1927年に発表された、アーネスト・ヘミングウェイの短編”殺し屋”を基に製作された作品。 無抵抗のまま殺し屋に殺害された男の過去を描く、監督ロバート・シオドマク、主演、バート・ランカスター、エヴァ・ガードナー、エドモンド・オブライエン、アルバート・デッカー、サム・レヴェン、ヴァージニア・クリスティン他共演によるフィルム・ノワールの傑作。 |
・エヴァ・ガードナー / Ava Gardner / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・シオドマク
製作:マーク・ヘリンジャー
原作:アーネスト・ヘミングウェイ”殺し屋”
脚本:アンソニー・ヴェイラー
撮影:ウディ・ブレデル
編集:アーサー・ヒルトン
音楽:ミクロス・ローザ
出演
ピート・ラン/オリー”スウィード”アンダーソン:バート・ランカスター
キティ・コリンズ:エヴァ・ガードナー
ジム・リアドン:エドモンド・オブライエン
”ビッグ・ジム”コルファックス:アルバート・デッカー
サム・ルビンスキー警部補:サム・レヴェン
チャールストン:ヴィンス・バーネット
リリー・ハーモン・ルビンスキー:ヴァージニア・クリスティン
”ダム=ダム”クラーク:ジャック・ランバート
パッキー・ロビンソン:チャールズ・D・ブラウン
R・S・ケニオン:ドナルド・マクブライド
アル:チャールズ・マッグロー
マックス:ウィリアム・コンラッド
ニック・アダムス:フィル・ブラウン
”ブリンキー”フランクリン:ジェフ・コーリー
ジョージ:ハリー・ヘイデン
サム:ビル・ウォーカー
メアリー・エレン・ドーハティ:クィニー・スミス
看護師:ビアトリス・ロバーツ
ジェイク・ザ・レイク:ジョン・ミルジャン
ハーシュ夫人:ヴェラ・ルイス
ジョー・スモーリー:ギャリー・オーウェン
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1946年製作 103分
公開
北米:1946年8月30日
日本:1953年4月24日
■ アカデミー賞 ■
第19回アカデミー賞
・ノミネート
監督・脚色・編集・音楽賞(ドラマ・コメディ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニュージャージー州、ブレントウッド。
町に着いた殺し屋のアル(チャールズ・マッグロー)とマックス(ウィリアム・コンラッド)は、ガソリンスタンドが閉まっているためにダイナーに向かう。
オーナーのジョージ(ハリー・ヘイデン)に食事を注文した2人は、その場にいた客のニック・アダムス(フィル・ブラウン)に声をかける。
アルがニックとコックのサム(ビル・ウォーカー)を厨房に連れて行き、マックスは、客にはコックがいないと言えとジョージに指示する。
アルは拳銃を手にし、マックスは、ガソリンスタンドのオリー”スウィード”アンダーソン(バート・ランカスター)、別名ピート・ランを殺しに来たとジョージに伝える。
毎日6時にスウィードが店に来ることを確認したマックスとアルは、ただ殺すことを依頼されただけだとジョージに伝えて、客が入って来たために警戒する。 サムが出かけていると客に知らせたジョージは、彼が帰った後で、来るなら6時前なので、スウィードは来ないとマックスに伝える。 もう1人の客にもコックがいないと伝えて断ったジョージは、6時を過ぎたのでスウィードは来ないと言って、アルとマックスを納得させる。 2人が店を出たために、ジョージはサムとニックの拘束を解く。 ジョージは、スウィードの同僚であるニックに、ガソリンスタンドに行った2人の目的を話し、スウィードに教えるよう指示する。 ニックは裏口からスウィードの部屋に向かい、2人組の殺し屋のことを教える。 ニックは、逃げようとしないスウィードが悪事を働いたことがあることを知る。 ニックは諦めてその場を去り、現れたアリとマックスは、スウィードを射殺する。 その後、保険調査員のジム・リアドン(エドモンド・オブライエン)は、ブレントウッドン警察署でスウィードの所持品を確認し、保険の受取人がアトランティックシティのメアリー・エレン・ドーハティ(クィニー・スミス)だということを知る。 緑のハンカチが気になったリアドンは、署長からスウィードの話を聞き、彼がハーシュ夫人(ヴェラ・ルイス)の下宿に住んでいたことを知り、親しい友人などもいないということだった。 犯人探しに協力していたニックは、リアドンからスウィードのことを訊かれ、まじめで悪い男ではなかったと答える。 リアドンは、遺体を確認する許可を得てハンカチも持ってその場を去る。 ニックに案内してもらい検死官と話したリアドンは、悪事を働いたことがあるというスウィードの最後の言葉を気にしながら、遺体の右手の傷を見て、彼がボクサーだったと考える。 ニックは、数日前から仕事を休んでいたスウィードが、先週、来た客の対応をした時の話をする。 キャデラックでガソリンスタンドに寄った”ビッグ・ジム”コルファックス(アルバート・デッカー)に気づいたスウィードは、彼を避けようとする。 コルファックスはスウィードを呼び、オイルをチェックさせて、窓を拭く彼を見つめる。 コルファックスは、町の名前を聞いただけでその場から去り、その直後にスウィードは、気分が悪くなったとニックに伝えて帰ってしまう。 スウィードが翌日は仕事に来なかったと言うニックは、コルファックスのことをリアドンに話してその場を去る。 会社に電話をしたリアドンは、検死結果の写真を送るので、ボクサーだったと思われる被害者のことを調べるよう、秘書のステラに指示する。 アトランティックシティ。 メアリーは、”彼女がいない”と言って取り乱すスウィードが、窓から飛び降りようとしたために、思い留まるよう説得する。 チャールストンの言ったとおりになったと話しながら、ベッドの横たわるスウィードは嘆く。 社に戻ったリアドンは、上司のR・S・ケニオン(ドナルド・マクブライド)に呼ばれ、別の仕事をするようにと言われるものの、気になっているチャールストンの名前を出す。 そんな名のコソ泥がいたと言われたリアドンは、ハープの刺繡の緑色のハンカチのことをケニオンに話す。 リアドンはハンカチを見せるものの、ケニオンから、そんなつまらない仕事は後回しに知ろと言われても食い下がる。 殺人事件を重要視するリアドンは、あと1日だけ猶予をもらう。 ステラが調べたジムの話を聞いたリアドンは、”オリー・アンダーソン”というボクサーが前科者だということを知り、チャールストンのことを調べるよう指示する。 アンダーソンを逮捕したのがサム・ルビンスキー警部補(サム・レヴェン)だと知ったリアドンは、彼に会いに行く。 ルビンスキーを訪ねて話をしたリアドンは、アンダーソンのことを尋ねて、子供の頃から遊んだ仲だということを知る。 ルビンスキーは、アンダーソン(スウィード)の最後の試合を観に行った時のことをリアドンに話す。 スウィードは、女友だちリリー・ハーモン(ヴァージニア・クリスティン)とルビンスキーの目の前でノックアウトされてしまう。 マネージャー、パッキー・ロビンソン(チャールズ・D・ブラウン)とトレーナーのジョー・スモーリー(ギャリー・オーウェン)は、スウィードが右手を骨折したことを知り、彼を引退させようとする。 試合後のスウィードの世話をしたルビンスキーは、ボクシングを諦めるようにと言って、打たれたのが頭ではなくて幸いだと伝える。 スウィードに声をかけたリリーは食事を作るつもりだったが、食欲がないと言われ、ルビンスキーに誘われるものの、それを断りその場を去る。 ルビンスキーは、スウィードに警官になることを勧めるものの断られる。 今ではルビンスキーの妻となっていたリリーがレモネードを持って現れ、リアドンは、2人が、結婚式の付添人だったスウィードと9年間、会っていないことを知る。 その半年前に、リリーがスウィードと別れたことを知ったリアドンは、その話を彼女から聞く。 スウィードは、ジェイク・ザ・レイク(ジョン・ミルジャン)のパーティーにリリーを連れて行こうとする。 ジェイクを嫌うリリーはそれを断るものの、スウィードに強引に連れて行かれる。 ジェイクに挨拶したリリーは”ブリンキー”フランクリン(ジェフ・コーリー)を紹介され、スウィードは、その場にいた美しいキティ・コリンズ(エヴァ・ガードナー)に惹かれてしまう。 それが気になるリリーはブリンキーと話し、豪華な家がコルファックスのものだということを知る。 スウィードの態度で考えを察したリリーは、独りで帰る。 リアドンからコルファックスのことを訊かれたルビンスキーは、有名な泥棒であり、当時は獄中で、7~8年前に出所したことを話す。 スウィードの逮捕のことを訊かれたルビンスキーは、当時のことを思い出す。 ジェイクとレストランにいたキティのことを探っていたルビンスキーは、コルファックスの情婦からスウィードに乗り換えた彼女が、盗品の宝石をウエイターに渡したことに気づく。 白を切るキティを連行しようとしたルビンスキーは、ギャンブルで儲けて羽振りがいいスウィードが現れたために話をする。 連行されるキティが泣いていたために驚いたスウィードは、ルビンスキーから盗品の宝石を見せられる。 自分が盗んでキティに渡したと話すスウィードは、ルビンスキーを殴り倒して逃げる。 翌日、逮捕されたスウィードは、自分の犯行だと言い張り3年の刑になり、護送される姿を見たのが最後だと、ルビンスキーはリアドンに話す。 スウィードの遺体を引き取ったルビンスキーは、リリーと共に葬儀を行い埋葬し、それに参列してくれたリアドンに、犯人探しに手を貸すと伝える。 その場には、パッキーとジョー、そしてコソ泥のチャールストン(ヴィンス・バーネット)がいた。 その後リアドンは、チャールストンからスウィードの話を聞く。 刑務所でスウィードと同じ監房にいたチャールストンは、キティから手紙がこないことが気になる彼から、出所したら探ってほしいと言われ、それを約束して元気がない彼を励ます。 出所して再会したスウィードとチャールストンは、ある組織に呼ばれる。 コルファックスとて”ダム=ダム”クラーク(ジャック・ランバート)、ブリンキー、そしてチャールストンは、スウィードを待つ。 現れたスウィードは、その場にキティがいたために驚く。 コルファックスは、25万ドルを強奪することを話し、チャールストンだけが断り、その場を去ろうとする。 スウィードに”ハープ”(キティ)のことは忘れろと忠告して去ったチャールストンは、外で彼を待つものの現れなかった。 それがスウィードとの別れだったと話すチャールストンは、彼との付き合いは楽しかったとリアドンに伝える。 社に戻ったリアドンは、ステラにキティの情報を入手するよう指示する。 ケニオンにハンカチのことが分かったと伝えたリアドンは、25万ドルの給料が強奪された、帽子工場の事件の新聞記事を見せる。 社員に扮して怪しまれることなく会社に侵入したコルファックスらは、経理部に向かい、難なく25万4912ドルを強奪して、用意してあった3台の車で逃げようとする。 それに気づいた守衛は発砲するが、4人は逃走する。 4人の犯人は覆面をしていたために顔はわからなかったが、1人がハープ模様の緑のハンカチだということだった。 リアドンは、事件の前にキティと会ったスウィードが、彼女に逃げられたために自殺を考え、救ってくれたホテルのメイドに保険金を残し、6年後にブレントウッドのガソリンスタンドで、殺し屋が来ると知りながら働くようになり、その死で保険金事件が明るみに出たと推理する。 調査は諦めるようにと言われたリアドンは、ルビンスキーからの電話を受け、許可してもらえないなら辞職するとケニオンに伝える。 1週間やると言われたリアドンは、ルビンスキーの元に向かう。 リアドンは、撃たれたブリンキーが発見されて瀕死の状態だと知り、彼から犯行の前夜の話を聞く。 カードをしていたスウィードは、コルファックスがイカサマをしたと思い殴る。 それが間違いだと知ったスウィードは、明日、計画実行でなければ許さなかったと言うコルファックスから、仕事が終わったら決着をつけると脅される。 ブリンキーは意識を失うが、再び話し始める。 犯行後に隠れ家に向かったコルファックスらは、現金を確認する。 他の入り口から侵入したスウィードは、コルファックスらに銃を向け、待ち合わせ場所が焼けたのでここに来たと言われるものの、現金を奪い逃走する。 ブリンキーは息を引き取り、スウィードを殺した者を探るために、リアドンハーシュ夫人の下宿の彼の部屋に向かう。 部屋にいたリアドンは、誰かが来たことに気づき、ハーシュ夫人から警察を呼ぶと言われ銃を手にする。 部屋を調べに来たのはダム=ダムで、彼に銃を向けたリアドンは、集合場所を納屋に変えた理由を訊く。 前日に火事で焼けたからだと答えたダム=ダムに、ブリンキーはお前の銃で撃たれたと言って脅したリアドンは、コルファックスがすべてを仕組んだことを聞き出す。 スウィード殺しを疑われたダム=ダムは、自分でもブリンキーでもないとリアドンに話す。 ブリンキー殺しを追及されたダム=ダムは、逮捕されるとまずかったと言いながらタバコを吸い、隙を見てリアドンに襲いかかる。 銃を奪ったダム=ダムは、キティが現金を持っているというリアドンの考えを知るが、それを信じようとしない。 ダム=ダムは、リアドンを痛めつけてその場を去り、駆け付けた警官に撃たれながらも逃亡する。 その後、ピッツバーグに行き、足を洗い建設業で成功しているコルファックスに会うつもりのリアドンは、ルビンスキーと話し、彼がキティと関係していた男だと伝える。 そこに電報が届き、リアドンは、調査の結果、火事が起きた時間を知り、ダム=ダムの話と食い違うことを確認する。 ピッツバーグ。 自分も仲間だと言われたコルファックスはそれを否定し、キティのことを訊かれる。 キティを知っていることは認めたコルファックスは、現金を奪って逃げたスウィードと事件の夜、会った彼女は、2日後に金を持って姿を消したというリアドンの話を聞く。 ホテルのメイドがキティに会えばそれを確認できると話すリアドンは、キティの居場所を知らないと言うコルファックスが電話を受け、ジェイクからだったことを知る。 キティの件だと知ったリアドンは、10時までに連絡がなければ警官に話すとジェイクに言っておいたとコルファックスに伝えて去ろうとする。 コルファックスは、キティを見つけたら教えてほしい、言いたいことがあり決着をつけるとリアドンに伝える。 その後、ルビンスキーと待機していたリアドンは、キティからの電話を受けて会う約束をする。 キティと会ったリアドンはクラブに向かい、25万4912ドルのことを話し、知らないと言う彼女に、死んだブリンキーの証言とホテルのメイドが顔を覚えていると伝える。 現金のことを認めたキティは、協力することをリアドンに伝えて、コルファックスを犠牲者にすると言うリアドンに、それはできないと伝る。 それなら警察に話すと言われたキティは、計画を立てたのはコルファックスだと話し、スウィードのことを訊かれ、自分のハンカチを持っていたので彼の気持ちは分かったと伝える。 リアドンからそのハンカチを見せられたキティは驚き、人生をやり直すために大金が必要だったと伝える。 火事のこと話したリアドンは、キティから、コルファックスに指示され、場所を変える連絡をした話を聞く。 事件の前日スウィードの元に向かったキティは、コルファックスらに裏切られることを話す。 スウィードが現金を奪うよう仕組んだと伝えたキティは、彼とアトランティックシティに向かったことをリアドンに話す。 追っ手がいることに気づいたキティは化粧室に向かい、その間にアルとマックスが現れ、リアドンに発砲する。 リアドンはそれを予測していたため、その場にいたルビンスキーと共に反撃して、アリとマックスを射殺する。 化粧室に向かったリアドンは、キティが窓から逃げたことを知る。 リアドンとルビンスキーは、警官と共にコルファックス邸に向かい、銃撃戦になり、ダム=ダムが死亡する。 コルファックスも階段で撃たれ、自分が黒幕だと確信した理由をリアドンに尋ねる。 リアドンは、火事はキティが待ち合わせ場所の変更を伝えに行った3時間後に起きたことをコルファックスに話し、彼女と組んでいた証拠だと伝える。 キティが連れて来られ、ルビンスキーは、スウィードに殺し屋を送った理由をコルファックスに尋ねる。 スウィードが話せば、妻であるキティと自分が企んだことがバレてしまうとコルファックスは話す。 キティは、自分は無関係だと言ってほしいとコルファックスに頼むものの、彼は息を引き取った後だった。 社に戻ったリアドンはケニオンと話し、スウィードはキティに騙され、ブリンキーとダム=ダムはコルファックスに裏切られたというのが真相だった。 金を独り占めにしたかったコルファックスだったが、結局は、裏切りは裏切りで終わるということで、保険を調査したおかげで明るみに出たと言って、ケニオンとリアドンは満足する。 ケニオンは、保険基本料が下がると言ってリアドンに感謝し、疲れ切った彼に金曜から月曜までの休暇を与える。
...全てを見る(結末あり)
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ホテルのメイド、メアリーに会ったリアドンは、2500ドルの保険金を受け取れることを伝えて、スウィードが殺されたことを知った彼女が、自殺ではなくてよかったと言う言葉が気になり、彼女の話を聞く。
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コルファックスと話したリアドンは、スウィードのことも強盗事件も知らないと言う彼に、ブリンキーとダム=ダムのことを話す。
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*(簡略ストーリー)
ニュージャージー州、ブレントウッド。
ガソリンスタンドで働く犯罪者のオリー”スウィード”アンダーソン、別名ピート・ランは、無抵抗のまま殺し屋2人に殺害される。
保険会社の調査員リアドンは、スウィードの保険受取人を確認し、ボクサーだったと思われる彼のことを調べ始める。
リアドンは、スウィードとは幼馴染であり、彼を逮捕したことがある警部補ルビンスキーに会い、彼の協力を得て調査を続けるだが・・・。
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サスペンス、ミステリーなど多くの話題作を手掛けていたロバート・シオドマクが監督し、クレジットなしでジョン・ヒューストンとリチャード・ブルックスが脚本に参加している。
無抵抗のまま殺し屋に殺害された男の過去を描く、フィルム・ノワールの傑作。
第19回アカデミー賞では、監督、脚色、編集、音楽賞(ドラマ・コメディ)
2008年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
1964年に監督ドン・シーゲル、主演リー・マーヴィンによりリメイクされたのが「殺人者たち」。
犯罪歴がある主人公は無抵抗のまま冒頭で殺されてしまい、彼の死の謎を保険調査員が探る展開でドラマは進行する。
保険調査員が主人公と関係した人物と接触し、そのたびに過去を振り返り徐々に謎が解けていくという、サスペンスの醍醐味を感じさせる見事な脚本と、個性的な各キャラクターの人物像を繊細に映し出す、ロバート・シオドマクの演出手腕が見どころの作品。
主演は、衝撃的デビュー作となったバート・ランカスターなのだが、物語の中心人物は、堅実且つ的確な判断で行動し事件を調べる、優秀な保険調査員を演じたエドモンド・オブライエンであり、2人の熱演を含め、本作は批評家から絶賛された。
犯罪者である大物の情婦として登場し、主人公と付き合いながら、強奪した現金を手に入れようとする女を好演したエヴァ・ガードナーは、既にキャリアは積んでいたものの、バート・ランカスターと同様、本作が出世作となった。
主人公と共に強盗事件を起こす犯罪者アルバート・デッカー、友人だった主人公の殺人事件に関り、保険調査員に協力する警部補サム・レヴェン、主人公の刑務所仲間ヴィンス・バーネット、主人公の女友だちであり、後に警部補と結婚するヴァージニア・クリスティン、強盗団の一員ジャック・ランバートとジェフ・コーリー、ボクサー時代の主人公のトレーナー役チャールズ・D・ブラウン、マネージャー役のギャリー・オーウェン、保険調査員の上司ドナルド・マクブライド、主人公を殺害する殺し屋チャールズ・マッグローとウィリアム・コンラッド、ガソリンスタンドで働く主人公の同僚フィル・ブラウン、ダイナーのオーナー役ハリー・ヘイデン、その店のコック役ビル・ウォーカー、主人公の保険金を受け取ることになるホテルのメイド役クィニー・スミス、看護師のビアトリス・ロバーツ、主人公と関わる男ジョン・ミルジャン、主人公の下宿の家主ヴェラ・ルイスなどが共演している。