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ダニー・ケイの牛乳屋 The Kid from Brooklyn (1946)

ハロルド・ロイド主演で1936年に公開された”ロイドの牛乳屋”のリメイク。
ひょんなことからボクサーになった牛乳配達人の青年が巻き起こす騒動を描く、製作サミュエル・ゴールドウィン、監督ノーマン・Z・マクロード、主演ダニー・ケイヴァージニア・メイヨヴェラ=エレンスティーヴ・コクランイヴ・アーデンウォルター・エイベル他共演のミュージカル・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ミュージカル


スタッフ キャスト
監督:ノーマン・Z・マクロード
製作:サミュエル・ゴールドウィン
脚本
ドン・ハートマン
メルヴィル・シェイヴルソン
撮影:グレッグ・トーランド
編集:ダニエル・マンデル
音楽:カーメン・ドラゴン

出演
バーリー・サリヴァン:ダニー・ケイ
ポリー・プリングル:ヴァージニア・メイヨ
スージー・サリヴァン:ヴェラ=エレン
スピード・マクファーレーン:スティーヴ・コクラン
アン・ウェストリー:イヴ・アーデン
ギャビー・スローン:ウォルター・エイベル
スパイダー・シュルツ:ライオネル・スタンダー
レモイン夫人:フェイ・ベインター
オースティン:クラレンス・コルブ
ゴールドウィン・ガールズ

アメリカ 映画
配給 RKO
1946年製作 113分
公開
北米:1946年3月21日
日本:1953年1月8日
製作費 $1,450,000
北米興行収入 $3,960,000
世界 $5,490,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨークブルックリン
乳製品製造販売外車”サンフラワー”の社長オースティン(クラレンス・コルブ)は、販売促進のための映画を作り事業計画についてを従業員に話す。

オースティンは、社員にからかわれる牛乳配達員バーリー・サリヴァン(ダニー・ケイ)に話を中断され、苛立ち呆れてしまう。

その後、早朝の配達中にバーリーは、荷馬車を引く馬アグネスがへたり込んでしまい慌ててしまう。

助けを求めて騒いだために、アパートの住人を起こしてしまったバーリーは、その2階に住むポリー・プリングル(ヴァージニア・メイヨ)に電話を貸してもらう。

ポリーが歌手だと知ったバーリーは、電話で獣医を呼んで帰るが、部屋に戻り自社の牛乳を彼女に勧める。

部屋を出たバーリーは再び戻り、クラブでダンサーをする妹のスージー(ヴェラ=エレン)のことを話し、仕事を紹介できるかもしれないとポリーに伝える。
...全てを見る(結末あり)

バーリーからの電話を受けたスージーは、彼が女性の部屋にいることを知り、後で話を聞くと伝えて、出番だったためにステージに向かう。

ショーを終えて劇場を出たスージーは、酔った客で、ミドル級チャンピオンのボクサー、スピード・マクファーレーン(スティーヴ・コクラン)とスパイダー・シュルツ(ライオネル・スタンダー)に絡まれる。

そこに現れたバーリーは、スージーを助けようとして2人と揉める。

スピードは殴り倒され、バーリーは、彼がボクサーのチャンピオンだと知り驚き、スージーと共にその場を去る。

チャンピオンが牛乳配達人にノックアウトされたたこが新聞で報道され、それを知ったスピードのマネージャーのギャビー・スローン(ウォルター・エイベル)は驚く。

ギャビーの恋人アン・ウェストリー(イヴ・アーデン)から新聞を見せられたスピードは焦る。

そこにギャビーが現れ、憤慨する彼は、スピードとスパイダーから、相手が野獣のような大男だったと言われ、そのことを記者会見で発表しようとする。

電話が入り、牛乳配達人が来ることを知ったギャビーらは、現れたバーリーが気弱な青年だったために驚く。

ギャビーからスピードをノックアウトした時のことを訊かれたバーリーは、自分を殴ろうとしたスパイダーのパンチをかわしたことを話す。

同じ様な状況になり、スパイダーのパンチをバーリーがかわし、それを受けたスピードは殴り倒される。

そこに記者たちが現れ、倒れているスピードを見て騒ぎになり、スパイダーが殴ったと言っても信じてもらえない。

起き上がったスピードは記者たちを追い出し、バーリーも彼のパンチをかわして逃げる。

その場の状況が新聞で報道されて話題になり、スピードが再び牛乳配達人にノックアウトされたような写真も掲載される。

ショックを受けたギャビーだったが、バーリーをボクサーにすることを思いつく。

夜中にポリーに牛乳を配達したバーリーは、クラブの話はダメだったが、会社のラジオ番組で歌うことを提案する。

社長のオースティンに電話したバーリーは相手にされず、何度もかけ直したために解雇されてしまい、ポリーに同情される。

アパートに戻ったバーリーは、部屋にいたギャビーから、ボクサーになることを強要される。

そこにスージーが戻り、彼女は昨夜のことでスピードから謝罪されるものの、彼らを追い出す。

ポリーの電話を受けたバーリーは、戻って話を聞いていたギャビーから、惹かれている彼女のためにボクサーになることを勧められ、契約してしまう。

その後バーリーは、”タイガー・サリヴァン”というリングネームでトレーニングを始める。

バーリーは、会社から買い取ったアグネスと仔馬を可愛がっていた。

スパイダーはドジなバーリーに手を焼くが、アンは彼に優しく接する。

バーリーを利用しようとするギャビーは、数試合勝たせる八百長試合の後でスピードと対戦させて、大儲けしようと考えていた。

ボクサーが向いていないと思うバーリーだったが、ギャビーから、ポリーが結婚を望んでいると言われ、婚約のための指輪を用意してくれたためにやる気になる。

指輪はアンのもので、ギャビーは取材に来た記者を歓迎する。

スージーが連れて来たポリーと話したバーリーは、彼女がクラブで歌ったことを知り喜ぶ。

記者たちが自分を無視するために苛立つスピードは、スージーをからかい、バーリーを挑発して殴り倒そうとする。

ところが、スピードにキスされたスージーは、彼に惹かれてしまう。

バーリーは、結婚のことをポリーに話して指輪を見せるものの、彼女がギャビーには何も言っていないことを知り、彼に騙されたと気づく。

しかし、バーリーに惹かれていたポリーは、彼に指輪をはめてもらい、ボクシングをやめてもらおうとする。

それは無理だと伝えたバーリーは、ポリーにキスして正式に婚約する。

デビュー戦を迎えたバーリーはリングに上がり、強そうな対戦相手のキラー・ケリーを前にしてビビってしまう。

リングを下りて逃げ出すバーリーは、観客に笑われる。

その様子をラジオで聴いていたポリーとスージーは、現れたスピードから、バーリーが1ラウンドで勝ったので祝おうと言われ、試合は始まっていないと伝える。

バーリーはリングに連れ戻され、ゴングが鳴るものの逃げ回る。

アンの言う通りに動きき始めたバーリーは、スパイダーの指示で襲いかかり、空振りだったもののケリーをノックアウトする。

ポリーとスージーは喜ぶが、バーリーが勝つことをスピードが知っていたために不思議に思う。

リング上でインタビューを受けたバーリーが、空振りのことを話し始めたために、ギャビーはマイクを取り彼の勝利を称える。

その夜、バーリーはギャビーらとクラブで祝杯を挙げ、ポリーの歌を聴く。

その後、ツアーに出たバリーは連勝するが、彼のイメージを高めるために、試合はすべて仕組まれたものだった。

バーリーの活躍を知ったオースティンは、彼を会社の宣伝に使うことを考えて契約しようとする。

元同僚たちが待つ駅に到着したバーリーは歓迎され、ポリーは、有頂天になる彼が変わってしまったことが気になる。

バーリーを迎えたオースティンは、ギャビーと5万ドルで契約していた。

ポリーは、オースティンと共に歓迎会に向かう、浮かれるバーリーについて行く気になれず帰ってしまう。

スージーは、バーリーとのタイトルマッチが決まったスピードに闘ってほしくなかったが、話を聞き入れてもらえない。

その後、社交界が主催する子供たちのための牛乳基金パーティーが催される。

主催者のレモイン夫人(フェイ・ベインター)は、オースティンから紹介されてスピーチする。

ポリーやスージーが出演するショーが始まり、バーリーが飛び入りで登場する。

ポリーとスージーは、スター気取りではしゃぐ彼の姿を見て呆れてしまう。

考えた末に試合をしないことにしたスピードは、それをスージーに伝えるものの、バーリーを懲らしめてほしいと言われて驚き、その気になる。

レモイン夫人にボクシングを教えていたバーリーは、現れたポリーと話す。

ポリーは、以前と変わってしまったバーリーに、始めて会ったころのあなたが好きだったと伝える。

指輪をバーリーに返したポリーは、彼を見限りその場を去る。

ギャビーは、バーリーが試合をしないと言いだしたために焦る。

これは慈善試合で、多くの子供が救われると言って、ギャビーはバーリーを説得する。

世界タイトルマッチ当日、仔馬を連れて来たバーリーは遅れてしまう。

仔馬に蹴られたスピードは気を失い、スパイダーは、アンモニアと睡眠薬を間違えてギャビーに渡す。

それをギャビーに飲まされたスピードは、リングに上がる。

バーリーも登場し、スージーとポリーから、この試合は八百長ではなくスピードに殺されると言われた彼は怖気づく。

ゴングは鳴り、朦朧とするスピードと闘うバーリーは、ダウンを奪われながらも何とか持ち堪える。

睡眠薬が効き始めたスピード眠ってしまい、カウント10で立ち上がれず、バーリーがチャンピオンとなり、ポリーと抱き合い喜ぶ。

ギャビーは、スピードが眠っていることを知り愕然とする。

牛乳基金の委員長であるレモイン夫人が紹介され、スピーチする。

バーリーは、不敗のまま引退すれば共同経営者にするとオースティンに提案されるものの、チャンピオンとして闘い続けようとする。

レモイン夫人からメダルを授与されたバーリーは、彼女が振り上げた拳が顔面に当たり、気を失ってしまう。

その後、バリーは会社の共同経営者として復帰し、友人になったスピードが地区マネージャーとして働く。

バーリーは、牛乳配達人となったギャビーとスパイダーの成績の悪さを指摘し、改善させようとする。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
ニューヨークブルックリン
気弱で冴えない牛乳配達人のバーリー・サリヴァンは、歌手のポーリーと知り合い、ショーに出演している妹スージーを彼女に紹介しようとする。
酔ったボクシング・チャンピオンのスピードは、スージーに絡んだためにバーリーと揉める。
スピードを殴り倒したことになってしまったバーリーは、それが新聞で報道されたために戸惑う。
スピードのマネージャーであるギャビーは、訪ねて来たバーリーから誤解だと言われても信じない。
今回の報道で窮地に陥ったギャビーは、バーリーをボクサーにして話題を作り、大儲けしようと考えるのだが・・・。
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サミュエル・ゴールドウィン製作によるコメディ・シリーズであり、ノーマン・Z・マクロードが監督し、相性のいいダニー・ケイヴァージニア・メイヨが共演した作品。
4人は、翌年の「虹を掴む男」(1947)でも組むことになる。

ユーモアのネタがやや単調で新鮮味もなく、平凡な出来ではあるものの、多くのミュージカル・パフォーマンスが楽しめる愉快な作品には仕上がっている。

ひょんなことから、牛乳配達人からボクサーになるダニー・ケイの熱演は見もので、特に後半の慈善パーティーに飛び入り参加する約6分間の独演シーンは、彼の持ち味を活かした最高の芸を見せてくれる。
虹を掴む男」(1947)でもそうなだが、天才芸人ダニー・ケイの演技を脇で見ているエキストラが、本気で楽しんでしまっている様子に注目してもらいたい。

偶然知り合った主人公と惹かれ合う歌手で、歌声も披露してくれる美しいヴァージニア・メイヨ、同じく見事なパフォーマンスを見せてくれる、主人公の妹であるダンサーのヴェラ=エレン、彼女と惹かれ合うようになるボクシングのチャンピオン役スティーヴ・コクラン、彼のマネージャー役を愉快に演ずるウォルター・エイベル、彼の恋人イヴ・アーデン、チャンピオンの相棒ライオネル・スタンダー、慈善パーティーを主宰する富豪夫人のフェイ・ベインター、主人公を雇う乳製品会社の社長クラレンス・コルブ、その宣伝に登場するゴールドウィン・ガールズなどが共演している。


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