ
音楽:ジェラルド・フリード

出演
ジョニー・クレイ:スターリング・ヘイドン

フェイ:コリーン・グレイ
ヴァル・キャノン:ヴィンセント・エドワーズ
ジョージ・ピーティ:エリシャ・クックJr.
シェリー・ピーティ:マリー・ウィンザー
マーヴィン・アンガー:ジェイ・C・フリッペン
ランディ・ケナン:テッド・デ・コルシア
マイク・オライリー:ジョー・ソウヤー
ニッキー・アラーノ:ティモシー・カーリー
モーリス・オボウクホフ:コーラ・クワリアニ
タイニー:ジョー・ターケル
駐車場係:ジェームズ・エドワーズ

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1956年製作 83分
公開
北米:1956年5月20日
日本:1957年12月10日
製作費 $320,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
9月の最後の土曜日。
5年の刑を終え出所したジョニー・クレイ(スターリング・ヘイドン)は、結婚を約束したフェイ(コリーン・グレイ)に、ある計画が終わるまで自分に近づかないように伝える。

そこに資金源のマーヴィン・アンガー(ジェイ・C・フリッペン)が現れ、立ち去るフェイに挨拶する。

マーヴィンと接触していた競馬場の馬券売りジョージ・ピーティ(エリシャ・クックJr.)は帰宅して、妻のシェリー(マリー・ウィンザー)に嫌味ばかり言われてしまう。

自分の稼ぎが悪いことを皮肉られるジョージは、大金を手に入れられる可能性をシェリーに語る。
...全てを見る(結末あり)

当然それを信じないシェリーに、ジョージは計画の内容を話そうとする。

それを聞いたシェリーは、愛人ヴァル・キャノン(ヴィンセント・エドワーズ)の元に向かい、ジョージが、仲間達と競馬場の売上金を奪おうとしていることを話してしまう。

それを当てにしたシェリーは、暫くはジョージと暮らすことをヴァルに告げて、仲間達の名前が書かれたメモを彼に見せる。

ヴァルはその計画を信じ、奪った金を自分達のものにする方法を考える。

その後、ジョニーと、マーヴィン、ジョージ、競馬場のバーテンダーのマイク・オライリー(ジョー・ソウヤー)、そして、借金を抱える警察官ランディ・ケナン(テッド・デ・コルシア)は、200万ドルを奪う詳細な強盗計画を練る。

そこに、探りを入れに来たシェリーが来たのにジョニーが気づき、彼女を殴り失神させる。

仲間達はジョージを疑い、ランディとマイクが彼を連れ出す。

ジョニーは、意識の戻ったシェリーから、メモの住所を見て、夫ジョージの浮気を疑ったと聞かされる。

シェリーの本性を見抜いたジョニーだったが、彼女解放し、痛めつけられたジョージは、計画から抜けようとする。

しかし、シェリーはジョージを思い止めさせるために、見せ掛けの愛情で彼を満足させる。

3日後の火曜日。
最終的な準備に入ったジョニーは、レスラーでもあるモーリス・オボウクホフ(コーラ・クワリアニ)を仲間に引き入れて、競馬場で暴れて騒ぎを起こす役を演じさせようとする。

その後ジョニーは、レースの一番人気の馬を銃撃する狙撃手としてニッキー・アラーノ(ティモシー・カーリー)を雇う。

4日後。
シェリーは、計画実行が今日だということをジョージに確かめるため、ジョニーと関係を持ったと嘘をつき、彼を動揺させてそれを聞き出す。

ジョニーは、マーヴィンのお陰で計画を実行できることに対し、彼に感謝する。

マーヴィンは、二人だけで逃亡しないかとジョニーに提案するが、彼はそれを聞き入れず競馬場に向かう。

病気の妻の様態を気にしながら、彼女に楽な生活をさせることを約束したマイクは、ジョニーの用意した武器をバスターミナルのロッカーから持ち出し、競馬場に向かう。

バーで仕事を始めたマイクは、現場には来ないはずだったマーヴィンが、酔って現れたことに驚いてしまう。

そして問題の第7レースの出走が迫り、モーリスが予定通りに暴れて警備員に取り押さえられ、その騒ぎの隙にジョージがドアを開けてジョニーを中に入れる。

ライフルを持ったニッキーが、入場させることを渋る駐車場係(ジェームズ・エドワーズ)に金を渡して中に入る。

ニッキーは、何かとちょっかいを出す駐車場係を追い払い、レース開始と共にライフルを構える。

本命馬を一撃で仕留めたニッキーは逃走しようとするが、現れた警官に射殺される。

ジョニーはマイクのロッカーから武器を取り出し、マスクをかぶり、警備のいない集金場に押し入り、現金を袋に詰めさせる。

係員を部屋から出したジョニーは、袋を窓の外に投げ落とし、その場を立ち去る。

事件は臨時ニュースとして報道され、200万ドルの大金を詰めた袋は場内に隠されていると判断され、捜索が行われる。

犯行の仲間達は、時間になっても現れないジョニーに気を揉んでいた。

その時、銃を持ったヴァルが押し入ってくるのだが、ジョージが銃で反撃して彼以外は死亡する。

ジョニーは、渋滞に巻き込まれて予定時間に遅れてしまい、ランディが、モーテルに運んだ現金を持ち集合場所に向かう。

入り口で負傷したジョージを目撃したジョニーは、非常事態だと悟る。

ジョニーは、現金を安全な場所に運ぼうと、鞄を買ってそれを詰めるが、壊れた鍵を閉めることができない。

自宅に戻った瀕死のジョージは、ヴァルを待つシェリーを射殺して自らも息絶える。

ジョニーは、ボストンに向かうために空港でフェイと待ち合わせて、現金の入った鞄を機内に持ち込もうとするが、大き過ぎて持込を拒否される。

仕方なく鞄を預けたジョニーだったが、乗客の犬が滑走路に飛び出し、運搬車がそれを避けようとした瞬間、鍵のかからなかった鞄が落ちて開いてしまい、現金は舞い散ってしまう。

フェイは、呆然とするジョニーを連れてその場を立ち去ろうとする。

そしてジョニーは、空港に張り込んでいた警官に気づかれて逃亡を諦める。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
出所したばかりのジョニー・クレイは、競馬場の売上金約200万ドル強奪を計画する。
資金源であるマーヴィン、競馬場の馬券売りジョージ、バーテンダーのマイク、借金まみれの警官ランディらを仲間に加えたジョニーは、血を流さずに現金を奪う、綿密な計画を立てて準備を進める。
しかし、妻シェリーに相手にされないジョージが、彼女の気を引くために計画を話してしまう。
性悪な女シェリーは、愛人ヴァルにそれを伝え、彼らは、奪った現金を自分達のものにすることを考える。
犯行当日にジョニーは、競馬場で混乱を起こすためレスラーのモーリスを、レースの一番人気の馬を狙撃する役目をニッキーに任せ、二人を仲間に引き入れる。
そして計画は実行され、ジョニーの思い通りに、一味は現金を奪うことに成功するのだが・・・。
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1955年に発表された、ライオネル・ホワイトの小説”Clean Break”を基に製作された作品。

綿密な強盗計画が、呆気なく失敗に終わる意外な幕切れ、その準備や犯行を、繰り返し異なる視点で描く、セミ・ドキュメンタリー・タッチの手法も斬新だ。

ビッグ・ネームの出演もない小作ながら、個性的な登場人物と緊迫感溢れる場面展開など、まだ20代のキューブリックによる、力感溢れるシャープな演出は見応え十分だ。

犯行の緊張感を見事に映し出すルシエン・バラードの撮影や、ジェラルド・フリードのダイナミックな音楽も印象的だ。

強盗団のリーダーとして、長身を生かし貫禄もある演技を見せるスターリング・ヘイドン、その恋人コリーン・グレイ、奪われた現金を狙う悪党ヴィンセント・エドワーズ、競馬場の馬券売りエリシャ・クックJr.、性悪なその妻マリー・ウィンザー、計画の資金源ジェイ・C・フリッペン、強盗に加わる悪徳警官のテッド・デ・コルシア、競馬場のバーテンダー、ジョー・ソウヤー、狙撃手ティモシー・カーリー、騒ぎを起こす役目として雇われるレスラー、コーラ・クワリアニ、ヴァル(V・エドワーズ)の相棒ジョー・ターケル、駐車場係ジェームズ・エドワーズなどが共演している。


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